野口理恵『自分のお葬式ハンドブック〜私が私らしく死ぬために』(rn press)読了。
葬儀への参列経験が多く、終活ライフケアプランナーの資格も持つ著者が、「自分らしい死に方を選ぶ」方法について書いているzine。(zineだということは読了後知った)
死にまつわるハウツーが端的に書かれていて便利なだけでなく、多くはエッセイで、読後感は能町みね子やメレ山メレ子に似てる。何だか分からないままに慣例で進められる葬儀のアレコレにちゃんと疑問を感じる姿が信じられるし、それでいて人の感じ方や選択の多様性を決して奪わない書き方で安心できる。あっという間に読めちゃうボリュームながら、得られるものは大きく、しかも気持ち良かった。
つまりお得で楽しくてさくっと読めて、自分の終活に対し気付きも与えてくる素晴らしい一冊。
途中で明かされるののだが著者が「葬式参列経験が多い」のは、家族を2人も自死で失っているということ。でもその壮絶な過去は作中でほぼ語られない。その上で自分の希望する死に方については淡泊に語られるところがなんとも不思議で、信頼できて、心地良い。軽やかでいて鋭い。
気になって調べたら出版社「rn press」を主宰されている方。家族の話も書かれたという新刊自伝エッセイ『生きる力が湧いてくる』(百万年書房)も気になる。
今作は冬のアカミチフルホンイチで久平文庫の兄弟にお勧めされて買った。彼らのレコメンドはいつも間違いないな…。
ちょうど併読していたカレー沢薫の『ひとりでしにたい』にも通じるところがあって(想像を超えるトンデモ傑作漫画なので後述)、あと同じく兄弟に勧められて勝った須原一秀『自死という生き方』(未読)を並べると、完全に
「死にたくてしかたのない人の本棚だね(by奥さん)」
なのだった。
(そんなことはありません)
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