映画『野球少女』感想

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2019年・韓国。監督:チェ・ユンテ

大好き。今年のベスト作品に入る。

なんでこんな邦題付けたのか最初分からないけど、タイトルの印象とは180度違う。まず、全体的に暗いし(褒め言葉)。「○○少女」映画のだとありがちな突っ込みドコロもない。脚本が素晴らしい。

【あらすじ】
青春の日々をすべて野球に捧げ、〈天才野球少女〉と称えられてきたチュ・スイン(イ・ジュヨン)。高校卒業を控えたスインは、プロ野球選手になる夢をかなえようとするが、〈女子〉という理由でテストさえ受けさせてもらえない。母や友だち、野球部の監督からも、夢を諦めて現実を見るようにと忠告されてしまう。「わたしにも分らないわたしの未来が、なぜ他人に分かるのか」──自分を信じて突き進むスインの姿に、新しく就任したコーチ、チェ・ジンテ(イ・ジュニョク)が心を動かされる。同じくプロになる夢に破れたジンテは、スインをスカウトの目に留まらせるための作戦を練り、特訓を開始する。次々と立ちふさがる壁を乗り越えたスインは、遂にテストを受けるチャンスを掴むのだが──。(公式サイトより)

原題は『Baseball girl』なので邦題は直訳か。問題は邦画や邦題に於いて『○○少女』という言葉が使われてきたこれまでの映画の内容、そこからくるイメージの方なんだろうな。

つまり、このイメージを逆手にとったタイトルなのかも知れない。

つまり、『○○Girl』『○○少女』と銘打たれるエンタメ特有の、男子社会の中で頑張っている女性「だから」取り上げる、女性特有の苦労やエピソードをクローズアップする、そのような取り上げ方に皮肉を呈する意味なのかも。

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後半少しスポ根風味のところはあるにせよ、これは決して「スポ根映画」じゃないし、そういう向きを期待してもアテが外れる。
これは、ジェンダーと社会と、それでも男女関係なく「自分であることについて」を貫いていく映画だ。

主人公のコーチが『秘密の森』のソ・ドンジュ検事(チェ・ジンテ)!
最初分からなかった位別人(まぁソ検事が独特だからね…)。嬉しいわ〜。

あとお母さんヨム・ヘランは色んなところで観るけど『カウンターズ』のおばちゃん!
最後の方では『秘密の森』『マイ・ディア・ミスター』でお馴染みのあの人も。
主人公スインのお父さんも、歌をやめた親友もいい。とにかく脇の俳優が良い仕事するからドラマが締まる。

もちろん主人公のスインを演じるイ・ジュヨンが最高。クールと熱っぽさの表現が素晴らしい。これからも追っていきたい。

映画では良く取り上げられそうな設定だと思うけど
脳内ツッコミをしなくて良い脚本の見事さ、演出、大好物です。
タイトルに違和感を感じた人にこそ、観て欲しい。

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