NHKドラマ『ひとりでしにたい』感想

NHKドラマ『ひとりでしにたい』が先日完結した。全6話。
脚本:大森美香(『眩〜北斎の娘〜』『あさが来た』)

原作はカレー沢薫の傑作コミック。生涯独身で孤独死した叔母の遺品からバイブが出てきて始まる1巻は、いかにもなウケを狙ってる感あって全然好きなじゃないんだけど、2巻以降がすごい。バリバリのギャグ漫画でありながら、そこに描かれる終活問題、というか「どうやって生きてく問題」の切れ味の鋭さが凄まじくて、問答無用にただ実用書としてお薦めしたい位。カレー沢薫、マジ底知れない。

さてドラマだが…。
まず綾瀬はるか主演でギャグテイストって時点で、観続けるのにやや忍耐力が強いられる。彼女は良くこういう主役に抜擢されるけど、コメディエンヌ向いているの?とはいつも思う。

さらに「アラフォーで婚活を考えるがマッチングアプリでも世間的需要はなく…」という役に、彼女のルックは甚だ説得力に欠ける。さらに原作の「1巻イマイチ問題」も加わって…。

しかしそこは『虎に翼』の尾崎裕和氏が共同Pで入っているのだから…と無理矢理2話以降も観てみると、いやこれちょっとすごい。

原作の切れ味をそのままドラマに移している感じ。またここで描かれる恋愛事情がまじですごくて、アロマンティックぽい匂わせも無しに、恋愛観や結婚観、お互いの家族問題や男女駆け引きの話をこれでもかと赤裸々に出してきて(だけどいわゆる恋愛ドロドロモノとは違い、生理的なイヤ感は無い)、全6話だけどまぁ詰め込みまくって終わる。

実はずっと(これ伊藤沙莉が主役だったら最高傑作だったんじゃね…?)と内心思いながら観ていたが、最後6話近くなって、綾瀬はるかのこの演技力だからこそ浮き出てくるのもあるのでは…とさえ思えてくるから不思議。ただの勘違いかもしれないが。

原作にある「母娘がラップバトルで言い合う」シーンは、カレー沢氏の作品だから成り立つ「マンガ」シーンだと思っていたが、まさかの実写再現。綾瀬はるかと松坂慶子がラップバトルしている。しかも面白い。これだけでも素晴らしいぞ。

前に投稿した『地方女子たちの選択』にも繋がる、家父長制の辛さをサバイブする様々なメソッドや考え方が、綾瀬はるかによって理路整然と、淡々と、早口で語られる。「地デジドラマでこんなセリフが!」という違和感と喜び、不思議な気持ちよさ。

異例な男女関係繋がりで言えば2022年のNHKドラマ『恋せぬふたり』も思い出す(尾崎Pと吉田恵里香脚本)。

綾瀬はるかはあの調子でずっと、なのだが、最終回後半にいきなり静かな無言長回しが入るのも良かった。

他に観た人いたら感想聞かせて欲しいです。

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