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『ギフテッド』感想

『ギフテッド』をiTunesレンタルで鑑賞。
映画館で観なくて良かった。クライマックスでは号泣どころか声を上げて嗚咽しそうだ。
こんな可愛くて魅力的な子役見たことない。天才。これこそ「ギフテッド」。

【あらすじ】フロリダの海辺の街で、ボートの修理をして生計を立てている独り身のフランク。彼は、天才数学者だったが志半ばで自殺してしまった姉の一人娘、メアリーを養っている。彼女は、先天的な数学の天才児“ギフテッド”であり、周りは特別な教育を受けることを勧めるが、フランクは「メアリーを普通に育てる」という姉との約束を守っていた。しかし、天才児にはそれ相応の教育を望むフランクの母イブリンが現れ、フランクとメアリーの仲を裂く親権問題にまで発展していく――。(公式サイトより)

(以下ちょっとネタバレ有り)
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『タクシー運転手』感想

シネ・ウィンドで鑑賞。
上半期ギリギリで飛び込んできた大傑作。シネ・ウィンドさんが夜間上映やってくれたおかげで観れた!

人情コメディと報道ドキュメントとマッドマックス的アクションが一緒になったシリアスエンターテインメント。前評判がとにかく絶賛onlyだったけど、それも納得の出来です。個人的に韓国映画にたまに見る少し過剰なセリフ回しの演出がちょっと気になる位で、今年ベストに入るのは間違いなしの愛しい作品。

行く予定がある人は、できるだけネタバレを見ずに(これも読まずに)まっさらな状態で観ることをオススメしたい。何度も泣きました。出てくる俳優皆素晴らしい。ソン・ガンホは勿論、広州市タクシー運転手のユ・ヘジン、大学生のリュ・ジュンヨルらの笑顔ときたら。

ノンポリで政治などまったく興味なく、学生のデモにいつも文句言ってる、いわゆる「小市民」の代表・タクシー運転手ソン・ガンホが、目の前にいきなり展開するどうしようもない現実を前にして変わっていく様に、自分に何が出来るのかを葛藤し行動していくその芯の強さに、熱くなる。

ドイツ人ジャーナリストをなんとか無事に脱出させようと手を尽くす光州市民にも泣かされるけど、大事なのは「多分この人たちは、デモがなくても、普段から困っている人がいれば助け、おかしいと思うことがあれば自然に声を上げているんだろうな」と思える描写で、そこが自分的には1番のポイントだったように思う。顧みて自分はどうなんだろう。

決して他人事でない、このような状況になったら自分はどう動くのだろう。娘のために、将来のために、何ができるんだろう。考えさせられた2時間弱。間違いなくこの主人公達のようには動けない。平気で多数に従い人を殺す側になると思う。「小市民」?よく言えたもんだ。

それが分かっているから、そういう未来にならないよう、せめて少しでも手を尽くす。目を疑うような政府や軍の弾圧も、まさに俺のような人間が沢山いるから実現される。端からは狂ってるように見えても、その中にいる「俺」にとっては何の不思議もない当たり前の世界。一旦そうなったらもうひっくり返せない。

さて自分は映画を観ただけではどうしても理解し切れないところもいくつかあって、それらはパンフレットや町山智浩さんのたまむすび解説などを聴くと分かります。

1番気になったのは「軍が何故ここまで非情になれたか」。一つには光州市のある全羅道(チョルラド)への全国的な地域差別感情。もう一つは、当時の北朝鮮が学生の民主化デモを操っているといたという認識、なんだとか。当初は「北朝鮮の手先である全羅道の非国民アカ学生をつぶせ!」だったのが、軍の対応を見て味方になったノンポリの市民達もすべてまとめて同じ対象になってしまい、ここまでの惨劇になってしまったと。(町山さんのラジオ要約)

パンフの全体的な出来はあまり良くないけど(特に翻訳が気に入らない)知識面のサポートがなるほどなので買っておくと良いかも。

シネ・ウィンドでの上映も半分を超えたと思います。この機会は見逃さない方がいい。劇場で、この空気と気持ちを共有しながら観るのが、意味のあることのように思えました。半分以上笑いながら観れる楽しい作品ですからね!(でもそこはかとなく漂う不穏な空気は最初から感じていて、これはストーリーを知っていたからなのかどうなのか、知りたい)

