2014年4月10日(木)、獸木野生氏作のコミック『パーム』シリーズ、初の公式トークイベントが池袋ジュンク堂本店で開催され、新潟より行ってまいりました。30年以上続いてきた作品の、初の関連イベントです。言わずもがなファンにとっては本当に本当に貴重な場となりました。かなり長文で余計なことも書いてしまいそうですが、レポートを残したいと思います。
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カテゴリー: マンガ感想
最近読んだ漫画。
『宇宙兄弟』の一番の魅力は「ちゃんと才能のある人達がまっとうに努力をしてまっとうに報われる話」をとことん丁寧に描いている、ということだと思う。
この巻数でいまだにこのクオリティ。ありえない。むしろここからクライマックスに向かって進んでいくカンジに思える。22巻から読み返しても、何度涙ぐんだか分からない。そして打ち上げシーンでは頭の中にあのオネアミスのBGMが鳴り響いていました。
→小山氏の作中アイデアのすごさについて前回書いた記事
そうそう、中で出てくるロゴやポスターのデザインがちゃんとしてるのも好感。こういうところでどっちらけたりするんで、作家じゃなくてちゃんとデザイナーに頼まないと明らかに違和感が出てきてしまう。小山氏本人がデザインやっている、という可能性もなくはないけど(だとしたらすげえけど)、まずないでしょう。編集さんだけの考えでもダメだろうし、恐らく本人の希望か。
※ちなみに妻はこれまであさりちゃん程度の漫画しか読まない(他書籍も一切読まない)ような人だったにもかかわらず、結婚してから自分の蔵書(少年青年少女OLファンタジーBLまで…)をすべて読破したのだが、恐らく一番ハマったのが『宇宙兄弟』ではないかと思う。
期待通りの面白さ。そして赤ちゃん&育児漫画好きの長女のお気に入りになるのは間違い無し。全部買う。 『ペコロスの母に会いにいく』
大傑作。今年10本の指に入ること間違いなし。かわいくヘタウマな絵柄とは裏腹な技術力の高さ、頃合いを見計らうセンス、構成の技術に恐れ入るばかり。ずっと持っていたい1冊(親のボケに備えて)。 『ナガサレール イエタテール』
これもすごい1冊だった。東村アキコさんのような類い稀なギャグセンスを持った漫画家が、3.11と親の癌と祖母の認知症に一気に出会いどんなレポートを残すのか。プロ根性に涙が出る。初版のみ著名漫画家数人による応援イラストがついているが、その絶賛ぶりも納得の面白さ。 『もやしもん(13)』
完結した。時に泣いた。以前のレビューで「恋愛がメインでない大学生モノにぐっとくる」と書いたけど、最後は色んなカップルのアレをほのめかすシーンも多い。だけど決してそれありきじゃないんだよね。ハチクロだってそうだったと思う。あれもこれも、shiroの中では広義の「仕事マンガ」なんだよな。
最後は急にファンタジーだったけど、ファンタジーそもそも大好きだし、「あ、そう言えば『純潔のマリア』の人なんだもんな〜」と今さらながらに思ったりしたのが自分で面白い。10年弱、お見事な展開と締めでした。ありがとうございます!
『銀の匙(11)』
すげぇ。益々すごい。大好物の仕事漫画(ハチクロや3月のライオンのような)に近くなってきた。
『パーム』シリーズ最終話がはじまりました。
およそ作者が生きている間に完結するのかどうか、はなはだ疑問に思っていたほどの超大作漫画が2つあります。
一つは永野護『The Five Star Stories』
もう一つは獣木野生(前・伸たまき)『パーム』シリーズ。
どちらも私の生涯ベスト3に入る漫画で(もう一つは宮崎駿『風の谷のナウシカ』)、
どちらも30年以上続いていて、今も現役で連載しています。
なのですが、このたび『パーム』の最終話がはじまりました。3月末に単行本第1巻が発売されます。ついに終わりが見えてきた訳です。こっちもドキドキしてしまいます。
色々機会があって『パーム』シリーズをお勧めすることが最近重なりました。本当に自分の人生観にも大きな影響を与えた作品です。一言では言い表せません。ですけど『パーム』の作者が書いた私の大好きな文章を、この機会に引用したいと思います。以前作者の獣木野生さんがご自分のサイトに書かれていた、「TIME TABLE」というページの一文です。
ところでその前に『パーム』という作品は、作者が中学生の頃に既に全体像を考えていたとそうです。
●中学3年、みんながそろそろ進路を考えるころだったのだが、わたしはすっかり漫画家になるつもりでいた。シリーズ名もなかったPALMではあったが、とにかく自分の書こうとするものが、いつ終わるとも知れぬ大長編なのがわかっていたので、高校や大学に行って、余計な時間を費やすのはたいへん好ましくなかった。たしか夏休み前だったと思うが(定かでありません)、この考えを知った担任の先生が、わたしをたしなめにかかった。とにかく誰でも高校に行くようになっていたころで、中学生くらいの子がバカな思い込みをするのは、先生にしてみればよくあることだったろうから、親切で言ってくれたのだろう。「紙切れでメシは食えないよ。」と先生はおっしゃった。非常に生意気な中学生だったわたしは、「先生、人は食べるために生きるのではなく、生きるために食べるのです。」と返した。
