おそらく今年読んだ(読む)マンガ・ベスト5には入るんじゃないだろうか。夢中になって、あっとゆう間に読み終えました。
オレ的には「ロリータ漫画家」とゆう位の認識しかない同作家が、本職がイヤになり失踪して(妻子がいるのに!)ホームレスになったり、日雇い労働者になったり、連れ戻されたり、またマンガ界でガンバったり、でもアル中で死にかけ、病院で復活したりと、いちいちがシャレにならない日常記マンガ。シャレにならない内容ばかりだけど、そのドレもが常にシニカルな目線で描かれていて可笑しい。をかし悲しい。
読後感は花輪さんの刑務所モノに似てるけども、もっと悲しい。だってこっちは、明らかにダメ人間なんだもの。ダメ人間なのに、ソレを描く目線はキチンと客観的で、ソコがスゴいトコロ。
マンガ界の話では実名バンバンであの出版社はこうだった、あの作品は編集○○が作ったからオレのじゃない、あの作品はやる気ゼロだったと全部さらけ出し。
ホームレス時代の、盗んだ大根とゴミの使用済みサラダ油だけで暮らすトコロや、雪の中公園で寝てる描写は「スサマジイ」の一言。寒くて一週間ほとんど眠れないんだって。なんで生きてるんだ?と不思議に思えます。
失踪時の「逃げ出し」ぶりもそうだし、日雇い労働時の人間関係でも見え隠れするのが、彼のクリエイターとしてのプライドとか強情さ、なんだけど、そこらへんの「モノを作る事たるやこんなにツラいのだ」的悩みをあんまり表にグチグチ出しすぎてないのも、気持ち良く読める原因じゃないのかな。押し付けがましくないってゆうか。
カバーの裏に載ってる「隠しインタビュー」より
–失踪するときって、奥さんに断ったりされたんですか?
(吾妻)いや、黙って出ていった(笑)。すごく怒られましたね。似たような人相の死体が出たとかで、心配したって。最初の失踪では「タバコ買ってくる」って出ていって、二回目の時は…なんかフラっと出ていって、それっきりだったような気がするな。
イースト・プレス (2005/03)
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