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映画『48時間』感想。何度目か分からない再見

『48時間』1982年
大学時代に好きで何度も観た映画。なんでか分からないけど昨日深夜1時に急に思い出してhuluにあるもんだからそのまま全部観ちゃった。配信最高!サブスク最高!

冒頭からまったくダレることなく中盤まで進む編集と音楽に圧倒される。何度観ようとイイ!

ニック・ノルティの掠れ声も、映画デビュー故のエディの少し洗練されたように?(笑)見えるかんじも。アルマーニが素晴らしくいい仕事してる。(エンドクレジットにわざわざ「レジー(エディ)のスーツ:エンポリオアルマーニ」と出てる)これ『ブレードランナー』と同じ年の映画だったのか…。後に生涯ベスト映画『ダイ・ハード』を撮るPコンビや脚本家も入ってるんだね。

この映画でも「48時間2」でも、ニックは必ずサイフを持たず、ポっけからくしゃくしゃになったお札を出す。ずっとサイフを持たない主義だった自分は、この映画のニックを見て、サイフを買うのがさらに10年(結婚するまで)遅れることになるのだった。

『THE CHEF SHOW』がやってくる!

ジョン・ファブローと映画『シェフ ~三ツ星フードトラック始めました~』のプロデューサー、ロイ・チョイがふたたびび手を組んだNetflixの料理ドキュメンタリー『THE CHEF SHOW』が6/4より配信開始。二人がお気に入りのレシピや料理技術を探求し、ハリウッドや料理業界のビッグネーム達がゲスト出演する模様。

この予告動画が、大好き映画『シェフ』のメイキングみたいでめちゃくちゃ楽しい。同作に出演していたロバート・ダウニー・Jr.&トム・ホランドが同じテーブルを囲む回もあるんだとか。撮影時期も被っていたのか、アベンジャーズエンドゲーム直後のこのタイミングもいい。

おれはファブローが料理して食って笑って音楽が流れているだけできっと満足だ。

今晩は恐らく『ゲームオブスローンズ』最終回で文字通り死んだようになっていると思いますが、こんなに嬉しいニュースがまわってくるなんて。神様ありがとう。
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(映画ナタリーより)
作品には、「アベンジャーズ」シリーズの撮影が行われた米アトランタで、ファヴローがアイアンマン役のロバート・ダウニー・Jr.、スパイダーマン役のトム・ホランド、ペッパー・ポッツ役のグウィネス・パルトロウらと食事する場面も。マーベル・スタジオ社長のケヴィン・ファイギや、シリーズの監督であるアンソニー・ルッソとジョー・ルッソの兄弟、コメディアンのビル・バー、映画監督のロバート・ロドリゲスらがゲスト出演する。

映画『バイス』感想

ユナイテッド・シネマで『バイス』滑りこみ。

片田舎のチンピラ電気工が、権力・地位至上主義の妻による協力なバックアップのもと、アメリカ史上最も大きな権力を持つ副大統領にのぼりつめ、戦争を起こし何十万人を殺すに至るまでを描く映画。

とは言え堅苦しい政治映画では全然なくて、サタデーナイトライブ出身の監督が全面に散りばめたギャグと皮肉、フィクションと実際の映像を混ぜた小気味良い編集でオモシロおかしく誰でも分かりやすく権力中毒者の為す業を描いている。

無理に映画館で観る作品ではないと思うけど、レンタルになったら是非見た方がいいよ。お薦め。マイケル・ムーアの内容をもっとエンタメよりに面白くしたような。エンディングの皮肉がもう最高。笑いながら笑えなくなる。アカデミー賞8部門ノミネート、メイクアップ&ヘアスタイリング賞受賞。

アメリカすごい。
こんな映画が撮れちゃって、ヒットするアメリカすごい。
色々と見習いたくないことが山ほどある国だけど、これだけは真似できない。民主主義とエンターテインメントの根幹から違っている。

拷問は禁止されている。だからアメリカで行われているとすれば、それは拷問ではない。とか。
レズビアンの娘がいながら、政治的立場のために両親が揃って同性婚に反対するとか。

枚挙にいとまのない愚劣卑劣なシーンが出てくるけども、それらはおよそ前後のギャグと皮肉で分かりやすくエンターテインメント化されて、誰でも楽しめながら理解し、強烈に頭に残る。すごい。

主人公のチェイニーは勿論、ひたすらお馬鹿に描かれる子ブッシュも、「理念は?」との問いに爆笑で答えるラムズフェルドだって、すべて存命。描かれる彼らの家族も、彼らのせいで犠牲になった何千の米兵、何十万のイラク人、その家族だって、この映画を観る。

だけど映画は映画。この稔侍(作品には基本的に弁護士チームがついて対策しているそう)。日本では絶対にできない。

クソ野郎が権力を握るとどうなるか、何を解釈してどうするとどこまでが可能になるのか、その構造が良く分かる。そして今の日本の彼も良く似ている。だけどそれらはすべて正義のためなんだ。 .
(クソ野郎とか書いてるけど愛らしいのですよ皆)
(特にブッシュの仕草は全シーンが面白い)

映画の冒頭に流れるイントロ。賃金が減り労働時間がなくなると、誰も政治には関心がなくなる。そんなヒマはなくなっていく。その中で誰にも気付かれず権力の中枢に登った男がいる。彼はのちに、911テロとは関係ない国を、中東戦略と自分の会社の為にスケープゴートにした。自国の数千人の若者と、彼の国の何十万人の老若男女を犠牲にして。それに気付かなかったことは、果たして誰のせいだろうか?