公式サイトより〜Biography/10〜19
「TIME TABLE」というページは今は存在しないのですが(※)、最終話(パームでは「話」と呼んでいるが、その一話が時に10年の連載になることもあった)まであと2話を残すことになった2006年に書かれています。そこで、作者はこれから「最終制作段階に入り」、「PALM完成までの間はPALM執筆以外の活動の停止・制限」を行う。たとえばインタビューやコメント、イベント出演、作品制作以外のイラスト制作などの仕事を行わないという宣言でもありました(多分このあたりのポリシーが変わったからこのページ消しちゃったんじゃないかな)。
※2016年追記:獸木先生がご覧になって、2015年1月にページを復活していただきました。ありがとうございます。
→TIME TABLE
その宣言に続いて掲載されたのが、この謝辞のような文章です。なんというのか、あの大好きな『パーム』を書いた人が、このような文章を書いてくれて、私は本当になんというか、嬉しいというか、自分がいつも思っていたことをずばり形にして残してくれたと思ったのです。だけどこのずばりずばりなかんじって、これいくら説明しても分からない人には全然分からないんだろうなぁ。
以下引用します。太字は原文で色変えされていた箇所です。この文章を、大好きな人達に捧げたい。
さて、人間同士がきちんと礼を交わして別れることは意外にまれです。特に作家には決まった退職年齢もなく、読者に改まって感謝を述べる機会もそうありません。
わたしは長い物語を書いているので、話が終わるときには、ずっと読んでくれた人にきちんとお礼を言いたいものだと常々思ってきました。そして今その時が来たようです。
もちろんPALMはあと2話残っていて、そのあとも書くものが残っていますが、人間同士が互いに別れを言い損なうのは、もちろん前もって言っておかないからに他ならないわけで、わたしはこの最終段階の区切り、最後かも知れないチャンスを逃すべきでないと決めました。考えてみるとわたしの周囲にいる人間は息子以外ほとんどわたしの作品を読まないので、ずっと読んでくれた人とは、たとえ一度も会うことがなくても、ある意味深いつながりがあったと言えます。作家から読者への通常のお礼の言葉は「長い間ご愛読ありがとう」ですが、そんな言葉は大して意味がない。
覚えている人がいるかどうか、わたしはいつかどこかで、PALMが終わるころには何らかの人生の秘密、すべてのわけにたどり着きたい、それをできればみんなと分かち合いたい、と書いたことがあります。
すべてのわけにはやや早すぎるものの、PALMのおかげで今までいろいろな発見があったことはありました。そのひとつで比較的最近のものをここに書いて、感謝を表したいと思います。それは幸せになる方法です。
多くの人が幸せを求め、まだ来ぬ幸せを待ちわびていますが、幸せの厄介なところは非常に気付きにくいものだということです。蜃気楼のように遠くにいる時はよく見え、近くではまるで見えなくなってしまう。見えないそのわけは、 もちろん自分がその中にいるからです。
わたしを含め、わたしの知っているほぼ全員はすでに充分幸せですが、それを自覚し謳歌している人間は少ない。どうか今の幸せをのがさないでください。
うちのキャラのひとりが「地獄は死んでから行くところじゃねえ。ここが地獄なんだ。」と言ったことがありますが、それは忘れてください。
「天国は死んでから行くところじゃない。ここが天国だ。」の間違いです。
要するにどっちも事実なわけですが、どうせなら天国を多めに認識してください。
幸せは未来や遠い場所にはない。今ここにあることに気付いて、どうか心ゆくまでそれを味わってほしい。
悪い習慣を遠ざけ、良い習慣を続け、なるべく健康で、五感を研ぎ澄まし、全身でそれを感じてほしい。できれば毎日満ち足りた気分を味わってほしい。
それがわたしの願いです。おかげさまでわたしの人生も、自分の想像をはるかに超える幸せなものでした。いつも新しい何かにチャレンジする幸せ、難しいハードルを克服する幸せ、何かに命をかけて燃えるように生きる幸せ、無防備に深く激しく愛する幸せを味わった。
今までとこれからのPALMを通して、この幸福をあなたと分かち合えたらと思います。みなさんの輝く日々を願って。
2006年7月
獸木野生
獣木野生さん、これまでありがとうございます。これから最終回まで、何卒宜しくお願いいたします。
当ブログ関連記事
→獸木野生『パーム』トークイベントへ
→獸木野生『パーム』トークイベントの動画がアップされています!
