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映画『雄獅少年/ライオン少年』感想

『雄獅少年/ライオン少年』をAmazonレンタルで。
監督:孫海鵬(ソン・ハイポン)

伝統芸能である獅子舞の演者を夢見る少年たちの姿を描いた、中国のアニメ。

【あらすじ】
片田舎で出稼ぎをしている父母の帰りを待つ貧しい少年チュンは、ある日、華麗な獅子舞バトルで屈強な男を倒した、同じ名前の少女チュンから、獅子頭を譲り受けた。チュンは、ちょっぴり情けない仲間のマオやワン公と獅子舞バトル全国大会を目指すことを決意する。
飲んだくれの元獅子舞選手チアンを口説き落として師匠に迎え、その妻アジェンの励ましを受け、特訓の日々を送る。しかし、大会目前でチュンの父が病に倒れてしまう。一家を支えるためにはチュンが出稼ぎに行くしかない。大都市での労働は夢を追う時間もないほどに過酷だった。疲れ果てたチュンの前に、あの少女が再び現れた――。(公式サイト)

【感想】
正統派少年マンガそのままのようなストーリー。なのに全く飽きさせず、古くささが気になる箇所もない。細部までアップデートが行き届いているのだと思う。
クライマックスは空前のカッコ良さ。どっかーん!最高!カタルシスに身体が痺れてしまう。

アニメの描写技術が凄い。獅子舞や伝統衣裳の細かい装飾、大量の房のそれぞれが実写としか思えないクオリティで跳ね回る。

2023年のベストで良く見たタイトルで、観た人が皆絶賛していたのがきっかけだった。イヤー良かった!

娘と散歩

もうすぐ高3になる娘が「1日1万歩歩く!お父さんつきあって!」という、例のごとくな三日坊主宣言をはじめたので、この週末に一緒に散歩した。

土曜は夜23時から近所で1万歩。お店に寄るでもないのでずっと話をしていた。

日曜は15時から会社に車を止めて近隣を歩き、BlueCafeで一服。その後新潟市美のギャラリーショップのカンダさんの展示などを見て、帰る。街中は意外と歩数が伸びず7000歩くらい。

妻とは秋までしょっちゅう家の近所を散歩していたが(夜)、娘と2人はあまりない。たまに走るのを自転車でついていったこともある。

娘は高校でもほぼ友達はいなくて、休みに映画に行くのも美術館に行くのも、父を誘うくらいだ。
普段はまともに会話もできず、相変わらず妻とはギスギスしてばかりだけど、こういう時間が持てるだけでもありがたい。卒業したらまた違う関係になるだろうし。
昨年、一昨年と2人で行った大地の芸術祭は本当に楽しかった。人生で3本の指に入る良き思い出だ。

映画『帰れない山』感想

『帰れない山』をAmazonレンタルで。
監督:フェリックス・ヴァン・ヒュルーニンゲン

【あらすじ】
都会育ちで繊細な少年ピエトロは、山を愛する両親と休暇を過ごしていた山麓の小さな村で、同い年で牛飼いをする、 野性味たっぷりのブルーノに出会う。まるで対照的な二人だったが、大自然の中を駆け回り、濃密な時間を過ごし、たちまち親交を深めてゆく。やがて思春期のピエトロは父親に反抗し、家族や山からも距離を置いてしまう。時は流れ、 父の悲報を受け、村に戻ったピエトロは、ブルーノと再会を果たし…(公式サイトより)

隅から隅まで、大好き。

北イタリアのひたすらに美しい山岳地帯はどこか懐かしく、キャンプしかなかった子供時代やA.ランサムのツバメ号シリーズの興奮を思い出す。しかも主役の男性2人はちょうど自分と同年代の設定。

夏の別荘で地元の少年ブルーノと過ごす美しい夏が描かれる冒頭は、とにかくすべてが完璧。夢の中の世界のよう。シェーディングも巧みで、とても現代に撮られた映像に見えない。(そもそもこの映画は不思議な画角で、ビスタよりも縦長の、昔のTVサイズのようだになってる)

2人がとある理由で10年以上の時を経て再会してから、大人の物語が動き始める。舞台は過酷な山岳地帯だが、描かれる主題は多くの人が思い当たる、人としての生き方の問題。多くの山登りが語る、山が教えてくれるアレやコレやの話が、本当に「これどうやって撮ったの」と思わせる凄いロケーションで説得力を持って描かれている。役者は全員素晴らしく、特に子役は超絶。どうやって演出してるんだろう。すごい。

ピエトロとブルーノ、そしてピエトロの父との関係に胸を締め付けられる思い。舞台は北イタリアでも、皆どこかに自分の周りの人間を思わせたり、山に対する思いが通じている人が何人も思い当たって、まるで自分がそこにいるかのように入り込んでいた。

痺れました。大好きな映画だ。
これはきっと原作で多くが語られているのだろうなと思いすぐに近所の本屋で購入。すぐ買えるなんて素晴らしい環境。この雪が降る週末に読みたかった。嬉しい。

映画は @ninnymoa の年間ベストから教えてもらった。ありがとう。
山好きの人なら有無を言わずに観るべき。

撮影裏話やプロダクション・ノート的なものがめちゃくちゃ読みたいのだが見つからない…パンフ買うしかないかな

2023年元旦、能登半島地震

2023年1月1日16時頃、能登半島地震発生。
地震メモ。

【その時】
部屋の中が殆ど戸のない棚置き収納な事もあり、大きな地震は怖いだろうなぁ、と常々思っていたのだけど、実際に震度5強がはじまると、その揺れ方は完全に今まで経験したことのないレベルで、そうなるともう、どこか映画を観ているような気分だった。(でも不思議と落ちるものはなかった)

