スパイク・リー監督の新作、Netflixオリジナル映画『Da 5 Bloods』ネタバレ感想。
今年今までに観た映画の中でナンバーワンかな…。賞を総ナメしそうな予感。
BLM運動と共に表現したいことがあり監督は作ったのだろうけど、公開のタイミングでここまで世界を巻き込んで大変なことになっているとは誰も予想していないなかった筈。
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圧倒的な「生」「怒り」のパワーがみなぎる2時間半。映像的に新たな手法も採り入れられていて、いや〜、スパイク・リー。お見事。
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【あらすじ】
アフリカ系ベトナム帰還兵の4人は、自分達のリーダーだったノーマンの遺骨と戦時中に隠した埋蔵金を回収するため、ベトナムに集まる。
おじいちゃんのスタンド・バイ・ミー+地獄の黙示録オマージュといったルックで話は進み、途中までは楽しい同窓旅行の体でもあったのだけど… そもそも最初から、ベトナムの元娼婦、若いベトナム人男性ガイド、ジャン・レノ演じる仏人ヤバ系ブローカー、同じくフランス人だけど富豪の娘で贖罪のため地雷除去会社を立ち上げた若い女性など…まわりがすべてあの頃を引きずり、今もあの最悪の戦後を生きていることがじわりと伝わってくる。それが中盤以降に爆発する。
ベトナム戦争(劇中では「アメリカ戦争」)とは、いや戦争とは黒人にとって一体何だったのか。何と戦っていたのか。それはベトコンではなくて黒人の権利を回復すべくアメリカや(戦争の原因となった)フランスの白人至上主義と戦っていたことが、旅の中でプレイバックされていく。
自分にとってはやっぱり衝撃だし、BLMに繋がる「いつまで同じことが続くんだ…」地獄をイヤでも実感させられるんだけど、映画自体が素晴らしくて、基本的に楽しいところもいっぱいあって、その結果のクライマックスの気の乗り方たるや半端ない。最後の金塊の分け前が、ある黒人達の集まるオフィスに寄付されて、彼らの服に「BlackLivesMatter」と書かれているのを観た時はむせび泣きだった。
中でもやはりトランプ主義者のポールが最初から最後まで切ない…。彼のような自ら分断を招く立場の人間を通し語ることで、人種主義問題の難しさ・根深さの伝わり方が重層的になっている。んでチャドウィック・ボーズマンのカリスマ感な。
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『ブラッククランズマン』で、ドキュメント映像を被せるアレはお馴染みになってた。この映画にもちょいちょい挟まれる史実映像もスムーズだったし、編集もずっとグレードアップしていると思う(というか前作はあの違和感が大切だったんだよな)。でもやっぱり最後「ええ?」ってカットがあって心に残る。
まだなんとも気持ちを表現できないけど、とにかく2時間半、心を動かされっぱなしでした。邦題『ザ・ファイブ・ブラッズ』オススメです。
Netflixヤバいな。毎年こんなの作っていくのかな。 .
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…今回ちょっと調べてて気づいたけど、俺のベトナム戦争感って、70年代大友克洋漫画の影響大きいな〜。改めて。
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