あ、あと主人公のタクシーがめっちゃカワイイ!カリオストロの城に出てくるパトカーとか、あんな感じ。ちょうど同じ頃の作品だからね…。あの緑色も理想のマッチングを目指して何度も何度も塗り直し試行錯誤したらしい(パンフレットより)。高速道路を通る多数の車もみんな当時のもの。すげえなぁ…さすが韓国。

映画を観て思うことがあり光州に行ったというウィンドの井上支配人。劇場には市の地図が貼ってあり、チャンスがあれば支配人の現地解説が聞ける。「今の」光州市の話や、主人公の2人のその後の話、特に映画にもパンフにも出てこないタクシー運転手のその後の話に…(;。;)

『スイス・アーミー・マン』感想

Amazonレンタルで。字幕。

(あらすじ)無人島に一人流れ着いた主人公の青年。絶望している中、同世代の青年の死体が流れ着く。見捨てることができず連れ歩くうちに、死体がゾンビのごとく喋り始め、サバイバル生活に役立つ便利な特技(飲み水を湧き出すとか屁で火を炊くとか)を発揮しはじめる。ゾンビ君に生前の楽しかった記憶を思い出させるための珍妙な演劇ごっこを挟みながら、町へ戻る二人の旅が始まる。

すごくへんてこな映画。見ている間も「俺は今何を見ているんだろう」とクラクラする感情さえ湧いてくる。基本コメディーでもあって、爆笑シーンも数々。だけどそのうち、二人の関係に共感しはじめ、ずっとこのまま見ていたい…とさえ思い始めてくる。ラストはもう、涙、涙。

@huucohuuco さんのTwitter激推しを読まなければ、まず自分では観ない類いの映画だと思う。感謝です。ポール・ダノ演じる優しい主人公がすっごくいいの。美しいし、なんかもう神。ゾンビ君はハリポタのダニエル・ラドクリフ。一見おばかなゾンビ君を渋く演じきってます。

この後味の良さ、どっかで覚えがあると思ったらアレだよ。『宇宙人ポール』だ!あの関係性に似てるのかも知れない。ちょっとおかしな異界の人と旅をすることで、自分自身や本当の自分を取り戻す。その異界の人は実は誰よりも「人間らしい」存在だった。…だけど当作のポール・ダノはそんなところには収まらない器かも。この感じは俺ごときがどーやっても表現できません。おふざけをある程度許せる人ならオススメ。観て。

6/1〜のにいがた国際映画祭でも上映されるそうなので、劇場で観るチャンスも!ぜひぜひ。
同映画祭の紹介文を引用

「ハリー・ポッター」役でおなじみのダニエル・ラドクリフが死体を演じ、ポール・ダノ扮する青年が、死体を使って無人島からの脱出を試みる様を描いた異色のサバイバル劇が新潟初上陸。サンダンス映画祭ではその奇抜さについていけなかった観客が途中退席してしまうなど賛否両論の本作だが、同映画祭では最優秀監督賞を受賞。またシッチェス・カタロニア国際映画祭では作品賞と主演男優賞をW受賞するなど数々の映画祭で注目を浴びた。未だかつて見たことの無い物語にあなたはきっと、涙する(?)

『スリー・ビルボード』感想

iTunesレンタルで。
最初っからずっと荒んだストーリーなのに、最後には出ているすべての人が愛おしくなる。
自分にとって「これぞ映画の醍醐味!」を体現している一本かも。脚本が素晴らしい。
忘れられないシーンは沢山あるけど、花を植えてる場面と、病室のシーンはホント好き。
映画館で観逃したのは大失敗でした。

不惑ニ非ズ

『40にして惑わず』どころか「50近くにしていっそう迷いまくり」な人生。どんどん、どんどん自分には自信がなくなっていく。世の中のことで断言できることなんて殆どなくなっちゃうので、相談されても「○○もあるし、△△って方法もあるよね、いや□□かも…」と何とも歯切れの悪い答え方しかできなくなる。多分30歳前後の頃の方が、よほど色んなことに自信をもって答えられたし、その頃書いた文章の方が、今読んでもずっと面白い。