こんな時に自分は気持ちが切り替わるようで、怖いという気持ちは殆どなく、ただ対処するだけの「緊急モード」になる。問題は焦っちゃうのをなんとか抑えること位。
直後に津波警報がアナウンスされ、とにかく1秒でも早く移動することを考えて家族を急かす。

【避難】
そこからおよそ5分程度だろうか、とにかく猛烈に急ぎで準備をして、すべて詰め込んだクルマで家族全員動き出す。自分達の住まいは新潟市名物の巨大な砂丘の影なので、余程でない限り津波の心配はない。どっちにしても練習になるよと二人で子供達に声をかけながら、頭の中では常にもしもを考え準備した。海岸側の人たちはどうだったんだろう。津波に対しては正常化バイアスが一番怖い。NHKのアナウンサーの叫ぶような口調は何度も練習したところをなんにしても人口密度が低いのは(渋滞度が全然違うので)ありがたい。

【イオンは大渋滞】
ゆくゆくを考えて少しでも便利そうなイオンの屋上にまず向かったが、そこに向かう通路が大渋滞しているのが遠くから見えたので早々に諦め、もっと近くにあるパチンコ屋の立体駐車場へ入る。

ここはまったく人が来ていない。自分達のあと15分程度経ってからかなりクルマが増えてきたけど、最終的にもキャパの四割程度しか入ってなかったように思う。改めてこの場所を我が家の避難場所として、全員で再確認する。
周辺道路は10分経ったら道路渋滞が始まっていた。これは避難するというより店に来ていたお客さんが急いで家に帰る車だろう。

イオンなどは、少し離れている場所だと通路が渋滞して避難には厳しいように思う。数分を争う津波避難では致命的じゃないだろうか。

なんにしても1月1日の明るいうちに起こったのは不幸中の幸いに思える。家族が揃い、出掛けている人も少ない。働いている人も普段に比べ少ないとは思うが、こんな時に勤務されていた方の気持ちはいかばかりか。ご苦労様でした…。

避難道具は普段から備えているものを屋外物置からすぐに持ってこれたが、これも地震が収まったから、だろうな…。あとガスコンロのボンベを買い忘れていたのが痛かった。今日明日にでも買おう。

【トイレに困る】
避難時に早速困るのがトイレ。もちろん災害時携帯トイレは常備しているが、今回のような事態だと近所のお店はすべてクローズしているので、避難した後の当面のトイレにとても困る。地震後すぐに家で娘達にトイレを済ませた奥さんの英断。

今回はパチンコ屋の復帰がすごく早かったので、尿意の近い自分は助かった。パチンコ店は恐らく勝ち分の玉やコインの扱いがあるので、一旦全員が店外退避した後、第一波の津波警報がガンガン流れる中でも入り口の前で再開店を待っているお客がとても多かった。つまり「パチンコ屋は復旧時の一時開店が早い」のかも知れない。

しかし断水しちゃったら、お店が押し寄せるお客さんにトイレを使わせることはできないし、やはりトイレが一番の問題になるのかも。最近の公園は下水マンホールのような臨時トイレスペースを確保しているが、近所ではあるのだろうか…これも調べておこう。

地震メモ、その2
【新潟市西区の被害】
一夜明けて色々被害も明らかになってきた。新潟市西区は新潟県の中では一番メディア登場が多い。避難先との往復しかしていないので全体的な状況はまったく分からないが、砂丘のふもと近辺(旧116号そば)で、液状化や地面割れの被害が多かったようだ。

大学の先生がコメントしていたが、プレートというより砂丘の砂が問題らしい。家が傾いているところも数軒あるようだ。新潟市全体が砂地のせいで液状化に弱く、今回被害の多かった場所はその中でも特に弱い場所だった、ということ。

【災害時のメディア】
●SNSの中ではやはりXを見る。しかし時系列に並んでいないので本当に不便。結果たまにしか見なかった。公共とも連携していて情報収集に便利だった10年前とは全然違う。

●車はガソリン節約で極力エンジンを止めていたから、緊急時の手回しラジオがとてもありがたかった。簡単に使える。ずっとNHKラジオを流していた。

●しかしNHKメディアだけではローカルニュースに弱い。地デジが見られる環境では地元局のニュースが細かい情報を流していてありがたかった(だから何だという訳ではないけど、知らないと不安だ)。

●TVでは、数時間経つと全局が震災情報ばかりというのに疲れてくる。子供だけでなく大人も。当たり前のことだけど震災情報はほぼ被害のことを報告している訳だから…。結局当日の夜は、全員1階リビングに布団を移しいつでも出られる状況で、紅白歌合戦の録画を流しながら寝た。震災情報以外のチャンネルが欲しい。新年のお笑い番組でも何でもいい。

【明けて、今日】
2(火)は感じられる余震がなくて、そのおかげで気持ちはすぐに通常モードに戻った。すぐに出られる準備はそのままキープしつつ、箱根駅伝を楽しんだり何となくの正月を楽しんでいます。

もともと正月期の我が家は家族が一番バラバラに好きなことをしていい日で、正月料理どころか料理自体もほとんどなく、あるもので好きに過ごすのが恒例になってる。いつ地震が起こるか分からない中で外出できないのが不便な位だが、映画観たり読書したり寝たりしてます。

