平日。夕方から急に、すべてのやる気が失せた…
こんな時に見るべきエンタメは、いったい何だろう、と考え
Netflixで『妻、小学生になる』を一話から見始めた。二回目の鑑賞。
最後にどうなっているか分かっている上での再見は、ちょっとヤバい位に、1話から泣けてしまって、というか変な声が出てしまい絶対誰とも一緒に観れない状態で。そんなこんなで、2日間で全10話見直してしまった。
インスタ投稿では1話の感想しか残ってないけど、最後まで完璧に好きだった。2回目の鑑賞でその思いを新たにした。
【あらすじ】 10年前に愛する妻(石田ゆり子)を失い、生きる意味を失った夫(堤真一)とその娘(蒔田彩珠)。彼らが思わぬ形で妻と奇跡の再会をするところから物語は始まる。なんと妻は生まれ変わって、10歳の小学生の女の子マリカ(毎田暖乃)になっていた! 夫と娘はそんな妻の姿に戸惑いながらも、10年ぶりに彼女に尻を叩かれ叱咤激励される。この物語は、彼らのみならず、一家に関わる周りの人々が「生きること」に再び向き合おうとするちょっと変わったホームドラマである。
【感想】
あらためて、奇跡のようなドラマだと思った。ちょっと信じられない位に色々なものが巧く噛み合わさっていて。
最初にこのタイトルを見た時の、鼻白んだ第一印象を憶えている。
「よくある転生もの?妻との恋愛を小学生に変えてなんか胸キュン?みたいな?
あーーー。見なくていいかな。」
大好きな毎田暖乃主演にも関わらず、この勝手な思い込みのせいで、観るのがなんと遅れたことか。
だから、このドラマの数少ない、そして最大の弱点は「タイトル」じゃないだろうか。(ちなみに漫画原作なのでタイトルの変更はあり得ない)
観てよかった。出会えてよかった。自分にとって本当に大切なドラマになった。
【以下ネタバレあります】
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以下ポイントを思いつくままに挙げていく。
●主人公マリカを演じる毎田暖乃さんの演技は、これこそ本当に憑依にしか見えず、というか劇中で彼女の「演技」を意識することがほとんどなく、彼女の中には石田ゆり子が入っているとしか思えないのだ。
特に目の動きが印象的。だまって相手を見つめているだけで、心情を伝えるその技術たるや。この表情で何度涙腺を崩壊させられたか。 毎回いつも彼女の目線には泣かされたけど、特に娘(蒔田彩珠)の彼氏と「実家挨拶ごっこ」をする時に彼氏を見つめる目!
●妻と家族の関係だけではなく、すべての関わる人達を大切にして、使い捨てにしない脚本が素晴らしい。妻の弟(神木隆之介)、お母さん(由紀さおり)との確執、親戚との関係。マリカの実の母。その元夫や母。途中から出てくる女子中学生。出てくる皆が、きちっと関わっていく。全10話ですごい密度。
●その他出演者も皆すごい。
毎田暖乃と吉田羊の対峙が、シームレスに石田ゆり子と吉田洋とのシーンに繋がる。たとえば7話の「一杯やる?」はとんでもない名シーン…(ドラマオリジナルだそう)。吉田羊素晴らしかった。
●石田ゆり子の弟・神木君が本当に姉のことを信じるようになるのは7話!もう終盤。ありえない設定を、登場人物たちが信じるようになるまでの過程がリアルでこのドラマの肝だ。
神木君と吉田羊。彼らが生まれ変わりを信じる瞬間が、第2のクライマックス。まー説得力すごいというか、鳥肌。大号泣。
●森田望智も超絶可愛いベストアクトだが文字数の関係で省略。
●これらすべての「噛み合い」は、主役である毎田暖乃の説得力が土台にあってこそ可能になる。彼女の並外れた演技力があった上で、しかも演出や演技や美術などすべてが見事に噛み合った、やっぱり奇跡。
●以前からの押し俳優・蒔田彩珠。御上先生も良かったけど、彼女の魅力はやっぱりこういう地味目女子だよね。
●主題歌「灯火」が最高。イントロがかかるタイミングが毎回鳥肌もの。
【苦言】
●小学生に憑依したアラフォーおばさんを表現するには「…だわ」「…よね」といういわゆる「女性語尾」を使うのが有効だったのだと思う。ひょっとしてそこから逆算して石田ゆり子のステレオタイプな「前向きポジティブお母さん」の口調が設定され、石田ゆり子がありがちキャラに見えてしまう面はあった。
だけどこのこの全面ポジティブお母さんだってそんなに悪くない。
恐らく多くの人が、死に別れた人に対して、何らかの後悔の気持ちがあると思う。このドラマはそんな故人が1度蘇ることで、その後悔を挽回する時間が与えられる。まさに誰もが夢に見る奇跡だ。
この、ある意味「禁じ手」を観るのが、ひょっとして辛い人もいるのかも知れない。 でもその誰もが見る夢を本当に!叶えた新島家と、周りを支える皆の物語が、今の自分たちの幸福を見直し救うきっかけになることだって大いにあるだろう。現に自分はそうだった。
心から堪能しました。
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