映画館で。
前評判もえらく高くて、観てみたらその通りに素晴らしく良くできた映画でした。最後まで勿論飽きさせず、面白く観ることができた。シナリオも演出もお見事。ありきたりのその裏をいく展開。細部の伏線や演技なんかの作り込みもいい。
でも、それだけ。「それだけ」ってそれだけありゃ充分だと思うんだけど、「ココロを打つ何か」とか「キョーレツに残る何か」とかは、なかった。
なんというか、夫婦あるある話から始まったサスペンスがその末どうなるか、という話なんだけど、その結論にしても「だから何?」なんだよね…。終ってみると意外性もショックも、そんなにない。
う〜ん… つまり話のテーマに「興味が持てない」ってことに尽きるのかな。
こんな感想前にも書いた気がするけど、『私の男』の感想でした。
(以下ネタバレ)
●結局奥さんが自分のウチに帰ってくるじゃない?普通は、そこで少し印象的なカットか何かで暗転して、エンドクレジットだよね。でもこの映画、そこからもまだ結構続くから。そこで「えええーーー!」って驚かされる。普段の「夫婦あるある」から更に進んだ超絶気まずい仮面夫婦。しかも相手は人殺し。一体どうするんだっていう…「その後の話」をきちっと作ったというのはすごいことだと思う。
●お笑い映画と思ってみても、結構良いのかも知れない。前半の夫婦あるある話も、笑いと苦笑の連続。笑い飛ばすのも1つの楽しみ方か。
●この映画の感想で「女怖い」とかあるけど、別にウチの妻だってちょっと間違ったらこうなっちゃってもおかしくないというか(笑)さすがにそりゃないけど、そんなにとんでもない話って訳でもない。そこが怖いともあまり思わない。殺されるあのやせっぽちの昔の男の方が余程怖い。
アツアツカップルとか、結婚してない人とか、修羅場くぐってない人には驚きなのかな。
配役、完璧です。特に主役の夫婦2人。でもそれは「この役にピッタリ」ってだけで、好きだと言う意味ではまったくありません。1ミリも。映画の冒頭、髪を撫でて振り向いた奥さんのそのマネキンのような目に(ストーリーまだ何も知らないのに)心底ぞっとしたんだけど、その「顔」の人間味のなさ、この役にドンピシャだった。
この映画の中で好きになったのは一人だけ、主人公の旦那を助けようとする黒人弁護士ね。彼だけは恰好良かったなぁ。彼いなかったら(映画的に)逃げ場がないよ…。
特にオススメはしませんが、とても良く出来た映画だと思います。見てソンはしません。
★★★☆☆