報道がアレなので新潟市西区在住というとご心配いただいていましたが、我が家はこんな感じでした。

せめてこれから大きな余震がないよう、現地の方のご無事をお祈りします。

2023年に観た映画ベスト

2023年映画・ドラマ振り返り

2023年、劇場で観た映画は8本、自宅鑑賞が33本、計41本。多分。
例年に比べると劇場鑑賞がとても少ない(昨年を除き通常は20本程度?)。自宅分はまぁ、平均的な本数。

9月以降はずっと、何も観る気が起こらないというか動ける気がしない期間が続いた。なので年間ベストは上半期ベストと殆ど変わっていない。いくつか次点が追加されただけ。映画館に行く気力も自宅で観る気も起こらなかったけど、TVドラマは、特に地デジをいくつか追っかけていた。

あと特に後半、なぜか韓ドラがピタっと止まってしまった。気力がない。『D.P.』S1は例外的に完走したがこれは1シーズン6話という前情報があったから、だった。

それぞれの感想は #movie_tv_dsm に書いてある、のだけど今のインスタの仕様では10数本しか遡れないんだよな〜。残念。インスタ感想文は自分自身が読み返すため、というのが大きなモチベーションなので、この仕様変更をきっかけに映画感想zineをつくることを決心。したのだけど、未だ全然進んでいない。

映画よりもドラマの方がインパクトあった年かも…
よしながふみ原作『#大奥』『#きのう何食べた?』2作の奇跡的な実写ドラマ化については先日書いたばかり。

見返すとこのアカウントでの露出が一番多かったのは朝ドラ『らんまん』だった。観るたびに「黙ってられない!」て感じだったのだろう笑。久しぶりに毎朝が楽しみだった!心より感謝。

Netflix『#舞妓さんちのまかないさん』はたしか3回観た。色々メンタルが低空飛行している時期で、その頃一番助けられた覚えがある。サントラは今でも会社BGMリストに入っている。大傑作。

NHK『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』主演の河合優実が本当に素晴らしい。ダウン症当事者の弟役の吉田葵も。そうそう福地桃子も最高だった。このドラマは前半が特に素晴らしかったように思う。

Netflix『ONI 』は、『トトロ』の後継、新しい日本のスタンダードじゃん。と観てる間思っていた。日本とハリウッド(ピクサーOB)の融合。#トンコハウス の今後に大きく期待しています。

掲載していない作品で記憶に残っているのは
『君たちはどう生きるか』面白かったとは単純に言えないけど、絶対に映画館で観る価値があった。
『FALL』強烈なホラー。
とか、かな〜

今年は正直メモもあやしくて、落ちてる作品もありそうだけど、まぁいいや。
このブログに掲載している作品を見て、結構気が合いそう…と思った人はぜひ2024年一緒に「あれ良かったよね〜」話でお茶しましょう。そういう時間が好きなんです。

タイムリープ映画×『MONDAYS 〜このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』『リバー、流れないでよ』

タイムリープ邦画×2作。
どちらも面白かったが、特に『MONDAYS』大好き!

●『MONDAYS 〜このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』
監督:竹林亮

○『リバー、流れないでよ』
監督:上田誠(ヨーロッパ企画)

■MONDAYSでは、小さな広告制作会社を舞台に1週間おきにタイムリープが起きて月曜に戻り、繰り返される。だがそのことに全員が気付いている訳ではなくて、少しずつその認知を広げていくことで繰り返しを止められるのではないかと考え、次第に皆が団結していく。その様子が爽快。最後に「気付かせる」べき上司がマキタスポーツ。彼がまた本当に良い。

普段から毎日が繰り返しのように感じてしまうハードワークを皮肉ったような設定。劇中の制作物も考証がちゃんとしていて(プレゼン段階というのもあるが)、広告業界モノにありがち、というか殆どそうなんだけど、できあがった完成物があまりに酷すぎてドラマに入り込めない、あの症状も起こらない。

最後にはオフィスの全員のことを、隅々まで全員好きになる。主人公は日々の仕事に疲れモチベーションを失い、当初は退職も考えている。彼女の最初の登場時と最後までの変化がいい。演じる #円井わん さん素晴らしいです!

皆が繰り返しにより少しずつスキルを積み重ねていって、上司に気付かせることを目的に団結していき通じ合っていく様子が、最後ちょっと泣いてしまうくらいぐっときた。この感動はアレだ『カメラを止めるな!』に似ている。あんな気持ちを味わいたいなーって人にお薦めしたい。

自分が以前からインスタをフォローしていた #夏生さえり さんが脚本というのも驚いた。
個人的に、歴代「広告業界モノ邦画&ドラマ」のナンバーワンです。

2023/11/10

○『リバー、流れないでよ』のタイムリープはなんと2分。舞台は京都・貴船の老舗旅館で、こちらは全員が最初からタイムリープに気付いている。だから繰り返しというよりもずっと続いているドラマのよう。手持カメラでずっと追っかけるスタイルで(ひょっとしてノーカット?)、旅館が舞台の演劇を観に来ているかのよう。MONDAYSよりもずっとコミカルでリアリティライン(そもそもだけど笑)も低い。2分でできることは限られている訳で、それをなんとか実現しようと皆が経験値を貯めて団結していく様子が心地良い。

こちらも良い脚本なのだけど、キャストを好きになる度、入り込み度はMONDAYSほどではなかった。シチュエーションもあるだろうしね。

でも最後のハッピー感はこちらもひけを取らず。演劇系演出とコメディ好き、ハッピーエンドを求める向きにお薦め。しかしこの舞台の旅館、聖地巡りで大変になっちゃうのでは…。自分も泊まりたいよう…!

