『おくびょう鳥が歌うほうへ』をシネ・ウインドで。
監督:ノラ・フィングシャイト
【あらすじ】
ロンドンの大学院で生物学を学んでいた29歳のロナは、スコットランドの故郷に10年ぶりに帰ってくる。恋人との別離、暴力的な体験、入院など、人生が限界を迎えた末に、彼女は依存症の治療施設に入所し、90日間のリハビリプログラムを経て断酒生活を開始した。故郷の野鳥保護団体で働きながら孤独な時間を過ごすなかで、少しずつ自らの内面と対話を重ねていくロナだったが、数々のトラブルを引き起こしてきた記憶の断片が彼女を悩ませ続ける。(映画.com)
【感想】
美しく、苦しい。シアーシャ主演作品の中でもトップクラスに好き。
スコットランドや離島の映像美、スタイリング、撮影、どれもが本当に見事で、忘れられない。ハンス・ジマーを思わせる(違う人だけど)劇伴も音響も素晴らしい。 「髪色」と「音楽」と「大自然」 だな。 アルコール依存症の辛さは吾妻ひでおの著作等で見聞きはしていたが、スコットランドで出会う年輩男性の「12年経っても辛い。とにかく「毎日毎日の積み重ね」しかない」という言葉。多くの人から聞く。誘惑から逃れられる時間は訪れない。人づきあいの中でどうしたってアルコールは出てくるだろう。想像を絶する苦しさ。
ロナは他に誰一人いないような離島の小屋で、フィールドワークや学問、つまり「知への依存(パンフより)」により、アルコール依存の恐怖を克服していく。その過程でロンドンの依存症時代の辛い思い出がフラッシュバックしていき、こちらは彼女の過去を知ることになる。いくつもの時制を行ったり来たりするが、そこでガイドになるのがロナの髪色。この髪色の時は、ああこうだったな…と思い起こすきっかけになる。
(依存症が)良くなってきた?と思うと過去話で辛くなる、の繰り返しが何度も続く。この構成は見応えがあるけど辛いところもあって、自分は多少時間が長く感じられた。そんな中で「果たしてこれ、一体どうやって終わらせるんだろう…」とずっと思っていたのだが…
最後のクライマックスがすごい。押し寄せる映像と音楽。自分でも驚く位感動した。
叶うことなら劇場でもう一度観たい。
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シアーシャ・ローナンの初プロデュース作ということで大期待していたが、裏切られない。何より、シアーシャの良さを存分に活かした傑作だ。 インタビューを読むと彼女は監督より製作側が好きなようだ。未だに女性のプロデュースは大変らしい。そのうち監督もやらないかな。グレタ・ガーウィグに続き、ドリュー・バリモアに続き、今後も素晴らしい作品を生み続けて欲しい。
タイトルは原題の『the OUTRUN』も意味を聞くととっても良いのだが、
(本来の意味「〜より早く走る」「〜を振り切る」に加え、オークニーやシェトランド諸島の方言で「農地を囲む牧草地」や「農地の外縁部」という意味もあるとか)
邦題の『おくびょうどりが歌う方へ』も日本らしいナイーヴさで好き。実際惹かれたし、この映画をよく表している。原題も邦題も納得できる良さ。ってあまりないかも。
本作はシネ・ウインドが『女性の休日』などと共に女性をエンパワメントするべく企画した「女たちの挽歌」シリーズの一作。上映は…嗚呼もう終わってる…駄目だ。感想は早く上げなきゃ。

