若松英輔『悲しみの秘義』読了。
文章としてはおそらく1〜2時間程度で読め終える量なんだけど、本当に読むには随分と時間のかかる本だった。いちいち咀嚼に時間をかけたくなるので、一気に読み切ることができない。しかも途中どこかに行方不明になっていて(私あるある)、結局ここまで1ヶ月くらい経った。途中北書店で上越出身の作者による読書会もあったが、恐れ多くて行けなかった。
作家が自分と2歳しか違わないと知った時も驚きだったが、終盤に衝撃の事実が判明。その瞬間に、作家がこの連載を物した理由を理解し、打ちのめされる。「書く」ことと「想い」の関係を痛烈に、しかし直接的でなく、優しく伝えてくれた一冊。
村田沙耶香『コンビニ人間』読了。
きっとこの本は一箱古本市でYさん(「本と雑談ラジオ」好き)が出すだろうから待っておこう。と思ってたら本当に出してたのでまんまとゲット。となりの『ちくま』は、ラジオで紹介されていた村田さんのおかしなコラムが掲載されている号。至れり尽くせりだ!
『コンビニ人間』についてはぜひ枡野浩一&古泉智浩「本と雑談ラジオ」第14回を聞いて欲しい!ポッドキャスト配信もやってます。すごく読みたくなるよ。本も面白いけど、これ読むとラジオが一層面白く聴ける。とあるおかしな男女の行動を通じて、「おかしくない」はずの、その他大勢の我々のふるまいのおかしさを見事に!あぶり出していく。その表現のオリジナリティときたら!
ちくまのコラムも面白かった。高校時代に同級生2人と先生3人の見分けがつかなかったとか、仲良くなりたいと思っていた女の子が、実は別のクラスだったことにある日気付くとか。怖い物見たさも含めながら村田さん、もっと知りたくなる。ラジオにでも出てるらしいので今度探してみよう。
『コンビニ人間』は大体二時間ほどで読めます。
岸政彦さんが小説を出していたなんて知らなかった。
うん、期待通りといえば期待通り。かなり入ってくるものがあったし忘れられないし、岸さんでしかできないような組立だと思うし、すごく映画的。でももう一つ、欲しかったなぁ。