久しぶりに吉田秋生『櫻の園』再読。『吉祥天女』や『河よりも長くゆるやかに』と合わせ高校時代本当に好きだった作品。時代感というか「恋愛観」の違いが気になって、最初は正直「あれ?」という感じだったのだけど中盤からその違和感も消えた。思うに吉田さんは男性の描写はものすごくリアルなくせに(最初は男性作家さんだと思ってた位)、女性の描写って時にファンタジー、というかお花畑なところがあって、そこがぐっと来たりするんだけども、こんな風に後から読むと気になる時もあるんだろうな。前半のヤる・ヤらないの話が終わり演劇部の部長の話になった辺りからはあの頃と同じ気持ちに戻っていた。やっぱり傑作や。
再読したのは、最近とあるBLをオススメされ読んで、自分は「恋愛が中心の物語は、ジャンルを問わず読まない」と思っていたんだけど、果たして本当にそうなのか、と疑問に思ったから。この大好きな『櫻の園』は(ヘテロも同性もあれど)普通に「恋愛が中心の物語」だろうに、何故?そんなことを再確認してみようと思って。で、なんとなく分かったのは「恋愛を『目的にしている』人」の物語に興味がないんだな、ということだった。何をしていようが否応なく割り込んでくる避けがたい感情、そういうものを描いた話は好きだけど、そこを目的にしている人達のお話には、興味が湧かない。ま、どーでもいいことなんですけど。
並んでいる藤田貴美の短編集『ご主人様に甘いりんごのお菓子(1)』。これ、分かってくれる人にはすぐ分かるんだけど(というかこないだTwitterでフォローしている人がこのこと書いててめちゃ嬉しくなった)、最後に女学校の社交ダンス部(演劇部だと思ってたら違った)を舞台にしためっちゃ好きな短編があるんですよ。ホント恋愛の話でしかない。だけどすべてのコマが愛おしい。櫻の園とルックは全然違うけど、櫻の園を読んだ後に読みたくなる作品です。改めて読むと足の描写がすごくて、作者もあとがきで「作ってても描いてても楽しかったですね。特に足」と呟いてた。藤田貴美の描く顔や身体のラインがすごく好き。と話がとめどなくなるのでこの辺で。
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