自分の良いところが見つけられず、歳をとるにつれ悪いところばかりに気付くようになる。

あーまさか
歳をとるってことが
こんな様子だとは思わなかったな。

『ペンタゴン・ペーパーズ』感想

シネコンで字幕
トム映画に外れなし。他にも名優揃い踏みの、スピルバーグ「こっち路線」映画・最新作。

内容。ベトナム戦争前の(これは勝てない戦争だという)内部調査文書を政府が握りつぶし、公開しようとしたマスコミにも大統領が圧力をかけるような状況の中、掲載を決断したワシントンポスト紙の実話(原題は『The Post』)。トランプ政権下の今まさにつくられるべき映画で、「手遅れにならないうちに」公開するため、発想から僅か9ヶ月で完成されたそうですよ。すげえなぁ、アメリカ。

まぁどこかで聴いた話ってゆうか、まさに今の日本もおんなじ。てかもっと酷い。で、多分この映画とは違って、最終的には公表せずに影に埋もれていき、嗚呼もしこう出来てたら…、という夢を見るドラマ。って感じ。今観といた方が良いよ。絶対。

まぁ日本はあからさまに圧力に屈したとしても、それを「空気を読む」みたいに言って絶対悪とされない素敵な文化があるので、アメリカのようにフェイクニュース戦略ってそこまで力入ってないけど。アメリカは自由の国でそこんトコだけはちゃんとしているので、トランプは対抗してフェイクニュースばらまきにめっちゃお金かけてる訳です。で、自分を批判するマスコミを逆に「フェイクだ!」って言い張って。明らかにおかしいのに段々と皆慣れてきちゃう。

町山智浩さんの「たまむすび」解説によれば、スピルバーグ監督はこう語ってるそうです。
「この『ペンタゴン・ペーパーズ』という映画はフェイクニュースに対する解毒剤である」
「この映画を作ったのは、いまマスコミやマスメディア、新聞社、テレビがやらなければならないことを思い出させるためだ」
あと、この映画の主人公になったW・ポスト紙社長キャサリンさんの名言。
「大事なニュースというのは、それを圧力で潰そうとするものがいるニュースです」
今まさに思い返すべきでしょう。

1971年、偶然だけど『半分、青い』の主人公が生まれた年に、ニクソンという暴君が生んだスキャンダルがこの物語。

そして翌年にはあのウォーターゲート事件。この事件をすっぱ抜くのが、このトムが演じた編集長ベン・ブラッドリーなんだって!これ自分的にはすっごい「へぇ〜!」案件なんだけど、残念ながらこの映画のラストではちょっと分かりにくかったなー。『ザ・シークレットマン』という映画で語られているそうです。未見。

映画の話がさっぱりでした。並び立つ名優の名演に酔いしれることができますが、個人的には演出次第でもっと緊迫感が出せたんじゃないかと思ってちょっと不満。要するに「ヒリヒリ感」がもっと欲しかった。

新聞社を舞台にした「載せる・載せない」のドラマなら『クライマーズ・ハイ』映画版の方が遙かに緊迫感あったし、トム映画は最近『ブリッジ・オブ・スパイ』や『ハドソン川の奇跡』てゆう実話ベースの超名作が続いてて、どっちもそのヒリヒリ感たるやって感じで、正直観ている間もそっちを思い出してしまった。期待感高すぎた。主役メリル・ストリープの扱いも、もう少しメリハリが欲しかったな。でも安心して楽しめる1作だし、最後も勿論気持ち良い。あ、ニクソンとウォーターゲートのこと位は知って置いてから観た方が良いかも。

あとこの当時の(アメリカの?)新聞は自動で活版を組むような機械があったんですね。全然知らなかった。活版好きと、あと黒電話越しに大事な話がすべて進むので、「電話ドラマ」好きな人にも(笑)、お薦め。

『ちはやふる 〜結び〜』感想

『ちはやふる〜結び〜』小5長女と2人で鑑賞。ネタバレなし感想。

2016年の衝撃だった上の句をさらに超える傑作。見事に、結ばれました。
言及したい箇所があまりに多すぎて具体的には1つも出てこない今の心境はちょっと経験したことがない位だけど、この作品を現すとしたらやっぱり「奇跡」だと思う。

当時既にいくつもの奇跡を生んだ小泉版『ちはやふる』が、上下完結の予定を変更してまで生まれた三作目の完結編で、これだけの結果を残すって、それは一体どんな巡り合わせと、努力があってできることなのか。俳優とスタッフの青春すべてかけました、というパンフレットのコメントも本当にその通りなんだろう。このくそったれな世の中で、光は確かにここに存在する。だからあえて奇跡と呼びたい。

