2006年の医療制度構造改革について

webの知りあいが作ったページなのですが、

医療制度構造改革試案に反対するページ

全然知りませんでした。12月の国会に提出されるこの法案が通ると、(以下引用)

風邪、腹痛などは全額負担に。

これは2種類にわけられます。
まずかぜ薬、ビタミン剤、漢方薬などの市販されている薬を保険給付の対象外にする。そして風邪や腹痛などの低額な医療は全額患者負担にする(これを保険免責制度といいます)などの案が検討されています。

患者負担の月額上限の引き上げ

現在の高額医療費、高額療養費の引き上げが検討されています。

現在
高齢者 入院4万200円 外来1万2000円
一般   入院外来とも7万2300円+医療費の1%

これがさらに引き上げられることになります。

長期入院の食費、居住費を全額自己負担に。

介護保険の改悪にならい、月3万円程度の負担増が計画されています。一般の入院も保険から給付される「食事療養費」の減額が検討されていて、その結果、現在の食事代1日780円が引きあがる可能性もあります。

となってしまう可能性が大きい、らしいんです。

***********はじめにおことわり***********
shiroもこの内容を現時点で完全に理解している訳ではありません。できれば隅々まで理解し、説明できるレベルになってから紹介しようと思ったのですが、いかんせん時間がありません。上記署名活動の締め切りは11月30日です。なので、途中ではありますが、現時点でのshiroの理解している内容と共にエントリとしてアップします。中には間違いもあるかも知れません。上記サイトや関連資料をご覧になり、それぞれ各自でご判断の上、署名なりの行動を起こしていただければと思います。
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.
医療制度構造改革について、詳しくは厚労省のこのページを参照ください。
っても非常にまわりくどく、しかも肝心のトコロが分かりにくくなっています。ちなみに「風邪や腹痛などの低額な医療は全額患者負担にする」に該当する部分は、本文の最後にある

エ  保険免責制の創設
 外来診療について、低所得者を除き、かかった医療費のうち、受診一回ごとに一定額(1,000円又は500円)までは自己負担とする。

ココだけ、だそうです。目的は低額医療費の削減、ってトコなんでしょうが。最初はこのように500円とか1,000円という低い設定で法案を通し、あとは(2割負担→3割負担の際に全くクローズドで進んだように)なし崩しで3,000円程度まで拡大されれば、風邪などの軽い病気は全額負担となってしまう、そのように枠を広げる方向で足がかりを作る目的の改正だと、いう懸念なのですね。
※例えば3,000円の治療で自己負担1,000円だったとすれば、免責1,000円が採用されると自己負担が2,000円になる。免責が2,000円が採用になれば自己負担3,000円になる。ということ。

【memo】国会での議論が読めそうな藤井もとゆき参院議院のページ

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さて次に、「混合医療(混合診療)の解禁」です。私のように『ブラックジャックによろしく』のガン医療の項を読んでる人は、
●日本では抗がん剤などの承認が他先進国に比べはるかに遅れている。

●しかも未承認薬を使うと、その高額な費用に加え、本来保険内だった部分まで自己負担になってしまう(混合診療の禁止)

●このせいで未承認薬(だけど海外では普通に効果を上げている薬)を使うハードルが一層高くなる。

つまり「混合診療」=良いコト、的なイメージが強いと思うんです。

コレはコレで一理あるように思えるのですが、
「未承認薬を使えないのは、混合診療が禁止されているせいだ」という理屈は、世界標準の薬を承認しない日本の制度の問題混合診療を何故解禁しないのかという問題にすり替えてしまっている危険があるらしいのです。

でも、ココまでの話だけであれば、「混合診療の解禁」それ自体には問題がないように思えます。

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なのですが、「混合診療」にはさまざまな弊害が隠されているようです。

なぜ医療でもうけたい人たちが混合診療解禁を主張しているのかというと、保険診療の枠内では誰がやっても同じ価格ということで大もうけができない仕組みになっているからです。ところが、混合診療とすると、供給側の「言い値」で商売ができる仕組みができるため、医療で金をもうけたいという人にとっては、混合診療の解禁の要求が株式会社参入の要求とセットとなります。ですから、選択の幅が広がるといううたい文句のもとに混合診療を解禁すると、日本の医療はとんでもないことになるのではないかと危惧しています。

また、混合診療を解禁すれば日本の医療においてもアメリカと同じように、所得格差に基づく差別ということが起こります。アメリカでは無保険者は医療にアクセスできない状況にあります。病院にかかるのは命がけ、どれだけの金額の請求書が送られるか不安で恐々としている人たちがいます。
 逆に一握りのお金持ち、大会社の重役たちが入っている医療保険は一切保険給付に制限がありません。何をやってもいいという自由な医療保険に入ることができ、お金持ちほど医療保険の自己負担はありません。これがアメリカの実態です。混合診療の解禁はアメリカ型の医療保険制度に道を開く第一歩になります。
米国医療の実態から日本の医療改革を考えるより

アメリカ企業が日本の医療市場に参入したがっているのです。
医療を儲けの対象にしようと狙っていた日本の企業も後押ししています。

しかし現在の「低診療報酬」では儲けになりません。そこで公的保険では十分な採算がとれなくても「自由診療部分」で儲けることができるように混合医療制度を実現しようとしているのです。しかも自由診療部分を民間保険の対象とすれば、彼らにとっては二重のビジネスチャンスです。

また、医療費の公的負担を抑えたい財務省、あるいは従業員の保険料負担を軽くしたい大企業などが混合診療を主張しています。

こうした勢力が利害調整を行い、医療に市場原理を導入しようとしています。国民の命と健康を守る医療制度を金儲け優先の制度につくりかえようとしているのです。

しかしアメリカを見ればわかることです。先進国で唯一市場原理の医療を導入しているアメリカでは世界一の莫大な医療費支出なのに、国民の7人に1人が無保険者として医療へのアクセスを閉ざされています。
医療制度構造改革試案に反対するページより

