ライオン - の検索結果

無題

TBSドラマ『ライオンの隠れ家』をNetflixで観了。
柳楽優弥が主演で外す訳はないと思っていたけど、想像の何倍も素晴らしいドラマだった。
すごく、好き。

「柳楽優弥のおちょぼ口」な!!

【あらすじ】
両親を事故で失い、二人で暮らしている兄ひろと(柳楽優弥)と、ASDの弟みっくん(坂東龍汰)。そこにある日、6歳の「ライオン」を名乗る男の子(佐藤大空)が迷いこんでくる。どうやらライオンは、二人の異母姉の子供のようなのだが…

【感想】
子役含めた3人が全員、神がかってる位に上手い。

ライオン役佐藤大空くんのなんとナチュラルな愛らしさ。気まずさゼロ。
坂東龍汰に至ってはあまりにASDの演技が自然(に見えて)、その凄さが後半は実感できない位に普通化しちゃってて、とにかく凄い。

でもやっぱり柳楽優弥。彼はこの役の特徴を「おちょぼ口」に見いだしたようで、とにかくおちょぼ口が多発する笑。でもそれが性格や考えてることを言わずとも感じさせていて、素晴らしい発明だったと思う。身体全体から「ひろと」の人生を感じさせるこれぞ名演技でした。最高。ありがとう。

この3人の名演技があまりにあまりで、尾野真千子まで霞んでしまうくらい。

桜井ユキは彼女らしい役回りで相変わらず好き!(何度でも書くがNHK『だから私は推しました』観て!おれはこれで桜井ユキ推しになった)でんでん、岡山天音など安定の巧さに加え、ひろとの同僚の岡崎体育と齋藤飛鳥も良かった〜

このドラマ、全11話なんだけど、普通だったら大きな事件が解決した10話で終わるのが殆どだと思う。そこで「あと1話?え?何?」て思っていると、主人公:ひろとの人生の話が最後に始まる。これが最高。
主人公達3人に向けられる「目線」が、あくまで優しく愛おしい。

途中結構ハードな事件があったりするんだけど、ウェルメイドって言葉、こういうドラマに使いたい。全体通して相当大好きなドラマです。良かった!

我が家の正月


我が家の正月は、極力家事をやらないことにしてる。

奥さんが駅伝マニアということもあるのだが…。おせちや正月料理どころか、ご飯はほぼ作らない。各自で勝手に作って食べる。だからメニューはバラバラで、うどんやカップヌードルやレトルトカレーばっかりってこともある。

今年はご飯や餅のストックが多目にあって、年末に家の余り物を全部ぶち込んだ汁(結果的に雑煮っぽくなった)を大鍋一杯作ったので、ちょっとだけ正月ぽかった。今後これを我が家の雑煮としよう。(おにぎり用の冷凍焼き鮭を入れたのが新潟ぽい)

加えて今年は長女が受験のためずっと勉強オンリー。一層バラバラ。ちなみに自分は元旦に配信映画を3本観た。(劇場で今観たいのをやっていなかったのが残念)

『チャレンジャーズ』『ソウルの春』『プロジェクト・パワー』どれも面白くてお腹いっぱい。

2日のTBS『スロウトレイン』、ロケーションは勿論テーマ的にも海街diaryに近い作品。静かな中に野木さんらしいメッセージを感じられて良かった。しかし劇伴がちょっと好みじゃなかったな…。あとこの内容で単発ドラマだと土井監督が適任なのかしら、とか。(連ドラでこのコンビは素晴らしかった)

古舘さんとリリーフランキーのBarシーンはもはやユニバース。笑える。他にも今観てる『ライオンの隠れ家』とたまに世界がごっちゃになってしまい困った。多部ちゃんの韓国人の彼氏、裏切らなくて良かった。
何にせよ、オリジナル脚本でこれだけの作品を正月にぶつけてくれることの大切さ!ありがとうございます!

2日のお昼は毎年マクドナルドに行くことにしている。今日はベーコンレタスバーガーをチョイス。思ったよりお店は空いてた。明日はキムチチゲが食べたくなったので俺がつくる予定。

11月から続く寝違いのような首の痛みはずっと相変わらずで慢性化しつつあり、ここから来る頭痛はもう毎日のことで、いいかげん慣れてしまった。

こんな風に少しずつ不調が日常化して、重ね着のように増えていって…。そりゃ動作も口調もゆっくりになりますよ。元気かどうとかというより、怖くて早く動けないんだもん。また1歩、天国への階段を上りました。

お休みくらい毎日お酒が呑みたくても、頭痛のせいで遠慮がち。東西いろいろ通院して試したが、原因も治癒もさっぱりだ。共テ終わる頃までに、何かの運とかきっかけで直ってたりするといいなぁ。

