『旅と日々』をイオンシネマ西で。
監督:三宅唱(後述)

【あらすじ】 強い日差しが注ぎ込む夏の海。ビーチが似合わない男が、陰のある女に出会い、ただ時を過ごす――。脚本家の李は行き詰まりを感じ、旅に出る。冬、李は雪の重みで今にも落ちてしまいそうなおんぼろ宿でものぐさな宿主、べん造と出会う。暖房もなく、布団も自分で敷く始末。ある夜、べん造は李を夜の雪の原へと連れ出すのだった……。(公式サイト)
【感想】
映像も演技もすばらしいが、
思てたんと違う…。
お昼ご飯の直後で、普段は倒れるように寝てしまう最悪の時間帯に観てしまい、この映画妙にブラックアウト的な場面が多いのだけど、その度に寝てたんじゃないかと思う。失敗した。でもかなりのゆったり感で、アート映画の範疇だと思う。
『きみの鳥はうたえる』
『ケイコ 目を澄ませて』
『夜明けのすべて』
と、これまでの作風もかなり違ってるので、次はどうなるかな〜と。
こうきたか。
あまりに期待し過ぎていて、情報をまったく入れずに観た訳ですが
観終わった後、改めてつげ義春原作だったこと思い出し、そりゃそうだよなぁと。
原作になった2作は未読だったので改めて読んでも、そうだよなぁと。原作はいつものつげ作品で、とっても良いし、その映画化としての今作は、映像はじめ文句無しに素晴らしい。
だけど、三宅監督の新作〜!という期待と違っていたのです。勝手にすみません。
あとこれ、シネコンじゃないよね…。単館系、シネ・ウインドがぴったり。
後半、ほんやら洞パートの風景は、多分新潟モンなら誰もが感じる「ナツい」感じが満載で、映像とほんやら洞の美術や衣装、眠いのに目を離せないその演出だけでもう素晴らしい。なのだけど…
自分はキャスティングの意味が分からなかった。
言われなければ気付かない位の、田舎のおじいさん役・堤真一。
日本語はネイティブではない脚本家役のシム・ウンギョン。
後半はほとんどこの2人だけで進行する。
もちろんどちらも素晴らしい。のだけど、他にもっといいおじいさん役いそうだし、何故シムさん?とずっと思った。勿論そこから生まれるシュールさや笑いや、やり取りのひねり、みたいのだったり、いくつかは分かる気がするのですよ。でも自分はずっと「なんでだろう?」って思ってた。これ結構雑音。
前半海辺パートの河合優実は申し分なく良くて。そりゃつげ義春のああゆう原作を映画するならこれ以上のキャストはないよな、と思う。忘れられないようなシーンもいくつもあって、特に波の周りは悪夢のように頭につきまとう。
全員とんでもないレベルの演技で、その裏話もWEBのインタビューで沢山出ていて興味深いし、そもそも監督自体意図を持ってというより演者とのアンサンブルで「何か」を生み出していきたい、というスタンスみたいだし、つげ義春の映画化って時点で、まぁそうですよねと。何回書くんだ。
だから言いたいのは「これから観る人は事前情報入れて「そういうもん」って分かった上で観た方が楽しめるかも?」ってことでした。
●ノートに鉛筆で書く時、まな板で野菜を切る時、魚を焼く時のあの感じ、恐ろしいほどの質感が忘れられない。
●アスペクト比がスタンダード。で、どこかでビスタになってた?一時期ラジオで宇多丸さんが「作品サイズにフレームを合わせない劇場が許せない」みたいなことをずっと言ってて、ふーんそう?自分は別に?と思ってたけど、今作では如実に感じた。
余黒のモニター部分が気になりすぎる。いつサイズ変わるの?もあるし、普通に「真っ黒の画面」は明るくて気になるんだよな。あそこまでカーテン閉めてたら、何も気にしなかったのに。
スタンダード自体はとっても映像に合ってて良かっただけに(むしろIMAXでやってくれ)余黒問題、ちょっと残念。
アート系映画がそんなに得意じゃない自分が観ても、映像も美術も演出も素晴らし過ぎる作品なのだが(本当に!)、観ている間いろんな「?」が頭に浮かんで勿体なかった。しかも眠かったし。
これはもう一回、分かった上で見直したいです。