前2作からここまでのタイムラグに合わせ、主人公達を高校三年生に再設定。俳優達自身の成長とドラマがシンクロして、半分ドキュメンタリーのような凄みも生まれている。彼らのもう一つの青春、撮影のバックステージが観ていてすごく面白いから、ディスクはまた買っちゃうんだろうなぁ。

言うても所詮少女マンガ原作の青春映画で、まぁ「映画館で」観る必要はないだろうな〜って思っちゃってるそこのあなた。今作に限って言えば大間違い。

前作から更に深化した音響効果は、まず普通の家庭では再現できない。今回特に静と動のコントラストが強烈で、特に無音部分の必然性。あの瞬間、劇場の全員が固唾を呑んで見守っている臨場感は忘れられない。

パンフレットによれば、そもそも映画館でしか流せない超低音を使い、そのリズムを変えることで心拍を変えていくという効果が最後の最後ED前で使われているそう。

ちはやふるは皆そうだけど、今回のエンディングへの一連の流れは特にもう、泣きすぎて目が痛い。映画ちはやふるが好きだった人はタオル必須だと思う。一作目の冒頭で「これは傑作に違いない」と予感させるタイトル周りの美麗なグラフィックデザインも健在。

今回は特に音楽、劇伴が良い仕事をしていたなー。ベタな使い方だけど、これもやっぱり静動のコントラストがちゃんとしていることで効いているんだと思う。だから本当、映画館で観るべし。

原作もすべて読み映画も観てきた長女と、このタイミングで一緒に行けたのも幸せ過ぎる幸運。あと何度こんなことができるんだろう。

凄すぎて1回では消化仕切れてない。もう1回観たいけど他にも沢山みたいのあるからな〜。嬉しい悲鳴。

『アンナチュラル』最終回メモ

遂に最終回。
この日が来て欲しくはなかったけど。でも期待に違わぬ素晴らしいクライマックスだった。今年、これ以上のドラマが果たして登場するだろうか。中盤以降は、毎シーン涙なしには見れない。野木脚本が見事過ぎるのは勿論、名優達の演技、あと今回は特に編集の良さが印象深かった。これまで9回分のありとあらゆる伏線を回収しつつ、シーンやモチーフを対で見せていく、最高の回でした。

ぐっとキたポイントをメモ。
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無題

年明けから色々話したい作品を観ていたので、昨晩は映画吞み会を開催。こやってさくっと呑める友人が居るのはホントありがたいねぇ。
以下は話題のメモ。
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●『SHERLOCK4』を1話だけ観てそのショックでやめてしまったというYちゃん。そう、S4だけは1話完結と思わない方が良い。3話続いて初めて完了し、色々納得できることがある……と思う。1話2話観ただけじゃ納得いかないプロットが結構あるよね。でもトータルで3話を考えると、すごい出来じゃないかと思います。だからもし同じような人がいたら絶対最後まで観て欲しい。てか早く再見したいのでhulu入りしてくれ。
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●HBO『WestWorld』もあんなに面白いのに廻りで観ている人いないんだよな…すべてがずば抜けてクオリティの高いSF(一見西部劇なのですが)。シーズン1の最終話にはとんでもないドンデン返しがある。ああ今思い出してもすごい。アンソニー・ホプキンス他あっと驚く名優も出ています。
『ゲーム・オブ・スローンズ』も時間的・ハマり度的にハードル高くて、観ている人がいないんだよな。もったいないよ〜。
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●『ザ・グレイテスト・ショーマン』の脚本が結構ひどいよね、って話がやっと出来た。先行試写会で観たから周りに話せる人がいなかった。踊りと歌はすごいんだけど、今時これアリなの?てゆう杜撰な脚本。『THIS IS ME』ってそこで唄うんだ、てゆう衝撃ね。このご時世に「フリークスを見世物にしてビジネスを成功させる話」を作る、ということに対しての覚悟も気概も工夫も、まったく感じられない。致命的なのはサーカス団員の殆どが、結局どういう人だったか分からないまま終わる。ただの人足やんけ。でもね、ショーのクオリティが高いから「ま、いいか」となっちゃう…いや、もやもやは残るよね。
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●『ダークタワー』原作未読の人の感想は想像通りだった。でもあれ、続編できたらきっともっと面白いに違いないと思う。ダークタワーシリーズの原作は真ん中が面白い。テレビドラマにも期待。HBO製作だったら最高なのにな〜。
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●マコノヒー繋がりで『TRUE DETECTIVE』のこと。何度言っても足りないけど、このドラマのマコノヒーが俺は大好きなんだ。
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●マーティン繋がりで『FARGO』もね。1最高だったな。婦人警官がとっても好きです。
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●あと俺が今ハマってる『ER』1stとか(笑)。30年ぶりに再見しているけど、一つも色褪せない。これ系のドラマでは最高峰だと思ってる。
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●『人生はシネマティック』観たい!
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●意外と観られていない傑作『シュガー・ラッシュ』『アイアン・ジャイアント』『パディントン』などなど…未だ沢山あるけどね。
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●あとバーブバリの何がすごいか話、『ストレンジャーシングス』の凄さ(特に2)とか。
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他にも色々話したと思うんだけど…

