カテゴリー: TV・映画感想

『パッセンジャー』感想


シネコンで2D字幕。
正統派で、出来のいいSF。思ったよりずっと楽しめた。
定番なSFプロットがいくつも入っていてしかも丁寧。途中少しダラけるかと思いきや目の覚める展開になって、一気にクライマックスへ。
SF好きは観逃さない方が良い。

最近はクリス・プラットが出ているというだけで観に行きたくなる位好きになっちゃってるんだけど、この映画も存分にクリス欲を満足させる出来だった。宇宙船でやることなくて段々デブっていくとことか。またかよ!でぶクリスサイコー!一方お相手のジェニファー・ローレンスは今作ではシーン毎に驚くほど顔が変わる。不細工でひどい顔にもなれば、クリス憧れの美人そのままになったり。それもヘアメイクとかだけじゃなく、表情で。

出てくる宇宙船のデザインが美しかったな。外見もインテリアも。宇宙服も。

以下ネタバレあります。
続きを読む

『クライマーズ・ハイ』コレクターズ・エディションDVD買った

「オトコ達のにじみ出る渋い演技を存分に味わえる映画」といえばこれ!『クライマーズ・ハイ』の映画版。昨日ブックオフで見つけたメイキングとビジュアルブック付デラックス・コレクターズ・エディションDVDが¥1,250!買うでしょ。

どっちかと言えば苦手な方の暗い映画だけど、何度も見返してしまう。これの堺雅人はまさに「鬼気迫る」演技そのもの。必見。ちなみにNHKドラマ版もあり、どっちもすげえオススメです。

映画『3月のライオン 前編』感想

『3月のライオン』をシネコンで鑑賞。
「泣いたり笑ったりのエンターテインメント超大作!」とかでは決してないけど、おっさん達と神木君の、匂い立つような濃厚な演技をじっくりと味わえる良作でした。
ちなみに俺は原作の大ファンです。同時代に生きてて良かったと思う。現代のマンガのの最高傑作の一つだと思ってます。

神木君がすごいことは、もうそろそろ分かったつもりでいたのだけど、まだまだ凄いことを思い知らされた。魅了された。目の演技がすごい。真っ暗なライティングで目だけ光るようなシーンがいくつもあるんだけど、目が大きいのも相まって迫力がすごい。

そして、佐々木蔵之介、加瀬亮、伊藤英明、奥野瑛太、甲本雅裕らが演じる棋士達。事前の予告を観ている時に誰もが思う「俳優の○○が演じているからどうこう」とかそゆこと、一切意識させない。くらいにそのまんま。特に佐々木蔵之介の目!目!島田名人そのまま。「佐々木蔵之介」という単語は観ている間には浮かんでこない。圧倒的。皆がもとから島田で、後藤で、宗谷だった。

将棋シーン。基本的に盤上の駒の動きをすべて映画に流せる訳はないから(そうだとしても分からない人が殆どだろう)、棋士2人のセリフのない演技のみで場面が進むことになる。男同士の、むさっ苦しくて鬱陶しい筈のシーンがとにかく凄い。圧倒的。

とはいえ基本的に大きな動きがない訳で、こんなシーンが後半1/3はあるから、「渋い」映画なのは間違いない。だからこそ、おっちゃんの色気(神木君も時に見せる)にアタられたい方は今すぐ劇場に足を運ぶべき。噛み締めると煮汁がじゅっと出る、厚揚げの煮物のような演技だ。

そんな映画だから、きっと大ウケはしないと思う。後編はまだ少し派手になりそうだけど、前編あってこそだからなぁ。それもあって、ぜひ、ぜひ興味ある人には前編から劇場で観て欲しい。これだけの作品を創った制作者には、少しでも報われてほしい。

将棋シーンの演出は、全て棋士がついて「何故ここでこう打つのか。こっちを打たずに今こう打つ意味」を役者にレクチャーしていたそう。劇中一瞬しか使われない試合のシーンも、初手から最終手までがすべて設定されていたらしい(『QJスペシャル 3月のライオンと羽海野チカの世界』より)。こういうバックがあってこそ俳優の力が存分に出せてるんだろうな。