●そういえば雪が降るターンと降らないターンがあったんだけど、何か意味があったのだろうか。結局分からなかった。誰か知ってる人教えてください!

2023/12/23

ドラマ『きのう何食べた?』会食シーン

シロさんが、ケンジのお母さんお姉さんたちと会食するこのエピソード、原作でもすごく印象的だったけど、ドラマも見事だった。そして原作イメージそのままの、このお母さん。

見るたびに、いつまでも静かに続いて欲しい…終わらないで欲しいなぁ…と思うのだけど、マンガと違ってドラマはあっという間にお別れが訪れる。寂しい。

同世代としてどうしてもシロさんに憧れがち。でも自分が見習うべきはケンジの「話す姿勢」だ。料理の美味しさ、パートナーへの「日々の」感謝、言葉にしなくても心の中では…と思っているのだけど、ケンジはちゃんと、言葉にして伝えられる。「思ってるだけ」と「言葉にすること」の間にある果てしない違い。そして話し方のニュアンス、伝え方など本当にケンジのあり方は勉強になる。

いつも見るたびに、俺はダメだなぁ。できてないなぁ。と痛感する。だからずっと続いて、気付かせていて欲しい。

映画『MONDAYS 〜このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』感想

Netflixに『MONDAYS 〜このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』が入っている!

前評判が異様に高いのでちょっとハードルを上げて観たのだけど、それでも予想以上の面白さ。

広告制作会社を舞台に、ある1週間が繰り返されていることに気付いた一部の社員が、そこから抜け出すために回りの社員を説得していく…というタイムリープもの。

うんざりするような制作会社の毎日が、タイムリープを抜け出す作戦を進める中で次第にすこしずつ変わっていく。自然と仕事のスキルも増していく様子が可笑しくて、気持ちいい。

広告業界ドラマは数あれど、自分は本作をいままでの歴代ナンバーワンとしたい!
という位に、仕事の描写もちゃんとしている。

最後には登場人物皆のことを好きになっているこの感じ、『カメラを止めるな!』にも似てる。あれが好きな人はきっと観た方がいい。最後じーんとしますよ。

主役の丸井わん、いいなー。『だから私は推しました』の桜井ユキ並みの素晴らしさ。
マキタスポーツは本当すごいね。最後にまとまるのも彼の演技あってこそ。

さくっと観れる快作です。オススメ!

TBSドラマ10『大奥』幕末編スタート

ドラマ10大奥 幕末編、スタート。

医療編が終わって、強力に引っ張っていけるキャラも、赤面疱瘡という吸引力もなくなり「さすがにこれまでのクオリティを維持するのは難しいんじゃ…」と不安になりつつ、見始めた第1話。

結果、season2で一番感動する回だった。すごいよ。

阿部正弘(瀧内公美)の演技が、これまでの大奥から外れた、ちょっとぎょっとするような、ある意味わざとらしい、まるで現代人がタイムスリップして演じているみたいで、これはヤバいんじゃないかと思っていたのだけど…何故か節々で引き寄せられてしまう。この魅力、謎。脚本力が大きいと思う。
高嶋政伸も見事でした。

そして家定(愛希れいか)がとにかくめちゃくちゃ素晴らしい。元宝塚の方なんだね。いやーこの後楽しみ!そしてWEBの記事を見てたら、ええー!岸井ゆきの出るんだ!

相変わらず展開が急過ぎて、ちょっとはしょり過ぎのところはどうしても気になるけど。
もう脳内補完がすごいからね笑。
大奥ドラマ版のカタルシスは、時にLotRと通じるところがある。主君と家臣の忠義の美しさ。

どこまでも裏切らないなー。2023年日本キャスティング大賞は、映画ドラマ含めて『大奥』に決定でしょう。

朝ドラ『らんまん』最終週へ

いよいよフィナーレの『らんまん』。

最後まで来てまたドン下げか!という関東大震災(まぁ史実だからしゃあないのだけど)が起こりまた辛すぎる日々。

今週驚いたのがすえちゃんのこのセリフ。

目が見えなくなっても八犬伝を完成させた馬琴先生のことは、身分の違う特別な人だから出来たんだと思えた。でも図鑑を完成させようとする夫に対しては「万ちゃんを特別と思いたくない」「あなたは特別だから描けて当たり前って、そう思いたくないんです」というセリフ。

これってある意味、有名人をモデルにした朝ドラでは、メタな含みも感じるよな。て思って。
こんなセリフ、朝ドラで聞いたことないな。すごいなーと思った。

あと金曜のあさイチ、神木君の登場回。まぁ充実しまくっていました。最高。
この中で仲良しの志尊淳との役作りエピソードが色々紹介される中で

「万太郎がこのままでは嫌われ者になってしまう。なんとかそれは避けたい」

と、前後のセリフを工夫したり、竹雄のセリフ、それに対する万太郎のやりとりの声のトーンをコントロールしたり、恐らく相当な手入れと調整をしていることが感じられる話をしていた。

こういった名優(=名演出家でもある)たちの数多くの工夫によって、あの愛すべき万ちゃんが最後まで愛されるままでいられたんだな。

それができてない例って、今までの朝ドラで山ほど観てきたよね。愛したいけど、これでは愛せないよ、ってゆうディテールの杜撰さが、どこまで俺たちの思い入れ・没入を阻んできたことか。
愛されない主人公級のキャラ、いっぱいいたのですよ。これまで。
それを避けることができたらんまん、すごい。

