映画『水は海に向かって流れる』感想

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田島列島の大大大好きな原作を前田哲監督(『こんな夜更けにバナナかよ』)が実写映画化。

大好きだ!

俳優それぞれの演出が本当に丁寧。セリフのない目の演技とかを繊細に画面に映していて、俳優もそれに十二分に応えていて、すべてがナチュラルという、この手の漫画原作邦画ではあまりない(静かな)クオリティのように思う。

沖田修一監督による実写化『子供はわかってあげない』も独特な傑作だったけど、今作も田島列島のあの「間」をちゃんと再現しようとしていて、結果を残している。田島作品はギャグが特徴でそれも実写化の心配事だったけど、頻度は少なくてもちゃんと独特の笑いに繋げられていた。

広瀬すずが榊さんで良かった。直達君役の大西利空君と合わせ、年齢とルックが絶妙な頃合い。
榊さんが彼を恋愛対象として見られないことが良く分かる、でも絶妙な、境目のふわふわした年頃。
楓ちゃん役の當真あみさんも良かった〜この3人はベストキャスティングだと思う。

すぐにでも見返したくなる名シーンがいくつもあった。
榊さんのお盆投げ!
榊さんのドロップキック!

楓ちゃんの
「何を隠そうこの私。この私のことです。」「ご理解いただけたか!このハート泥棒」
はこの映画屈指の名シーン。

実際に見返しちゃってる。演技演出もそうだけど、編集のキレがめっちゃ良いんだよな。
榊さんと楓ちゃんの対決シーンもほんっとうに良かった!

漫画から実写になることで色々なことがリアルになってるんだけど、特にグサッと降りかかってくるのが、彼らの親世代への共感。特に直達君のお父さんの空回り具合とか、「せめて自分を良い人間と思いたい」とか、もうあーて感じで辛すぎる。

あと…忘れちゃいけないのが猫の名演技ね。
エンドクレジット見ると1匹だけみたいだけど、一瞬出てくる散歩中の柴犬も見事で、これは動物タレントコーディネイターの力量なんだろうな。
あと美術さんも(キッチンとか道具とか)スタイリストさんも(直達君のファッションだとか)良い仕事してました。

というかんじでこれは映画館で観たかった〜と思わせる、数少ない邦画体験でした。

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最後に苦言を少々。
ニゲミチ先生役の高良健吾だけはちょっと…うーん。もうちょっと合ってる人いたんじゃないかな。彼のこういう使われ方はもういいや、てゆうか彼が可哀想じゃね?
最後の終わり方。そっかー。「何を隠そうこの私です」があまりにも名シーンだったので、榊さんがそれっきりなのも寂しいし、ラストの笑い方もなんか納得いかない。それまで全てのシーンで納得してたのに、最後「え?」て感じ。原作がどうかは別として、映画の中の流れとしてすんなり納得できなかったなぁ。

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1999年のWEB日記時代から始めた個人サイト。ブログ移行にあたって過去記事も抜粋してアーカイブしています。
(HTMLサイト→SereneBachブログ→WORDPRESSブログと転移)

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最近は(インスタ)でアップしているTV・映画感想の投稿を、半年に1回くらい一気に転載しています。

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