二階堂も良かった。染谷将太が特殊メイクで太って演じている。つい数日前に実写版『寄生獣』を観たばかりで、映画も良かったけど主役の染谷君も見直していたところだった。だけどその染谷将太と、今作の二階堂とは全然結びつかない。それ位、必死で生きる二階堂を見事に演じていた。

だけど二階堂のプロットは、もうちょっと、ほんのちょっと工夫したり丁寧に演出して欲しかった。そしたら彼のあの言動の理由、零が心を許す理由ももっと浮き彫りになったのになぁ。

予告編で零が「将棋しかねえんだよお!」と叫ぶあのシーン、実はその前にまだセリフがあるんだけど、ああやって一部だけ抜き出すのは良くないよなーと思った。実際原作ファンのいくらかは、予告編のあのカットでちょっとひいちゃってる筈。その前のやり取り込みで聞けば、盛り上がりも含めビンビンに納得するシーンなのだけど。勿体ない。

あと神木君をやたらと走らせるのも個人的に好きじゃない。セーシュン映画は主人公が走らなきゃ、みたいなウンザリを感じるのも一因。神木君は走り一つとってもその人物を入念に研究し「桐島」でも今作でも見事にキャラ通りの「走り方」を見せているんだけど。それはすごいんだけど。蛇足に思えたのは確か。動きがないから仕方ないのかな。『ハチクロ』も『3月のライオン』も、セーシュン物なんかじゃない。俺の中では徹底して「仕事マンガ」だ。

原作の楽しげで笑えるところは殆ど今回の映画には感じられない。およそシリアスで暗く、淡々としている。これは思い切った判断だと思うしどっぷり浸かるには良いのだろうけど、でももう少し、たとえ前編であっても、もう少しヨロコビが欲しかったかもな。

【後編の感想は>こちら

『モアナと伝説の海』感想

長女と二人で吹替版を鑑賞。すごく面白かった!!

日本版予告編の印象とは違う、全編通して痛快な海洋アクション映画。まったく飽きさせない。脚本・演出みごとです。

主人公モアナが本当にカッコ良くて、正義感や正直さやモチベーションの頃合いが絶妙、嫌みがない。一体どれだけ計算してどれだけテストした結果の造形なんだろう。ポイントポイントでの彼女の「自主的な行動」が物語をドライブさせ、説得力を生む。その都度ぐっときちゃう。

ある1シーンではまんま『マッドマックス』のパロディが出てきて大爆笑。『ロード・オブ・ザ・リング』もそうだし、色んな映画の名シーンを思わせ、しかも嫌みがない「良いとこ取り」のアクションシーンの数々。

欧米系のルックをした登場人物が出てこない。すべてポリネシアン系(アフリカ系?)のキャラデザインで構成され、皆がすごく魅力的に、美しく、カッコ良く描かれている。昔のように「黒いだけの欧米系」も一切ない。気持ちいい。

この映画がディズニープリンセス・シリーズに位置づけられるのかどうか知らないけど、アナ雪の「王子様不在」を通り超して、男女の恋愛とか、結婚しなきゃとか、跡継ぎだからお婿さんを探さなきゃとか、そうゆう話が一切ない。潔くて最高。気持ちいい。

アナ雪なんかと同じミュージカルです。歌の吸引力はアナ雪に劣るけども、それでもハワイ?ポリネシアン系?のセンスを採り入れた歌と踊りが美しく楽しい。長女は帰ってからずっと主題歌聞いてて、あっという間に歌詞を覚えてた。すごいなぁ。

ジャンルはまーったく違うのでアレだけど、ディズニーピクサーの中で言えば『ベイマックス』の快感に近いのでは、と思う(いいとこ取りが上手くいってる感じも)。それくらいアクションが気持ちいいのでそゆのが好きな人は観た方が良いよ。あ、ドリームワークスだけど『カンフーパンダ』のアクションの気持ち良さにも似てる?