「パーム・ナイト」から10年。

なにかで急に気が滅入ってしまっていたのだけど、ぽんっと久しぶりの友人からLINEが入り、「ちょうど10年前の今日、あの日だったよ」と教えてくれた。

池袋での「パーム・ナイト」。

獸木野生・旧伸たまき氏により40年以上続いているコミックを熱く語ろう、という回。同年に初めて開催された新書館の公式イベントで知り合った数人で主催したのだった。この年の出会いは本当になんというか一生の宝物だ。

獸木野生『パーム』オフ会「パーム・ナイト」開催しました

その後も3月のライオンの映画を一緒に見る会をやったり。

『3月のライオン』映画をぶっ通しで観る「ライオン・ナイト」を開催


上京した時に呑んだのも本当楽しかった。いろいろ思い出してなんか人生救われた感。

その後、今年坂口恭平さんを呼んでくれて一緒にイベントのアレコレをやってた彼女が2階のtetoteさんの企画展ついでに赤ちゃんと寄ってくれて、共通の知り合いのことや、自分の投稿きっかけに『虎に翼』を観はじめてた話とかしてくれたりして。嬉しいなぁ。そっかー。坂口さんのトークは6月だったんだ!と思ったり。

自分は「あっという間に時が過ぎる」感じが滅多になくて、いつも毎年「今年の1月のことは遥か昔のようだ」と思ってしまう。6月の坂口恭平さんも2年前くらいに思える。パーム・ナイト、まだ10年前なのか。記憶力のないせいでこんな感じなのかしら。

人に会うことで自分はなんとかやっていける。ほんとは毎日でも呑みに行きたいけど笑、娘の受験やら家庭の事情でそうもいかない。せめてお茶しに寄ってってください。

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自分の書いた昔のPALM関係の記事を読み直していた。獸木野生氏はこう書いている。

さて、人間同士がきちんと礼を交わして別れることは意外にまれです。特に作家には決まった退職年齢もなく、読者に改まって感謝を述べる機会もそうありません。

わたしは長い物語を書いているので、話が終わるときには、ずっと読んでくれた人にきちんとお礼を言いたいものだと常々思ってきました。そして今その時が来たようです。

会いたい人、御礼を言いたい人は、明日にでも会えない人になるかも知れない。会いたい人には今会っておくべきだ。自分に言い聞かせるために。

Netflix映画『ニモーナ』感想

Netflix映画『ニモーナ』をTVで。
監督:ニック・ブルーノ&トロイ・クエイン

【あらすじ】
孤児出身でありながら騎士学校を主席で卒業したバリスターは、騎士任命式の最中に起こった女王殺しの犯人に仕立てあげられ、追われる身となってしまう。隠れ家に身を潜めて汚名をそそぐ機会をうかがう彼は、さまざまな生き物に自在に姿を変えることのできるいたずら好きの少女ニモーナと出会い、一緒に真犯人探しを始めるが……。(映画.com)

【感想】
アトロクの2023ベスト映画特集で絶賛されてたのをきっかけに鑑賞。

舞台は騎士の世界でありながらスマホや最先端の機器が使われているどこか架空の近世。主役のバリスターは孤児出身では初の騎士で、彼の同性の恋人はいわゆる「貴族」のような身分。身分違いで同性の恋人同士だがその点は劇中でまったく問われることはなく、当たり前に扱われる。

そんな世界で現れるニモーナは自在に変身できる、一見「人ならざるもの」。主役バリスターは最初彼女が一体何者なのかを問い続けるが「I’m Nimona.」としか答えず、昔の言い伝えにある「世の中を滅ぼすモンスター」ではないか、と疑う世間には極端な拒否反応を示す。

観ている自分も「モンスターなのでは?」と頭の中の疑念と戦いながら見続けることになるのだが…

「モンスター」という概念を利用し、誰しも心の中にある「普通じゃない」事への偏見を、見事に暴き出す傑作だった、バリスターと一緒にちょっと自分が恥ずかしくなるが最後の爽快感も素晴らしい。

ありそでなさそなストーリー展開に最後まで気が抜けず、主人公二人ともストーリーを作り出す為のステレオタイプではなくて、とっても新鮮。気持ちいい。劇伴もめちゃカッコイイ。

そして…
とにかく一番自分がぐっとキたのが、ニモーナ役クロエ・グレース・モレッツのとんでもない演技だ。破天荒かつデリケートな彼女の声がまー魅力的!見事な声優ぷり。
吹替版は観てないし、それはそれで良いのかも知れないけど、字幕お薦めです。