→獸木野生『パーム』オフ会「パーム・ナイト」開催しました。
小山氏のアイデアにはJAXAもびっくりだ。(宇宙兄弟)
小山宙哉『宇宙兄弟(原作漫画)』の一番の魅力は、劇中に出てくる問題解決策の見事さだ、と以前書いた。「漫画の中」ということを差し置いて、普通に朝刊に大きな記事で出てきそうな凄いアイデアがどんどん出てくる。
今月、TBSラジオ『荻上チキのSession-22』内のNEC WISDOM Squareというコーナーに、『バガボンド』や『宇宙兄弟』の担当編集者:佐渡島庸平氏がゲストで出ていて、宇宙兄弟のとあるエピソードを語っていた。
ローバーのアイデアが漫画に掲載された後、JAXAから問合せが来たそうだ。
「これどうやって取材したんですか?JAXAの一部だけが知っている、今考えているアイデアですよ?」
別に取材でスッパ抜いた訳ではなく、純粋に作者・小山宙哉氏が考えたアイデアだそうだ。小山さんは文系だけど技術者の気持ちになることも上手で、佐渡島氏曰く「ぐーーーーっと」主人公の気持ち、ムッタの気持ちになって、その場で彼ならどうするかをひたすらに考えて考え抜くと、ああゆうすごいアイデアが出てくるんだそうな。
他にも小山氏の新人(当時)とは思えない大物ぶりなどが語られている。(佐渡島氏曰く)まだヒット作を1つも出せていないのに、まるで井上雄彦氏ばりのこだわりと風格だったんだって。なんか想像してた小山氏像と全然違ってて面白い。
こんなエピソードも。
佐渡島氏は「よりメジャーな漫画になるにはフリーハンドではなく定規を使わなくちゃダメ」という助言を小山氏にする。小山氏はすぐに採り入れて定規を使い始めた。だけどそのままじゃなくて、定規にカッターで微細な傷を彫って、気に入るようなラインを自分で探っていた。
「普通はそのまま言う通りに定規を使い始めるか、断固として断るかの、どちらかだと思う。」と佐渡島氏。小山氏はそのどちらも採らずに(いやどちらも採って?)、自分の納得いくやり方を見つけた。そういうところが大物だ。というような意味でラジオで紹介されてた。
だけどこれって、
何だかムッタのエピソードを聞いてるみたいだなぁって思った。
日記とまんが
しばらく企画展のお手伝いなどをしていて、ここ1週間はついに一度も晩ご飯タイムに家に帰れなかった。かと言ってどこかで食べる時間があるワケでもなく、カップラーメンを夕方に一つ食べ、0時や1時に帰った家で遅い晩ご飯を結構な量食べる。いけないんだろうなこうゆうの。カップラーメンは二日続けて食べるともうイヤになる。買って、最初の一口までが一番楽しいね。今思い出しただけでなんかベロがマヒしてくる。
ここ最近読んだまんがたち、『純潔のマリア(3)』『銀の匙(9)』『宇宙兄弟(22)』など、どれもこれも感動しっぱなし。シヤワセだなぁ。『純潔のマリア』はすごく大きなテーマのように見えて友情モノになったりやっぱり大きな話だったりして、前巻から通して読んだのだけど涙が止まらなかった。『銀の匙』は相変わらず出てくるみんながちゃんとしていて、中でも主人公が一番ちゃんとしていて、結構ありそうでないシチュエーションじゃないかな。前8巻は農家の借金の話を書いていてこれまた稀に見る傑作だったんだけども。恋愛がメインじゃない、何か目的のある学生モノってそれだけで大好物。『もやしもん』とか、古いけど『あどりぶシネ倶楽部』とか。
『宇宙兄弟』は『度胸星』に捧げられたという話を聴いたけど、真偽のほどは知らない。これも主人公が一番ちゃんとしているまんがだね。出てくる難題や課題に対してムッタが出す答えというか動きというか、それが毎回毎回普通にすごい。なんというかマンガのストーリー上で語られるようなものではなく、今朝の朝刊にトピックスで載っていてもおかしくないようなアイデア。が、22巻にもなってまだまだ出てくる。そして基本出てくる人が皆いいひと。というより、最初はイヤな人で出てくるんだけど、そのうちにその人のバックボーンが語られ、他から見て「イヤな人」に見えたのは何故なのか、その理由も分かるし、その理由をムッタやその他の人達がゆっくりと溶かしていく様子に、ぐぐっとくる。ストーリーの組み立て方も上手い。『あまちゃん』のような同じシーンの繰り返しでも、意味が分かるとまた全然違う見え方になる、みたいな。嗚呼職人技。