町山智浩がアダム・マッケイ監督にインタビューしている
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「日本ではこのような映画は撮れません。作り手たちは常に訴訟や反発を恐れている。そのため制作費を得るのも俳優の確保も難しいんです。そんな状況を打破できるようコメントをいただけませんか?」
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対するマッケイ監督の答え。
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「監視を怠れば、政府は暴走する。
国は危機に陥り、崩壊するだろう。
政府に動きがないときも
自分のすべてを懸けてでも
疑わなければダメだ。

時には仕事を失い
恥をかくかもしれない。

でも、歴史は証明してくれる。
最終的には
あなたが正しいことをね。

アメリカでも、人々が口を閉ざすことは多くある。
権力を恐れているからだ。

ただ、特にあなたが映画製作者や画家、詩人、小説家、俳優など芸術家の場合
(注※ここに「俳優」が入るのも大きな違いだろう)
権力を疑うのが、まず初めの仕事だ。」
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イヤ何度も書くけど全然お堅い映画じゃないので、ぜひ気軽に見て欲しい。
音楽もビジュアル・グラフィックのセンスも最高。

終わった後130分もあったことを知ってびっくりした。90分位の感覚だった。

映画『スパイダーマン:スパイダーバース』感想

イオンシネマで『スパイダーマン:スパイダーバース』2D吹替
21:30からの上映とは言え、お客さんは自分ひとり。

もったいないよ!
観た後だから言えるけど、アニメの歴史が書き換えられる1作だと思う。
だからこの機会を逃すなんて、もったいないよ!

スパイダーマンの映画は3、4本観ているけど、「すごく好き!」って言える作品はなかった。おおよそ共通している、主役のウジウジ加減と、恋愛ストーリーにノれないのが主な原因。(恋愛のせいでウジウジされるともっと苦手)とにかくスパイダーマンとは相性が悪い自分です。

そんな自分が、あまりの高評価に押され観にいったら「サイコー!」でしたの巻。
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「技術」と「センス」がすごい。
観たことのない絵面がいくつも出てくる。この時代になってもまだこんなに使われてない手法があることにびっくり。

とはいえ「アニメと実写」を分けることにはあまり意味が無くなっているのは確かで、スパイダーバースの気持ち良さも「アニメの快感」と言うには既に次元が違っちゃっている気がする。この感覚を説明できないのでとにかく観て欲しい。
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『ベイマックス』を映画館で観た時に「日本アニメの良さを完全に吸収し血肉としつつ、ハリウッドアニメならではの新しい段階にステップアップしている」と痛感したけど、あれ以来のショックでした。

ルックも音楽も最高にカッコいい。そしてコミックばりに「文字」が多用されている。なので吹替がお薦めだと思う。

あの『SHARLOCK』の初期の頃に猛スピードで文字が出てきたけど、字幕だとセリフとその文字の二つ読まなきゃいけなくて追いつかなかったでしょ?あれです。スパイダーバースは吹替でも追いつくのがやっと。今の中高生とかこのペースがネイティブなんだろうな…。
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この背景に出てくる「文字」のローカライズも、一昔前の「MSゴシックか?WORDでつくったのか?」みたいなダサさは完全になくなっている。この映画ではそもそも原語版でも日本語の文字が使われているので、背景に出てくる文字が原語版なのかローカライズされた日本語なのか、見分けもつかない。

最初「スパイダーバース」の「バース」は「Birth 」かと思い込んでたけど、「verse」つまりシネマティックユニバースの、マルチユニバースの、ソレだった。つまりアメコミの色んな設定を同時存在させるために考えられた「すべてはパラレルワールドで存在している」というアレを、逆にメインの設定としてドラマが作られている。この後はお楽しみ。
【小学生なら一緒に観てOK・怖がりはダメかな】

全編に使われるHIPHOPの格好良さったら! 【以下ネタバレ】




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●スパイダーマン苦手な自分が今回受け入れられたのも、あのいつものどーでもいい恋愛要素がまったくなかったからなんだろうな…。
●モノクロのスパイダー・ノワールの声が大塚明夫さん(ネモ船長・バトー)最高だった。
●最初の世界が自分達の今の世界じゃなくて、ピーター「B」パーカーの世界がそうなんだよね?この設定もちょいちょい良い感じだ。あれだけ表現も世界観も違うアニメキャラ同士が共存する、その微妙な違和感を敢えて出せるのも今の技術のなせる技だよなー。お見事。
もう1回観たい!

映画『ROMA』感想

『ROMA』をNetflixで。

アート系映画だよ〜とさんざん聞いていたので退屈するのかな、と思いきや。
退屈なのは冒頭のオープニングクレジットだけだった(面白いカットなんだけど、いかんせん長い!)。 アルフォンス・キュアロン監督の幼少期を映画化。メキシコのコロニア・ローマ地区の裕福な白人家庭でお手伝いとして働く先住民女性・クレアの日常を描く。
存命の本人に徹底的にヒアリングして構成したので、9割以上本当の話だとか。

観たことのない撮影の連続で飽きるヒマなんてなかった。全編モノクロで映像の密度が超高い。地味で驚きのカメラワーク。

見たことのない、人の演技とゆっくりパンのマッチングにまず驚く。これが町中に出るとドリー移動で同じことをやっていて、70年の背景美術にまた驚く。2回目は可能なら映画館で観たい。

もともと素人だという主役をはじめ、何故こんなナチュラルな演技が可能なんだろう。どこまで計算してどこまで仕込めばこんな映画が可能になるんだろう。自分にとって新しい世界を確かに垣間見た。クライマックスほか忘れられないカットがいくつもある。

テーマはここでも差別。人種差別や男女差別。恋人のクソっぷりがもはや笑ってしまうレベルだけど、残る。

キュアロンが実の母と同じように慕っていた家政婦クレア。彼女や、実の母が当時どれだけの女性差別、人種差別の中にいたのか幼少期のキュアロンには分かるはずもなく、この映画はその罪ほろぼしのために製作したそうだ。

カメラがパンかドリーの横移動しかなく、アップもあまりないこの構成は、監督曰く
「過去にタイムスリップした僕が、魂だけなので人に触れなくてただ見ているしかないカンジ」
を表現しているそう。だから最後の最後にカメラが別の動きを見せると否が応でも目立つ効果がある。ちなみに今作は監督・脚本に加え撮影もキュアロン。