あとクライマックスがちょっと細田守的既視感が抜けなくて余計なところで残念だった。マイナスはそれ位。

アクロスザスパイダーバースがずば抜けてとんでもなくて、ライオン少年にビビって、その直後にまたこんな傑作が出て。いやー1年にこれだけ傑作アニメが出るモンなのか。

と思ってたらアカデミーにノミネートされた。然るべきだと思います。いやーすんごい。

映画『雄獅少年/ライオン少年』感想

『雄獅少年/ライオン少年』をAmazonレンタルで。
監督:孫海鵬(ソン・ハイポン)

伝統芸能である獅子舞の演者を夢見る少年たちの姿を描いた、中国のアニメ。

【あらすじ】
片田舎で出稼ぎをしている父母の帰りを待つ貧しい少年チュンは、ある日、華麗な獅子舞バトルで屈強な男を倒した、同じ名前の少女チュンから、獅子頭を譲り受けた。チュンは、ちょっぴり情けない仲間のマオやワン公と獅子舞バトル全国大会を目指すことを決意する。
飲んだくれの元獅子舞選手チアンを口説き落として師匠に迎え、その妻アジェンの励ましを受け、特訓の日々を送る。しかし、大会目前でチュンの父が病に倒れてしまう。一家を支えるためにはチュンが出稼ぎに行くしかない。大都市での労働は夢を追う時間もないほどに過酷だった。疲れ果てたチュンの前に、あの少女が再び現れた――。(公式サイト)

【感想】
正統派少年マンガそのままのようなストーリー。なのに全く飽きさせず、古くささが気になる箇所もない。細部までアップデートが行き届いているのだと思う。
クライマックスは空前のカッコ良さ。どっかーん!最高!カタルシスに身体が痺れてしまう。

アニメの描写技術が凄い。獅子舞や伝統衣裳の細かい装飾、大量の房のそれぞれが実写としか思えないクオリティで跳ね回る。

2023年のベストで良く見たタイトルで、観た人が皆絶賛していたのがきっかけだった。イヤー良かった!

2019年に観た映画、ドラマベスト

歴代ベスト映画の記事は→こちら

2019年「に観た」映画・ドラマのベスト記事です。
以前から順位はあってないようなものだったので、今回は3グループに分けました。
映画館で観た映画は17本。家で観た映画は66本。劇場鑑賞が少なかった…。

※( )内は旧作の作品公開年
リンク先は、当ブログ内の感想ページへ飛びます。

【最高!】

ROMA
若おかみは小学生(2018)
フロリダ・プロジェクト(2018)
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド

【めっちゃ良い!】

15時17分、パリ行き(2018)
ライオン 25年目のただいま(2017)
恋は雨上がりのように(2018)
クレイジー・リッチ!(2018)
マリッジ・ストーリー
JOKER
ファースト・マン

【良い!】

ONCE ダブリンの街角で(2007)
ビフォア・サンライズ/サンセット/ミッドナイト(1995〜2014)
はじまりへの旅(2017)
スパイダーマン・スパイダーバース
スモールフット(2018)
道蜂と遠雷(→原作との比較
キャプテン・マーベル
アベンジャーズエンドゲーム
グリーンブック

【これはないよ!映画】

モータルエンジン
台風家族

【ドラマ】

だから私は推しました(感想→12→3)
いだてん
The Boys
THE CHEF SHOW(感想→12
スカーレット
クィア・アイin Japan

Amazonプライム『Modern Love』感想

Amazonオリジナルドラマ『モダンラブ』は、3話までがジョン・カーニー監督!(シングストリートやはじまりのうた、ONCEダブリンの街角で)豪華キャストもあって早速観ましたよ3話まで。一話30分の恋愛オムニバスドラマ。原作はNYタイムズのコラム。

2話の主役は、大傑作『ライオン 25年目のただいま』のイケメン、デーヴ・パテールで、大切なシーンに『動物園から未来を変える』のブロンクス動物園が舞台になってて個人的に嬉しかった。キャサリン・キーナーとアンディ・ガルシアによる中年ひとときの逢瀬は大好きな「ビフォア」シリーズみたい。

3話の主役はアン・ハサウェイ。躁鬱病。彼女の怠惰でダメダメな演技はいつだって良いなー。堪能。

ドラマ的に相当軽いし、出来すぎ感はあるけど、少なくとも3話までは楽しめた。キャストがみんな美しくてシヤワセ…。落ち込んだ時にオススメ、かな。
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【苦言】
「今日もNYの街角で」てゆう邦題、うっせーわ!

