岩本ナオ『町でうわさの天狗の子』全12巻読了。
半分以上はダラダラふわふわな高校生の恋愛物語。それが後半になって一気にファンタジーアクション大作へ。しかもクライマックスにあのネタまであるとは。恐れ入りました。先に読み終えてた長女に「11、12巻が凄すぎる」と聞いていたんだけど、本当に泣ける展開だった。大満足のラスト。
マンガの善し悪しに画の「上手さ」は関係ないという良いテキストにもなると思う。この作家さんはアクションの描き方も決して上手ではない。だけど、見せゴマのレイアウトと外連味溢れるネーム運びがとても「上手い」。クライマックスの大感動はこうして練り込まれた構成で生まれてくるのだと思う。
次は『雨無村役場産業課兼観光係』を読み始めた。地方の公務員が主役というこれも面白い設定。
岩本ナオ『スケルトン イン ザ クローゼット』読了。Yちゃんがどっかでお薦めしてた本だけど、すげえ良かった。中高生の恋愛モノオンリー短編集。最近ではほとんど手を出さないジャンルかも。
『雨無村役場…』はちょっとこなれてない所があって消化不良気味だったけど、単行本デビュー作のこっちのが断然好き。『金の国 水の国』とコレで岩本ナオ作品のTOP2になりました。ああ幸せであった。
登場人物もかなり共通していたり、そうでなくてもシチュエーション(おさなじみ、友達の妹など)や人格が似てたり、ストーリーの顛末も同じような話が多いのだけど、そこがいい。安心してどっぷりと浸かることができる。
なんとなく『ぶ〜け』の耕野裕子作品を読んでいた頃を思い出した。『ぶ〜け』だともう一つ何かトゲやパンチが必要だけど、あの心地良さは、本当に良かったんだよね〜
(しかしこの表紙デザインはなぁ…作品の魅力を全然表現できてないと思うぞ。うーむ)
田中圭一『うつヌケ』読了。
これは売れると思う。いがまっとうで、実際に助けとなるにはどうすれば良いかという客観的視点も優れていいて(編集者もうつヌケ経験者で登場人物の一人)、さまざまに違う経験者の話を多様に紹介し、言い切らず当事者に寄り添う姿勢が吾妻ひでおのアル中•失踪モノの、あの優しさを思わせる。