できるだけ大きな画面で、そして音響がすごく良いでのサラウンドを体感できる環境で観た方が良いと思う(ちなみに劇伴は無し)。あと今はイオンシネマ西で1日3回も上映やってるよ!イオンシネマ西の音響はユナイテッドや万代からすると好きになれないけど、自宅よりは良いしね。

映画『グリーンブック』感想

『グリーンブック』をユナイテッド・シネマで。

小学生後半なら一緒に観ても大丈夫。素晴らしいエンターテインメント作。『ドリーム』が好きな人には特にお薦めしたい。できればクリスマスに観ると最高。

最初に企画を聞いてからこの日まで期待していた内容を、見事にすべて100%以上で返してくれた。満足しかない。デブまっちょなイタリア系チンピラのトニー(ヴィゴ・モーテンセン)と、知的でおぼっちゃん育ちの黒人天才ピアニスト・シャーリー(マハーシャラ・アリ)の珍道中。と聞いただけで、そりゃ絶対面白いでしょ。

流行りの実話ベースで、脚本はヴィゴ演じるトニー・リップの実の息子と監督が、共同で書いている。パンフレットにある、実際のトニーの家族と、この映画の深い関わり(実際の親戚が役者で出ていたり)を読めば映画のあのシーンが思い出されてニヤニヤすること請け合い。パンフのボリュームはそれ程ないけど、どの記事もぐっとくるのでお薦め。

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黒人差別が法的に許されていた最後の時代、60年代初期の南部をコンサートツアーで廻る訳だから、メインテーマは黒人差別。いや黒人に限らず「差別は無意識化で行われる」という『ドリーム』のあのテーマ。世界的に有名なピアニストが、コンサートでは白人富裕層にちやほやされながら、「いや黒人はここでは食事ができないんです。ほんとすんません」と同じ会場で食事をすることさえ拒まれる。

エグゼクティブ・プロデューサー陣には、あのオクタヴィア・スペンサーが名を連ねている。脚本を企画初期の段階から関わり、彼女独自の差別に対する考察がとても貴重だったと監督コメントにあった。

ずっと押し黙り反暴力で貫くシャーリー(アリ)と、ついつい口や手が出るトニー(ヴィゴ)のやり取りを通じて、異なる環境の人間同士の繋がりと理解について、セリフではなく脚本とその演技・表情で観客に考えさせる。しかも基本はギャグだ。

ここまではまだ想像できたけど、本作はすばらしい音楽映画でもある!シャーリーの演奏シーンがどれもこれもいい。しかもすべて違う曲ってのがポイント。いくら良い曲でも映画の中で被ることで「またこの曲?」って少し冷めちゃうことあるじゃない(『アリースター誕生』はそれでちょっと残念だった)。

家に帰ってから実際のシャーリーの曲聞いたけど、格好良かったなぁ。でも映画全体を貫くBGMはこのシャーリーの曲じゃなくて、60年代ならこれでしょ!なリズム&ブルース。このミクスチャがすごく気持ちいい。当時、黒人の曲は大好きなクセに自然体で人種差別している白人達。そのリアルな様子を音楽が浮かび上がらせている。

すべてのアクションが対になっているかのような構成力にも、ほんと褒めるところしかない。最初から最後までずっと好き。本当のエンターテインメントってこういうやつ。

以下ネタバレ含むかも━−━−━−━−━−━−━−━
続きを読む

WOWOWぷらすと「ぷらすと的2018年ベスト映画」を観る

今日の総移動時間はおよそ6時間くらい…
道中のお供はWOWOWぷらすとの「ぷらすと的2018年ベスト映画」公開収録3時間弱。楽しかった〜。時には大声で賛同し、時にはブーイングしながら最後まで。『ペンタゴン・ペーパーズ』そこまでじゃないよ!とかw。傑作と言われてるものでも6人の中で結構賛否が分かれてた。合議制ベスト10ってのは面白いね。

映画ってつくづく思うけど、人によって全然違う「どうしてもひっかかる(嫌な)ポイント」がある。それは致し方ない。この「ひっかかり」が各作品の賛否を大きく分ける原因になってることって結構あるな〜って、見ながら思いました。

YouTube面白かったけど「3時間も観れない!」って人は、plus.paravi.jpの中で記事になっているので興味ある方は検索してみてください。

改めて今後の私的TO DOリスト
(2018で観のがして今後絶対観なきゃいけないリスト)
『若おかみは小学生!』
『A Ghost Story』
『ワンダー君は太陽』
『ダウンサイズ』
『ブリグズビー・ベア』

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【ぷらすと的2018年ベスト映画 ベストテン】
結果は以下の通り

1位:ペンタゴン・ペーパーズ

2位:君の名前で僕を呼んで

3位:ブリグズビー・ベア

4位:きみの鳥はうたえる

5位:万引き家族

6位:菊とギロチン

7位:孤狼の血

8位:タクシー運転手
約束は海を越えて

9位:ブラック・パンサー

10位:カメラを止めるな!

【ぷらすと的2018年ベスト映画 個人賞】

西寺:ファントム・スレッド

宇野:15時17分、パリ行き

添野:ランペイジ巨獣大乱闘

松崎健夫:ワンダー 君は太陽

花くま:ザ・プレデター

矢田部:顔たち、ところどころ

松崎まこと:カランコエの花

池田:若おかみは小学生!

