アメリカ公開から1年近く。なんでこんなに日本公開が遅れたのかさっぱり分からないけど、原作も読み万全の体勢で待ちに待って待ち続けた『メッセージ (原題:arrival』。もちろん初日に観ました。シネコンで2D字幕。
最初に言っておきたい。始まって5分くらいして入ってきたお客さん!ブブーーー!残念でした〜。たった5分のロスだけど、そのせいで残り1時間55分全部がムダになりましたーーー!ムダムダーー!!!残念〜!!ブブーーー!!
どうやって2時間の映画に?と誰もが思う原作なのですけど、自分の印象からしたら「映画化はちゃんとできていた。だけど記憶に残る傑作というほどではなかった」かな。ハードルかなり上げてたし。だけどオススメはオススメです。
内容に関するモロモロは取りあえずおいといて、今作は映画館で観た方が絶対にイイ!映像も音響も。特にヘプタポッドの奇っ怪な音声や、おかしな名前(ヨハン・ヨハンソン)の人が手がけた何風とも言えない民族調音楽が最高。そして予告でも出ている会話シーンが、まんま映画館のスクリーンみたいなんです。
以下ネタバレあります。
あの原作のトリックというか衝撃的な仕掛けを、映画ではちゃんと映画なりの技法を使って再現していたと思う。だけどいかんせん、この内容にしては全体が長過ぎる。途中ちょっと退屈しました。
あと意味分からないところとか矛盾とかあちこち。タイムパラドックスを言ってたらキリがないし、どちらかというとそういう目線じゃ無くパラレルワールド的に観なければいけないのかも知れないけど、そこで肝になってくる「地球語とヘプタポッド語の根本的な違い」に関しては、映画ではあまり語られていない。
此処の所は原作でも、読んだ時だけやっと分かる気になるような、決して簡単な理屈ではない。だからこそ映画ではどうやって表現するのか津々だっただけに、ちょっと残念。
逆に原作になかった「三千年後に地球人に助けてもらうから」というあの下りはとても良いと思った!あれなかったらこの映画何も分からずに終わってるだろう。中国の将軍に電話して云々の方は…まぁ映画的に悪くはないんだろうけどもうちょっとプロットを精査して欲しかったかな。完全に乗り切れない自分もいて。終わり方ももう少しやりようあるんじゃない?何回も書いてるように「時を超える物語が最高の感動を生む」んだから!せっかくのネタバレをエンディングにも活かしてもらいたい。
いい映画なのにそれほど褒め言葉が出てこないのは、原作からのハードルが高かったのと、きっとキャストもイマイチ好みじゃないからってのもあるんだろうな。エイミー・アダムスの顔の演技、この映画に向いてるのかしら。うーんうーん。観ている時は別に「いい映画だー」って観てたけど、満足度100%とはいきませんでした。映画観た人は原作オススメ。他にも結構難解な短編が入った『あなたの人生の物語』テッド・チャン(ハヤカワ文庫)です。