『25年目の「ただいま」』書籍感想

サルー・ブライアリー著『25年目の「ただいま」』(静山社)読了。

以前感想を書いた映画『ライオン 25年目のただいま』の原作本。良かった。本人が書いた回想録。
映画に出てこない裏話もたくさん。あのお兄さんとは実際どうだったのかも、良く分かった。何より翻訳がうまい。主役のサルー君は、映画と同様やっぱり愛すべきキャラだった。省略されているところはあれど、相当忠実な映画化だった。
これは、原作から入っても映画から入っても、どっちもOKな奴。オススメです。
(残念ながら絶版のようだけど、ネットですぐ買えるよ)

『ライオン 25年目のただいま』感想

映画『ライオン 25年目のただいま』感想

『ライオン 25年目のただいま』(2017)をNetflixで。極力ネタバレ無し感想。

オープニングから、ほとんどセリフのない冒頭シークエンスを観ただけで「あ、これは信頼できる映画」と確信させる映像クオリティ。

【ストーリー&キャスト】
インドの貧しいスラムで生まれ、5歳の時に迷子になった主人公サルーは、家族と生き別れのままにオーストラリアに養子に出される。何1つ不自由ない青年期を送るサルーだが、あるきっかけでインドの家族への思いを抑えられなくなる。その思いを義母にも言えず一人苦しむ彼は、GoogleEarthであの時お兄さんと別れた駅を、自分の育った家を探すのだった。

2012年に世間を揺るがせた実話を映画化。主人公サルーに『スラムドッグ$ミリオネア』のデヴ・パテル、恋人役にルーニー・マーラ。育ての母親役にはニコール・キッドマン。

子役が素晴らしい。良くこんな子を見つけてきたと思うし、子役演出の巧さなんだろうな〜。生き別れのお兄さんがもうね、もうね…言葉にならない位愛おしいし、サルーの気持ちにそのまま入り込んでしまう。

サルーは子供時代が超絶可愛くて、青年時代もイケメンでそれだけで幸せになれる。ルーニー・マーラっていつもはじまってしばらく経ってから「え?これルーニー・マーラなの?」って毎回気付くくらい(大袈裟)印象変わる。褒めてます。彼女の出てる映画に今のところ外れなし。今回観るって決めたのも彼女の名前がクレジットにあったのが決定打。

映像の美しさと劇伴のセンスの良さに圧倒される。冒頭からちょくちょく入る真俯瞰や上空からの撮影(オンリーザブレイブを思い出す。あ、あっちが後か)は、GoogleEarthにかけているんだろうけど、それにしても美しい。豪州とインドで、まったく違う環境なのに同じような見え方のカットを重ねたりとか。
そんな工夫された映像や静かな演出、俳優の素晴らしい演技の積み重ねで、ストーリーは想像通りなのに、まぁ最後は声が出る位に泣かされた。

オーストラリアの義母が劇中で「何故養子をもらうのか」について語る。自分は子を産めない訳ではない。世界には人が溢れている。子供を産むことで世界が良くなるだろうか?恵まれない多くの子を一人でも助ける方が大切だ。夫も同じ考えなので結婚した。と。演じるのはトム・クルーズとの間に実際二人の養子を迎えているニコール・キッドマン。貧富の差はあれど階級差のない日本では育ちにくいノブレス・オブリージュ。彼女への出演依頼は、実際のサルーの親族会議で提案されたそう。

ちなみに検索すると本物のサルーが「実業家」で出てきます。映画は彼の出版した自伝を原作としたそうで、この本、絶版ぽいのでさっそくネット注文しました。

あと義母が小さい時に見た白昼夢の話がなんだか『パーム(獸木野生)』みたいだな、とか。「ライオン」というタイトルの意味が最後に明かされたりとか、ツボなところがいくつも。
お薦めです。

『バッタを倒しにアフリカへ』他感想

併読するにも程があるってもんで、手が付いてないのも、読み終わってないのも沢山。でも皆面白くて…。

『重版出来!(12)』12巻にしてまったく衰えないどころかアップグレードしてる。安井さんがここにきて…脱帽。

『古本屋台』日本酒を飲みながら読むのに最高お薦め。

氷川竜介『倍蜜の人生』自費出版の自分史で、年ごとの時事ネタが懐かしい。セルフ出版で編集者がいないとはこういうことか、と比較して初めて意識されるものですね…。でもだからこその勢いが読み所。出会えて良かった。

大作SF『零號琴(れいごうきん)』にも夢中だがまだ途中。

それより一気に読み終わった大傑作が『バッタを倒しにアフリカへ』。学問研究エンターテインメント。お調子者な表紙&タイトルのくせに、中身はまっとうにバッタ研究を追い続ける学者の苦闘のドキュメント。それを見事な文才で波瀾万丈のエンタメに仕上げている。学者とは何をどうして食べていってるのかが、すごく良く分かる。クライマックスが何度も訪れ、泣かされる。筆者の「研究」に対する意欲と愛が全編を貫いていて、感動を呼ぶ。