映画『スモール・フット』感想

『スモール・フット』をiTunesレンタルで。

やっと配信になった!お薦めです。

雲の上の山奥で暮らす心優しいイエティたち。若いミーゴはある日、伝説の小さな足を持つ「スモール・フット」に出会うが、誰もその話を信じてはくれない。スモールフットを探しに村を飛び出るミーゴはついに、彼らの住む町へと辿り着く。

そう、我々が「ビッグフット」と呼んでいた連中から、人間を見た物語。全編ギャグ満載で、笑いっぱなしなんだけど、中盤以降、彼らの目を通した人間達の行動を見るにつけ、笑いながら考えさせられる…でもピクサーディズニーみたいに説教臭くないんだ。その加減が見事。イルミネーション作品との間くらいのバランス。すっげー楽しかった〜!
【お子様OK】

映画『バッド・ジーニアス』感想

タイ映画『バッド・ジーニアス』をiTunesレンタルで。内容は『ザ・カンニング』。(って50近くじゃないと分かんないか)

予想と違って結構ヘビー。エンタメ映画としてのクオリティは文句無し。どうしてもモラル的にひっかかる箇所、心情的に理解しかねる箇所がいくつかあるので手放しで大好き!とは言えないけど、でも多分殆どの人は気にもならないのかな。

主人公の貧乏天才学生役の女の子(モデル出身らしい)、どんなにダサい格好をしても誤魔化せないスタイルの良さ。めちゃくちゃカッコいい。激カワイイお金持ちおばかヒロインちゃん(憎めない天然キャラ)と良いコンビ。

まぁちょっと、その計画じゃうまくいかないでしょ、という設定の甘さを、超緊迫した編集と演出で見せる見せる。いやーこんな映画どんどん作って欲しい。今後もタイ映画期待大。

映画『はやぶさHAYABUSA』感想など

毎年、1・2月は結構なペースで映画を観ている気がする。正月休みの流れがあるんだろうな。 『はやぶさHAYABUSA』を観たのは、別に今日のタッチダウンを事前に知っていたからじゃなくて単なる気まぐれとか偶然だったか。よく覚えていない。竹内結子が見たかったのかな。

ラストはちょっとアレだったけど結構いいじゃんこれ!専門用語を余計な説明なく淡々と呟いていくプロフェッショナル系映画、好きです。竹内結子の他も、映画を観ない層ウケだけを狙ってキャスティングされたであろう面々も、皆良い仕事をしていたと思う。

類似作(全部で4つくらい同じネタの映画がある)を調べようと検索したら、この映画、どこでもぼろくそのけちょんけちょんにけなされていた。そういえば当時もこのバッシングの嵐で観る気をなくしていたんだった。色々思い出した。そもそも監督の名前だけで普段ならまず観ることはなかったと思う。自分の物忘れのひどさに、こんな時は感謝。聞くと観るとは大違いだ。

今日のお昼はJAXAのアーカイブ動画をずっと流していた。分かりやすい技術解説も驚きの画も出てきたりで飽きない。インパクターも無事動いて14年前の雪辱を果たした面々の笑顔も、PMの説明も、皆嬉し楽しや。よいタイミングで映画を観れて良かった。

映画『パワーレンジャー』感想

『パワーレンジャー』吹替をNetflixで。(何で字幕版がない?)

日本初の戦隊モノがアメリカに行って、映画化して逆輸入。その辺まったく詳しくないけども、『ジュウレンジャー』が元ネタらしい。まず自分では観るジャンルではないけども、あまりに評価が面白くてつられてしまった。

実際この映画が「戦隊モノ」になるのは、後半1/4くらいになってから。

それまではずっと「変身できずに皆で訓練する高校生ドラマ」なので、どちらかと言うと『ジュマンジ・ウェルカムトゥザジャングル』とか『ブレックファストクラブ』とか高校生版グーニーズとか、そんなカンジで、実に楽しい!

どうしようもないイジメや、裏切りや、イヤな奴が全然出てこなくてサクサク進むし、その分多少薄っぺらい嫌いはあるにせよ、その明るさパワーで持って行かれる!
ただ全員のキャラがちゃんと丁寧に描かれているかと言ったら、かなり雑。そのあたりは前述の傑作達とは並ぶべくもない。

んで戦隊ものパートは正直興味ないのでどうでも良かったです。そもそも戦隊ものったって、ショッカー達とちょっと戦った後は、ずーっと巨大ロボのコクピットに座ってるだけじゃん。え?そういうもんなの?

戦隊ものが特にお好きな人以外は、前半のみお薦めします。前半楽しい!

『素敵なダイナマイトスキャンダル』感想

『素敵なダイナマイトスキャンダル』をiTunesレンタルで。

元白夜書房の編集者・末井昭さんのはちゃめちゃ人生を描いた自伝を映画化。原作未読。西原理恵子さんをデビュー作から読んでいる自分としては、「倍々プッシュ・先物取引で毎回大失敗・億単位で借金の末井どん」でお馴染みの人。以前働いてた会社では白夜書房の仕事を専門に請け負うセクションもあった。

70年代の美術と撮影と音楽が素晴らしくて、これだけでも観る価値がある。当時の喫茶店のやり取り、煙草で煙ったあの空気。匂いまで漂ってくるよう。

関係ないけど今年の弊社の年賀状はちょうど1960年後期の社内の写真を使っていて、末井さんが最初働いていたグラフィックデザインの会社とうまいこと被ってて色々興味深かった。

その後エロ本編集時代がずっと続くのだけど、ギャンブルや女で破滅的な生活を送っているのに、「会社では落ち着かないから」と自宅で相変わらず版下貼ってるその編集者根性が憎めない(イヤ他にも理由はあるのだろうけど)。業界覗き見的な意味でも面白い。

菊地成孔劇伴の不穏な空気がこの美術にぴったり。菊池本人はアラーキー役で出ていて、これも良かった。

柄本佑、熱演。劇中ではまるっきり末井さんに見える。
原作が出たのが少し前なので最近の様子が入っていないのが少し残念か。

『フロリダ・プロジェクト』感想


『フロリダ・プロジェクト』をAmazonレンタルで。

フロリダ・ディズニーワールドの隣の安モーテルで暮らす若いシングルマザー・ヘイリーと5歳の娘ムーニー。毎月の家賃も払えず、母親はディズニーに来た観光客相手にパチモンの化粧品を売ったり体を売ったりして暮らしている。厳しく抜け出せない貧困層のリアル。

主人公母子も、周りの住民達の暮らしぶりも、子供やママ友とのやりとりりも、客観的に観たら相当なろくでなし。モラル的にアウト!なこと連発。悲惨に描こうと思えばいくらでもできるシチュエーション。

