矢口史靖監督は『WOOD JOB!』が素晴らしくてもはや自分の中でブランド化しかけており、今回も設定聞いただけでコレは!と思い速攻行きました。お奨めです。なのに…レイトで行ったら貸切だったよ…皆観た方がいいって…。
ある日東京で、すべての電化製品が突如動かなくなる。原因は分からない。車もバッテリーが動かない。電池も不可。他の地域がどうなっているかも、勿論分からない。超不自由生活に加えどんどん食べ物がなくなる中、小日向文世の一家は、自転車で西へ向かうことを決意する…。
矢口監督の新作、という期待感で行くと結構シリアスなディザスタームービーなので驚くかも。笑えるところも勿論あるけど、サバイバル能力に決定的に欠ける劇中のお父さんを観て、親父たちは我が身を省みて笑うに笑えなかったりです。その頃合いが最高。
お父さんに限らずファミリーあるあるが詰め込まれているので、どんな立場の人でも自分ちに照らし合わせて楽しむことができると思う。どきどきが続くけど、最後には気持ち良い気分で帰れること保証します。ちなみに妻は5歳次女と観に行ったけど最後まで飽きずに楽しめたそうだ。観た後妻ともめっちゃ話が盛り上がった。
兄妹2人の演技がとても良い!お母さん役の深津絵里はもう言わずもがな。「深津絵里が出ていたら2割増し」というのは私の昔からの持論です。途中で出てくる時任三郎や藤原紀香のイライラっぷり、でもぐうの音も出ないところとか、ほんとイイ。
あと矢口監督って女性をすごく魅力的に撮る。化粧して美しくて、じゃなく本質を映し出すような綺麗さ。今回もそうだし、『WOODJJOB!』の長澤まさみもすごく良かった。
ラジオで監督が撮影裏話をしていたのだけど、実際に自分達で歩いて体験したことからエピソードを組立ているそうです。
以下はちょっとネタバレ含みますのでアレな人は読まないで。
【ネタバレ】
劇中に出てくる水族館、あれは関西の色んな水族館に問い合わせてどこも撮影を断られたんだけど、神戸の須磨海浜水族園だけがOKしてくれた。「我々は阪神大震災の時も被災者を宿泊させていたし、次またあんなことがあれば、劇中のように(魚を料理して食べさせる)ことだって、きっとやるから」という理由で受けてくれたそう。大事なのはこういうことだと思うんだ。電気がなく何もできないのに、会社を休みにすることに延々文句を言う主人公とか、ホント良くいるよね〜。大事なことを判断できない。それこそがサバイバル能力なのに。
途中の深津絵里のセリフ「お父さんはそういう人なんだから!」がとにかく最高。小日向父さんは最後まで何一つ役に立たないのだけど、「それはそういうものとして」我々も最後には愛せるようになっちゃう。小日向さんだからだよ、と妻は言ってたけど、脚本・演出すごいなぁ。
妹が最初LINEのやり取りでうんざりしていて、電気停止後に教室に入らなくなるくだりとか、弟のいざという時のしっかりぶりとかすごく気持ちいいよね。バッテリー補充液のエピソードは、実際に監督達が飲んでみて「腹を壊さなかったら映画に使おう」ということだったんだって。この映画観た俺たちだけが生き残るぜ!(笑)
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