家族で『SING』とコレでどっち観るか揉めて、結局長女と父は『モアナ』チーム、次女と母は『SING』チームで分かれて観ることになった。

『SING』もすごく面白かったって。イルミネーションは我が家におけるギャグ映画のトップブランド。『SING』のサントラがこれまた父のツボで、帰り道からずっと二つのサントラを交互にかけている。早く観に行きたい。けど今月末はもう面白そうな映画の公開が目白押しだからなぁ…。
(→後日『SING』の感想へ)

『龍の歯医者』感想


『龍の歯医者』をAmazonプライムで観ました。
前後編でそれぞれ45分の、もとはNHK-BSプレミアムで放送されていた作品。スタジオカラー制作・鶴巻和哉監督作品。

とてもテレビ番組とは思えない。いきなり度肝を抜かれることを保証します。全編通して映画『ヱヴァンゲリヲン』ばりの超絶クオリティ作画な上に、ガイナックスあるある、宮崎駿あるある要素をこれでもかと詰め込んだ渾身のファンタジー映画。前編だけでいえば満点だと思う。龍が一切出てこないアヴァンの戦艦戦闘シーンも凄まじい。カラーすごいよ…。

残念なのは最後。どうしてもエヴァを思い起こさせるなんかみんな溶けちゃって系なアレで「ああまたこうなっちゃうのか」という気持ちに。そして結構暗い話。別にセカイ系ではないと思うのよ。ただビジュアルが。

そうそう「ジブリ」でなく「宮崎駿」と書いたのは、コナンや「ルパン三世・アルバトロスの翼」をはじめとするあくまで昔の「駿・漫画映画」のオマージュに見えたから。後編なんてほんとにアルバトロスとすっごく似てるシークエンスやカット割りがあってニヤニヤしちゃう。

庵野秀明氏が監督してる音響、特にSEが素晴らしいので大音量orヘッドフォンで観た方がいい。

『トップをねらえ!』や『ヱヴァンゲリヲン』や宮崎駿で観たシーンがあちこち出てくるし、巨大な龍の上に通天閣が乗って人が暮らしてるそのデザインは山口晃を思わせる。そんなこんなを今風アニメにぶち込みセンス良く料理した当作、特に前編はオススメですよ!3/20(月)にBSプレミアムで再放送されるそうです。

べっぴんさん #126

125のことを書いたばかりだけど、3/3(金)の126、親心のツボ押されまくり。新製品プレゼンのさくらの発表とその言葉に、堪えきれず涙ぐむすみれ。

すみれとさくらの親子感が本当に好きだった上京前の先週→一気に年が経った今週→さくらにイライラさせられっぱなし→昨日今日でまた良い関係になって→すみれの涙にガッデムもらい泣きな今日。

細かい突っ込み所は色々あるけど、べっぴんさんはその後すぐ気にならなくなるんだよな〜。不思議。

あと序盤心許なかった紀夫(のりお)さんが最近良いね。特にご飯食べた後がいいね。こないだ机君のハンバーガー食べた後の「これうまいな」とか最高だった。

インスタの #べっぴんさん タグを見ると、自分達の持ってる、もしくはプレゼントしてもらったファミリアの製品アップして想い出語ってるのがいくつかあって、それでまたじ〜ん…。劇中の製品の扱いも、語られる想いも、それを説明するための具体的な解説もいつも丁寧で、ホントそういうところ大事だよなぁと思います。何度も書くけどね。

べっぴんさん #125

『 べっぴんさん 』さくらとけんちゃんへのイライラが続く今週はなかなかに厳しかったけど、3/2(木)125はすごい回だった。

まずOP。
「自己満足やと思うてる?」
「職業病とか?」
の直後にテーマINする、あの入りはすごかった。なーんかな、ぐっとキました。

その後、さくらとけんちゃんがキアリスのこだわりの根源にあるものを感じていくビジネスとしても大切なプロット、万博への盛り上がり、と同時に動き出す日本社会への不安、イコール今の我々の現状への暗示、最後に板東家の食卓での会話、と15分の中にめっちゃ詰め込んで、まるであまちゃんを思い出す盛り盛りぶり。色んな不安を解消しつつ、同時にいくつかの伏線も張られてる。(そのうちどれだけ回収されるのか分からないけど)

そういえばテスト店舗が大成功した後にお父さん達が「けんちゃんのリーダーシップがすごかったなぁ」言ってるけど、アレ同期のアベ君が居たからだよ。彼の「やめませんか」だよ。彼有望だよ。今週のMVPだよ。溜飲を下げる訳だよ。

あまちゃんやあさが来たみたいにTwitterで盛り上がることはあまりない『べっぴんさん』。でも静かに、いつも楽しませてもらってます。感謝を込めてのインスタ初ポスト。

『ラ・ラ・ランド』

『ラ・ラ・ランド』字幕を公開初日の夜にシネコンで鑑賞。6〜7割は入ってたかな?