そんな底辺の暮らしを、この映画は子供の目線からユートピアのように描く。子供の目から見た、カラフルでワクワクに満ちた世界。遊びの基地となる何棟ものモーテルや廃屋、パンケーキの貰えるダイナー、観光客を騙して小銭を稼ぎ、仲間と舐め合うソフトクリーム、雨の後の虹、向こうの世界で上がっている美しい花火。

母ヘイリーはロクデナシだけど、娘を間違いなく愛していて、常に優しく、子供の目線で一緒になって遊ぶ。こちらからの「カワイソウ」なんて目線はどこ吹く風、常に笑顔の絶えない、本当に愛おしい日々。

だけどそんな生活はいつまでも続かず、終焉が刻々と近づいていく。

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●ムーニーを演じる子役がとんでもなく素晴らしい。町山智浩さんが『ギフテッド』の主役の子と並べていたけど納得。きっとこれからどんどん有名になるだろう。吐く言葉はろくでもないけど、あまりのキュートさと愛くるしさ、だからこその最後のある瞬間の表情に、胸を裂かれた。

●美人の母親ヘイリーを演じたブリア・ヴィネイトはきっと名のある女優なんだろうと思っていたけど、監督がインスタで発掘したデザイナーだそう。この映画の演技が認められて、次々と大作出演が決まっているようだ。

●この母子2人のシーンはどれもすごく幸せで、やってることは褒められたもんじゃないのに、できればこのまま続いて欲しいのになぁと自然と願っている自分に気付く。苦しく抜け出せない貧困暮らしで、周りからみたら相当に大変な状況だとしても、徹底的に「ジャッジしない目線((C)宇多丸)」で描くというこのやり方自体が、この映画の最大のメッセージだと思う。

●描かれているものと、描かれていない(ように見える)もの、その構造が巧み。最初観た時は普通の1シーンが、あとで考えると、胸が苦しくなるような破滅の予兆だったり。

●母子を見つめる、ウィリアム・デフォー演じるモーテル管理人の渋い演技もいい。一見何でもない場面に見えるけど、彼の動きを通じて、実はいつも危険と隣り合わせだということを思い出させたり。ここの演出すごい。

●射貫かれるような一瞬の「目」の演技が何回かあって、強烈に印象に残った。

●最初観た時には呆然となったラストシーン。でも観終わった直後に思い出しただけで打ち震える。これは歴代ベスト5くらいに入りそうなラスト。それまでまったく見えなかったアレが、最後の最後で初めて急に姿を見せる。まわりに居る観光客達が、主人公2人に比べなんと空虚に見えることか。

●全編通して圧倒的なビジュアルセンス!

まだ書きたいことはあるけど、とても自分の語彙では表現できない。あちこち見事!な一作だった。また見直したいな。『ギフテッド』とこの2本、最強・天才・カワイイ子役映画。

マンガの新規開拓

「マンガとうまく付き合えなくなって」と、
『フリースタイル』誌に宇田智子さんが書いてた。「このマンガを読め!2019」特集号。
掲載されている皆さんが、どうやって毎年、新しく面白いマンガと出会っているのか、分からないと。

そう、おれもここ数年は、続刊やよほど好きな作家の新作しか買っていない。付き合い方が分からないというより、もう少しなんとかしたい。昔はこんなじゃなかったのに。

今は書店でちら見ができないのが決定的に駄目だ。シュリンクは論外だが(これも外すのが本当にイヤ)、シュリンク無しの本でも「立ち読み防止」ビニール紐のせいで、自分好みの作品を開拓することが不可能になった。

ごくごく限られた激推し作品だけは抜き刷りを置いているけど、話にもならない数だ。書店は良い作品をお客様に紹介することを諦めているのか。ネットで評判を調べてから、買うのはAmazonじゃなくお店に来てくれとでも?

(近くの大規模書店(某パチ資本)のレジでは、立ち読み防止の黄色いビニール紐を「外しても良いですか?」と聞いてくる。そのたびに
「な・ん・で・お・た・く・の・ゴ・ミ・を・わたくしが引き取るかどうか、お聞きになるのですか?」
と思いながら、ぶち切れそうなのを抑えて「はい」と答えるのだ。
(最初のうちは少しでも改善してもらいたくて店員に伝えていたけど。もう何も変わらないのでやめました。)

店頭の新規開拓ができない、そんなこんなの状況を打破するために『フリースタイル』なんかのマンガ特集を買って、そこから試しに買ってみたりしている。あとはやっぱSNS情報が一番多いかも。

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写真はそんなやって買った新規開拓に加え、好きな作家の新作旧作。

フリースタイルで推されていたマンガ3冊、確かにみんな面白い!
面白いんだけど…多分ほとんどのマンガ好きに「面白い」と言ってもらえるような作品なんだろうけど、自分的に「これは一生つきあっていきたい!」までではなかった(上から3冊)。

●泰三子『ハコヅメ』:交番勤務女子の業界・人情もの。続刊はもっと盛り上がるのかも知れないけど、買うほどでない…かな。

●吉本浩二『ルーザーズ』:漫画アクション誌を創刊した編集者たちのノンフィクション。漫画的表現スキルがあまりに稚拙だけど題材が面白すぎるので、これはきっと続きを買う。モンキー・パンチの若き時代とか出てきます。自信もなく絶望寸前の若き彼。

●森田るい『我らコンタクティ』:こっそりロケットを作る内気青年とそれに絡む世間ズレした女子。1巻完結。これは面白かった!