内藤泰弘初期短編集『S.Flight』


内藤泰弘さんのアマチュア時代の短編作品が一冊にまとまって復刻された。『S.Flight(KADOKAWAハルタコミックス)』。持っていない作品もあったのでとても嬉しい!

元の同人誌はずっと判型が大きい。自分が初めて買った同人誌でもある、30年以上前の処女作『サンディと迷いの森の仲間たち』も掲載。勿論ネームはワープロ打ちだ。今読んでも当時の感動がそのままに蘇る、紛れもない傑作。『トライガン』とはちょっと趣が違う、宮崎駿系も少し入ったハートウォーミングファンタジーが得意な作家さんでした。ネームの構成とかレイアウトがとても複雑な人なので(早く言えば何してるかがちょっと分かりにくい)、漫画慣れしている人に限り、おススメです。

そう言えばこの本で当時初めてコミティアの存在を知ったんだっけ。と言ってもいまだ行けたことは無く、どっちも『ぱふ』経由の直接通販だったと思う。当時は雑誌に作家さんの住所が普通に載ってて、現金書留とか為替とかを送ってた。色々思い出した。もちろんメールもなかったから感想は「手紙」が当然だったしね。

【2018年の天災】雪国論

数十年来の大雪に見舞われている。一度の降雪量もそうだけど、長さも凄い。新年からこっち、町中から白い部分が消えたことがない。「もう終わるだろう」「さすがにもう終わるだろう」「いいかげん来週は…」とみんな思っているんだけど、その度に予想を裏切り、ずっと繰り返される大雪。

あちこちで立ち往生事故も起き、雪下ろし中の死人も多数、毎日毎日タイムラインでは「雪もうイヤだ…」「うんざり…」で埋められる我が新潟ではまっこと言いにくいのだけど…

今年の冬はとても良かった。いや最高だと言ってもいい。

もともと、雪が降ること自体をイヤだと思ったことがない。勿論人並みに事故は怖いし、雪下ろしは疲れる。毎日毎日そんなことをしていたらウンザリもしてくる…けど、「雪が降るのがイヤ」とは思わない。何つか、別モンだし。所詮春になったら雪は止む。この美しい光景は見られなくなる。だから雪景色に飽きたこともない。

(そうだ、イヤなことはと言えば「雪が降る」ことではなく、今日のような気温の上がった雪解けの日だ。こういう日に除雪が入らない小径のシャーベット具合は本当に最悪。豪雪中よりもずっと面倒で、すぐスタックするし、逃げ場がない。見た目も汚くて良いことなし。)

そんなこんなで降ること自体はいつだって大好きな訳だけど、今年はその量がハンパなくて、そのせいで色々と「外出できない」事態になった。学校が休み、子供の習い事が休み、知り合いのイベントがあるけど雪で出掛けられない、中止になる…などなど。最初の日は会社まで臨時休暇にした程だ。

その結果、休日の過ごし方が今までと変わってくる。何だかんだ用事を済ませいつの間にか終わっていた土日にも、家族で過ごす時間がずっと増える。ゆっくり映画を観たり、図書館で本を借りてきて、皆が半日ただずっと読書したり、昼からゆっくり映画を観たり。何を食べるか考えて、買いだめして、皆で料理したり。カードゲームやボードゲームをしたり。長女の将来のことについて時間をかけて話し合ったり。これ以上ないほど充実した休日だった。

我々がそのまま30年前の冬にスライドしていたら、きっとこんな休暇だったんじゃないか。例えるなら今年の冬は「ある日いきなりスマホが使えなくなった」みたいな状態。大雪のおかげでやれることが減って、時間がずっとゆったり使えるようになっている。