圧倒的に絶賛されてる前評判のことを思い出すと「え?これってそんな作品?」と思っちゃうけど、フラットな気分で観れば純粋に「ああ!いい映画だった!」という感想。

ベタな恋愛ストーリーにこれまたベタなミュージカルシーンを乗せてる映画なので、「ミュージカル?ちょっとなぁ…」という人はどうかと思う。だけど、そのベタの内容が、クオリティが、演技が歌が踊りが衣装が作曲が素晴らしい。メインテーマと劇伴全体で使われる共通の旋律が二つあるんだけど、それがどちらもほんと良くて、何回も何回もサントラを聴き直しちゃう(映画に行った帰り道にサントラが聴けるのがAppleMusicの素晴らしいところ)。

撮影は35ミリフィルム(冒頭でシネマスコープの表示が出るところの仕組み最高!)。CGは極力使わず、長回しで魅せるミュージカルシークエンス。そのいくつかはアフレコではなく同録を使っていて、より「自然」な演技を指向している。ということを知らないと、普通に「どうせこれCGなんだろうな…」と思いがちで勿体ないかも知れない。

でも一方で思う。たとえこういった面倒なアナログ手法や同録のことを知らなくとも、それらの苦労は映画全体の基礎力というか地の力というか、そういった地盤へと確実に染み渡り、一種の魔法のように我々の気分に作用して、高揚させているんじゃないかと。

監督の夢は古き佳きミュージカル映画の復興。脚本や演出は現代に合わせブラッシュアップさせつつ、技法は原点回帰。この方法と絶妙なバランス感覚によって、確かにこのジャンルに何の思い入れもない俺でも、「ミュージカル、すごいじゃん」と思わせられてしまった。

エマ・ストーンの、時にCLARA Cを思わせるハスキーボイスがとてもいい。ライアン・ゴズリングは歌はまぁアレだけど、ジャズピアノの吹き替えを拒み3ヶ月の猛特訓で自ら弾いたという話は驚愕。俳優は時にこうゆう奇跡を起こすね。

ところで。
「これは良さそう」と思う映画は、できる限り早く観に行けるように今後も努力しようと思う。ネタバレを気にする期間も極力短くなるし、行きそびれた挙げ句、周りで盛り上がり過ぎて行きづらくなるなんてこともない。とにかく最初に観ちゃった方がスッキリする。

以下ネタバレ&言いたいことなど。
続きを読む

『サバイバルファミリー』感想


シネコンで。

矢口史靖監督は『WOOD JOB!』が素晴らしくてもはや自分の中でブランド化しかけており、今回も設定聞いただけでコレは!と思い速攻行きました。お奨めです。なのに…レイトで行ったら貸切だったよ…皆観た方がいいって…。

ある日東京で、すべての電化製品が突如動かなくなる。原因は分からない。車もバッテリーが動かない。電池も不可。他の地域がどうなっているかも、勿論分からない。超不自由生活に加えどんどん食べ物がなくなる中、小日向文世の一家は、自転車で西へ向かうことを決意する…。

矢口監督の新作、という期待感で行くと結構シリアスなディザスタームービーなので驚くかも。笑えるところも勿論あるけど、サバイバル能力に決定的に欠ける劇中のお父さんを観て、親父たちは我が身を省みて笑うに笑えなかったりです。その頃合いが最高。

お父さんに限らずファミリーあるあるが詰め込まれているので、どんな立場の人でも自分ちに照らし合わせて楽しむことができると思う。どきどきが続くけど、最後には気持ち良い気分で帰れること保証します。ちなみに妻は5歳次女と観に行ったけど最後まで飽きずに楽しめたそうだ。観た後妻ともめっちゃ話が盛り上がった。

兄妹2人の演技がとても良い!お母さん役の深津絵里はもう言わずもがな。「深津絵里が出ていたら2割増し」というのは私の昔からの持論です。途中で出てくる時任三郎や藤原紀香のイライラっぷり、でもぐうの音も出ないところとか、ほんとイイ。

