これまたとんでもない作品が生まれたんじゃないか?
美術も撮影も音もすべてに圧倒されっぱなしの2時間44分。現代のSFでは当たり前になってしまったあれやこれや、の大元ネタである『ブレードランナー』が、35年越しの新作で、相変わらず他を圧倒する世界観を作り上げたことに素直に驚いたし、安心した。とんでもなく難しい仕事を見事にやり遂げたと思う。
劇伴が相当な大音量なので、劇場で観ないと大損だし、暗い画面が多くて、これはIMAXで観るべきなんだろうな(4DX選ばないで良かった)。暗い画面が多いと言ってもイライラする類いのそれではなくて、みんな美しいのです。
いわゆる「楽しい」シーンはほぼないし主人公は最後まで笑わないけど、この世界に浸りきる心地良さと言ったら。3時間近くずっとこんな気分で過ごす映画はSFでもSF以外でも近年なかった。ある意味ではLOTRが出てきた時に近いかな。長くは感じるけど「その間ずっとこの世界に居られるんだ」とプラスに思えてしまう。ストーリー的にめちゃめちゃすごい傑作とは思わないけど全体がとにかく「圧倒」的。「圧倒」って単語しか使ってないじゃん。
以下ネタバレ
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(アニメ短編で描かれている)大停電であらゆるデジタルデータが失われたのだが、プレートなどのアナログな「物体」に保管されていたデータは残っている、という設定がすごくいい。我々の2017年の未来だったらこんなことまずありえないけど、『ブレードランナー(2018)』の未来だったら、アリだろう。電子デバイスのアナログデザインが隅々まで心地良かった。
ポリススピナーの天井に乗ってるドローンにもうちょっとキャラクター性(喋ったり)を持たせたら面白いのになぁ、とか思ったけど、それやるとブレランじゃないかも。そもそもそういう流れって、ブレランのフォロワー達があの世界観を縦横無尽に使ってさらに新しく生み出したクリエーションの1つで(特に士郎正宗!)、始祖に向けて未来の子孫の常識を押しつけてるみたい、とか考えてると何がどうだか分からなくなって笑えてきた。
ジョイの存在感とか、最期にも…うーん、もう少し突っ込んでもいいのでは、勿体ないなぁと思ったけど、それもまたブレランらしくなくて(以下同)。あの子ってウォレス社の量産製品な訳だから、きっといつかどこかで遠隔操作されたり寝返ったり強制シャットダウンされたりするんだろうなぁ、と水面下で思っているせいで、イマイチ感情移入しきれなかった。こういった予測を生かして裏をかいてこそSF的ぐっとくるシチュエーションなのになぁ。
あのLAPDのボス、パンフだと「ジョシ」って書いてあるけど、字幕版だとその名前出てこないよね?ずっと「マダム」だった気がするんだけど。なんで?
後半の水がらみの格闘シーン、観たことのない迫力。
表紙がカッコいいパンフレットだけど、暗くて良く見えなかった市街地や車のビジュアルは全然載ってなかった。これはムックとか買わなきゃだな。特にKのスピナー、カウンタックぽいバックスタイルとかカッコいいわー。久しぶりに物欲が…。あと女性博士の持ってたあのぐるぐる回す奴ね。久しぶりに本気ガジェット萌えする映画でもありました。
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