久しぶりに早く起きた日曜日で高山なおみさんの『明日もいち日、ぶじ日記』を読んで急に日記が書きたくなった次第。
仕事をしていて、文章が全然書けないことに本当に悲しくなるのだけど、特訓とか練習とかできないタイプなので、何か他の方法で少しでもましになる方法がないか探そうと思う。書けない、というだけで自分がこれまで重ねてきたものまでも軽くなってしまう(自分がそう感じる)のがとても悲しいから。
日々なんとか生きています。子供たちは相変わらずというか絶頂可愛いのだけどあまり会えません。
最近観たもの読んだもの
感想書きたいけどきっとそんな時間はないよな…
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『乙嫁語り(5)』『吉田秋生 master pieces -夜明け-』
で、やっと双子篇が終った!これからが楽しみだ! 自分は基本、恋愛がテーマの漫画は読めない。興味が持てない。だけど吉田秋生は、何故か違う。一緒にドキドキしてしまう。本書は殆どが既読のスピンオフや前日譚などの短編。だけど30年近くの時期に渡っているこのバラバラな短編群を改めて読んでみて、吉田秋生の才能に改めて恐れ入った次第。吉田秋生は何ものなんだ?最初にハマった高校生の時以来ずっと考えてるけど、答えは全くでない。インタビューに答えるイマドキ(その時代)の女性っぽさと、作品の繊細さも大胆さも結びつかない気がして…。思えばずっとこのインタビューに惑わされてきた、とも言えるのかな。
だから別冊のインタビュー集もご多分に漏れず既読ばかりだけど、考えてみれば掲載誌(『ぱふ』等)が殆ど手を離れてることもあり、資料的にも買っておくべきだった。だがこの新刊内で唯一の取り下ろしである編集者との対談は、どっちも遠慮?してて突っ込んだ話もなく、正直まったく面白くないぞ。そこには期待しないが吉。
これまでの吉田さんの資料を完璧にとっておいてある、という人以外の吉田秋生ファンは買って損はなしと思う。
最近読んだマンガ201212
とにかく下半期はこの1冊かな。吉田秋生さんすごい。この作品がはじまってからその新境地には驚かされてきたけど、5巻は紛れもない名作だと思う。高校時代に机の下で廻し読みしていた時代から早30年近く。今になってこんな超弩級ホームドラマを送り込んでくるなんて。だからマンガ読みはやめられない。
永野護は狂ってる。狂ってる天才だ。だけどそれを世に出したカドカワも狂ってることが、これを読んでいてよく分かる。
なんとまあ手堅くトーンダウンもせずこのクオリティを保てるなぁ。もう12巻。『プラネテス』の終盤のようなくらーい泥沼にはまりこむ危機を上手に回避して、作品のトーンも丁度ちょうど良いバランスを保っていて。このマンガや岩明均さんの残酷描写って結構苦手なんだけど、そんなおれでも読めています。おすすめしたい。
すでに神マンガ。これも12巻か。
ネタ切れ感満載だが、でも好き。
西炯子さんは作品ごと完全に読む・読まないが分かれていて気持ち良いほどだ。これも1つのあり方でしょう。2割打者くらいでいていただければ充分。これは…1塁打といったとこか。
西さんはエッセイに素晴らしい才能を見せています。この方面でもっと展開して欲しい。
4巻あたりから一度完全にトーンダウンし、恐らくそれなりの読者が離れていってしまっただろう『大奥』だけど、メインストリームの吉宗話が終わり、この8巻〜9巻からどんどん盛り上がった来た。いいすよ!
先日原画展が新潟に来て、羽海野さんのネームが完成するまでの流れを見た。想像はしていたけどやっぱりすごいね。そう、マンガはネームなんだ!