あと矢口監督って女性をすごく魅力的に撮る。化粧して美しくて、じゃなく本質を映し出すような綺麗さ。今回もそうだし、『WOODJJOB!』の長澤まさみもすごく良かった。

ラジオで監督が撮影裏話をしていたのだけど、実際に自分達で歩いて体験したことからエピソードを組立ているそうです。
以下はちょっとネタバレ含みますのでアレな人は読まないで。

【ネタバレ】
続きを読む

『DOCTOR STRANGE』感想

とびますっ とびますっ!

シネコンで2D字幕。
最初に、私は「マーベル映画は満点で80点」タイプで、あまりアメコミと相性の合わない人であることをお断りしておきます。あ、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーは別格かな。

予告編を観てもどんな話かさっぱり分からないし、衣裳は妙ちきりんだし普通なら自分が行くような要素はないが、ひとえにカンバーバッチとティルダ・スウィントン目当て。で、その欲求はちゃんと満たされたのでOKです。

カンバーバッチは髭を生やすと途端に普通の人っぽくなってしまうので、髭は絶対に剃るべきだと思った。金輪際剃るべき。冒頭10分くらいの、彼が優秀な外科医をやってるERドラマがあまりに魅力的で、これをずっと観ていたい!という気持ちに。タキシードでスーパーカーをぶっ飛ばすのとかもう最高だし。そんなことずっと考えてたので正直本編のストーリーはどうでも良かったですごめんなさい。

ティルダ・スウィントンは何をやってもやっぱり魅力的なのだなぁ。彼女が三蔵法師やってマーベル西遊記とかいいと思う。ちょっと非•人間的なところとかぴったり。

悪役の背景描写とかほんとテキトーだし「暗黒異次元」の世界感のチャチさもアレだし所々挟まれるギャグシーンも(苦笑)ってかんじだし色々と惜しいかんじなんだけど、全然憎めない映画でした。しかしカンバーバッチがアベンジャーズに出るのを想像するのはちょっと厳しいなー。

『人生フルーツ』


シネ・ウィンドで。

先週末に神保町のバルで、浴びるほどワインを吞みつつ「多分DVD化されないから、絶対見逃さない方が良いって!」と強くプッシュしてくれたのが、このポスターの写真を撮ったT女史。彼女はいくつかの書籍で津端夫妻と時間を共にしていた。その時は『PALM』のオフ会で大盛り上がりだったので、それ以上詳しくは聴かなかったのだけど。

観てみて、その理由が分かった。ずっと続くことなんて何処にもない。ここには、もう戻らない時間が凝縮されていた。今観た方がいい。
近著のタイトルでもある「ときをためる」暮らし。「時間を、降り積もるように少しずつ、ゆっくり、ためていくことはできないのかーー(パンフレットより)」それをまさに実践している暮らしがここにある。だけど本当のことは結局映画を観ているだけの自分には「見えて」いない。一つ一つ、自分で手をかけ、つくり、積み重ねてきた人にしか分からないのだろうと思う。

上映は17(金)まで。パンフレットも読み応えあってお薦め。藤森照信、重松清、鈴木敏夫なども寄稿している。TBSラジオクラウドの『東京ポッド許可局』でもこの映画を採り上げ絶賛している回があります。クライマックスは勿論なんだけど、孫の要望に応えて修一氏が作ったシルバニアファミリーのドールハウス、その素晴らしさを観ただけで泣けてしまう。あと全体の構成ね。こうきたか!と唸らされた。

検索してみると東海テレビ製作のドキュメンタリー映画(当作品などは最初テレビ番組として製作、その後劇場公開する)は、以前のものも含めて基本的にパッケージ化はされないようだ。「何度でもみんなで観て欲しいからDVD化はしない」と、あるページにあった。以前『ヤクザと憲法』を観逃したのがめちゃめちゃ悔やまれるなぁ…。

