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Netflixドラマ『舞妓さんちのまかないさん』感想

Netflixオリジナルドラマ『舞妓さんちのまかないさん』
5話まで鑑賞(全9話)。
原作は未読。

総合演出:是枝裕和
企画:川村元気
監督・脚本・演出・編集:津野愛(分福)、奥山大史、佐藤快磨他
脚本:砂田麻美(分福)他
音楽:菅野よう子

待ち構えていたシリーズがいよいよ配信開始。是枝監督率いる分福所属の人達がかなり関わっているよう。(以前の『マイスモールランド』の監督も分福所属)

期待以上のクオリティだった。

通しての空気感がすごくいい。大きな事件もきっと起こらない静かなドラマだけど、やめられない。そしてずっと観ていたい。大好きな是枝監督の『海街diary』、あれもずっとやっていて欲しいやつだった。似ている。

(海街は姉妹だけのお花畑ユートピア感があまりに非現実的で、しらけちゃうって女性がいたけど、だから今作もそんな印象を持つ人がいるのかも?)

菅野よう子の劇伴が海街と最初すごく似ていて、海街のサントラを未だに聴いてる自分は「あれ?使い回し…?」と一瞬思ったほど笑

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第一話。

今まで見たことのないような豪華キャストのつるべ打ちと、「ドラマ」枠を遙かに超えたルックの凄さに圧倒されて、すぐには満喫できない。落ち着かない。キャラ新登場のたびに「ええ!」「この人!」「この人まで!まじか!」と好きな人が次々に登場して、驚いてばかり。

これはつい最近味わったばかりの気持ち…
是枝監督の『ベイビー・ブローカー』を観た時のあれだ。

好きなキャストをざっと挙げただけでも…

森七菜
蒔田彩珠
松岡茉優
橋本愛
常盤貴子
福地桃子
前田航基
井浦新
森崎ウィン
リリーフランキー
尾美としのり
古舘寛治
白石加代子

もちろんただ配されてるなんて訳じゃ全然なくて、それぞれの魅力を十分に演出されているから…(やっぱ是枝演出は好き)お話自体にはちょっとあざとさを感じるところもありながら、キャストが出揃ったあたりからは、少しずつ落ちついて見られるようになって、その頃には夢中。みな「京都のひと〜」てなってる。

青森から舞妓になるため出て来たキヨとすみれ。仲の良い幼馴染みの関係が、舞妓になる人:食べさせる人、になって続いていく様が最初のキュンポイント。

その次は何と言っても橋本愛と松岡茉優の競演!
常に芸妓のトップを走り続ける橋本愛演じる百子(ももこ)。所作から舞から佇まいから喋りから、説得力が半端ない。

出戻り芸妓:吉乃を演じる松岡茉優。芸妓としての技量は百子に及ばないものの、屋形の中でのムードメーカーとなり如才なく立ち回るだけでなく、そのコミュ力で廻りの人の関係を穏やかに収めてしまうなんか人生の達人ぽいひと。

この2人の、ライバルだけどお互い認め合っている様子が二つ目のキュンポイント。

常盤貴子に惚れてる井浦、その後輩の森崎ウィンは橋本愛に惚れていて…。福地桃子やモネの坊さんこと前田航基君の脇ヂカラも強力。百子と主演の片割れ:すみれとの師弟関係など、幾重にも縦糸が走っている。
あと自分は常盤貴子大好きなので…。今作の常盤貴子もすごくいい。
飯島奈美さんのフードスタイリングは言わずもがな。

観終わるのが寂しいなぁ。
映画『海街diary』好きな人は必見。

映画『マイスモールランド』感想

『マイスモールランド』をAmazonレンタルで。
監督は川和田恵真(分福)、主演は嵐莉菜。いずれもマルチルーツを持つ混血の2人。嵐の実際の家族が、劇中でも家族を演じている。

「埼玉に住む17歳のクルド人サーリャ。
すこし前までは同世代の日本人と変わらない、ごく普通の高校生活を送っていた。
あるきっかけで在留資格を失い、当たり前の生活が奪われてしまう。
彼女が、日本に居たいと望むことは“罪”なのだろうか――?(公式サイト)」

