よしながふみの対談集『あのひととここだけのおしゃべり』の中で、心に残ってる一節がある。辛い時にマンガを読んでいて助けられたという話題の中での、羽海野チカのこんなセリフだ。
「幸せって思う瞬間を繋いで息していくしかないんだよ」っていうのを、『西洋骨董洋菓子店』は本当に真っ向から描いてくれたの。でも、そのくらいならどんな人間にも出来るから。だから助けになるんですよ。(羽海野チカ)
よしながふみ対談集『あのひととここだけのおしゃべり』
子供が産まれて、「決して失えないもの」が一つ増えた。だけど、ある日いきなり、失う時が来るかも知れない。誰かに傷つけられる時が来るかも知れない。一週間後には自分が癌の宣告を受けるかも知れない。この幸せは、果たして明日まで続いているのか、分からない。
だけど、とりあえず今は、最高に幸せだから、精一杯噛みしめよう。この、起こるかも知れない最悪の不幸が重なっていく、そのすき間すき間の今だけは、何とかホッと一息ついて、幸せを味わおう。
何が起こるか分からない、どんなキチ○イが現われるか分からない危険な外界に囲まれているけれど、この小さな我が家の中だけは、安心していられる。このすき間のような我が家の中で、ホッと一息ついて、すき間の幸せを味わおう。
明日はどうなっているか分からないけど、とりあえずかろうじて平和な今を、味わおう。
たとえ環境破壊でどんどん人間の住めない世界になっちゃったとしても、われわれ家族だけはなんとか生きていく場所をみつけて、そのすき間で生きていこう。
オレの人生観って、すべてではないけど、こんな風な「すき間感」があると思う。すき間で、かろうじてで良いから、少しの幸せを噛みしめて生きていこう、みたいな。言い訳みたいだけど、だからといって全体を考えての行動をしない訳じゃない。でもやっぱり明日のことは分からない。だからぎゅっとしててね。
つまりこれって裏返すと、世の中がどんなになっても、自分たちだけはなんとか少しの「すき間」をみつけてその中に入り込み、やり過ごそうって考えかも知れません。やなヤツですな。
話を戻して。羽海野チカさんからしたらちょっと違うのかも知れないけど、その自分の「すき間感」と、冒頭のセリフが妙にハマっちゃったのです。ああ、なんか他の人の口からこんな風に自分の考えを聞けるのって嬉しいな、と思ったんです。
※この対談は羽海野さんのカワイイお姉さんぶり(よしながふみより一回り年上)が堪能できて特に好きです。
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