『ハドソン川の奇跡』


シネコンで2D字幕。

一言でいって最高だ。
そしてトムの中のトムだ。最高トム。

2009年に実際に起きた、NYハドソン川へのUSエアウェイズ航空機不時着水事故をモデルにした映画。

「不時着水」というのは地面の不時着に比べ、極端に難しいらしい。なぜなら左右の翼のどちらかが少しでも先に着水してしまうと、そこを支点に高速の状態で機体が回転して激突してしまうからだ(町山智浩さんのたまむすび解説より)。よって完全に水平な状態での進入が必須となる。実際に劇中の航空管制官の一人は、機長がハドソン川を選んだ時点で完全に全員死亡だと絶望していた位(これもホントの話)。

生還の可能性が高い近くの空港に向かわず、それだけ難しいハドソン川着水を選んだ機長の判断は、果たして正しかったのか?ということが事故後に検証される。仮に間違っていたら、今はアメリカ一の英雄の機長も、一気に年金無し退職の道に追い込まれる。

このNTSB(国家運輸安全委員会)の検証を巡る一種法廷劇的な流れで話が進んでいく。果たして判断は正しかったのか。容赦ない追求と、コンピュータで発覚した機長に不利なデータ。そうして、為に溜め込んだあとのクライマックス。大・大迫力の回想シーンを含め最高のカタルシス。思わず膝や机を叩いてしまう程に気持ちいい。気持ち良さを求めている人は絶対観れ!!

とはいえイーストウッドですよ。全体にクールで淡々。決して派手じゃない。必要なことだけが、気持ち良く最小限に進められていく。為すべきことを的確に為すひとびと。これがいい。そして鑑賞後に実際の事件のことを調べてみると…結構な細部に至るまで映画の通りであったことを知るのでした。嗚呼。

余談だけど実際の機長も副機長もこの俳優二人に結構似てる。そして機長は「奇跡」「英雄」と呼ばれるのをいつも嫌っていたそうだ。何故なら奇跡は滅多に起こらないことだから。そうじゃなく、為すべき事を皆が為した結果だったということ。ちなみに映画の原題は機長の名前『Sully』である。

『スティーブ・ジョブズ(2015年公開の方)』感想


映画『スティーブ・ジョブズ』をAmazonプライムでやっと観れた。同じような名前の映画は数あれど、これは2015年公開・ダニー・ボイル監督、マイケル・ファスベンダー主演(ぜんぜん似てない)の作品。1984年のMac、1988年のNeXT、1998年のiMac、3回のジョブズのプレゼン。その直前何十分かの舞台裏「だけ」を描いたすごく特殊な作品。

すごく面白く観れた。本当に舞台裏「だけ」なのには驚くけども、ぜんぜん飽きさせない。ジョブズの父親としてのダメっぷりがこれでもかと存分に繰り出される。やっぱりどうしたって好きにはなれないんだよなー、この人。(ヤマザキマリさんが伝記をコミック化した作品は、読んでもまったく好きになれないどころか興味がぜんぜん持てず、1巻で挫折した思い出も。)

自分は1996年頃のLCが初めての出会いで、それ以来はずっとMacユーザーなんだけど、「AppleやMacファン的に嬉しいデザインやコンピューターのおはなし」はあまり出てこないので期待しない方が良いです。ジョン・スカリーやウォズとの内輪揉めとかそうゆうのは存分に楽しめるw

分かりやすく言えばひたすらに口喧嘩、言い争いのドラマ。ジョブズの元カノが娘を連れて何故かいつもプレゼンの直前に訪れます。そして毎回毎回プレゼンが始まるまで大揉めに揉める。これどこまでホントなんだろう。大切な大切なプレゼンの20分前とかに次から次へと湧き出てくるトラブルメーカーな人達。口喧嘩好きな人たち。最後にはもう笑っちゃうしかないドン詰まりな舞台裏。

そう言えばNeXTとかも当時「これ絶対失敗だろ」と誰もが思っていて、まさにその通りに大失敗したのとかうっすらした記憶がいろいろ蘇る。さすがに最後のiMacは普通に覚えていて、あの時感じた自分の衝撃とシンクロして実に良かったです。ただ肝心のプレゼン本番は一切出てきませんよ。エンディングが「あの」フォントになっているのもにやり。

ジョブズにまったく似ていないマイケル・ファスベンダーも、冒頭すぐに気にならなくなるのはすごい。ケイト・ウィンスレット演じる仕事妻?があまりに都合良いオンナでこれどうなんと。でもジョブズのようなカリスマの脇には、常にこういう全受けな付き人がいたのかも知れないな。

『駆込み女と駆出し男』再見

原田眞人『駆込み女と駆出し男』をhuluで再見。
一度目に見た時よりも更に、本当に好きになってしまった。なんて格好いい女たち!男!