あさイチは脚本家・長田育恵さんのコメントにもぐっときた。万太郎の「自分は競っている。人間の欲望と」ってゆうセリフ。明らかに戦争も指していて、今だからこそのすごいメッセージの強さを感じて、めちゃ印象に残っていた。ああこのドラマはちゃんとやる気なんだ、と。

このセリフなんと神木君のアイデア(本人覚えてなかったみたいだけど)。長田氏自身だけではあまりに強くて書けない言葉だったと。それを神木君が言ってくれたことでふっきれて、以降の脚本にも影響が大きかったそうだ。

裏側を垣間見れて楽しかった。

さて最終週だ。

映画『檸檬色の夢』限定配信

岩井俊二の過去作『檸檬色の夢』が、21木まで限定公開されているのを知ったのはインスタのタイムライン。お知りあいが美術関係を担当されていたらしい。岩井監督で主演が蒔田彩珠!

ええ!観たことない!うそ!と気付いたのが配信終了21日当日の23:45。作品は1時間以上とある。間に合わないじゃん…とドキドキしながら観始めたが…。0時でいきなり消えることはなく、最後までちゃんと観終わることができた。

岩井俊二監督『檸檬色の夢』は、今年の頭にLINE NEWS VISIONで全8話の縦型ドラマとして配信されていた。それを今回横型に再編集し、1本の映画にまとめた、ということらしい。
同監督の新作映画『キリエのうた』の公開記念企画。

今回の撮影にはあまり岩井俊二感は無かったが、脚本は往年のフジテレビ時代の岩井作品をちょっと思い起こさせるテイストで、相変わらず劇伴は最高オブ最高で、ちょっと最後じぃんと来るやつで、不思議テイスト入ってて。ああ見逃さずに良かった。でもこれきっと縦型の方が面白かったように思う。

なんでも岩井監督はLINEの主催する「LINE NEWS AWARDS 2021」で、翌年ニュースになりそうな人を表彰する“NEXT NEWS賞”に蒔田彩珠を選出し、その縁で今回の主演が実現したそうだ。21年というと『おかえりモネ』の年だね。

今年の冬とかもう完全に死んでてニュースも目に入らず見逃していたんだろうな。
岩井監督の近年の作品、ちょっと…というイメージだったけど、これで『キリエのうた』も観たくなった。『檸檬色の夢』の出演者も何人か出ているし『水は海に向かって流れる』観たばかりの広瀬すずだし。もういろいろ繋がってて。

あと今作のタイトルバックにもなってるドローイング、作中の蒔田彩珠演じる美大生の作品って設定なのだけどこれがどれもこれもメチャ素晴らしくて。誰の作品なんだろう。追っかけたいけど検索では見つからなかった。

NHKドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』6〜8話

【6話】

神回2話からはとにかく淡々と進んでいるのだがこの熱の低さがただならぬというか。毎回どこかでやられている。

ついにストーリーは主人公が売れっ子作家になりシンクロをはじめて、この先どうなるんだろう。

そしてこの錦戸亮たるや。
主人公の河合優実たるや。
坂井真紀、美保純も素晴らしい。ダウン症当事者#岸本草太 もすごい。撮影エピソードがまたぐっとくる。

【8話】

もう嗚咽してまうわ…。しかも何度も、何度も。

大九明子演出の凄さに圧倒される、NHKBS『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』8話。

今回はお祖母ちゃんの過去と現在を巡るカットバックが本当に凄くて。何も語らずともあの昭和と今の家族の問題を浮き彫りにしていて。

そしてスキップとローファーばりの、マルチ(福地桃子)とのやりとり。


またしても神回。

撮影、美術、劇伴、すべてのクオリティが超絶や…

あと何回あるんだろう。そろそろ原作買おうかな。

映画『スパイダーマン・アクロス・ザ・スパイダーバース』感想

『スパイダーマン・アクロス・ザ・スパイダーバース』2D字幕版をユナイテッド・シネマで。

満足!観に来れて良かった。

そもそも自分はアメコミ映画(MCU、DC)と相性がそんなに良い訳でなく「満点で80点」といつも思っていた位。特に『スパイダーマン』は相性が合わなかったなぁ…

そんな自分でも『ガーディアンズ』シリーズと『スパイダーバース』は違っていた。年間ベストに入るような、特別な作品。
そして前作「スパイダーバース」はアニメの歴史を変えるような衝撃作だった。

続編である今作は、前作を更に上回るビジュアルと音楽。相当な満足度。

140分と長い中、途中少々中だるみ感があるものの、それは多分前半がものすごく詰め込み過ぎだからで、あの調子で全編いってたら、もう頭がパンクしちゃうだろう。若いひと達にはちょうど良いかも知れないけど。
最後もちょうどアガるところで「続く」となり、ケレン味とカタルシスを重要視する同シリーズだからこそこれはもう楽しみ過ぎるわ。

ビジュアルの情報量があまりに多すぎて、今回も字幕版より吹替の方が良さそう。自分はどうしても最初は原語が聴きたい〜ってなっちゃうのだけど、スパイダーバースシリーズは、字幕で全部を追っかけるのはとても無理。

