映画版『グーグーだって猫である』★★☆☆☆

車で、レンタルDVD。
公開前はすごく楽しみにしていた覚えがあります。『ジョゼ』『メゾン・ド・ヒミコ』の監督に、細野晴臣の音楽ですから!

で、観てみたのですけどもね。

「野良猫無限増殖&ガン闘病マンガ」
が、
「吉祥寺オシャレ少女マンガ家の恋愛映画」
になってますたヨ!

↓以下ネタバレ感想です。


.
自分は原作と映画を別物として割り切って見れる方だと思うのだけど、この映画だけはちょっと違った。何故かとゆうと、大島マンガを実際に劇中に登場させていて(しかも結構な頻度で!)セリフまで引用していたりする上に、それを書いた大島先生が主人公な訳でしょ。「このマンガを描いた大島先生は、知り合ったばかりの加瀬亮を酔っぱらった揚げ句自分の部屋に入れたりしねーよ!」とか。あのマンガ引用がね、原作と映画の分割を許さなかったですよ。

しっかし予告編で加瀬亮が出てるのを観たときには、まさか彼が大島先生の恋の相手役だなんて!夢の夢にも思いませんでした。

結局この監督(プロデューサー)が『グーグー…』を映画化したのは、「吉祥寺」で「少女マンガ家」で「猫」ってそれだけの理由じゃねぇ?と。どんなに贔屓目に観てもねぇ。そんな感じ。だから全く別物のフワフワオシャレ系恋愛映画として観れば…いやでも厳しいだろ。いかにもな吉祥寺ガイドもちょっとどうなんだアレ。懐かしかったけどさ。何か作ってる人の「ほら、お前ら吉祥寺ってこんなんやっとけば喜ぶんダロ?」的なテキトーさを感じなくもないスよ。特別協賛の「ニャンとも清潔トイレ」はあまりにあからさま過ぎウザ過ぎで、ハッキリ言ってイメージダウンになりかねんでしょう。

だけど、死んだサバが人になって会いに来る所で、ちょっと目が覚めた。サバが女?ってのは置いといてね(笑)。あのビジュアルは、ちょっとぐっと来た。大島先生が自分より大きなサバをぎゅっと抱きしめる絵ってさ、マンガでお馴染のあのシーンですよ。そのせいか分からんけど、あ、監督もちょっとは大島作品のよいトコ取り入れてんじゃん!みたいな(笑)。

あと樹理ちゃんが大島作品を褒めたりする所はちょっとじぃんとするんだけど、良く考えたら実際には何も説明してなかったり。例えばこの映画見て大島作品読もうって気持ちになる人、いないと思う。でアレ、大島先生の幼少時代の話とかビックリした。何なんだろ。そもそも彼女が田舎出身とか聞いた事ないんだけど。イキナリ『天然コケッコー』みたいな世界が出てきてさ(笑)。オレが知らないだけかも知れないけど、もしあの幼少時代が映画オリジナルだとしたら、ちょっとひどいなって思う。ベタ過ぎ。

ついでにがっかりしたのは細野音楽の使い方。歌の使い方、全然イマイチ。あーもうせっかくイイ曲なのにねぇ。楳図さんのさむいギャグとかどーしよーもないし(何であんなの入れちゃう?)、猫の会話を「きゅるっきゅるっ」みたいな擬音で表現してたのもオレ的にはちょっとイマイチ…。

原作は大島さんと猫達が主人公ですが、この映画では猫はただ画面を飾る1アイテムに過ぎません。

小泉今日子は良かったね!そして大島さんだと言われればそう思えなくもない。だけどストーリーのせいで「違うよ!」の突っ込み通し…。

つまりですね、大島さんの『グーグー』の良さも特徴も、何一つ取り入れてない映画だっちゅうことです。象の花子さんとかサバの扱い方とか、リスペクトは感じられる…気はします。あと雰囲気はとても良いです。BGVとかで流していたい。
★★☆☆☆

勉強になったこと。「サバ」は最初にアクセントがくるんだね。魚の「サバ」とおんなじ呼び方していました。

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サバといい、ゆずといい、長年マンガで読んでいた猫の死を初めて読んだ時は、本当に自分の飼い猫のことのように泣けてしまったものです。

長い長いさんぽ  ビームコミックス
須藤 真澄
エンターブレイン
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