●清原なつの『じゃあまたね』:高校大学とずっと大好きだった作家さん。その少女期を描く自伝。ドラマ仕立てではなく当時の流行ややっていたことを淡々と日記風に描いてる。う〜ん、なつのさんはやっぱり昔のSFやファンタジーが好きです。

●瀬野反人『ヘテロゲニア リンギディスコ』:「魔界」に入り魔物たちの言葉を解析しようとする言語学者の弟子の話。表紙から何から『ダンジョン飯』の二番煎じっぽくて、荻上チキさんが激推ししていなければまず買わなかったと思う。内容は…確かにオリジナリティはあれど、主人公のルックスから性格から『ダンジョン飯』の主人公と似ていて、もうスピンオフみたいな気分で読んでしまってた。続刊は…買う…かな

●九井諒子『竜の学校は山の上』:作者初めての作品集らしい。ダンジョン飯以前の中短編はそこそこ読んでるけど、自分の中ではそこまでの位置になかった。この短編集はそれらより一段上だった。忘れられない魅力がある。

まだまだ積ん読あるのでここらへんで。

#readinglist_dsm

NHK『いだてん』感想

『いだてん』最高!
毎回何も考えず45分間、家族で満喫しています。楽しい!楽しい!夢を見ているのかと思う位、期待に溢れる今年No.1ドラマ(予想)。 クドカン、大友良英、井上ディレクターの『あまちゃん』ドリームチーム!あまちゃんのキャスト、大好きな俳優達がたくさん。脇役がいない。皆が活き活きしてる。

特に好きなのは中村獅童演ずる四三の兄。他にもミシマ家のシマ、森山未來演ずる(大好きだった澪つくし料理帖を思い出す…)若き志ん生、峯田、キョンキョン、活躍は未だないけど神木君、いつもは嫌いなビートたけしでさえ、1人のおっさん芸人として面白いよ…!山本美月ちゃんまで!

オープニングは横尾忠則に山口晃(そう、うちの子供達はみずつち企画で山口先生に直接教えていただいたことがある)。そして大友さんのまた大傑作のOP曲!早くサントラが欲しい。
あと我が家ではいつも誰かが「逢〜いたかば〜ってん逢われ〜んた〜い♪」を謳っている。

おちゃらけているようで、全てのセリフに説得力がある。今のこの時期にオリンピックドラマをやることの稔侍をしっかりと抱き、2020をただ礼賛するなんてことがある筈もなく、当時のオリンピックと国内事情を(ギャグの皮を被せて)丁寧に描写することで、表向きバンザーイ!裏では2020周辺の今のモロモロへの皮肉になっているこの構図。クドカン先生、ほんと見事っす。す・べ・てが気持ちいい。

主人公の四三が毎回毎回チャーミング過ぎる。何なのこのベストキャスティング。
綾瀬はるかに「良かったね」と声をかけてあげたい気分。
今いちばん楽しみなTVドラマです。

『ONCE ダブリンの街角で』感想

『ONCE ダブリンの街角で』をAmazonプライムで。2007年公開映画。

「アイルランド・ダブリンを舞台に、ストリートで出会った地元の男とチェコ系移民の女が音楽を通して心を通わせていくラブストーリーで、自然主義俳優およびミュージシャンのグレン・ハンサードとマルケタ・イルグロヴァが主演している。映画撮影以前より2人は「ザ・スウェル・シーズン」の名で音楽活動をしており、映画のオリジナル曲全ての作曲および演奏を行った。」(Wiki)

「ある日、ダブリンの街角で、男と女が出会う。男は、穴の空いたギターを抱えたストリートミュージシャン。女は、楽器店でピアノを弾くのを楽しみにしているチェコからの移民。そんな2人を音楽が結びつけた。彼が書いた曲で初めてのセッションに臨み、意気投合する2人。次第に惹かれあうものの、彼らは互いに断ち切れぬ過去のしがらみを抱えていた。もどかしさを胸に秘めたまま、2人の気持ちが揺れ動いていく…。」(Amazon)

このあらすじそのままってくらいシンプルな話。主人公二人は「名もなきふたり」。劇中で名前は出てこなくて、エンドクレジットではただ「GUY」「 GIRL」とのみ紹介される。ただ音楽が生まれる時、寄り添うときの気持ちよさが、全編を通して伝わってくる。

『シング・ストリート』のジョン・カーニー監督の手によるアイルランド舞台の音楽モノ。外れる訳ない!と思って観たらその通りで、すごく好きだ。2人の微妙な関係が最後どうなっていくのか。それを見守る目線が優しくてもう……この辺は『ビフォア・ミッドナイト』にも通じるところがある。二人のやっている音楽はそんなに好みじゃないけど、問題ではなかった。

『ザ・コミットメンツ』『シング・ストリート』『ONCE』…どれも大好きなアイルランド音楽映画たち。次はカーニー監督の『はじまりのうた』(菊地成孔先生激推し)を観なくては。舞台はNYに移るらしいけど。楽しみ。

※今検索して初めて知った事実。この主役男性は『ザ・コミットメンツ』のギターの人だったらしい…。全然気付かなかったよ。

『ビフォア・サンライズ』『ビフォア・ミッドナイト』感想

『ビフォア・サンライズ(1995)』『ビフォア・ミッドナイト(2013)』をAmazonプライムで。

パリへ向かう長距離列車の中で意気投合した20代の男女が、ウィーンの街中を歩きながら一夜を過ごす。その様子だけを淡々と描いた『ビフォア・サンライズ』が一作目で、1995年公開。

その後、主役のアメリカ人男性役イーサン・ホークとフランス人女性役ジュリー・デルピーのキャストをそのままに、9年後に2作目、さらに9年後に3作目と、劇中の時間そのままに歳を取った二人の関係を描いた連作になっているのが、この「ビフォア…」シリーズ。監督はリチャード・リンクレイター。3作通じての特徴は、その殆どすべてが会話劇だけで進むこと(らしい)。 はいはいはい、皆さんご注意です。
私は2作目だと思い込んで、間違って3作目を先に観てしまったよ。しかも終わってから気付くという、体たらく。順番は
1『ビフォア・サンライズ』
2『ビフォア・サンセット』
3『ビフォア・ミッドナイト』
です。ややこしいですけど間違わずに。

