小指『偶偶(たまたま)放浪記』(白水社)読み途中。
矢萩多聞さんの「本とこラジオ」に作者の方が出ていたのがきっかけ。
めっちゃめちゃ好き!!!!
漫画7割、エッセイ3割くらい(感覚)の旅行記。と言っても観光地的な行き先はどこにもなく、ふとしたきっかけ(寝過ごしとか笑)で訪れた、なんていうことの無い町が多い。
現実なのかどうか分からない位にファンタジックで、歴史の落とし穴に入ったようなまちを探検するレポート。すべての店が閉店しているかに見えるいにしえのアーケード街、その中でちゃんと営業していた、素敵な佇まい、素敵な看板の喫茶店。しかもとっても美味しい。趣を同じくする人なら1度はこういう経験をしたことがある筈。そんな話があったり、あまりの寂しさにせつなくなって帰ってきたり。
古い商店街や、地方の素敵な佇まいの看板に心躍り、でもやっぱりとうの昔に閉店したりしてる時の、あの身勝手なガッカリ感。でもそんな中で、たまに夢のように「まだやってるんだ!」てお店があった時の、あの高揚感。所詮よそ者が1回だけ…ていう罪悪感。いろいろ入り交じった気持ち。楽しいだけじゃなく切ないも含めて、1冊に詰まってる。
古モノ好きの自分にとって隅から隅まで好みドンピシャだし、小指さんが「行きたくなる・入りたくなる気持ち」がすごく自分と共通しているから気持ちいい。なんかこういう場所を見たり体験したりして残りの人生を過ごしたいとか夢見ちゃう。
書かれてる場所にはすべて行ってみたくなるね…(もう既になくなっている場所も結構あるけど)。
書籍は1800円と高価ですがボリューム・内容ともに後悔させない充実感。
panpanyaが好きな人は、あれの実話版を想像してもらいたい。
それ位夢と現実の境界線がゆらぎます。ぞくぞく楽しい一冊。
コメント