つれづれ(長女誕生日など)
長女が5歳の誕生日を迎えた。いつも通り料理を作って、手作りのケーキを作り、昨年同様にデコレーションは長女が担当。ロウソクをつけて電気を消し、ハッピーバースデーをみんなで歌う。7ヶ月の次女もだっこで一緒に。
歌いはじめたらふいに、涙をこらえられなくなった。妻も同じく、二人同時に。動揺を隠すのに難儀してやっと歌い終えた。
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2011年8月お盆休みのこと・『ヒックとドラゴン』『クウネル』『海街diary』『恋と軍艦』
お盆休みはひたすら家族と過ごした。極力外にも出ず、外食もせず、うちにあるものといただきものを料理して食べた。子供とビデオや昔の写真を見たり、ボードゲームやかるたをしたり、本を読んだり掃除をしたりして過ごした。いつもこういうことを書くべきかどうか、もしくはどう表現したら良いのか分からないけど、これ以上ない至極の幸せだ。色々な細かい条件や運や風向きや偶然やちょっとの努力なんかがすべて合わさってこのようなことが実現できる訳で。当たり前のことなどと、思ったこともない。
おかげでお金は殆ど使わない連休だったけど、外食に行かなかったのは申し訳ない。食材の関係で今家族全員で外食できるお店は、ごく一部の知り合いの店のみ。外食担当の自分はせめて明日から復活しガシガシお気に入りのお店を廻って買い支えますよ!
お盆休みのもろもろ。
『ヒックとドラゴン』は何度観ても面白い。4歳の長女は少しでも怖いシーンや意地悪なシーンがあると号泣して観れないのだけど、この映画にはなんとそのようなシーンが一切、ない。それでも極上のエンターテインメントとして成立させているのだからすごい。伏線と回収、主人公とトゥースレスの魅力、まわりのバイキング達の魅力、見事に矛盾なく組み立てられたストーリー、なにもかもが「気持ちいい」。飛翔シーンやバトルシーンなど、アニメ技術的な見どころも多い(リピート鑑賞できるポイントだよね)。うーん。弱点が見当たらない…。
小さい子と観るのにもオススメです。是非。
『クウネル vol.51』で、長野陽一さんが自宅を建てる際のレポートがとっても「うんうん」な内容。タイトルは「ふつうが いちばんむずかしい」。そうなんです。つるつるの漆喰壁が当たり前じゃん!と思ってなんとかそれを目指したけど、実現することがどれだけ難しかったか。外壁、サッシ、床、壁、屋根…すべてにおいて自分が「ふつうだと思っていたこと」が、今の住宅業界では全然「ふつう」じゃないことに、まず愕然とするところから、家づくりは始まりました。逆境に向かうのが別に楽しみでもない自分は、だから無事家作りを終えた時に本当にほっとした。ひとより努力したとかそんなことは全然思わないけど、「なんでふつうのことができないの!」とは思い続けていて、それが逆境に向かう原動力になりました。長野さんの記事、本当に激しく同意。この夏久しぶりに自宅の取材を受けて、改めて建築当時のことを懐かしく思い出した。
益子スターネットの馬場さんの震災との向き合い方はとても勉強になった。あと「あれはセンサーを外して生きているんだよ」って、自分も良く思うことだ。なんで?なんで?は未だに消えない。消えない替わりに、身の回りに「なんで?」って思うような人は少なくなっている気がする。どっちが先なのか分からないけど。
永井宏さんの伝言。残念ながらご存命中にお会いすることは叶わなかったし、これまで多くのことは知らないままでしたけど、身近に大きな影響を受けている人達が多く、お話は聞いていた。今更だけどいくつかの書籍を読み、この「伝言」に出会って、やっとその理由の一端が分かった気がした。遅いですけど、これから少しでも軌跡を辿りたいと思う。
何冊か読んだマンガの中では吉田秋生『海街diary 4』が最高。吉田さん、まさかこの路線に来ていただけるとは、くらもちふさこの『天然コケッコー』に継ぐヨロコビ。YASHAとかのミーハー路線があまりにもソリが合わなかっただけに、このフトコロの深さが見れたのは本当に嬉しい。『ラヴァーズ・キス』も良かったけど、もう断然こっちの生活感が好き。4巻は純粋コイバナが花開くのですけど、これはもう40代以上限定の中学生恋愛物語じゃないだろうか、と思ってしまうくらいクラシックでオーソドックス。