男女2人の恋愛もので、しかも会話劇オンリーって、普段自分からは絶対に観ないようなジャンル。宇多丸さんのラジオで紹介されていなければ、まず観ることはなかった。

さてその「会話劇」なんだけど、これが見事に飽きさせず最後まで観てしまった。喋っている内容は、男女のこと、仕事のこと、生き甲斐のこと、家族のこと。等など。これらの会話が映画の殆どを占める。それで飽きさせない。何故だろう。

思うに、
1)話している内容が超リアルでツボをついている。脚本は俳優2人も一緒になってディスカッションしながら決めているそう。同じ俳優で役と同じ歳を重ねてきたリアルが、そのまま反映されている。
2)少し突拍子もない話でも「なるほどそうなのか?」と思わせるプレゼン力・説得力がある。
3)「普段からこれだけ2人の間で色々なことを話していたら、それはきっと楽しいかも知れない。無理だけど」という、人種違いのカルチャーギャップが楽しめる
などではないか。

特に3作目『…ミッドナイト』は40代2人の、まさに中年夫婦あるあるあるあるあるある話が満載。クライマックスの喧嘩なんてもう、劇中の2人がそのまま自分達に見えてしまう位。(セクシャルな話題はこっちは全然ないけど)

えと、結婚されてない皆さん。この『…ミッドナイト』の最後の喧嘩をぜひ見ていただきたい。これが夫婦の、いや一緒に暮らす男女のすれ違いの原点です。このやり取りにすべてが含まれていると言っていい。

さて、自分は普段ならこういう「世の中にあると分かっている避けられないイヤな話を、敢えて映画やドラマの中で観たくない」性分なのに、何故このシリーズは許せるのか。

それは、避けられない男女のイヤな話をしながらも、その中で2人が懸命になんとか生きていこうともがき、試行錯誤している、その試行錯誤のスキルが観ている自分達よりも時には少し上手で、結果、わずかでも希望が見えるからなんです。絶望だけで終わらない。

併せて2人の会話の背景に見える欧州の町並みがとても美しく、一緒に観光旅行しているかのような気分を味わえるのもいい。聖地巡りをする人も多いんだろうな。

オススメです。果たして2作目を観るのかどうかは、分からない。

『グリンチ』感想

町内会のイベントで『グリンチ』を観ました。イオンシネマで吹替。

冒頭10分くらいで紹介される、映画の舞台「フー村」の描写が、もう夢のように素晴らしくて、全編通してこの村のあれやこれやを見ているだけでもオッケー!と思っちゃう位でした。フー村の近く、崖の洞窟にあるグリンチの住処も別の意味ですんごく素敵。

原作は未読だけど、とにかく美術と映像(ウォークスルーというかフライングスルーというか、村中を駆け巡る視点)が最高。ヒックとドラゴンみたい。つまり映画館で観るのがオススメ。テンポも良い。この世界にずっといたくなる。最後はちょっというか随分納得いかないけど、全体のイキオイで持って行かれてしまう。

この「フー村」とグリンチの住処を再現したテーマパークがあったら最高だと思う。夢のような場所。

さて大のイルミネーションファンのくせにここまで観ていなかったのは、主人公グリンチのぼやきキャラだけが予告編で強調され、いつもの良さが伝わってこなかったから。ピクサーディズニーのような「でき過ぎる子」でもなく、説教臭もなく、最高の音楽と映像・ギャグで語られるひたすら楽しいあのイルミネーション作品の良さが、どうしてもグリンチの予告編からは想像できなかった。

ファンでさえこれだから、興業は大丈夫かしらと不安になる。 (初期のイルミネーション作でグリンチと同じ原作者の『ロラックスおじさんの秘密の種』、これ自分的には結構な駄作で(子供は喜んでたけど)、この作品にも同じようなぼやきキャラが出てくるんだよね。その影響も強かった。『ロラックス…』はもう途中で観るのやめたくなった位だ)

いろいろ観る前に懸念のあった『グリンチ』だけど、実際は想像と違っていて、まずグリンチと対極にある、フー村の住人たちの描写のボリュームが同じ位あって、ダブル主役みたいなかんじ。

で、グリンチには愛犬マックスやトナカイのフレッドという愛するしかないカワイイキャラがいつも一緒だから、そのやり取りだけでずっと笑わせられたりきゅーんとしたり。この巧さは『ロラックスおじさん…』とはずいぶん違う印象。

全体としてイルミネーションに期待する「音楽」「映像」「ギャグ」「バカバカしさ」はちゃんと楽しめると思う。だけどちょっと最後が説教臭く…。 オリジナルのキャストはグリンチがカンバーバッチ(彼の声キャストは傑作揃い)だし、ナレーションがファレル・ウィリアムスなんだよね(今作ではたまに入る長めのナレーションも印象的だった)。字幕版をどこかで観たいけど劇場では無理なんだろうなぁ。こういう子供向けは吹替ばっかりで…。今回も音楽最高だったのでファレルかと思ったけど、音楽はやってません。

そしてイルミネーションとピクサーディズニーで相当な差が出ていると思うのは、日本語ローカライズのクオリティ。劇中で出てくる看板やちらしのデザイン(フォントなど)が、グリンチもグルーもちゃんとしていて違和感がない。

大好きな『シュガー・ラッシュ1』はもうそこだけwordで打ったみたいで、酷かったもんなぁ。2はちゃんとしているのかしら。 (ローカライズと言えば『SING』の吹替の、原語版を上回るかというクオリティ!そこまでもってきた日本語版スタッフとイルミネーションスタジオのやり取りの話には心から感服しました。)

前座の短編ミニオンの吹替キャストクレジットでまた笑っちゃう。山ちゃんサイコー!(イルミネーションの前座短編はピクサーみたいなクオリティを期待しちゃ駄目よん)あとNetflixでオレンジ・イズ・ザ…知ってる人はタイトル観ただけで(笑)

グリンチ、ぜひクリスマス前に観るのがお薦め!