アレですね。『ER』のあの世界です。貧困層が保険に入れないがために治療を拒む。軽い病気では病院に行くことはできず、その結果潜んでいる大きな病気の可能性を知ることもできない。あの世界です。この法案が通れば、日本もアメリカのあの世界になってしまうかも知れないんです。まぁお金持ちには大した問題じゃないかも知れませんが。

選択の幅が広がる、だけならイイのだけど。その広がった選択肢をお金持ちしか選ぶ事ができない。さらに元々「選択肢」じゃない基礎医療の部分で、おしなべて負担が増えてしまう。

そうだとしたら何のための「選択肢拡大」だか分からない。

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さらに加えて。これも『ブラックジャックによろしく』から想像される話。
【従来】
保険外の費用+保険内の費用を自己負担
【混合診療解禁後】
保険外の費用のみ自己負担

オッケーじゃん!!

と、なりそうなのですが。実は「保険内」の枠がかなり狭まりそうなのです。「特定療養費」の枠の、大幅な拡大(ソースが分からないのですが14種→100種以上に)が昨年12月、国会も通さずに合意されたそうです。
【その合意に対する反応】
全日本民医連の要望書
全国保険医団体連合会の要望書
「特定療養費」とは、簡単に言えば従来も限定的に許されていた混合医療のようなもので、個室料や義歯、「高度先進医療」、最近オレでも知るようになった「200床以上の病院についての初診料」などがそれにあたります。(→特定療養費とは)この枠が格段に広がれば、もともと保険適用内だった治療がどんどん自己負担になってしまう、という訳です。つまり上記の図式が単純に当てはまらなくなるという事。

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以上が、現時点でshiroの理解している内容です。今の考えをまとめると、保険料負担を抑えたい国(そして企業)側と、医療業界を食い物にしたい医薬品メーカー側(特にアメリカ)の利害が一致し、国民のあずかり知らぬ水面下で、法案可決に向かって進んでいるのかなと。コレからも関係資料を読んでみますが、今のトコロこんな感想です。皆さんもぜひ各メディアの反応(あるいは無反応)に注目してみてください。

全国保険医団体の「06年度の医療制度「改革」反対の署名・ちらし」のページ。←署名などコチラから。しかし署名より有効な手段は何かないものかしら。

冒頭に書いた通り、このエントリは今後訂正・加筆していくことがあります。間違いなどありましたらコメントでご指摘いただけると嬉しいです。

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最後に『ブラックジャックによろしく』未読の方の為に、ちょっと注釈を。このマンガでの混合診療の扱いはそんなに多くありません。混合診療の禁止のせいで多額な医療費が必要にも関わらず、葛藤のすえに未承認薬を患者に薦めるエピソードは、ガン編のホンの入り口の部分です。

そこから抗がん剤の使用について解法なき問題が延々と語られます。患者に膨大な負担を与えながらも、その多くは治療ではなく延命処置でしかない抗がん剤使用の倫理。世界中で承認され実績のある抗がん剤の多くが、日本では使えないという現実。さらにはがん患者の末期医療の問題。「病気を治療する事」ばかりが医者の本領と思われ、「死にゆくヒトの苦痛を和らげる事」が余りにも軽視されていると語る医者

例えばモルヒネ一つとってもそんなに扱いの簡単な薬じゃない。
ほぼ100%副作用がある上に、適切に使わなければ痛みも取れない。
本当にモルヒネを使いこなせている医者なんて…
ほんの一握りだ…

登場する主婦のがん患者は、主人公の新人医者の提言を受け入れ未承認の抗がん剤を使ったり、民間療法を頼ったり、さまざまな経緯を経て、最終的にどんな最期を迎えるのか…。
内容の是非は別としても、誰しもが決して無関係ではいられないガンと人生について、あまりにも多くの事を考えさせられるのは間違いないです。『ブラックジャックによろしく』がん編は5〜8巻。せひご一読を。読後感はいつもサイアクだけどね(笑)。

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  1. NO IMAGE

    2017.09.29

    よかった〜
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    2015.07.23

    タイムマシン
  1. shiro 2005.11.10

    補足ありがとうございます。エントリを修正しようとして中途半端にイジったら半日くらい非公開になっちゃってました。何だか色々読んでたらまた分からない事が…
    ↑この資料なんですが、書いてあることが
    「この枠(特定療養費)が格段に広がれば、もともと保険適用内だった治療がどんどん自己負担になってしまう。(shiroの文より)」
    とは全然違うって事。「もともと保険適用内だった治療」ではなく、保険適用「外」だった治療を、「保険適用の前段階」として保険と併用できるようにするのが目的、って書いてありますよね(もう一つのジャンル「患者選択同意医療」は除く)。
    適用外だったものがその治療費だけの自己負担で受けられるのなら、前よりも良くなる筈です。この辺が何だかまた分からなくなってきました。12月の合意に対する二つの要望書を読んでも詳しくは書いてない。
    ●保険適用「内」だった治療が適用「外」になるという事が無ければ、shiroの書いた内容が間違い。
    ●当該治療が、「(特定療養費改め)保険導入検討医療」と決められたとたんに料金が上がるってコト?
    ●改定当初は改「悪」ではないんだけど、今後そうなっていくキッカケを作ってしまう。そのキッカケがshiroには見えていないだけ?
    う〜ん。中途半端ですみませんが、引き続き調べてみます…。とにかく分かりにくいなぁ…。

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