黒田硫黄の新作はちょっと…。こういうとこで前述の吉田秋生やゆうきまさみやくらもちふさこの、何十年経っても新しい感動を生み続けるという奇跡を思う。『かげきしょうじょ!』の作家も晩年の『ぶ〜け』に描いていたらしいので当時は読んでいたのかも。これも大傑作。

榎本俊二『映画でにぎりッ屁』もさほど。漫画家の映画エッセイはいくつも出ているけど、いわゆる「映画好き」や「シネフィル」なマンガ家の描いてる内容はいままでも大抵ピンとこない。このニュアンス伝えるの難しい。自分はもともと映画嫌いだから見どころも違うし当然ちゃ当然。自分の「脚本至上主義」が改めてよく分かる。
3月のライオンと乙嫁語りも新刊出てる。ああシヤワセ。

胃腸風邪?

土曜夜、小6長女と妻が深夜まで激しい言い争い。
父と次女は布団の中で戦々恐々とし、でも眠れないので2人でイヤホンで『まんぷく』を観てやっと寝る。23:30頃。

03:30 「具合が悪い」という長女に起こされる。熱いお茶を飲ませた直後に「吐く」と言われ便所に向かうも間に合わずダイニングで嘔吐(以下マーラ:マーライオンの略)。夫婦で後片付けをした後就寝。朝も長女はあまり体調優れずだが、てっきり心理面でのことだと思っていた。

日曜昼
12:30 次女を預けていた義母宅から「吐いた」との連絡あり迎えに。

13:00 2人の熱はおよそ37度少し。

14:00 父のみエフスタイルに。kettleポップアップとpitu康子ちゃんのパンケーキ焼き。

16:00 帰宅。この間に長女は39度、次女は3回マーラで38度超え。

18:00 熱以外は問題なし。マーラ無し。ことぶき鮨のテイクアウトで両親は晩ご飯。次女のみ納豆巻き3本。

20:00 長女39.5度でぐったり。解熱剤とリンパ系に冷えピタ。次女は熱は未だあるが元気。

月曜朝
07:30 二人とも7度8度台で学校は休み、病院へ。風邪と診断

火曜
二人とも通学開始

水曜
長女はまだ不調が残るが通学

『3月のライオン』映画をぶっ通しで観る「ライオン・ナイト」を開催


映画『3月のライオン』前後編をぶっ通しで観ながら、ダラダラと吞み食べお喋り(絶賛)する会、というのを先日東京で開きました。有り体に言って最高でした。

愛すべき映画やテレビを流しながら気持ちを共有する会、というのは本当に楽しい。最近だと医学町ビルの「カルテット・ナイト」なんてのは本当にいつまでも忘れられない位幸せな夜だった。

さて、この『3月のライオン』映画版で吞み会をする場合は、一緒に過ごすメンバーがとても重要だと最初から思っていました。原作モノで、その原作は現世で最高かと思える位の傑作で、だけど映画版はあきらかに大幅な改変が行われていてそこが気になる人も多い、どころか全然評価できない人もいらっしゃる様子。

自分も最初映画館で観ている最中は確かにその改変がショックだったけど、物語が進むにつれて納得できた。実写ではむしろこの方が納得できる流れだし、最終的には羽海野チカさんが血反吐を吐いて紡いでいるあの漫画の「魂」を明らかに受け継いでいる、愛情に溢れた傑作だ!と観終わった瞬間に思ったのです。だからまず言いたいのは「羽海野さんは最高の幸せものだ」ってことだし「羽海野さん、おめでとー!」って気持ちだったりします。

羽海野さんも「原作者がこんなこと書くのは宣伝じみててあまり良くないことだと思うんだけど」「でもあまりに良い作品だから皆に観てほしくて」Twitterでさまざまに感想を書かれていました。

こんな時に、観ながら一緒に吞んで話したいのは、「イチを聞いて十を察する」仲間。まっさきに思い出したのは羽海野チカ原画展を見た時の感想を一瞬でも確かに分かち合った人達でした。血反吐を吐くようなネームの試行錯誤を見た時の、あの気持ち。素晴らしい作品を生むまでの努力、その凄まじさを間近に見せられた時の、畏敬とも言えるような気持ちを共有した人達。そういう「前提」がある人達と話したかった。

ということで漫画『PALM(獸木野生)』初の池袋公式イベントをきっかけに知り合い、これまで何度もオフ会を主催した方達と、今回は東京で「ライオン・ナイト」を開催しました。しかも前後編だけで4時間以上と長いので、メンバーのお一人のお宅にお邪魔して、こたつに入りながら。お酒と好きなおつまみを買って、計何時間話したことだろう。これ最高かと。

