カテゴリー: TV・映画感想

『トランスフォーマー/ロストエイジ』

映画館で2D字幕。
回を重ねるにつれ順調に倍々劣化していくこのシリーズ。見事に予想通りの出来でしたよ。
まぁ
どーーーーでもいい恋愛ネタが、
どーーーーでもいい親娘ネタに
なってたね。

それにしても今回ことほど残念なのは、全編通して一回も笑えないこと。大大大好きな一作目(→感想へ)は、有り体に言えばギャグ映画だった。映画館ではずっと笑ってた。なのに…。笑えないトランスフォーマーってさぁ…何を勘違いしちゃってるんだろう。そのくせストーリーは「突っ込みどころ」なんて言えないほどに全編通して本当にテキトー。語る気もしない。

「頼むから、もう10分、ストーリー練ってよ」

と哀願したくなる出来。ハリウッド大作映画だよ?大のオトナがよってたかって、どうしてこんな成り立ってないストーリーを世に出せることになっちゃうんだ?そのくせやたらと劇中タイアップが入って不自然なこと不自然なこと。

でもしょうがない。『ゴジラ』なんか見るより、たとえ一ミリも期待してなくたって『トランスフォーマー』の新作を観ることは、おれの義務。だからまったく後悔してない。次回作もきっと観に行く。しょうがないんだ。

☆★★★★

※10年ぶりくらいに、両隣にお客さんが座ってる状態で映画鑑賞しました。初日レイト。いつものお客さんの数(1〜10)の10倍くらい観に来ててびっくりした。こんなん(失礼)観に来るの俺くらいだと思ってたのに…

※半分中国映画なので舞台が中国になるのは分かるのだけど、そのくせ中国人(特に政府高官、あと下請け業者の女性)の扱いがすんごくぞんざいなのは笑った。え、これでいいんだ。そこはそんなこだわらないんだね、中国のひと。

 
 

『アオイホノオ』第二話

オタク小道具・ウンチク満載の満足クオリティ。前話のあらすじのNAといい、期待していた「金田飛び」解説が第二話の最初にして既にさらっと語られるところといい、相変わらずの当時コミック、アニメ雑誌、本屋再現度の高さといい。制作スタッフが楽しみにアレを入れよう、コレを入れようとやんやで会議している様子が見えるようだ。それらの蘊蓄を見事に笑いに昇華させる高い!高い!演出力。新登場の矢野健太郎氏もいい。ハーロックがモノクロ切り抜きで登場とか最高。BGMも見事。ガイナックスネタがほぼゼロにして全く中だるみのない吸引力。エンディングで明かされる驚きのゲスト出演者もいい。『桐島…』の山本美月(オタク公言)の異様な美女ぶり。全編に感じられる当時のカルチャーへの愛、愛、愛。このドラマ、第二話にして、既に合格!ごうかぁあああ〜〜くうううう!!!

 
 

ヤスケンの通りすがりざまの「動画枚数を計算しないと駄目なんだよ…(ハーロック歩きのリアルさについて)」のぼそっとした言い方とかね。「さりげなさ」がいい。極端さと、さりげなさのバランスがこのドラマ、見事ですよ!

 
 

『オール・ユー・ニード・イズ・キル』

映画館で。ネタバレ無し感想メモ。

オール・ユー・ニード・イズ・キル

異星人との戦いの最中、とあるきっかけで、死ぬと時間を遡り延々と同じ日をループして生きるようになった主人公、トム・クルーズ。
はじめは最低の腰抜けチキン野郎だった彼が、ループを繰り返して経験を積むうちに本当の兵士として自分を磨き、異星人との勝ち目の無い戦いへ、謎を解きながら向かっていくという物語。

シチュエーションはハッキリ言って大好物です。トムの腰抜け演技も、ストーリーが進むにつれてどんどんたくましくなってくその様もゾクゾクする。チキンが短期間で一流の兵士になる理由付けとして、本作のプロットはこれ以上ない説得力を持っている。ヒロインとの関係もいい。世界観も、余計なものを剥ぎ取ったシンプルな構成もいい。とにかくサバサバしてて、いい。SFとタイムループと映画は絶対に相性がいい。好きなシーンも沢山あった。

だけどどうしても乗り切れないトコが、ふたつだけあって。

延々とループを繰り返す訳ですよ。延々と。それが全部表現されている訳ではなくて、端折ってるんだけど、その背景には数限りないループの経験がある。その繰り返しを自分で勝手に想像して、「あー面倒臭いわ〜大変だわ〜」とおもっちゃったの。劇場内で。うんざりしちゃったの。感情移入して(笑)

観終わってから改めて考えると、そのループって、同じ人とのやり取りを先読みして少しづつ変えていける訳で、それはうんざりというよりも毎回毎回結構楽しいかも知れないな、と思ったけど、映画館で観ている最中は、とにかくその「勝手に想像してうんざり」感が邪魔していた。

あとラストだな〜。ラストがもっとひねってあれば全体の出来もぐんと印象良くなったと思う。もう何百回観たか分からないハリウッド大作のラストと、おーんなじ。

良い映画だと思うし、嫌いじゃないんだけどね。あ、最後の最後のトムのカット。大好き。ラストカット好き。

☆☆1/2★★

『私の男』

映画館で。レイトではやっていなかったけどたまたま日曜に時間が空いて観に行くことができた。珍しく10人以上の客。

冒頭から引き込まれる、圧倒的な迫力。画と音の力、つまり映画の魅力が詰まっていた。これぞ映画館で観るべきだと思う。アヴァンから微かに流れているキシキシキュウキュウ言ってる音が…流氷の音なんだと分かる。そこからの展開もすごい。目が離せない。最後まで北海道のとんでもない風景がふんだんに挿入される。後のシーンを一瞬入れる編集もあざとく感じさせずしかしぐさっとくる。つなぎで音が先にすかっと無くなったりとか。緊張感がすごい。画自体が後の展開への伏線になってるような構図がどんどん続く。とにかく、脚本も演出も音も画もすげえなぁ…という印象。