西炯子の新刊『恋と軍艦』…「なかよし」連載ですからね。って読み終わってから気付いた。
西さんは『姉の結婚』がまったく琴線にひっかからない内容で、その前にも色々『ふわふわポリス』とか『ちはるさんの娘』やら色々…つか最近どうしたんですか?という位多作ですねという中でちょっと自分的に流し見な内容が続いていましたのです。基本全部買ってますけど。
『恋と軍艦』。雑誌の対象年齢なのかどうなのか、キャピキャピおばか中学生女子が40オーバーの男性に抱く恋心、という、枯れ専も極まれりというか(笑)いや全然「枯れて」る男性ではないんですけどね。とにかく私的には非常に感情移入しにくい設定なんですけども、この相手の40オーバーの町長さんと、謎の同居をしている外国人のエロ漫画家ヒゲオヤジという二人のキャラの佇まいが、何だか中学生相手らしからぬ「西臭(にし・しゅう)」を放っていまして。一巻だけではどうにも判断できない潜在能力を感じているのです。西さん、アンタ中学生相手に何をやらかすつもりだい。え?これ位今は常識?新橋にたむろするネクタイ頭巻きサラリーマン萌えの中学生女子とか普通?←そこまで言ってない。
2011年の盆休みでした。生活の底にはすべて、福島の事故と日常をめぐる放射能問題が横たわっており、相方は毎日食材に悩まされています。
島本先生ラブ
以前リンクで紹介したけど、何回読んでも好きなので引用。島本和彦先生のラジオがなくなったのが本当に残念。ぜひpodcastで復活して欲しい(以前の本放送は北海道だったので)。正月に1回放送したらしいんだけどpodcastやらなかったんです。残念。
羽海野
炎尾先生って、誰かに相談されると一緒に悩んじゃって、悩んでいる過程もダダ漏れで。最後に出す結論が正しいかわからないけど、やっぱりいいんですよ。こんなに正直にマンガを描いて、みっともないくらいオロオロしてるのにかっこいい。「私はこういうマンガ家になりたい」と思うし、あのおかげでアシスタントさんに対する接し方が楽になりました。弱音吐いてみたり、逃げちゃったり、「怖くてもいいんだ、先生」って。志村
塀内夏子さんのマンガ指南書みたいな本があって、私、それが大好きなんですけど……。羽海野
私も買ってみます。志村
そのなかでも、島本先生との対談というか、会ったときの話が書かれてるんですよ。で、島本先生は「私を炎尾君と同一人物と思わないでください」って言うんですけど、編集というかマネージャーをされてる方が「いえ、ほぼ一緒と考えて結構です。そのまんまです」って、すごく冷静に言う(笑)。羽海野
私もそう思います。志村
やっぱりそうなんですね(笑)。羽海野
これ、ちょっと自慢なんですけど。島本先生がメールを下さるときに、まず「羽海野! 元気か?」って書かれてて。で、ダーッとスペースが入って「よーし、いい返事だ!」って書いてあるんですよ(笑)。志村
かわいい!羽海野
もう「大好き!」って。本物の炎尾先生だなあって思います。ああいう先生になりたいな。志村
なりたいです。フジテレビ『青い花』公式サイト・羽海野チカ×志村貴子スペシャルトークより(太字shiro)
町山智浩-新井英樹対談を聴く
こんなん買っちゃいました。
『町山智浩の、漫画師に訊け!新井英樹の巻(全巻セット¥1,100)』
価格分の価値があるかどうかと言われれば、同額の書籍を読む時間と対比すると考えると「ない」と思うし、中身から受けるカタルシスやレア度から言うとかなり「アリ」ですね。
自分は新井英樹の著作を殆ど持っていますし、その全部を二度以上読んでいます。だけど彼の作品は、本来自分の趣味とは対極の世界。普段見たくない世間のイヤな所、人間のイヤな所、殺人、いじめ、不条理、抵抗できない権力や絶対的な暴力、考えるとホントどうしようもなく、答えを出したくないような問題について、イヤでも考えさせられる。最低の世界が全開のマンガです。
でもね、読んでしまう。彼の著作には魅力がある。他の凡百な青年誌アリガチ暴力グロセックスマンガとは違います。要するに「怖い物見たさ」で見てるのではないんです。そこには本当のリアルがある。
例えば『ザ・ワールド・イズ・マイン』では、出た直後に惨殺され、その後一切出てこないような脇役にもすべて「命」を感じます。殺される前の日常描写が異様に執着を持って描かれているからです。それこそこの箇所だけでも、他の追随を許さないくらいに。セリフの1つ1つ、表情、服装、エピソードまでもが、その殺される人を表わすために描かれます。