家主の好きなものに囲まれた(どこか川本家に通じるところもある)居心地の良い空間で、こたつを囲みあの映画を好きにくっちゃべるこのシヤワセ。もちろんイマイチなところもあって、本編以外の宣伝系はすべて呆れるほどダメだっていう話とか(本編とまったく違う予告編や、ディスク宣伝のメインビジュアルの補正しまくりつるっつるな神木君のキモい写真とか)。

神木君はやっぱり顎のラインが最高とか。主には島田、後藤、宗谷の匂い立つ色気の話なんだけど、でもでも香子もすごいし子役も見事だし神木君は神だし、まだまだアレもコレもと話は尽きない。家主は本編にエキストラ出演もしているので、その時の裏話も楽しい。これ以上満たされた環境はあるだろうか。イヤないよ。

本当に幸せな時間を、ありがとうございました。最高でした。

映画『3月のライオン』後編感想

シネコンで後編を観ました。良い映画だった。自分的には「ここ違ったらライオンじゃないだろ!」というようなキメ所が変えられていたのに、観ているうちに「やっぱこれはライオンだ…最高」と心から思えてくる。すごかった。今も引きずってる。

出てくる皆に魂が込められていて、思い返しただけでも泣けてくる。「そこはそうじゃないだろ…」と突っ込みたくセリフや展開もあちこちにあるんだけども、最終的に挽回してくれる演出や名演技が山ほどあって、もうエンディングでは目が痛い。あの予告編で散々サビだけ聞いてた『春の歌』が、まったく違う印象で聞こえてきた。歌詞に打たれる。終わってからもずっと聴いてる。

予告は観ないでいいです。全然印象違う。今回も本編観た後に予告編を初めて観たのだけど…やっぱり肝心な将棋シーン全然出てないし。また神木君やたら走ってるし…。全然そういうんじゃないです。あと爽やかさもない映画です。ひたすら胸に来る、ひりひりするような、あの人たちの生き様。だけど思い出すと「やっていける」気持ちになれる。作品が彼らの人生にちゃんと寄り添っている、そんな手触りがある。皆が愛おしい。

何日か前に観たのだけど感想書けなくて、でもなんとか初動に貢献したいからTweetでレコメンドします。制作者に貢献するなら初期動員で!迷っている位ならさっさと観るべし!忘れられない作品になりました。こんな『3月のライオン』という作品の幸福を思って、羽海野さんの気持ちを思って、また涙。

後で感想書くけど、きっと「原作ファン」の中には反論色々出てくる改変があったと思う。でもね、その分の説得力が充分にあった。最後の終わり方も大好き。羽海野さんが血反吐を吐き悩みながら10年以上書き続けてきたその想いが、魂がちゃんと継承されていると思えた。

前編が今新潟市だと朝9:30からとかかなりハードル高くなっちゃったけど、まだ大丈夫です。あの将棋シーンは、ぜひ劇場で観た方がいい。
ディスク出たらライオンナイトやりたい!語りたいシーンが山ほどあるよ。

以下ネタバレ含みます。
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大崎善生『聖の青春』

大崎善生『聖の青春』読了。間違いなく今年ベストに入ると思う。

インスタに「原作を読まれて再度作品をみるとまた違った感想を持たれるかもしれませんね。」とコメントいただいたけど、その意味がとても良く分かりました。未だ映画再見はしていないのだけど、一度目の鑑賞を思い出し、忘れないうちに書いておく。

映画は聖の晩年のみを映像化したものだったけど、そこに至る背景を知ることで、同じシーンを観ていてもその意味合いがかなり変わってくる。映画は原作をあちこちで(時に大幅に)改変しているけど、それが悪い訳ではなく、初見者には分かりやすく、原作既読者にはまた違った意味をもって伝わるような、ある程度納得できる理由を感じた。

一番大きな印象の違いは、聖の人物像。映画は晩年なので病の描写も相対的に目立ち、どちらというと気難しく強情で、他人のことより自分の勝利のみを考えている天才肌で自分勝手、といったイメージ。
これが原作だと、病には苦しみながらも、誰とでも公平に接し、嘘は無く実直で他人のことを思いユーモアもあって、棋士仲間に愛されていた姿が浮き彫りになっている。一番関係の深かった森師匠の描写もずっと深くなっていて心打たれる。

