『ラ・ラ・ランド』字幕を公開初日の夜にシネコンで鑑賞。6〜7割は入ってたかな?
圧倒的に絶賛されてる前評判のことを思い出すと「え?これってそんな作品?」と思っちゃうけど、フラットな気分で観れば純粋に「ああ!いい映画だった!」という感想。
ベタな恋愛ストーリーにこれまたベタなミュージカルシーンを乗せてる映画なので、「ミュージカル?ちょっとなぁ…」という人はどうかと思う。だけど、そのベタの内容が、クオリティが、演技が歌が踊りが衣装が作曲が素晴らしい。メインテーマと劇伴全体で使われる共通の旋律が二つあるんだけど、それがどちらもほんと良くて、何回も何回もサントラを聴き直しちゃう(映画に行った帰り道にサントラが聴けるのがAppleMusicの素晴らしいところ)。
撮影は35ミリフィルム(冒頭でシネマスコープの表示が出るところの仕組み最高!)。CGは極力使わず、長回しで魅せるミュージカルシークエンス。そのいくつかはアフレコではなく同録を使っていて、より「自然」な演技を指向している。ということを知らないと、普通に「どうせこれCGなんだろうな…」と思いがちで勿体ないかも知れない。
でも一方で思う。たとえこういった面倒なアナログ手法や同録のことを知らなくとも、それらの苦労は映画全体の基礎力というか地の力というか、そういった地盤へと確実に染み渡り、一種の魔法のように我々の気分に作用して、高揚させているんじゃないかと。
監督の夢は古き佳きミュージカル映画の復興。脚本や演出は現代に合わせブラッシュアップさせつつ、技法は原点回帰。この方法と絶妙なバランス感覚によって、確かにこのジャンルに何の思い入れもない俺でも、「ミュージカル、すごいじゃん」と思わせられてしまった。
エマ・ストーンの、時にCLARA Cを思わせるハスキーボイスがとてもいい。ライアン・ゴズリングは歌はまぁアレだけど、ジャズピアノの吹き替えを拒み3ヶ月の猛特訓で自ら弾いたという話は驚愕。俳優は時にこうゆう奇跡を起こすね。
ところで。
「これは良さそう」と思う映画は、できる限り早く観に行けるように今後も努力しようと思う。ネタバレを気にする期間も極力短くなるし、行きそびれた挙げ句、周りで盛り上がり過ぎて行きづらくなるなんてこともない。とにかく最初に観ちゃった方がスッキリする。
以下ネタバレ&言いたいことなど。
●始まった直後のミュージカルシーンが圧巻。その後もしばらくご機嫌なシーンが続くので、どうしても後半がパワーダウン気味に感じちゃった。
●前半のオーディションで携帯電話の演技をしている時に邪魔が入るシーン。エマの演技がすごく良かったな。「<演技が中断される>という演技」をするエマのことを思って一瞬メタ目線になったり。やっぱり演技ってとんでもないと思わされたり、色んな意味で印象深い。
●天文台のあのシーンはさすがにちょっと…あまりにもあまりでちょっとひいたなぁ。
●最後の最後に「あったかも知れない理想の未来」がだだだっと流れるのには弱い。グッと来る。またまた『サウダーヂ』思い出しちゃう。
●予告編には意図的にこの「妄想走馬燈」内のカットがいくつも挿入されている!これについてとても感慨深かった感想がTwitterにあったので引用させていただきます。
「予告編を観て「きっと最後には二人が夢を叶え、きらびやかなハッピーエンドが待ってるだろう」と漠然と期待して物語を追っていた観客は、このクライマックスを目にして主人公二人と同じようにうろたえ、喪失感を噛みしめることになる。
しかしこの痛みを観客がセブ&エマと共有するからこそ、夢を叶えた二人が、戦友に向けたような眼差しとともに、笑顔を交わし合うあのラストが、ここまで強く観客を勇気づけ、胸を射つのだと思う。 」
〜@ikazombieさんのTweetより。
もう一回、映画館で観たい。
#ララランド
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