『宇宙兄弟』の一番の魅力は「ちゃんと才能のある人達がまっとうに努力をしてまっとうに報われる話」をとことん丁寧に描いている、ということだと思う。
この巻数でいまだにこのクオリティ。ありえない。むしろここからクライマックスに向かって進んでいくカンジに思える。22巻から読み返しても、何度涙ぐんだか分からない。そして打ち上げシーンでは頭の中にあのオネアミスのBGMが鳴り響いていました。
→小山氏の作中アイデアのすごさについて前回書いた記事
そうそう、中で出てくるロゴやポスターのデザインがちゃんとしてるのも好感。こういうところでどっちらけたりするんで、作家じゃなくてちゃんとデザイナーに頼まないと明らかに違和感が出てきてしまう。小山氏本人がデザインやっている、という可能性もなくはないけど(だとしたらすげえけど)、まずないでしょう。編集さんだけの考えでもダメだろうし、恐らく本人の希望か。
※ちなみに妻はこれまであさりちゃん程度の漫画しか読まない(他書籍も一切読まない)ような人だったにもかかわらず、結婚してから自分の蔵書(少年青年少女OLファンタジーBLまで…)をすべて読破したのだが、恐らく一番ハマったのが『宇宙兄弟』ではないかと思う。
期待通りの面白さ。そして赤ちゃん&育児漫画好きの長女のお気に入りになるのは間違い無し。全部買う。 『ペコロスの母に会いにいく』
大傑作。今年10本の指に入ること間違いなし。かわいくヘタウマな絵柄とは裏腹な技術力の高さ、頃合いを見計らうセンス、構成の技術に恐れ入るばかり。ずっと持っていたい1冊(親のボケに備えて)。 『ナガサレール イエタテール』
これもすごい1冊だった。東村アキコさんのような類い稀なギャグセンスを持った漫画家が、3.11と親の癌と祖母の認知症に一気に出会いどんなレポートを残すのか。プロ根性に涙が出る。初版のみ著名漫画家数人による応援イラストがついているが、その絶賛ぶりも納得の面白さ。 『もやしもん(13)』
完結した。時に泣いた。以前のレビューで「恋愛がメインでない大学生モノにぐっとくる」と書いたけど、最後は色んなカップルのアレをほのめかすシーンも多い。だけど決してそれありきじゃないんだよね。ハチクロだってそうだったと思う。あれもこれも、shiroの中では広義の「仕事マンガ」なんだよな。
最後は急にファンタジーだったけど、ファンタジーそもそも大好きだし、「あ、そう言えば『純潔のマリア』の人なんだもんな〜」と今さらながらに思ったりしたのが自分で面白い。10年弱、お見事な展開と締めでした。ありがとうございます!