『海街diary(6)』

最初から最後まですべて隙無しに大好き。前半のお仕事漫画的な要素とお姉さん達のベテランぶりと悩みと恋(ウブじゃ無い)が一緒になって一つ一つ確かに進められていく様は見事としかいいようがない。

取材した内容をストーリーに織り交ぜる手腕、のことをいつも思う。特に「業界モノ」と言われるような漫画は「取材しました感」満載で、ひどいのになると主人公がその業界を舞台にして、まるで陳腐なテレビドラマのごとく演じさせられているかのように見える作品も多い。要するにストーリーやキャラクターの血肉にできてないか、そうする気がないか、なんだろうと思う。ネタがあれば良いと。(それを売りにして笑いをとる佐々木倫子さんのような作風も結構あるし)

『海街diary』の4姉妹は、それぞれ病院、信用金庫、スポーツショップ、中学生と、ばらばらの「業界」で生きる女性達だ。その、それぞれが生きる舞台の、業界の、会社生活の、大切な芯が、作品のテーマと見事に合わさって、心にぐっとくる台詞に繋がっていく。背景の書き込みが納得できるものだからこそ、その決め台詞で「ぐっとくる」訳だ。恋愛オンリーモノが苦手と公言してる自分も、こんな世界の描かれ方の中での恋愛は、どれこれもきゅんとくる(笑)。台詞の一つ一つにも説得力があり、残る。

取材した内容を上手く活かせてない例って山ほど思いつくんだけど(こないだ観た『ばしゃ馬さんとビッグマウス(→感想)』の主人公女ライターもきっと上手く書けない人のまんま典型だ)、上手くいってる例って記憶にない。理由は簡単で、そんなこと意識されないから「上手い」ってことなんだ。でもそこで敢えて考えてみると、『海街diary』なんて「取材結果を血肉にしている」顕著な例だと思った。

本当のところは知らないけど(全部筆者の実体験だったり取材してなかったり)。

いよいよ映画化するらしい。キャストはまるでポッキー姉妹のようなラインナップだし特にボーイッシュな三女チカが夏帆ってなぁ…。アフロにしてくれるんだろうね…。是枝監督ですので原作とは違った魅力を引き出してくれることを期待します。特にこの6巻読んで、この台詞・啖呵の気持ち良さって絶対漫画にはかなわないだろうな、って思った。だけど別の可能性はいくらでもあるしね。このキャストで…素晴らしい作品を撮ってください!

前回の海街diaryの感想へ

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1999年のWEB日記時代から始めた個人サイト。ブログ移行にあたって過去記事も抜粋してアーカイブしています。
(HTMLサイト→SereneBachブログ→WORDPRESSブログと転移)

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