そんな最高の三連休が、1シーズンで2回もあった。
これを最高と言わずして何とい言おう。

『ダークタワー』感想


シネコンで2D字幕。

全部映像化したら30時間くらいになりそうな、相当に長い原作。その最初の方だけが手際良く95分にまとまっていた。お見事です。原作のことを1ミリも知らなくても、普通によくあるアクション・ファンタジー映画として楽しめると思う。西部劇+ハリポタ+指輪物語+ちょいSFといったかんじ(舞台は現代)。

マコノヒー好きには勿論外せない傑作。めちゃくちゃカッコいい。ずっと観ていたい。ローランド役の黒人イドリス・エルバのガンアクションがちゃんと「見たことないレベル」を実現している。そしてアメリカの神木隆之介君が主役である(そう見えるのだ)。キャスト紹介はいつもローランドと黒衣の男からだけど、この映画の主役は断然この神木君(トム・テイラー)だ。顔の演技力が素晴らしい。どうか彼が成長する前に、できるだけの続編を撮りためて欲しいと願う。

そして遙か昔に原作を読んでいる自分の感想はと言えば…最高だった。今年ベスト級、映画としてこれだけのモノに仕上げてくれるなんて予想外。思わず終わった後に「ありがとう!」と言いたくなった。この映画だけ観たら使い古された陳腐な設定に見えることだろうけど…それも含めて良し。とっつき易くなったことは間違いない。

だけどこれは、単に「素晴らしい原作をそのまま見事に映像化してくれてありがとう!」という気持ちとはちょっと違う。「今年ベスト級」とか言思っちゃうのも、裏側に色々な事情があってのことなんです。字義通りじゃない。

ということで以下はネタバレ含めた原作の話がダラダラ続きます。
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『ザ・グレイテスト・ショーマン』試写会 感想

行けなくなった友人から譲ってもらいました。ありがとー!

公開はまだ2週間先なのでネタバレなしで。

細かい突っ込みドコロは数あれど、歌で「ま、いっか」となって結局楽しませてもらえる、これぞザ・ミュージカル!前半は特に映画というよりミュージックビデオのようだった。『ラ・ラ・ランド』よりも更にクラシックなスタイルなので(歌台詞が多い)、そういうのに興味無い方はどうかな。何も考えずにジェットコースターに乗ってぶっ飛ばせ!て奴です。俺は楽しめました!ストーリーはベタベタで、主人公のダメさとか『SING』に似てるところも(笑)。あ、あと『メリーポピンズ』も結構思い出した。美術、美しい!

宣伝文句に【『ラ・ラ・ランド』の製作チームが!】てあるけど、これよく調べると誰?て感じで、楽曲担当のベンジ・パセック&ジャスティン・ポールという2人は『ラ・ラ・ランド』の楽曲の「作詞を手がけた」とある(公式サイト)。

『ラ・ラ・ランド』のあの素晴らしい曲を作曲したジャスティン・ハーウィッツは当作の楽曲には直接タッチしておらず、サントラのプロデューサーにだけ名前が載ってるるようだ。他の製作陣のプロフィールをサイトでチェックしても、『ラ・ラ・ランド』のクレジットが載っている人はいない。え?作詞しただけで【『ラ・ラ・ランド』の製作チームが!】てゆっちゃう?(笑)※調査不足でしたらすみません

要するに『ラ・ラ・ランド』とはあまり関係ないのでそのつもりで観た方が良いし、楽しみ方も随分違う。娘が2人ってゆうシチュエーションで何度泣かされたか。あと奥さんを大事にしない奴はダメだ!映画です(その通り)。安心して観れます。楽曲も『ラ・ラ・ランド』的なものとは違ってゴージャス。そう、「ゴージャス」が最高なのです!あと結構笑えます。
ミュージカル好きはマストだよ。

【2018年の天災】記憶にない位ハイペースの豪雪(2018年初からの雪事情まとめ)

2018年1月

11(木)昼から降り始め、夜までに約60cmの降雪。会社は除雪をして皆早く上がったけど、帰路は渋滞でいつもの4〜5倍の時間かかった。

12(金)早朝で積雪1mほど。会社の臨時休業をその時点で決定。小学校も先生が出勤できず休校。交通が麻痺していること/車を出すこと自体が迷惑になる(裏道では容易にスタックする)こと/どんな天気でも休めない会社があるのでそちらを優先し避けられるなら外出を避けるべきこと/などは通常の豪雪時に身に染みている。新潟市は除雪に限りがあり、これだけのハイペースで降られると幹線道路以外は完全に孤立状態になる。立ち往生の車が続出し、車を出しても1時間2時間は平気で動かなくなってしまうのだ。恐らく出勤しても会社に辿り着くまでに半日は雪除けをしなくてはいけなくて、まともに仕事ができるのは数時間。他は延々と雪除け。会社も自宅近辺もまさにそう。なので会社は休み、家の車は無視し、午前中は自宅近所の老人ホームの駐車場やそこまでの道作りを延々と手伝っていた。

