『グリンチ』感想

町内会のイベントで『グリンチ』を観ました。イオンシネマで吹替。

冒頭10分くらいで紹介される、映画の舞台「フー村」の描写が、もう夢のように素晴らしくて、全編通してこの村のあれやこれやを見ているだけでもオッケー!と思っちゃう位でした。フー村の近く、崖の洞窟にあるグリンチの住処も別の意味ですんごく素敵。

原作は未読だけど、とにかく美術と映像(ウォークスルーというかフライングスルーというか、村中を駆け巡る視点)が最高。ヒックとドラゴンみたい。つまり映画館で観るのがオススメ。テンポも良い。この世界にずっといたくなる。最後はちょっというか随分納得いかないけど、全体のイキオイで持って行かれてしまう。

この「フー村」とグリンチの住処を再現したテーマパークがあったら最高だと思う。夢のような場所。

さて大のイルミネーションファンのくせにここまで観ていなかったのは、主人公グリンチのぼやきキャラだけが予告編で強調され、いつもの良さが伝わってこなかったから。ピクサーディズニーのような「でき過ぎる子」でもなく、説教臭もなく、最高の音楽と映像・ギャグで語られるひたすら楽しいあのイルミネーション作品の良さが、どうしてもグリンチの予告編からは想像できなかった。

ファンでさえこれだから、興業は大丈夫かしらと不安になる。 (初期のイルミネーション作でグリンチと同じ原作者の『ロラックスおじさんの秘密の種』、これ自分的には結構な駄作で(子供は喜んでたけど)、この作品にも同じようなぼやきキャラが出てくるんだよね。その影響も強かった。『ロラックス…』はもう途中で観るのやめたくなった位だ)

いろいろ観る前に懸念のあった『グリンチ』だけど、実際は想像と違っていて、まずグリンチと対極にある、フー村の住人たちの描写のボリュームが同じ位あって、ダブル主役みたいなかんじ。

で、グリンチには愛犬マックスやトナカイのフレッドという愛するしかないカワイイキャラがいつも一緒だから、そのやり取りだけでずっと笑わせられたりきゅーんとしたり。この巧さは『ロラックスおじさん…』とはずいぶん違う印象。

全体としてイルミネーションに期待する「音楽」「映像」「ギャグ」「バカバカしさ」はちゃんと楽しめると思う。だけどちょっと最後が説教臭く…。 オリジナルのキャストはグリンチがカンバーバッチ(彼の声キャストは傑作揃い)だし、ナレーションがファレル・ウィリアムスなんだよね(今作ではたまに入る長めのナレーションも印象的だった)。字幕版をどこかで観たいけど劇場では無理なんだろうなぁ。こういう子供向けは吹替ばっかりで…。今回も音楽最高だったのでファレルかと思ったけど、音楽はやってません。

そしてイルミネーションとピクサーディズニーで相当な差が出ていると思うのは、日本語ローカライズのクオリティ。劇中で出てくる看板やちらしのデザイン(フォントなど)が、グリンチもグルーもちゃんとしていて違和感がない。

大好きな『シュガー・ラッシュ1』はもうそこだけwordで打ったみたいで、酷かったもんなぁ。2はちゃんとしているのかしら。 (ローカライズと言えば『SING』の吹替の、原語版を上回るかというクオリティ!そこまでもってきた日本語版スタッフとイルミネーションスタジオのやり取りの話には心から感服しました。)

前座の短編ミニオンの吹替キャストクレジットでまた笑っちゃう。山ちゃんサイコー!(イルミネーションの前座短編はピクサーみたいなクオリティを期待しちゃ駄目よん)あとNetflixでオレンジ・イズ・ザ…知ってる人はタイトル観ただけで(笑)

グリンチ、ぜひクリスマス前に観るのがお薦め!

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