恩田陸『spring』感想

恩田陸『spring』(筑摩書房)。
なぜか1ヶ月以上行方不明になっていて、えらいこと読むのが遅くなってしまい、やっと読了。
面白かった!

天才男性バレリーナ:春の少年期から青年期までを、
友人、幼馴染み、叔父、本人と、4つの目線=4つの章で描く。

同じ作者の『蜜蜂と遠雷』は、
「クラシックピアノの世界、しかもコンテストの内容を文章で伝える」
という信じられない難題を見事にクリヤし、読み終わってみると、むしろ文学だからこそ創られる意味があったのだ、と思い知らされるような傑作だった。

これをバレエの世界でまたもや!やってのけたのが、今作『Spring』。踊りの中で演者は何を想い何を見ているのか、観劇者はどこに連れて行かれるのか。体験したようで未体験のようで、やっぱり文学ってすごい…となってしまう。
(でも自分の中ではやっぱり『蜜蜂…』の方が上かな)

そして今作、なんと筆者が作中でバレエの新作を作り出している、つまり演出家やディレクターやコレオグラファーの役割まで果たしている、ということだ。これはもう文藝作家の域を超えていませんか?という…。

巻末のSPECIAL THANKS、
錚々たるバレリーナの面々が並ぶ中、一番上に書かれているのは、我が新潟市が誇る金森穣氏。noismの公演には欠かさず通っていたと恩田氏はインタビューに答えている。クラシックとコンテンポラリーダンス、ダンスの中でのコンテの位置など、勉強になりました…。

noismファンはもちろん、読んで損はしないと思う。

絶対絶対映像化は無理と思っていた(筆者もそう言ってた)『蜜蜂と遠雷』が、あんなに!見事に映画化されたんだから、きっと今作もいつの日か劇場で観る日が来るのだろうな。楽しみにしています。

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ところで何刷りまで続くか分からないけど、初版では一部が透明になったプラ製のしおりがついていて、そこを本文の気に入った文章・2〜3行の上に重ねて、写真を撮り、 #springわたしの推し文 というタグをつけて写真を投稿することで、他の読者がどこにぐっときたかが分かる、という素晴らしい販促企画が実施されてる。而してこのしおりも…無くしてます。悲しい。

でもこれ、大きなネタバレ無しに抜粋でその魅力が伝わる、めっちゃ良企画なので、これからメジャーになって欲しい!版権フリーでお願いします。

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