13(土)朝までにまた少し積雪。雪除け。初めて自宅駐車場の雪除けを始める。夕方初めての車外出。

14(日)朝までの降雪微少。車は二台とも動けるように。

15(月)朝までの降雪なし。会社の駐車場の積雪は約60cmで、積雪量自体はこれ以上の時が何回もあった。1時間後には通常営業に。

思いがけない3連休で、雪のため習い事も休みになり、予定が殆どなくなった。雪除け以外は自由時間で、車での外出ができないという縛り付きのため、ここ数年経験のないほど家族で自由にお籠もり生活を楽しむ日々だった。存分に満喫した。子供期の終わりが来ている長女と二人で近所に雪遊びしたこととか、きっと忘れられない思い出になりそう。

【2/5〜順次追記】
今年は全然「新潟市っぽく」ない。新年から2月までずっと雪が消えない。記憶にないだけかも知れないから、こうやって記録しておく。

1/20〜21 週末は未だ雪が降っていたが降雪なし。
1/22〜  また降り始める。相当な積雪。ほぼ1週間降っている。
2/03 また降り始める。
2/05 高速で死にそうな目に遭う。週末まで雪予報。駐車場の根雪はずっと消えない。
2/06 別の高速で死にそうな目に遭う。下に降りても同じ。ホワイトアウトに慣れてくる。
2/07 まだ降り続けている。1日あたりの積雪量はそれほど多くないが、これだけ続くとさすがに厳しくなってきた。秋葉区で80cm、三条で130cm、いずれも25年ぶりの豪雪。
2/08 まだ降り続けてる。市内でも時間により相当降ったが、降雪は然程でもない。
2/10〜12 また相当降った。1/12〜のような籠もりきり連休を過ごす。楽しい。
2/13 今年初めて、会社の駐車場に入れない降雪量(休みにした日は除く)
2/18-19 道路が見える日が何日か続き、「終わったか…?」と思わせてまた降ってきた!気温も低い!
↓2/18(日)の様子

誰もいなくてサイコー

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3/4 初めての春陽気。15度くらい。これはこれで異常。この日を以て、年頭から続いた残雪(通常枠)は消えた。

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『バーフバリ 王の凱旋』感想

シネコンで2D字幕。
「楽しい、笑える、気持ち良い!」をそのまま映画にしました。と言えば言い過ぎなんだろうけど、それ位スッキリした映画。王政ファンタジー・アクション超大作のインド映画です。

見せ場の連続でまったくダレない141分。驚異。2作目だけど冒頭に前作のあらすじがかなり丁寧に語られるので初見でも大丈夫(とは言え自分は大きな勘違いをしていたことを後で知るのですが…)。

超気持ちいいアクション映画が観たい人にお薦め。無駄はとことん端折ってあるし(そもそもエンドクレジットが無い)、観たこともない笑ってしまうような凄いシーンが続出。

以下ネタバレ



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『ストレンジャー・シングス2』感想


NETFLIXオリジナルドラマ『ストレンジャー・シングス2』を観終えた。
1を最初観た時はどうしても、HBOの『ゲーム・オブ・スローンズ』や『ウエストワールド』なんかと比べちゃって、「よく出来たテレビシリーズ」止まりだよなぁとという印象で、でもそれなりに楽しんで観ていたのだけど、「2」の中程からどんどん盛り上がって、「テレビドラマ」枠なのは変わらずだけど、最終的には「舐めててごめんなさい」的な気持ちです。面白かった!夢中になった!脚本の練り具合が素晴らしい。

1も2も、数カ所で同時進行するプロットがタイミングを合わせて相互作用するところは同じなんだけど、2でスケールアップしながらも大味にならず、子供の物語と大人の物語がそれぞれ同じように世界にとって大切であるという、そのことが説得力を持って進められていくのが素晴らしい。

