昨年、ニイガタブックライト関連イベントとして内野で開催した安達茉莉子さんのトーク、そのとき会場に生まれた一体感や「出会えた」感が忘れられない。あの時間の余韻が、ずっと自分の中で続いていた気がする。
そのせいか、今年のブックライト関連イベントは自然と、フェミニズムをテーマにした内容にしたいと考えるようになっていた。
フェミニズム——この言葉だけで、強いイメージや反感、アクティビスト、一部の女性だけのもの……みたいな印象を抱く人もいるかもしれない。それくらい、歴史の中で何度も揉まれ、翻弄されてきた言葉だから。
でも今の自分の中で、フェミニズムは「世界の成り立ちを知るために欠かせないキーワード 」だと感じている。もしくは「皆が生きやすい多様性を、世界に担保するために欠かせない考え方 」か。
完全に内面化された家父長制の影響に気付かないまま、大人になっても中年になっても、ずっと生きづらさに苦しんでいる人たちを身近に見てきた。先輩や書籍のおかげで「自分が原因なのではなく、システムが原因だ」と気付けた後の解放も。
そう、この「解放」こそが自分にとってのフェミニズムだったし、安達さんのラジオや、あの内野での温度と、どこか繋がっているようにも感じた。だから今年のテーマも、自然にここに辿り着いたんだと思う。
そこに昨年登場したのが『虎に翼 』だった。主催した「とらつばナイト」の解放感も忘れられない。自分は生来「壁をなくす」「壁が無い」状態を求めるマインドが強いのだということに、昨年少し気付き、自覚的になった。
周りにフェミニズムの話をすると、差別に「気付かせない」仕組み こそが、お互いの対立や誤解・差別感情を増幅させていることに気付く。そのせいで、フェミニズム自体が争論の対象になってしまうような、不幸な歴史も読んだ。
こういった話は、今自分達の周りで安易に行っても、人によって受け取り方が変わってくることがあるし、場合によっては対話がかえってお互いを傷つけてしまうことさえあるかも知れない。
だから、
どういうスタンスで、どういった人に向けてイベントを行うか、ということがとても大切なのだと思う。
今年の企画・方向付けについて、昨年のトークの企画者でもある @imoueeeee と、いつも関連する話題で話すことが多い @ruth_blackett_ に相談し、一緒に考えていた。取りようによってはセンシティブなテーマを、安心して話せる相手や場があるというのはどれだけ幸せなんだろうと、時間を持つたびに思う。
そんなこんなでいろいろアイデアを出していた中…
最近読んだ『あなたのフェミはどこから?』(平凡社)が、素晴らしい一冊だった。職業も立場も年齢も経験もさまざまな19人の男女が、自らがはじめて「フェミニズム」を意識し、出会った体験を語っている。どの語りもとても印象深くて、でも同時にとても個人的で、その人自身の感覚や出来事だからこそ、どうこう言う余地なんてない。これだ、と思った。どこか「医学町ビルナイト」の、(まるで生活史のような)自己紹介聞き取り体験にも似ていた。読んでいるうちに自分も語りたくなった。感想も話したい。
この本をテーマ・入り口にして話すのは、今回のイベントに良さそうだし、いくつかの懸念も払拭できそう、と昨晩2人に聞いてみた。
開催詳細はまた追って告知します。興味ある方はぜひ本も読んでみてください。書籍を買うのが少しハードルが高かったら、「ウエブ平凡」というサイトでも内容の多くが読めますので、そちらでもぜひ。
イベントは、6/7(土)日中に開催予定です。
人数は少なめになりそうですが、できるだけあたたかく、安心して言葉を交わせる時間にしたいと思っています。