もちろん主役級に関しては言わずもがな。ああ、こんな人いるよな。でも普通マンガで書かないよな、何故なら楽しくないから(笑)ってキャラクターも沢山出てきます。
これらのこだわりが新井マンガの魅力だと思うのですが、インタビューではその裏の意図について、どういう気持ちで書かれたかについてが、本人によって語られています。
何より意外だったのが、新井氏が弁が立つこと(笑)。町田氏のラジオをそんなに聞き込んでる訳でもないshiroにとっては、最初町田氏と判別が付かない位に、ちゃんとしゃべる。「そのように書いた意図」ってゆうのは、話したがらない漫画家もいる訳じゃないですか。しかし彼はちゃんと理論立てて、しゃべることができる。すごい。
個人的には『宮本より君へ』の話題があんなに聴けたのが意外ですっごく嬉しかった。あの衝撃のラストは実は○○○によるものだと分かったり。『ザ・ワールド・イズ…』と『キーチ!』の比較だとか、それによる『キーチ!vs』の今後の展開だとかの話も、まずここでしか聞けないんじゃない?裕木奈江擁護論だとか、あの人のモデルが高田純次だとかって話は笑い転げるほどウケた。
で、町田さんの解説がウマイじゃないですか。ファンが聴いててカタルシスを感じるツボを分かってて、誘導してる気がする。それに新井さんもちゃんと答えてる。いやーこの人には、もっとしゃべって欲しいなぁ。なんてゆうんだろう、下手したら軽くなりがちだったり端折らなければならなかったりするヒトや世間の「本質」的な話ね、そういうのがすらすらと出てくるのがすごい対談ですよ。
これは絶対活字よりも音声の方が面白いね。イイ企画でした。
新井英樹ファン限定ですが、オススメです。
関連記事
●新井英樹ブーム
●キーチ!ショックとパーム最新刊の製版
『娚の一生(2)』『とろける鉄工所』
西炯子『娚の一生(2)』
前回書いた感想は撤回。スマンかった。オノ・ナツメとかのアレでは全然なかった。
この50代オサレオヤジ「海江田」はリアルなのか。
勿論全然リアルではない。リアルではないけど、この2巻になって「あの」西炯子節が炸裂。
ここに出てくる海江田は、50代だけど、嶽野(昔のBLの主人公)であって、ご隠居(『三番町萩原屋…』)と一緒だった。リアルかどうかなんて関係なかった。あの魅力的なキャラが帰ってきた。『三番町萩原屋…』末期からの長い停滞期を終え、『STAY』シリーズで目覚め、多くの短中編で完全復活した西炯子。ここまで来た後だからこその定番キャラ復活にshiroは感慨深いものがあります。西を読まない人には一つも分からない文章でスマン。
野村宗弘『とろける鉄工所』
一気に3巻まで読んだけど、2009年に出会ったマンガではNo.1です。
『とろける鉄工所』ほか
ここ数ヶ月は主催するイベントの準備でてんてこまいで、特に夏からはまともにマンガも買っていなかった。なんで久しぶりにちょっといっぱい買いました。
●ゾルゲ市蔵『8bit年代記』インベーダーに始まりナムコ黄金期を経過したshiroと同世代作家の青春期。『パックランドでつかまえて』のマンガ版と言えば話が早いか。アニメ話があるのも嬉しい。ほんと、あの頃のゲーセンを復活したいなぁ。お金あればやるのになぁ。
●野村宗弘『とろける鉄工所(1)』面白い!講談社がまたやってくれた!
●よしながふみ『きのう何食べた?(3)』このペースなら永遠に続けて欲しいかんじだ。しかしゲイの方は盆と正月ってアレだなぁ。
●よしながふみ『大奥(5)』4巻からさっぱりダメ。つか3巻までが奇跡的にすごかったからなぁ。あの後どう続くんだと思ったし。やっぱり無理だったか。
●幸村誠『ヴィンランド・サガ(8)』衝撃の展開。残酷描写が苦手な人にはオススメしないけど、これ本当に傑作。
●尾瀬あきら『蔵人(9)』完結。良いところで終わったと思う。尾瀬あきらさんは本当にハズレがない。次回作も大期待です。
●中村嘉宏『オーバーマン・キングゲイナー(7)』6年の年を経て遂に完結。この人の絵、大好きだ。しかし富野ネーミングは読んで(聞いて)るだけで気持ちいいよな。キッズ・ムント、ロンドン・イマ、ウルグスク、ママドゥ先生、ガウリ隊、セント・レーガン、ウッブス、バック・ハロン、etc…
●武富健治『鈴木先生』…7〜8巻一気読み。とんでもない世界までイっちゃってます。一読の価値アリ!!