始まった最初からエンディングの最後まで目が離せない、相変わらず近代アニメの最高峰。間違いないです。観に来て良かった。

※お気に入りのキャラはジェシカとホービー

※入場特典でもらえるカード、QRコードをスキャンすると、SNSシェア用の画像がずらーっと並んだページに行く。これはいい。今後のスタンダードになりそう。

NHKドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』2話が神回

NHK BSPドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』第2話。

これはヤバいドラマが始まった…と思ったら、2話にして神回。そんなドラマあるか?
(1話が神回だった『アンナチュラル』はあるが、アレはその後もずっと更に面白さが上がっていった)

お昼休みに見てたらご飯止まっちゃう位にボロ泣き。
主役の河合優実はもちろんなのだけど、坂井真紀の演技力がすさまじい。いやその演技をちゃんと切り取る演出と撮影もすごい。坂井真紀ってこんな役者だったんだ。福地桃子もそうだけど、役者の魅力をここまでもかと引き出す大九演出。

ただの会話だけでも目が離せない。

未見の人、周りの評価が高くて気になるって人、ぜひ2話は見逃さずに。NHKプラスは1週間だったっけか?

これから一体どうなるんだ。

映画『人生はビギナーズ』感想

『人生はビギナーズ』(2012)をAmazonレンタルで
監督はマイク・ミルズ(『20センチュリー・ウーマン』)。

なんで『カモンカモン』も観てないのにこれ…と自分でも思うけど、気分なんだよ気分!
ずっとプレイリストに入ったままだったこの作品、昨晩になって急に「これだ!」てなって。

まんまと良かったです。

【あらすじ】
38歳独身男性オリバー(ユアン・マクレガー)は、母の死後、75歳の父(クリストファー・プラマー)からゲイであること、これからはゲイとしての人生を謳歌することを宣言される。美術館長を務め仕事一筋の厳格だった父に、やがて若い恋人ができ、話し合う機会も増え、次第に父がどういう人生を送ってきたかを垣間見るようになる。そんな中パーティーで出会った女性(メラニー・ロラン)と、おっかなびっくり恋に落ちていくのだが、彼女も父とは複雑な関係を持っていたのだった。

まずこのカミングアウトしたお父さん:クリストファー・プラマーがむちゃくちゃキュートでオシャレで最高過ぎる。お父さんの映画だよね…

恋愛にはまったく縁なく、恋愛メインのドラマ映画にはほとんど興味を持てない自分でも、なんだか恋したくなったよ!違うな、他人の恋のほにょほにょに浸りたくなったよ!恋愛映画としてもとっても魅力的だと思う。

お父さんがゲイのグループに入ってまさに人生の最期を謳歌するさまと、過去の両親の微妙な空気感が、交互にカットバックされ、彼の人生とは、を考えさせる。
またこの亡くなったお母さんもソーキュート。

主人公のとんでもなく繊細で気ぃ使いなオクテ中年をユアン・マクレガーが見事に演じている。この優しさには恐れ入る。皆こういう人と結婚した方がいいと思う。ただユアンは大変そうだ。

いやな人は誰も出てこない。だけど皆が少しずつあるいは大幅に食い違って、時に傷ついて、でもなんとか自分を少しずつ変化させて、ビギナーズから先に進もうとしている。自分の人生を生きるために。

とっても好きな映画です。

映画『秘密の森の、その向こう』感想

『秘密の森の、その向こう』をAmazonレンタルで。
監督はセリーヌ・シアマ(『燃ゆる女の肖像』など)。1時間12分。

【あらすじ】
おばあちゃんを失った8歳のネリーは、両親と共に森の中の実家を片付けに行く。そこはお母さんとお婆ちゃんの思い出が詰まった場所。お母さんが悲しみに堪えきれず出ていってしまう中、森の中で遊ぶネリーは、自分と同い歳で同じ顔、しかもお母さんの名前マリオンを名乗る少女と出会う。彼女の家に招かれるとそこは、実家とまったく同じ家だった…。

あらすじだけ見ると「すこし、ふしぎ」風なのかと思うが、そんなテイストやルックはほとんどないまま、静かに静かに物語は進んでいく。もう1つの実家のお母さん(若い頃のお婆ちゃん)は、自分の娘と同じ顔をしたネリーのことを全然不思議がらず普通に出迎える。

森の中で小屋を作り、料理を作り、親友のように遊ぶ、同じ顔をした二人を淡々と追うカメラ。

主役の女の子二人を(恐らく双子の)姉妹が演じていて、その感情をあまり表に出さない演技と、余白のある演出が、映画全体の雰囲気を独特のものにしていた。ただし眠い時には要注意。

尺が1時間少しと短く、物語は淡々と進んでいくので、このまま大きく感情が動かされないままに終わるのかな…
と思いきや。
最後やられました。余韻が素晴らしい。

「時を超える感動」が1番強い。自分内セオリー。

after6junction 『渡辺あや特集』

after6junction 『渡辺あや特集』by岡室美奈子(早稲田大学教授)。

よくぞやってくれました。というか、今まで1回もやってなかったのにびっくり。

朝ドラ『カーネーション』で一気に知られることになった脚本家・渡辺あやさんは、そもそも手掛けている作品自体がそんなに多くなくて、wikiで出てくる殆どの作品を自分は観ている。
(『その町の街のこども』は何故か配信をやっていなくて未見なのがなんとも悔しいのだけど)

元々雑貨店経営&主婦をやっていた女性が、岩井俊二のシナリオ応募コーナーで見初められ、『ジョゼと虎と魚たち』で脚本家デビュー。その後いくつかの映画を経て、初めての連続ドラマ脚本が『カーネーション』というのもすごい。