セリフがシン・ゴジラばりに早口で当時の言葉?も盛り込まれていて聞き取れない所もたくさんあったり、そもそも原田監督作品なので状況説明は一切ないしで、そういう意味では全然視聴者に優しくない映画の筈なのに…なぜか。すべてが優しい。出てくる人たちが皆愛おしくなる。

満島ひかりの独特な風体とセリフ回し(妻曰く「演技上手いのか下手なのか分からない」)が、この映画では120%のリアリティを生み出している。はまり役過ぎ。お歯黒がすごく魅力的だったり。

鉄練りのじょご(戸田恵梨香)と女侍のゆう(内山理名)のバディ感が最高にアガる。戸田恵梨香?内山理名?なんて名前だけ聞いたら良く知らないくせに鼻くそほじってふ〜ん?てなっちゃいそうだけど、どちらもとんでもなく格好いい!再見で新たに好きになったのが駆け込み寺のボス、法秀尼(陽月華)。突っ込み漫才みたいなやり取りも楽しくて、色気もあって…

樹木希林もめちゃくちゃ格好いい。駆け込み寺のアシストを担う柏屋(宿)には樹木希林をトップとする気持ち良いやつらが集まっていて、ココでの日常シーンが一々良い。とか書いているとキリがない。写真は柏屋の夜、昔虐待されたせいでトラウマがよみがえったお種(真ん中)をなぐさめる、じょごと柏屋のお勝(キムラ緑子)。大好きなシーン。

で、やっぱり大泉洋ね。ベスト大泉洋の一つになりました。見せ所も沢山。あんた本当にすごい。
(余談だけどチンピラの下っ端が洋ちゃんの口八丁手八丁で追い返される時に「生まれ変わったらアンタの手下になる!」と捨てセリフを吐いていくのだけど、これが音尾琢真君(TEAM NACS)。笑うわ。)

なんかもうBD欲しくなってきちゃったなぁ。う〜ん。

『逃げるは恥だが役に立つ』終了!

最高楽しませてもらいました!今年の民放ドラマは『重版出来!』とこの『逃げるは恥だが役に立つ』が最高だった。どっちも野木亜紀子脚本!マンガのドラマ化アレンジ演出では今敵なし断トツで素晴らしい。

●ガッキーの演技に脱帽。あれだけ馬鹿らしい設定でシラけさせないようにするのは、凡百のアイドルタレントじゃ到底無理。
●星野源の演技に以下同。
●脚本が素晴らしい。おちゃらけたルックの裏で、社会の「こうあれ」プレッシャーと地味に闘い続ける人々を描く。細かいセリフ一つ一つとってもそのあたりが泣かせるんだよなぁ。
●結婚そのものが抱える根本的な問題に対して鋭く切り込んでいる。誰もが一度は思うこと(主婦の家事労働と一般の労働の換算など)であり、考えさせられることを、一見くらだなくあり得ない「契約結婚」というトンデモ設定が、いつの間にか普遍的な問題をえぐり出すカギになっていて感心。
●源とガッキーが毎回死ぬほどカワイイ。
●恋ダンス(ED)が見事に踊りたくなる。

とは言え、あまりに少女マンガマンガしていてとても万人ウケするとは思えないドラマなんだけど…恐らく今年世間で一番話題になったドラマに大化けした。視聴率は常に右肩上がりで最終回まで下がることがなかった、らしい。

視聴率は、初回から10.2%→ 12.1%→ 12.5%→ 13.0%→ 13.3%→ 13.6%→ 13.6%→ 16.1→ 16.9%→ 17.1%と好調に推移。これまで一度も視聴率を落としたことはなく、劇中のパロディシーンやエンディングではキャストがキュートに踊る「恋ダンス」が話題を呼んだ。

