ゆうきまさみ『鉄腕バーディー(1)〜(7)』(小学館YSコミックス)。
ずっと昔、まだ学生の頃同じタイトルのマンガを読んだ憶えがあるのに、何故か最新刊が出てる。しかも「リメイク」とかの説明も皆無。「???」と思いながらネットで調べたら、やはり、以前中途半端で終わってた作品を作り直したモノだそうだ。何でだか知らないがリメイクだって事は、あまりおおっぴらには謳わない方針らしい。記憶の中の『鉄腕バーディー』は、決して面白かったと言えるモノではなかった。
しかし。作り直した方のコイツはオモロかった。夢中になってしまった。宇宙からテロリストを追ってやってきた巨乳刑事が、どこにでもいる男子高校生のカラダに乗り移ってしまうという、オタク向けとしてはもう3万回くらい同じような話が作られてるんじゃないか、もう設定だけならオイラ聞いただけでウンザリですよとゆうようなお話のはず、なのに。
そもそもの最初の設定が何だかその場しのぎ的で子供じみてるのに、そのテケトーに広げた(ように思える)フロシキを、一つ一つ実に丁寧に綺麗にたたんでいる。デザインから世界設定からストーリーから、かな〜り隙がないですよコレは。こおゆう話にありがちな世界観のインフレもうま〜いカンジで抑えつつその先のストーリーへと興味を繋ぐ。これスゴい。職人芸。
少し前に読んだ『じゃじゃ馬グルーミン★UP!』の「競馬」といい、今回の「SF美少女取り憑きモノ」といい、自分的にはもう絶対にありえない位に読まないジャンルなのだ。ソレをこんなに夢中にさせちゃうゆうきまさみ。スゴいよ。地味にスゴい。あんましゆうきまさみブームになっちゃってブックオフで『パトレイバー』豪華本をまとめ買いしちゃった。やっぱしコレもオモロい。
そうそう、昔現役で『少年サンデー』を買ってた頃のゆうきまさみの印象が、今と結構違うのは何でかなぁって思ったら、勿論歳のせいもあるけど、やっぱりゆうきまさみのマンガって、単行本でまとめて読まないとイマイチその良さが分からないんじゃないかって思った。ストーリーの流れがかなり長期に渡って地味〜に組まれてるんだよね。
週刊誌っぽくない。『パトレイバー』もスゴいね。こんなの週刊で読んでたら(読んでる方の)テンション続かないよ。『究極超人あ〜る』は『サンデー』で読んでた頃の印象がサイアクだったんで買ってないけど、単行本で読み直したらまた違うのかね。
とにかく丁寧なんだ。脇役も全然脇役じゃない。実際にちゃんと「ソコにいるヒト」のリアル感が伝わってくるセリフ。一回出てくるだけの工事現場のおっちゃんが、ちょっとだけ喋るそのセリフが「普通」なのだ。主人公達もリアルだ。決して(「マンガ的」に)あせらない。それぞれのペースで本当に生活を続けているように感じられる。絵が嫌いじゃなければ、フツーにマンガ好きだったら、SF好きだったら、オススメします『鉄腕バーディー』。
小学館 (2005/03/04)
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