アトロク @after6junction のハン・ガン特集聴了(約53分)。
ゲストは、世界で初めてハン・ガン作品を翻訳したキム・フナさん、世界で一番多くのハン・ガン作品を翻訳しているという斎藤真理子さん。以下は内容メモ。
●宇垣「精巧で、緻密で、美しくて、静かで。雪国の雪みたい。すごく綺麗なんだけど、肌に落ちるとキーンと痛い。冷たくてすごく残る。その痛みを絶対になかったことにしない。」
●「世界でも特に日本でファンが多い作家。ノーベル文学賞の反応もめちゃ熱い!」
●「実際に読んだ人に、これだけ喜ばれているノーベル文学賞もなかなかないのでは。」
●受賞当日の二人のエピソード、楽しい!
●「肌にクる」文章
●作品的にも人間的にも信頼されている。元々日本に比べ韓国では文学者が尊敬されているが、ハン・ガンは別格。斎藤曰く「韓国純文学の『結晶』」。
●ハン・ガンはどういう作家か?何故日本で受けているのか?>>斎藤「作家もすごいが日本の読者がすごい。WEBなどで綴られる言葉など、感想でものすごい言葉があがってくる。これは他の作家と違う。どうして1冊の本が一人の人間からこれだけの言葉を引き出すことができるのか不思議に思う」
●済州島4・3事件は1948年。イスラエル建国=ナクバが1948年。それからずっと続き今も解決していないことも共通している。今ハン・ガンにノーベル文学賞を与える意味は言わずもがな。
●ハン・ガン最初にお薦めの一冊は
『ギリシャ語の時間』(作家本人推薦だが日韓では難解とも)
『菜食主義者』えぐられる
『そっと静かに』音楽に関するエッセイ集。本人の歌ともリンクしている
『回復する人間』唯一の短編集
7月、北書店にいらして超絶面白い新潟出身翻訳家3人のイベントを行った斎藤真理子さん。その場で買った『別れを告げない』は、その内容から長い間怯えていて、積ん読だった。置賜の一箱古本市に呼ばれ長く読書の時間がとれるのをきっかけに一気に読み進む。以下は読了後にThreadsに書いた感想。
「済州島4・3事件、信じられない大虐殺の歴史が書かれたハン・ガン『別れを告げない』を1か月近くかけて読了。本当に凄まじい。重い。だけど、こういう残虐でやりどころのない辛い話がとても苦手な自分でさえ、読めた。このことが重要だと思う。
こんなメンタルの弱い自分は、戦争やジェノサイドの辛さをどうやって後世に伝えるのか問題について、その手法についてしょっちゅう考えざるを得ないのだが、ハン・ガンの物語り方は、とても大切な解法に思えた。『少年が来る』も今なら読める気がする。」
研ぎ澄まされて鋭くて、確かに痛いのだけど、でもその感触の中に微か、未来の希望や人生への愛が垣間見える。その空気をむさぼるように、取り憑かれたように読み進んでしまう。次から次へと読むには少々自分の生命力が足りないが、でも読み続けたい。読みたいと思わせる魅力がある。出会えて良かった。
コメント