映画で描かれるのは原作の中の「ほんの一部」、人生の終盤のみでもちろん多くが省略されている。映画の見方が変わるというのは、原作にある「それまでの物語」を知ることで、その「ほんの一部」を関係者がどのような気持ちで作ったか、演じたか、が分かる(気がする)から。あの局面に至るまでに何があったのか、映画中では多くを語らない聖の胸の内に何が秘められていたのか。あの瞳の奥にどれだけの努力や絶望、眠れない夜があったのか。原作を読むことで聖への愛着の度合いは格段に変わった。「『3月のライオン』の二階堂のモデル」とこれまで気軽に書いていたけど、羽海野さんがどんな思いで二階堂を描いていたのか、今まで知らなかったその思いの、何十分の一かでも分かった気がした。

他にも書きたいことは山ほどあるけど、ひとまず。素晴らしい一人の人間の生涯を知ることができて幸せでした。
(師匠である森信雄さんがブログを今も続けられていて、聖の写真と想い出が沢山載せられています)

『聖の青春』感想

iTunesレンタルで。
ずしんと残る。すごく珍しく妻と観たのだけど、終わった後問答無用で「いい映画だった…」と二人で呟く位。『3月のライオン』どころか、もっと地味な作品だということは、最初にお断りしておきます。だけどオススメ。将棋のルール知らないけど全然楽しめる。

わずか29歳で夭逝した天才棋士・村山聖の壮絶な晩年を、松山ケンイチが体型まで変えて挑んだ意欲作。『3月のライオン』の二階堂は彼がモデルだが、脇に弁当を持ってきてくれるじいはいないし、家がお金持ちでもない。「東の羽生、西の村山」と並び称された羽生名人を東出昌大が演じる。

東出昌大君の演技に圧倒された。
ごめんなさい。今まで侮っていました。彼の役者としての印象は、この一作で一気に覆された。東出君の出演作はこれまでも結構な数観てきているけど、今作がダントツのベストアクト。

「全身全霊をかけて羽生役に挑んだ」と言う松山ケンイチ・聖が映えるのは、相手役の東出・羽生名人の存在感があってこそだ。実物の羽生名人をそんなに知っている訳でもないくせに、この役はどこか「名人の神」が降臨しているかのようだった。文字通り神がかっていた。

直前に観た『3月のライオン(前編)』とどうしても比べてしまう。『ライオン』の将棋シーン、棋士達の名演技に圧倒されて素晴らしかったと書いたが、『聖の青春』を観た後に『ライオン』を思い出すと、やはりあちらは「『映画』として圧倒された」という感じ。

何を言ってるのかイマイチだろうけど、要はこれに比べると「ライオン」はやっぱり作り物の世界で、勿論それはそれで問題なくて楽しませてもらったのだけど、『聖の青春』は「映画を観ている」という体験以上の何かが感じられた、ということなのだ。勿論ノンフィクションをベースにしているということもあるのだろうけど、それだけじゃない何かが宿っていたようにも思う。

脇を固める役者達も良い仕事をしている。彼なくしては聖は存在しえなかっただろう師匠役のリリー・フランキー、ハマり役。聖の弟弟子役には『3月のライオン』で特殊メイクにより二階堂を演じた染谷将太が、(どちらかと言えば)「一般人の目線」で聖と向かい合う。

将棋出版社のデスクっぽい役をやっている筒井道隆!ヒゲでメガネの彼は、声でかろうじて分かるものの、俺の知る十数年前の筒井とは別人だった。良い意味で驚いた。

先輩棋士荒崎学(モデルは『3月のライオン』原作の挟み込みコラムでお馴染み先崎学)を演じる柄本時生もいい。吞み打ち買う古風でやんちゃな彼は初対面こそ反発しあったものの、聖の良き理解者であったようだ。彼の最後のカットには容赦なく心打たれた。

最小限に使われる劇伴も、とても良いかんじ。

以下ちょっとネタバレ
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映画『3月のライオン 前編』感想

『3月のライオン』をシネコンで鑑賞。
「泣いたり笑ったりのエンターテインメント超大作!」とかでは決してないけど、おっさん達と神木君の、匂い立つような濃厚な演技をじっくりと味わえる良作でした。
ちなみに俺は原作の大ファンです。同時代に生きてて良かったと思う。現代のマンガのの最高傑作の一つだと思ってます。

神木君がすごいことは、もうそろそろ分かったつもりでいたのだけど、まだまだ凄いことを思い知らされた。魅了された。目の演技がすごい。真っ暗なライティングで目だけ光るようなシーンがいくつもあるんだけど、目が大きいのも相まって迫力がすごい。

そして、佐々木蔵之介、加瀬亮、伊藤英明、奥野瑛太、甲本雅裕らが演じる棋士達。事前の予告を観ている時に誰もが思う「俳優の○○が演じているからどうこう」とかそゆこと、一切意識させない。くらいにそのまんま。特に佐々木蔵之介の目!目!島田名人そのまま。「佐々木蔵之介」という単語は観ている間には浮かんでこない。圧倒的。皆がもとから島田で、後藤で、宗谷だった。