2になってより楽しくなった80年代アイテムがたくさん!『ゴーストバスターズ』に『ドラゴンズレア←まじで金食い虫!』に『DigDug』に…
メイキングインタビュー(全部で7本!)をつまみ食いして印象深かったところ。

●「80年代舞台だからこそ出来るドラマ。あの頃は今よりずっと親が子を放ったらかしにしていた。そもそも親は子供がどこにいるか知らなかった。今ドラマを作ったらそうはいかない。」
●子役オーディションのクオリティの高さにビビった。
●マックス可愛いねー。
●子役をまとめる大変さ。「撮影前にビンタしあうのはやめなさい。顔が赤くなるから」とのルールがあったり。
●かの国では、すべてに対して自分の考えを持っていること、いつでもそれを表現することができるのが当たり前なんだなーと、このインタビューを観て改めて思う。子役にもすべてシーンの感想と意味を聞くし、それに対して皆がちゃんと自分の意見を持って、話して人に伝えることができる。すげえなぁ。これは本当に育ちが違うと思った。
●2で嬉しかったのはショーン・アスティン(LotRのサムワイズ・ギャムジー役)の活躍。最初は悪役の予定だったのだけど、彼のキャラがあまりにも良くて、どんどん変わってあんなに活躍することになったそうだ。フラグ立ちまくりではあったけど、だから死んだ時は本当に悲しかった。サムの素晴らしい使い方!

『ワンダーウーマン』再見


iTunesレンタル吹替版を長女と。彼女は初見、自分は映画館の字幕に続いて2回目。吹替の違和感は無かった。

初見時、相当に期待して映画館に行ったのだけど、戦争と絡めた描写がどうしても気になってスッキリ楽しめなかった覚えがある。大好きなガル・ガドットは満点!何度観ても満点!特に笑顔が最高。今回は村を取り戻した夜の一連のシーンが特にきゅきゅんだった。

戦争(現実世界)と絡めた描写のうち、何が気になっているのか未だにイマイチちゃんと言葉にできない。誰かが悪人なのではなく、皆の責任で戦争が起こるという脚本は基本的には問題ないようでいて、それを支えるプロットや設定のせいで「お前がそれ言うなよ」状態になっている、のだろうか。米英のみが善で独軍がひたすら悪な描写にしてもいつものことだ。特に今更引っかかる訳でもない。結局もやっとしたまま…

彼女は、これからどのような方法で悪と対峙していくんだろう。原作はおろかDCユニバースも観ていないので全然分からないのだけど…
しかしアレだ。こういったアメコミ原作大作をまったく受付けない人が相当いることは容易に想像できるし(自分だって「アメコミ原作は満点で80点」タイプ)、そういう人はこのアメコミブーム、「ユニバース」ブームはなんとも居心地が悪いことだろうなぁ。

このブームの理由は、中国資本の台頭によって映画文化のあまりなかった中国圏でも、つまり映画読解力の低いお客でも分かりやすいもの(トランスフォーマーやマーベル、DCなど)に、より予算が与えられるようになったせいだと確か町山さんだったかが言ってたけど…。本当かどうかはちょっと分からないと思ってる。

そうそう、ガル・ガドットを好きになったきっかけは『ワイルド・スピードMEGA MAX』だった。このシリーズは個人的にアメコミとちょっと違って「ナメてたらめちゃ面白い普通のエンターテインメント作」。稀有なケースでした。お薦め。
当時の感想へ

『美女と野獣』感想(再見)

ITunesレンタルで吹替。長女と再見(初見は劇場で字幕)。

初見時の感想はこちら

初見の印象は変わらず、素晴らしい作品だと思うのだけど、野獣の吹替の声が全然合っていなくてそれだけが超残念。変に高くて若くて違和感しかない。これから観る人にはぜひ字幕をお薦めします。

観直して改めて思ったのはエマ・ワトソンの演技力。いくつか忘れられない台詞無しのカットがある。例えば最初に城を脱出する際、野獣を助けるかどうするか一瞬迷うところ。彼女のこれまでの印象だといかにもな(眉をひそめた)顔演技を想像するけど、今作の説得力はどこもすごい。

初見はガストンやルーフーなど悪役?的な方に目が行ったけど、今回は存分にエマに集中して見れた。ダンスシーンも、少しだけだけど、相変わらず素晴らしいな。

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(HTMLサイト→SereneBachブログ→WORDPRESSブログと転移)

好きな漫画(2014年版)はこの記事の最後に。

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