今回は尺の関係か話を絞ったのだと思うのだけど、渡辺あやさんはあちこちの取材で「プロデューサーとの相性を大事にして、プロデューサーの「人」を見て、その人がやりたいと思った企画を実現する」「その人が本当に自分の中から「描きたい」と思った題材かどうかが大事」というようなことを語っている。

自分が描きたい題材なんて特にないし、社会派という訳でもない。ただ製作者が心から描きたいと思った題材に共感できたら、それを一緒になってできるだけ実現する、というような話だったと思う。

つまり渡辺あやさんの来歴を語る時には、だれが企画をはじめて渡辺あやさんを口説き、製作したか。というプロデューサー話がセットで聴きたいんだよね…。

たとえば『ワンダーウォール』の企画を渡辺に持って行ったのは、当時まだ駆け出しだった(たしか)NHK京都のプロデューサーで、そのしつこい情熱にほだされて、当時多くの製作者が口説き落とそうとしてできなかった渡辺脚本を勝ち取った、みたいな話だったり。

『エルピス』の佐野亜裕美Pは脚本ができているのに実現できず、TBSを退社し、5年越しでカンテレで実現した(その間、やりたかったことを先に実現するために渡辺さんはNHKで『今ここにある危機とぼくの好感度について』を書いた)というなりゆきだったり。

一貫して彼女は「単純な二項対立を避ける」「その中でも個人は変わっていける」というとを描いていると岡室さんは語っていて、なるほどと思う。

最後、特にスッキリする訳ではない。巨悪を倒す訳でもない。ポイントはそこではない。だけど本当に感動してしまう。そんなドラマの特徴って、大好きな野木亜紀子さんとも通じるところだよな…。でもその一部分は、今の地デジで通すための作り方でもあるのかも。

もちろん、制限や縛りが名作を生むことは多々ある訳で、今の我が国メディアの、何1つお上には文句を言えない閉塞・窒息状態は、ある意味名作を生む土壌になっているのかも知れない。いやいや、全然良い状況ではないですよ。最悪なんですけど。

映画『線は、僕を描く』感想

『線は、僕を描く』をAmazonレンタルで。
監督:小泉徳宏(『ちはやふる』3部作など)
主演:横浜流星、清原果耶

(あらすじ)大学生の霜介(横浜)が水墨画の世界に目覚め、やがて自分の心の問題とも向き合っていく。

すごく良かった。『ちはやふる』3部作までに思い入れは及ばないけれど、主役2人の心の機微を深く静かに描く演出が好み。

三浦友和演じる大先生と、孫で水墨画の新進作家・清原果耶の関係を縦軸に、主人公・横浜流星と家族の悲劇・友人との関わりが横軸になって、物語が進んでいく。そのバランスがいい。

撮影の迫力と劇伴とのマッチング!「饒舌な劇伴」とはおよそ揶揄する時に使っているけど、今作では要所に絞られ、クライマックスを盛り上げている。
(しかしいきなり歌が流れるあの箇所には戸惑った。ちょっと勿体ない)

説明セリフや説明カットが殆ど無いのもいい。「ここであの思い出カットが入るかな…」と心配しても、まず入らない。思い切りがいい。

『ちはやふる』3部作からの既視感(アングル、照明、音楽)はあらゆる処にあって、それは題材が日本伝統のものだったりするからなおさらなんだろうけど、でも自分はその既視感はまったくマイナスにはならなかった。何度もぐっときてしまう。

横浜流星が素晴らしい(彼の他の作品を観たことは殆どない)。

今作のファーストシーンは、彼の顔のアップがずーっと続くだけ。
ただ何かを観て感動しているその表情。その後、観ていたものが何なのか分かるのだけど、この最初のシーンが、後でいくつものストーリーと噛み合い説得力を増していく。

江口洋介もいい。ハマってる。清原果耶の演技も文句無しに素晴らしかったけど、完全に個人的な問題で『モネ』を完走した後だとさすがにダブり感がある。まったく違う女優だったらもっと集中できたのかも…とは思った。

『ケイコ、目を澄ませて』に続く三浦友和師匠。すっかり重鎮だな。これも自分的には三浦友和感を100%拭いきれず10%くらい残っているのだけど、でも良かった。

富田靖子の初登場カットがまったくそれと分からない位上流階級おばちゃん感満点で驚いた。

そして何より、最後まで主人公2人に恋愛感情のカケラも発生しないのがいい。最高。これが出ちゃうと急に凡百。

そもそもの水墨画の魅力に気付かせてくれる内容でもあるし、『ちはやふる』じゃないけどこの映画きっかけで水墨画をやってみたいと思う若者も結構出てくるんじゃないか。水墨画の描写がとても効果的だった。なんでもコロナの延期もあって、横浜流星は計1年ほども練習して臨んだそうだ。

この映画、入りはどうだったんだろう…残念ながら自分の知る限りでは然程話題にはなってなかったようだけど。#アトロク で宇多丸さんがかなり褒めていて気になっての鑑賞でした。

NHK単発ドラマ『ももさんと7人のパパゲーノ』

今日家でお昼ご飯食べながら観たNHK『ももさんと7人のパパゲーノ』。オンデマンドで。
サムネールが気になって観ただけで、前情報はゼロ。

最近あまり感じたことのない不思議な後味。最後はちょっとすっきりする60分ドラマ。撮影も音楽も編集も抜群にセンスがいい。古舘寛治のナレーションも素晴らしい。伊藤沙莉主演。