あとまだまだ買ってないのがあるので後ほど…
『もやしもん(8)』
石川雅之『もやしもん(8)』
相変わらずお上手。見事。前巻はワイン、今巻は地ビールなのだけど、美味しんぼでも神の雫でもない、パターン化に陥らずキャラを上手に生かしたストーリー展開。まぁこの計算だとあと2巻くらいで終わらせないとイカンのですが…。
地ビールを毛嫌いする武藤が冒頭その知識で業界をこきおろすシーンもスッキリするが、後ででそんな自分自身のかっこ悪さに自ら気づくプロット、溜飲が下がります。そして新キャラの「はな」が物語にリズムを与えている。石川氏は女性の好みがイイんだと思います(衣裳の好みはアレですが)。ここに出てくるのは仕事にしろ学業にしろバイトにしろ「ちゃんとやってる」女性ばかりだもの。
これだけネタを渡り歩きつつクオリティの落ちない『もやしもん』。何故だろう。やっぱりね、未だに色恋沙汰ゼロを徹してる所ですよ。それによってある意味夢の大学共同生活が送れるんです。結局最初から変わってない、だからだと思う。
えと、オレは『もやしもん』好きだけど、菌達にはまったく興味ありません。だからぬいぐるみカワイ〜!とか思ったこともない。
講談社 (2009-07-23)
西炯子『娚の一生(1)』
最近好調な西炯子の新刊。50代オヤジと30代OLの恋の話。オノ・ナツメのオサレオヤジ(の浅さ)にはどうしてもついていけずに断念した自分としては、このビジュアルを見てちょっと不安だった。
うーん。予想通り今の流行りのアレっぽいんだな。30代くらいまでの男性(特に学生)を描かせたら本当に女性作家とは思えない位リアルな描写をしてくれる西女史なんだけど。うーんうーん。この50代オサレオヤジ「海江田」はリアルなのか。仮にこんなイタリア人みたいな(言動の)オッサンがいたとしてもだ。オレ的にはどーも魅力を感じられん。つかコレはひがみなのか(笑)。
ちなみに自分の好きなオヤジ@少女マンガといえば、逢坂みえ子、須藤真澄。この2人の描く50・60代、おじいちゃんはすごく好き。あんまし恋愛とかに気ぃ入れないのは当然として、なんつだろ、普段見てるオヤジどもの素敵さに気づかせる、そういう描写なんだよね。
西炯子の描く「オヤジ」と言ったら途中で失速していった『三番町萩原屋の美人』のご隠居くらいしか思い浮かばないけど(オレ知らない所でベタベタのオヤジBLとか描いてる?)、アレはオッサンとは設定だけで実際は30代みたいなもんだ。すごく好きなキャラではあった。
話を戻して。そのオヤジ「海江田」以外の設定はとっても良かったし、田舎の一軒家を舞台にゆったりと進む物語は西作品にはあまり見られないシチュエーションで楽しめました。主人公のOLもモロストライクな感じ。『ハケンの品格』の大前春子をずっと美人に性格良く当たり良くしたような。
そうだね、きっと生理的な問題。BL的オヤジはオレ、ダメなんだな。きっと。
『鉄腕バーディーEVOLUTION(1)』『PLUTO(7)』他
『鉄腕バーディーEVOLUTION(1)』
ヤンサン廃刊→ビックコミックに移っての第一弾。廃刊はゆうき氏にとって本当に厳しい事態だったようだけど、正直ちょっと間延び気味だった『バーディー』にとっては良い転機だったのかも。ヤンサン版最終巻から二年の間、バーディーが仮眠状態になり、その後さて…という所から物語は始まる。バーディーがつとむの中に入っていることが他にバレないように動く、という前提がヤンサン版最終巻でカミングアウトされ、今後は宇宙テロリストのクリスタル・レビ(早々に正体が明らかになった)との対決が主軸になるのかな?地球の日米政府が本格的に「対宇宙」の軍備を始める、というコレまたフロシキが一層広がりそうな展開なのだけど、その広げたフロシキを、期待を裏切ることなく毎度丁寧に畳んでいくゆうき氏ですからね。期待大です。
『PLUTO(7)』
次巻が最終巻、という予告を読んでなければ、もう「買うのやーめた!」宣言してると思うな。この作品も最近の浦沢作品の例に漏れず「いつまで読んでも混ざんねぇ交響楽みてぇなマンガかきゃあがってbyサイバラ」へとまっしぐらです。バーディーのような丁寧なストーリーテリングの後だと一層、読む気がしない。謎、謎、謎のコマ切れ…ああもう別にいいよ。オレが読みたいのは「ストーリー」であって「謎解き」でも「謎かけ」でもねぇんです。
他『ヴィンランド・サガ(7)』『ヒストリエ(5)』『へうげもの(8)』、大好きなシリーズの新刊続々出てます!すべて満足の出来。