将棋シーン。基本的に盤上の駒の動きをすべて映画に流せる訳はないから(そうだとしても分からない人が殆どだろう)、棋士2人のセリフのない演技のみで場面が進むことになる。男同士の、むさっ苦しくて鬱陶しい筈のシーンがとにかく凄い。圧倒的。

とはいえ基本的に大きな動きがない訳で、こんなシーンが後半1/3はあるから、「渋い」映画なのは間違いない。だからこそ、おっちゃんの色気(神木君も時に見せる)にアタられたい方は今すぐ劇場に足を運ぶべき。噛み締めると煮汁がじゅっと出る、厚揚げの煮物のような演技だ。

そんな映画だから、きっと大ウケはしないと思う。後編はまだ少し派手になりそうだけど、前編あってこそだからなぁ。それもあって、ぜひ、ぜひ興味ある人には前編から劇場で観て欲しい。これだけの作品を創った制作者には、少しでも報われてほしい。

将棋シーンの演出は、全て棋士がついて「何故ここでこう打つのか。こっちを打たずに今こう打つ意味」を役者にレクチャーしていたそう。劇中一瞬しか使われない試合のシーンも、初手から最終手までがすべて設定されていたらしい(『QJスペシャル 3月のライオンと羽海野チカの世界』より)。こういうバックがあってこそ俳優の力が存分に出せてるんだろうな。

二階堂も良かった。染谷将太が特殊メイクで太って演じている。つい数日前に実写版『寄生獣』を観たばかりで、映画も良かったけど主役の染谷君も見直していたところだった。だけどその染谷将太と、今作の二階堂とは全然結びつかない。それ位、必死で生きる二階堂を見事に演じていた。

だけど二階堂のプロットは、もうちょっと、ほんのちょっと工夫したり丁寧に演出して欲しかった。そしたら彼のあの言動の理由、零が心を許す理由ももっと浮き彫りになったのになぁ。

予告編で零が「将棋しかねえんだよお!」と叫ぶあのシーン、実はその前にまだセリフがあるんだけど、ああやって一部だけ抜き出すのは良くないよなーと思った。実際原作ファンのいくらかは、予告編のあのカットでちょっとひいちゃってる筈。その前のやり取り込みで聞けば、盛り上がりも含めビンビンに納得するシーンなのだけど。勿体ない。

あと神木君をやたらと走らせるのも個人的に好きじゃない。セーシュン映画は主人公が走らなきゃ、みたいなウンザリを感じるのも一因。神木君は走り一つとってもその人物を入念に研究し「桐島」でも今作でも見事にキャラ通りの「走り方」を見せているんだけど。それはすごいんだけど。蛇足に思えたのは確か。動きがないから仕方ないのかな。『ハチクロ』も『3月のライオン』も、セーシュン物なんかじゃない。俺の中では徹底して「仕事マンガ」だ。

原作の楽しげで笑えるところは殆ど今回の映画には感じられない。およそシリアスで暗く、淡々としている。これは思い切った判断だと思うしどっぷり浸かるには良いのだろうけど、でももう少し、たとえ前編であっても、もう少しヨロコビが欲しかったかもな。

【後編の感想は>こちら

池辺葵『雑草たちよ大志を抱け』

『プリンセスメゾン』作者が田舎の地味な女子高生を描いた新作。まだ年のはじめなのに、今年を代表する一冊になりそうな予感ビンビン。大好きです。

それとは別に思うのは、今作や『3月のライオン』のような話が、ちゃんと中高生に届いていて欲しいな、ということ。こういう物語を切実に欲している誰かに。救われるかもしれないひとたちに。自分はマンガがあれば大丈夫だったから。

  

同時代のヨロコビ/銀の匙(10)他

『銀の匙(10)』再読。最後、家の酪農業が倒産して、野球を諦め学校を辞めていった(8巻。超名巻!)駒場と、主人公達の交わるところとかほんとすげえ。イヤもう全部すごいんだけど。

『海街diary』『3月のライオン』『銀の匙』
これだけとんでもない漫画が同時期に連載しててリアルタイムで読めることの幸せ感ったらないな。しかも3冊ともめっちゃ売れてるという。日本すげえよ!

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そうそう、『銀の匙』のアニメもかなり出来が良くて、長女と観るのも楽しい。原作忠実系で、おれが全然忘れてるのに彼女が先読みして見事当たったりするのとか、新鮮ですよ。(ノイタミナ枠・hulu)

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