何なのだろうこれ…と思って検索してみたら、

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NHK福祉番組ハートネットTVが運営するサイト「自殺と向き合う」に寄せられた声と、投稿してくれた人たちへの5年半の取材を元に制作しました。

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とあった。

「パパゲーノ」とは「死にたい気持ちを抱えながらも“死ぬ”以外の選択をしている人」を現す言葉で、その人達の話を聴くことで自殺願望が収まるようなケースを、オペラ『魔笛』の登場人物になぞらえて呼んでいるそうだ。

NHKには「わたしはパパゲーノ」なる別サイトもある。自殺対策プロジェクトのようで、その内容やアプローチの仕方に、自分はかなり救いを感じた。誰だって他人事じゃない。いざとなったら読むべきところがある。その時にちゃんと、必要としている人の、目に入りますように。

TBS『たまむすび』終わる

この2年ほど、コロナ禍に入って1年経ったくらいから、メンタルの急激低下のせいなのか、それまでずっと好きだったのに、急に見なくなった(聴かなくなった)番組がいくつかある。

TBSラジオ『たまむすび』もその1つだった。
なんなのだろう。普段の生活で心からリラックスする時間が殆どなくなったから、なんだろうか。

1年以上ご無沙汰している『たまむすび』が終わってしまうと聞いて、すごくショックで、すごく寂しくなると同時に、「最後だけ聴いて寂しいとか言ってるんじゃねー」的な、自分に対する罰的な何か、も生まれて。

終了告知があった後も、だから聴きたいのに聴けない、なんかそんな時期が続き、そして遂に最終週になってしまった。

最終週、ガマンできずに聴いたよ。

8年以上も聴いてた番組だから、あっという間にあの頃の気持ちに戻ったよ。

思い出したけど『ストリーム』『キラ☆キラ』『たまむすび』と、いったい何年TBSリスナーやってるんだ。

木曜の赤江さん最終日、最後の「答辞」は、仕事の買い物をしながら聴いてたら泣けて泣けてしょうがなくて、レジにも行けないほどだった。

考えてみたら
こんな風にキー局番組の最終回の瞬間を、地方でリアルタイムで聴けること自体、ラジコプレミアムが無い時代には叶わなかったことで、それも元を辿れば2011年の311からだったな。大震災がもたらした数少ない恩恵。

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当たり前だけど、赤江さんが単に天然すっとぼけキャラだけじゃない人ってことは、このトラブル続きの11年をずっと伴走してきたリスナーだったら、皆知っていると思う。

『たまむすび』は自分にとって、こんな赤江珠緒という大好きな女性との出会い…だけじゃなくて
博多大吉とピエール瀧という、理想の大人像、尊敬すべき先輩に出会えた番組だった。

絶対に自分にはなれない理想像だけど、少し先を行く人生の先輩男性像として、ああこんな人がいるなら男として生きていく意味もあるのかな〜と思わせてくれる二人だった。(だから、瀧さんの降板と、復帰しないことへの思いも、聴かなくなった後押しだったかも)

最終週の水曜日。大吉さんのラスト。
特に大きなプレゼントも、気負いも無いように話す大吉さんが語った、ポッドキャスト新番組への、その思いの丈にクラクラした。

(博多大吉さん)
自分はたまむすびで大きな自信をもらった。この自信のおかげで仕事が回り出し、タレントとして大化けすることができた。

今NHKの「朝の顔」になれているのも「たまむすび」なくしてはありえない。
自分を大きく羽ばたかせてくれた番組だ。自慢の番組だ。

そんな風に自分を大きくしてくれた赤江さんは、だから自分にとって最高のラジオパートナーだ。

番組をやめるやめないの決心にしても、辞める気持ちが殆どではなくて、51対49でやめるような、そんな様子に見えた。赤江さんは、辞めたくて辞める訳じゃない。

だから自分は「10年後にまた「たまむすび」やるって決めて、辞めたらどうですか?」と提案した。そしたらリスナーも、周りのスタッフも皆同じ気持ちだった。

この先赤江さんは絶対にたまむすびが恋しくなる時がくるだろう。
10年先に番組を用意することは、今の仕組み上できることではない。皆、望んではいるけれど、そのやり方が分からないだけだ。

だったら、自分がその受け皿を用意しておこう。赤江さんがいつでも帰ってこれるように。
赤江さんだけじゃなく、元「たまむすび」のパートナー達も出演してもらい、この「たまむすび」が育ててきたものを自分が繋いでいく。
赤江さんが帰って来たくなった時に、いつでもその場があるように。

そのために自分は腹を括って、ポッドキャストを始めます。

かなり意訳しているけども、こんな話だった。そして赤江さんには、いつ来ても無制限に番組に出ることができる無期限PASSを渡したのだった。

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このエピソード自体が、『たまむすび』がどんだけ凄い番組だったかってことを、物語ってると思う。

瀧さんもちょっと位出てくれよな!とは誰もが思ったはずだけど笑

本当に赤江さん、凄かった。
こんな幸せなエンディングを迎えられるパーソナリティー。なかなかいないですよ。
なんというか、おめでとうございます。ありがとうございます。大好きでした。
またその声をお聴きできる日を、楽しみに。


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1999年のWEB日記時代から始めた個人サイト。ブログ移行にあたって過去記事も抜粋してアーカイブしています。
(HTMLサイト→SereneBachブログ→WORDPRESSブログと転移)

好きな漫画(2014年版)はこの記事の最後に。

最近は(インスタ)でアップしているTV・映画感想の投稿を、半年に1回くらい一気に転載しています。