2018年に観た映画ベスト

記事をまとめる時間がないので、取り急ぎ。

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「2018年に観た映画」ベストをまとめました。 映画館で観た映画:19本(2017は25本) 家で観た映画:52本(2017は41本) ティーン向け青春映画なんて、それだけで毛嫌いしてしまうタイプ。イヤ今でもやっぱり苦手。なのに… 『ちはやふる』は、もはや名作を超えて古典になりつつある、なんて宇多丸さんも酔っ払って言ってたけど、本当に「結び」は凄かった。 個々の感想はおおよそ #movie_tv_dsm で載せています。 2018年も面白い映画が沢山ありました。楽しかった!未だ観ていない傑作もきっとたくさん! #映画ベスト_dsm #movie_tv_dsm #映画レビュー#映画批評#映画感想#映画鑑賞記録#映画紹介#映画メモ#おすすめ映画#映画部#instamovie #2018ベスト映画ランキング #2018映画記録 #2018映画

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NHK朝ドラ『まんぷく』脱落しそう(しない)

安藤サクラと長谷川博己というキャストでモーレツな期待の中始まった朝ドラ『まんぷく』だが、90話近くの現在に至るまでハマりきれず、それどころか脱落しかけている。その原因を自分なりに分析してみた。

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まんぷくは基本的に「ところが…」「しかし…」で視聴者の興味を延々と繋いでいく「不安ドリブン」な脚本だ。常にトラブルが起こっているか、それを解決しているかの物語で、トラブル抜き:単に幸せな日常の描写は、あまりないように思う。
だが、それ自体は問題ではない。

繋ぐきっかけとなるトラブルや事件が、ホントにくだらなかったりツッコミ所だらけでノれない。このことで常にイライラさせられるのが、自分が脱落しそうな最大の原因のように思う。

「○○○すれば解決するじゃん…なんでやらないの」という突っ込みがずっと頭から離れず、だから登場人物と一緒になって心配できない。不安になれない。

その後、トラブルを解決する過程(そこで登場人物の誠実さや、人と人の関係が深まっていく)は大抵好きなのだ。だからまた観てしまう。このパートでは、安藤サクラ・長谷川博己はじめ(お母さん以外の)役者たちの魅力が全開になる。

【例】

事件)塩を専売公社に納入する際のセラさんのピンハネ(何故電話一つしない。何故伝票ひとつない)
【解決過程】→それでもセラさんを信じる萬平と、そんな萬平をより好きになる福子。結束が固まる
事件)ふくこが義理の兄と一緒に歩いているところを塩メンにこっそり見られて浮気に勘違いされる(心からどうでもいい)
【解決過程】→萬平を信じきれない福子と、その福子を思うお母さんの気持ち(数少ないお母さんの見せ場)→萬平とのやりとりへ
事件)床下から見つけた手榴弾で魚をとっていて全員が拘束→軍事裁判(きっかけと展開のギャップありすぎ)
【解決過程】→萬平のことを英語でかばう福子の見せ場・他たくさん
事件)夫が裸婦像を描き始めたことで動揺する妻(画家の妻が裸婦画を知らないって)

【解決過程】→のろけ話が最後に暴露され、忠彦さんの家族を思う気持ちが一層明らかに

まとめると

1)キャラの魅力を見せるために採用された「トラブル」エピソードのつくりが過ぎる。
だけど解決の過程は気持ち良い

※念のために書いておくと、萬平さんのモデルになった人の生涯は本当にトラブル続きだったようだ(NHK『ステラ』参照)。何度も書くが、このこと自体はそんなに問題ではない。

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もう一つ脱落しかけている大きな理由、それがお母さんの存在。
あのキンキン声で、トラブルのたびに当たり前の話を延々と、ほぼ毎日繰り返すのが我慢できない。言っていることは本当に「お母さんあるある」だし、こういう人、いるよね。リアルだよね。すごく分かります。いっそ「お母さんカワイイ」なんてゆう話も良くききますが、全然共感できない。みれば見るほど嫌いになっていくのが、お母さんのキャラクター。このあたりに自分の対応力の無さを見る思いだ。

どうせ現実にあると分かっている不可避でいや〜な問題を、朝から毎日見せられたくない、いやテレビでわざわざ見たくない、ということに尽きる。(お母さん、そのうち出番が少なくなるかも…と期待していたのに、存在感は何も変わらず、ずっとこのまま続きそうなイキオイだもんな…)

これは以前から「渡鬼問題」と呼んでいた対立だ。

『渡る世間は鬼ばかり』というドラマに勝手に代表させてしまって申し訳ないのだが、
「嫁姑問題」や「ママ友イジメ問題」など、世の中に確実に存在するイヤ〜な問題を
●わざわざテレビで観たくない派、と
●わざわざテレビで観たい派、が
世の中には存在する。

「わざわざ渡鬼を観る人」vs「観る意味が分からない人」
この2者は永遠に相容れないのだ。これを渡鬼問題と言う。

特に今回は「朝ドラ」じゃないですか。1日が始まる、朝。毎日の仕事の前に、こんなこと見せられたくないよね、というのが私の基本的な朝ドラ視聴スタンス。
そうでない渡鬼ドラマは、やっぱりことごとく脱落してきたのだ。
まとめると

2)毎朝こんなイライラするのを見せないでくれ

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でことで、いつもならとうに脱落している筈なんですけど、役者のパワーが凄すぎてなんとなく続いている、というのが
「まんぷく」現状報告でございました。

自分的口直しに、当ブログの朝ドラ過去記事をひっぱりだしておこう。
『あまちゃん』関連記事へ
『あさが来た』関連記事へ
『ひよっこ』関連記事へ

ABOUT

1999年のWEB日記時代から始めた個人サイト。ブログ移行にあたって過去記事も抜粋してアーカイブしています。
(HTMLサイト→SereneBachブログ→WORDPRESSブログと転移)

好きな漫画(2014年版)はこの記事の最後に。

最近は(インスタ)でアップしているTV・映画感想の投稿を、半年に1回くらい一気に転載しています。