瀬尾まいこ『ありか』(水鈴社)読了。
20代シングルマザーの美空と、別れた夫の弟(義弟)颯斗との、子育てを通した家族関係。
美空の母が完全なる毒親。
母の呪縛からまったく抜けられない美空の思考にも、毒親の言動にもイライラさせられるが(身近に覚えがあるので)、それは意外と本題ではないので読み続けられる。
色々大変なことはあれど、小さな娘の子育て、その喜びについて、すごく細かいところまで丁寧に描かれてて。「こんないい子いる訳ないよ〜」と思いかけたのだけど。違う。皆違ってるんだよな。うちの子はうちの子で、他から見たらちょっと信じられないところがイイ子だったり可愛かったりする。そういうもん。だからこんな素敵な子もきっと他では普通だったりするんだろう。
なんてほんやらムードでずっと読んでたら、終盤のクライマックスでいきなりどうしようもなく泣かされて。それが美容院で読んでたもんだから困ってしまった。きっと気付かれちゃったと思う。
別れた夫の弟・颯斗はゲイであることに悩んできた。そう、全然キャラも話も違うけど映画『ラブ・イン・ザ・ビッグシティ』にもちょっと通じるのよ。
※Spotify「ウチらがエンタメ語って光になるまで」の『ラブ・イン・ザ…』回が超いいマジいいので映画観た人はぜひ聴いて欲しい。
そして今作はフェミ小説としても傑作。先日の『寝ころんで話そう「私のフェミはここから」』でも出て来た話があちこちに。
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