映画『ダウンサイズ』感想

『ダウンサイズ』をiTunesレンタルで。マット・デイモン主演。

映画としては良くできていて面白いのだけど、根本の設定に致命的な問題があり、それは結局解消されないのでずっと薄目で観ているかんじです。気になりすぎて途中で観るのをやめようかと思うくらい。だけど後半から段々どうでもよくなっておかしみが増え「これはこれで良いのか…」となってくるのは、やはり「マット・デイモン力」によるものと思われ。

このSF設定齟齬が気にならなければ、お薦めです。アンビバレント気分。

【あらすじ】
人口増加、環境問題などを解決するために、人間を10センチ程度にダウンサイズする技術が開発された。希望者は「小人」専用の町で大豪邸に住み、何不自由ない生活を終生送ることができる、という触れ込みだ。お金を貯めた希望者は「小人」化し、専用コロニーに移り住んでいく。

このダウンサイズを可能にするのが、ドラえもんのような「縮小ビーム」ではなく、薬を飲むことで生物学的に小さくするという技術。だから金歯や金属はすべて抜かれ、縮小後に再治療されるのだけど、1つでも身体以外のものを抜き忘れたら体が爆発してしまう。全身の毛も剃られるのだけど、これは意味が分からない。 .
【以下ネタバレ含む】
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SF設定齟齬について。

(問題その1 生物以外のミニチュアはどう作る?)
開発された技術が「薬で生物を小さくする」のみなので、じゃあ身の周りのものはどうやって作るのか、という疑問が出てくる。
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服や家具や印刷物や食べ物やさまざまなものが、映画の小人世界ではまったく普通に揃っているんだけど、これだけの生活を可能にするには、巨人世界と同じような工場や職人や歴史が小人世界にも必要な筈(小人世界の歴史は20年ほどしかない)。 .
「巨人」世界でこれくらいのミニサイズのものを生産するとしたら従来より遙かにコストがかかり、人口問題解決の役には立たない。小指の爪サイズの炊飯器やワインラベルをどうやって大量生産する?だからこの映画を観ている間中ずっと、「それどうやって作ったん?」というツッコミが途絶えない。

何か巨人世界のものをそのまま流用したようなものが家具に使われていたり(消しゴムが椅子になってたり)したらそこでリアリティが出るんだけど、普通に観ている限り一切ない。大きな薔薇が1箇所出てくるだけだ。
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椅子にしろテーブルにしろゴージャスなインテリアにしろ貧民街の食器類にしろ、すべてにおいて「ミニチュアです」というポーズがまったくない。町中の植栽まで巨人世界と同じものに見える。
劇中出てくるスラム街で貧民が使っているのが、明らかに超古い炊飯器。だからそれはどうやって…(略)

ドラえもんの縮小ビーム方式だったら、すべて問題なかったのに。
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(問題その2 この世界はどうやって存続する?)
そもそも巨人の貢献(生産・移動・その他)ありきでしか継続できないように見える時点で「ダウンサイズは解決策になり得ないのでは?」という根本的疑問。
. 「金持ち小人が、貧乏巨人から搾取する」図だとしたら、貧乏巨人のパンチ一発で金持ち世界が崩壊する力関係とは、明らかに矛盾する。いや台風一発、野生動物一匹で国1つが全壊しそうだけど。
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(問題その3 他の生物との共存は?)
ノルウェーだったかのコロニーは天井カバーがない。「蚊がいなくてラッキーだった」と登場人物がは言うけど、いやいやいや。狸1匹出てきただけで、鷲が一羽飛来しただけで、大惨劇ディザスターっすよ。良く平常心でいられるものだ。ダンゴムシ1匹だって相当恐い筈。

どう捉えていいのか、他の人はどうこの映画を観ているのか
気にならないのか?が気になってしようがない。

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最近は(インスタ)でアップしているTV・映画感想の投稿を、半年に1回くらい一気に転載しています。

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