エンドクレジットを観る頃には感情が抑えられず霞んで良く見えなかった。
感動、というより心が震えるという感じ。

でもあの大切な一文は見逃していない。表立っては名前を出せないが、多くを協力していただいたクルド人の皆へ、という謝意。映画制作前の在日クルド人への取材は2年にも渡ったそうだ。

何故今作を当事者配役やドキュメンタリーにしなかったかと言えば、実際にお上の機嫌を損ね当事者に被害が及ぶ可能性があったからだそうで…。

我が国の人権意識のレベルや人権侵害の程度をこれ以上なく分かりやすく提示してくれる作品だけど、
勿論それだけではなくて、リアルな脚本と静かで適切な演出、撮影:四宮秀俊(『佐々木、インマイマイン』や『ドライブ・マイ・カー』等)による確かな画作り(グレーディングは共同製作のフランスにスタッフが赴いて一緒に行っているそう)、キャスティングの見事さ、主役のリアルな演技…

ロットバルトバロンのED曲がまた素晴らしく良くて、これは昨年リアルタイムで観ていたら年間ベストになっていたかもなぁ。

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主役の嵐莉菜の繊細な演技が素晴らしかった。今後も大期待。

コンビニでの、おばあちゃんとのやりとリ
「お人形さんみたいね」「日本語お上手ね」「いつか帰るんでしょ?」
自分達の「ガイジン」意識を一瞬で、これでもかと見せつける名シーン。

この作品は、ぜひ地上波で放送して欲しい。

※クレジット見て池脇千鶴が出ていたことにびっくり。言われても気付かない位。さすがだわ…

映画『ブルーバイユー』感想

『ブルーバイユー』をAmazonプライムで。
監督・脚本・主演はジャスティン・チョン

3歳の時に米国へ養子入りした韓国生まれのアントニオ。愛する妻と娘と一緒に幸せに暮らしていたが、警官とのトラブルで身柄を拘束され、その際に判明した30年前の書類の不備により、韓国へ強制送還の命令が下りる。70〜80年代にアメリカで養子入りした移民達には同じように強制送還される例が後を絶たないそうだ。
裁判で争うか韓国に行くかの選択を迫られるアントニオは、裁判費用を稼ぐために昔の仲間に相談し、それがきっかけで夫婦の仲にも亀裂が生じていく。

親子が引き離される予感にどうしても観るのを躊躇っていたけど、ベイビーブローカーの勢いでやっと観ることができた。
大傑作。最後のシーンのおかげで、ずっと愛する作品になると思う。

監督脚本もやっている主演のジャスティン・チョンの空気感が良かった。
家族を愛し真面目に働いているアントニオが、移民に対する不条理な仕組みのせいで、致し方なく裏の道に手を出し、その結果…。
という、まさにどうしようもなく、不条理で、でもきっと界隈では巷に溢れている物語を、こうやって至上のエンタメとして世に出してくれることに、感謝します。

この後に観た『マイスモールランド』にも、ベイビーブローカーにもすべて通じるところがあって。

不条理な世の中で生きる愛おしい彼ら彼女らの1人1人の物語を感じることで、ニュースで良く見る「大きな社会の問題点」ではなく、本当に、なんとかしないといけない身近で大切な問題だと感じることができるから。

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妻の歌う「ブルーバイユー」の歌詞が切ない。
クライマックスは、「ぶほっ」というイキオイで号泣した。
辛いイジメのシーンがあるけども、後である程度スッキリさせてくれるから、俺のようなイジメが苦手な人でも大丈夫。

エンドクレジットには、同じように強制送還された・される予定の実在の人物の写真が流れる。
ひと昔の話ではなく、本当に今でも続いている最近の話だということに驚いた。

ABOUT

1999年のWEB日記時代から始めた個人サイト。ブログ移行にあたって過去記事も抜粋してアーカイブしています。
(HTMLサイト→SereneBachブログ→WORDPRESSブログと転移)

好きな漫画(2014年版)はこの記事の最後に。

最近は(インスタ)でアップしているTV・映画感想の投稿を、半年に1回くらい一気に転載しています。