オリコンスタイル12/21より

家では地デジが見れないので、『重版出来!』も『逃げ恥』も会社のテレビで見ていた(あと見逃し1週間は「TVer」というサイトで観れた)。こんなに毎週楽しみにしたドラマは久しぶり。特に『重版出来!』は自分内歴代ベストの『王様のレストラン』『JIN』に迫るイキオイだった。後でアップするけど2016年は映画もドラマも大豊作!幸せな1年でした。
 

『スタートレック BEYOND』

top

シネコンで2D字幕。

リブート前2作と比べてかなりユルい出来。でもこれ初代スタトレのあの感じを思い出して悪くない。なの古参ファンは観て損ないと思う…なぁ。

オマージュ色々で楽しかったし、前2作であまりにも只のバカだったカーク船長がちょっとだけカーク船長ぽかったり、ガーディアンズぽかったり色々楽しめたけど、ニモイに捧げるなら2作目の方にしてくれよ!と思ってしまう(2作目はカークめっちゃカッコ良かった)。あの昔の写真はさすがにあざといなぁと思いながらでも少しぐっときちゃった。しかしエンタープライズが全然出てこないとかちょっと。

フライヤーの裏のアオリ、「本物の車を使用したリアルなカークラッシュ」って…どこ?

今作はDr.マッコイとスールーがカッコ良かったな。
スールー(加藤)の彼氏が出てきたのは色んな意味でカンドー!←一番ポイントかも。

『アイアムアヒーロー』

story03

シネコンで鑑賞。
すごく良く出来ていると思うけど「え、そこで終わり?」が大きすぎ。有村架純の存在意義全然分かんないじゃん。ゾンビ初登場シーンとか確かにすごいんだけど、原作もあすこは余りにショッキングでね。原作知ってるとやっぱりハードル高い。ハードルと言えば高飛び君の再現度半端なくて痺れた。でもやっぱり原作のインパクトあり過ぎて所詮「再現度」なんだよな。原作を大きく超える実写映画ならではのナニか、はなかった。

ただきっとこの予算でやるべきことじゃないし、そこでできる中では本当に奇跡のような出来なんだろうと思う。同じスタッフ・キャストで中国出資ビッグバジェットで是非続編をやって欲しい。原作は既にガンツみたいな規模になってきちゃってるので。

『リンダリンダリンダ』再見

img_0784
長女が熱で外出できず家で何の映画を観るのか相談していた。
あまたあるピクサー、ディズニー、イルミネーション、ジブリ作品や名作日本アニメを差し置いて10歳と5歳の娘が選んだのは山下敦弘『リンダリンダリンダ』(笑)。こいつら観るのはもう4回目くらいじゃないか。しかもそんなに観ているくせに、未だ一瞬たりとも目が離せない俺自身に驚く。観れば観るほどいい作品だなぁ。

ペ・ドゥナ!彼女のキャリアや噂からするに、これきっとナチュラルとかじゃないんだよね。香椎由宇の奇跡的な美形ぶり。団地住まいの部屋のリアル。高校生の徹夜明けのあのかんじ(俺は麻雀)。この映画(の魅力)を紹介するのにいつも困る。ひとを観ているだけで飽きない映画ってすごい。

『コンスタンティン』再見

img_0530
huluに『コンスタンティン』が入ってる!
何度観ても、イヤ観れば観るほど好きになる。語られているテーマにはさして興味ないけど、ルックが最高。黒スーツキアヌとレイチェル・ワイズとティルダ・スウィントンだけで何杯もおかわりできる。

ところでこのガブリエル登場シーンを観ると士郎正宗ORIONのスサノオ降臨の見開きをいつも思い出す。実際はそんなに似てないのに。って話はもう何度も書いたな。分かる奴だけ分かればいいんだ!(花巻さん)

img_0573
この頃のレイチェル・ワイズは本当に良い。

img_0574
ティルダ•スウィントンも最高。

ABOUT

1999年のWEB日記時代から始めた個人サイト。ブログ移行にあたって過去記事も抜粋してアーカイブしています。
(HTMLサイト→SereneBachブログ→WORDPRESSブログと転移)

好きな漫画(2014年版)はこの記事の最後に。

最近は(インスタ)でアップしているTV・映画感想の投稿を、半年に1回くらい一気に転載しています。