富川岳・新刊『シシになる 遠野異界探訪記』発刊記念トークショーin長岡

2025.10.10(金)夜、
富川岳さん新刊『シシになる 遠野異界探訪記』発刊記念トークショーin長岡、とっても良かった。

2時間あっという間で、後半の聞き手のmaison de たびのそら屋オーナー:さ和さん(亡くなった橋本桂子に紹介してもらった呑み友)の進行ぶりもとっても良くて、長岡ならでは、地元ならではの話もあって。


会場は長岡「割烹・仕出し 富川屋」の1室で行われたのだが行ってみてびっくり。「maison de たびのそら屋」さんのお向かい。そこが筆者のご実家なのだ。歴史の感じられる建物で、入り口から玄関から、既に雰囲気がとてもいい。

30人くらい?で会場は満室だった。質問やその後の話から察するに、市役所経由のまちづくりに関わる方たちが結構いらっしゃって、あとはそら屋経由のお客さん、そしてデザイナー系?近所の方?なのかな。

今回会費が1500円で「軽食つき」とあったので、自分なんかは絶対途中でお腹空くと思い直前に晩ご飯をがっつり食べて向かったのだけど、席にはそこそこのお弁当クラスが置いてあって驚く。

これ、シンプルな内容ながら一品一品がすべて美味しい。鮭の味噌焼きと鶏唐、卵焼き、ゼンマイとこんにゃくを煮しめたのに、野沢菜のような漬物、鱈子のおにぎり。おかずがみな「冷めても美味しい」味」なんだよね。お腹一杯なのに、ちょいちょいつまんでいたら結局完食。

この御弁当、富川さんのご両親がつくったもの。富川さんも「軽いつまみでいいから」と言ってたのにちゃんとしたボリュームになっていて驚いたそう。甘い味噌焼きをつまみながらこの話聞いてるだけでもうぐっときちゃう。

トークの話。当初まったく乗り気でなかった遠野への移住から、いつの間にかシシになって踊っている今に至るまでの経緯。内なる野生、魂を取り戻す「踊り」の力。「Reboot Folklore」を掲げ、彼は何を継いで何を再起動するのか。以下は主に質疑でメモしたポイント。著作に書かれていることは省きます。

●AIのせいで、より考えず人が只の箱になりつつある現代。「踊る」「書く」ことから、ヒトで居続けるため・ヒトらしさを取り戻すための活動、なのかも知れない。

●このような課題を扱う時に、「保存」「継承」という言葉が前面に出ちゃったら、誰も継ごうとは思わないだろう。「保存しなきゃ」ではじまったら無理。当事者・現役世代が楽しむことの大切さ。

●もともとシシ踊りも、その時代時代のさまざまな良さを他から取り入れ変わっていった筈。自分が今やっているシシ踊り×アートや音楽との融合も、それと同じことで、ピュアだと思っている。

●踊りの際に魂が乗り移るトリガーは、
「衣装(息しにくい・仮面)」と
「太鼓(鼓舞するの言葉通り)」。
(これは、体験してみたいなぁ)

●県外研修を取り入れたことで「外部から褒められる体験」づくり。

●まずは自分が地元に入り、時間をかけてやること。それが大前提。

何故このような活動をやっているのか?という質問に、「今の時代に大切なことだと体感できたからこそ、知って欲しくて」というように答えられていた。

それを聞いて、結局彼は、遠野物語の「震撼せしめよ」という使命を継いでいるのではないのかな、と思った。
=良さを伝えよ。という形で。

遠野の良さを、平地=「今の世」に知らしめる気持ち。
伝統を、地域の循環の中で次へ継いでいく仕組みづくり。

そういった課題を、恐らく書かれてはいない相当大変なアレコレの中で進められてきたのではと思う。

矢萩多聞さんの本とこラジオで富川さんが出た回がとても印象的で興味を持っていたのだけど、『シシになる』を読んでみたら、とんでもない本でした。

以前SANJO PUBLISHINGでのトークはタイミングが合わなかったのだが、今回ご実家という特別な場で参加できて良かった。参加の方とも色々話して、そら屋さんのファンのお話を聞いたりできたのも良い体験。きっと長岡編は地元の方が大勢かと思いきや、三条や見附からもいらしていたみたい。実家長岡編、行けて良かったです。

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