11月某日、次女が帰宅中、車に軽く轢かれた。
足首の複雑骨折。歯が一本折れて、顔面打撲。幸いにしてアタマと内臓には問題なかった。
「朝、あのカーディガンを着てきたら、こんなことは起こらなかったのだろうか」
「昨日、忘れていたこの精算分を妻に出していれば、こんなことにはなっていなかったかも知れない」
考えてもしょうがないバタフライ・エフェクトがいくつも頭をよぎる。
もしこれで彼女が亡くなっていたら。
自分達は一生、今日や昨日の行動を、
何の意図もない普段の行動を
悔やみ続けて生きていくのだと思う。
世の中で一番大切なものを失った時に
「仕方がない」
なんてことを思える日が、果たして来るのだろうか。とても想像できない。
「こんな時にあらためて実感するのは、普段の生活の大切さ」
なんて良く言うけども、
こんなことが起こらなくたって、
毎日、それこそ毎日、
なんてことない日常の大切さを、実感していた。愛していた。
だけど、来る時は来る。
病院に駆けつけた自分よりも
現場に駆けつけた妻の方が何倍もキツかったと思う。
ERであの姿を見た時のショックは、なんとも例えようがない。
マスクをしていて、良かった。
「大丈夫だよ、すぐ良くなって、遊べるようになるから」
その嘘の笑顔がバレなくて済んだ。
娘は目はうつろ、返事もほとんどできない状態だったけど。
あれもできなくなったり、こんな楽しみを失ったり
いつも一緒に寝るのを楽しみにしてくれてた彼女は
今とこれから、どんな気持ちになるかを想像すると
どうにもやりきれないけれど
まだ、戻れるんだから。良かった。
紙一重で、助かった。
なんて恐ろしいんだ。
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4日後の追記。
事故当日の後は2日ほど、悪夢で目を覚ました。
1日目、山の中で家族がクマに襲われ、二手に分かれて逃げてしまう。そのことをずっと悔やむ夢。
2日目、「あ、あの3日前に亡くなった…」という会話を聞いて飛び起きた。しばらく動悸がおさまらない。
夢から覚めたのに、その悪夢は完全に夢じゃなかったことに気付き、落ち込む。
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5日後の追記。
家事を全部やっている。といっても未だ妻が予定していたおかず用の食材があるので、それを作っているだけだ。
料理は作るのは何ともないけど、「メニューを決める」「必要なものを整理して買い物をする」のが本当に大変。実感している。
COVID-19のせいで面会は一切できないけど、ビデオ通話も動画も見られる。毎日毎日治療とリハビリに頑張っている次女を見ることで、精神的には大いにリカバった。
骨折は痛み止めがあまり効かず、夜は痛くて泣いているようだ。
家では長女と二人、少し新しい関係。今まで最高に折り合いの悪かった妻と長女が離れること、俺と二人になることでまた新しい気付きや体験がある。
この経験は無駄ではないし、きっと今後のためになるな。
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