 

 

 

だけど…

この映画が描こうとしている主題に、おれは正直興味が持てなかった。
最初の展開から、

「ああ、そうでしょうねぇ…ああ、そうなったら当然そうでしょうよ。分かる分かる…、ああ、そうきた。うんうん分かる。だったら当然、ああやっぱり、そうなるでしょうねぇ…次は…ああ当然そうなっちゃったらそうでしょうねぇ。次は…ああそういう人だったら、そりゃそうするでしょうねぇ…うんうん、分かる分かる。そうだよね〜。

………………で?

 

というのが正直な気持ち。
ここで描かれているような事をワタクシが映画で観たとて、その後何ひとつ変わらないんだよな。かといって楽しくもならず、どどーんと落ち込むこともなく…あ、そう。とても分かるけど、別に映画で観たくもないなぁ。というかんじ。

たとえば『渡る世間は鬼ばかり』って自分本当に苦手なんです。絶対観ない。どうしても放っておいてもイヤなことは溢れている世の中で、わざわざテレビでアレ観たいの?と思うんだけど、それともちょっと共通する、かな。イヤなことではなかったけどね。画と音はすごかった。確かにアレは記憶に残るかもです。

二階堂ふみさんはネットで観る限り宮崎あおいさんと殆ど見分けが付かなかったけれど、この映画でも半分くらいはそうだった。バリバリ化粧すると明らかに分かる。地味目メイクだと本当似てるね。

その主人公に対抗する親戚の独身女性(河井青葉)が、まさにアラフォーワタクシ的にぐっとくるナオンでしたが、あまりに扱いがぞんざいで笑っちゃった。ネタバレ→東京行ってパーマかけて帰ってきて一瞬映って終わりって…イヤ映画の流れ的にはそれで良いと思うんですけど。そりゃいくらなんでもあんまりだ。親戚の家にいる時のあのエロさ、最高です。180点。

たまたま主題に興味がなかったのは残念ですが、素晴らしい映画だと思いますよ。

☆☆★★★

『アナと雪の女王』

映画館で吹替2D。二人の娘と共に鑑賞。気持ちよい快作。DVDも欲しい。

今作はミュージカルです。自分は基本ミュージカルをそんなに熱心に観れるタイプではありません。途中で「また歌かよ〜」と飽きてきてしまう場合が殆ど。

だけどこれっぽっちも飽きることがなかった。歌、音楽、動きがとにかく素晴らしい。歌を聴く・動きを見るだけでもどんどん次が楽しみになるかんじ。これはディズニーランドのショーを見てる気分に近いかも(ディズニーランドはアトラクションよりショーを見る方が断然好きなタイプ)。松たか子もそうだけど、前半の神田沙也加の歌はとにかくすごい。圧倒されるよ!

全体にキャラクターの掘り下げはほどほどだけど、アナのキャラクターがとてもよくて彼女の動きだけでも楽しい。クリストフに初めて会うあたりからエルサの城までのアクションが最高に気持ち良い。エルサに対する新しいプリンセス像としての(プリンセスとさえ意識させない)アナのキャラクターは、『プリンセスと魔法のキス』や『ラプンツェル』から続く「今」のディズニーのもはや定番と言える。ピエール瀧のオラフも本当にはまり役。

パンフレットに載ってたのが、氷の城を作るシーンのCG、レンダリングに1コマ平均3時間かかっているとか。最後の方の吹雪とか、まじ実写ですよ。「ラフさ」「ランダム」さが超絶。というかそこまでやるんならもう実写にしろよ!というリアルさ。

ひっかかりと言えるひっかかりもなく、さらっとしすぎているといえば言えなくもないけど。
だけど最後の終わり方もとっても気持ち良くて、結局はひじょーにワタクシ好みな一作でした。

家ではもちろん「ありの〜ままの〜」が女性陣3人で毎日大熱唱大会です。

☆☆☆☆★

『キックアス ジャスティス・フォーエバー』

DVDで。大ヒット作『キック・アス』の続編。予定では全3部になるそうな。
ストーリー、演出、アクションの見せ方、盛り上がりやカタルシス、いずれも前作には及ばない。父親というキャラクターの不在を埋める「何か」がこの2にはなかったし、最後もあまり盛り上がらないまま(というか前作があまりにすごかったのだけど)終わってしまう。

しかし、しかしですよ。それらを超越して余りあるクロエ・モレッツの美少女ぶり。
前作までは正直「ちょっとクセのある顔立ちの幼女」というイメージしかなかったし、クロエ好きで騒いでいる人達の気持ちも全然分からなかったんですけど。
この「2」でいきなり、急に、彼女の美しさに気づいてしまった。
(「いきなり」ってのはこの「1」と「2」の間の出演作をほとんど観ていないからなんですけど)
逆のケースは良くあるんだけどね。ああーもうかわいさがなくなっちゃったよ。的なアレ。クロエは違った。

他にもキックアス役の彼、前作から良かったけどこの「2」ではさらに好きになったな。クロエとの間に恋愛話がまったくないのもすごく気持ちがいい。

迷彩服の大佐的な人、てっきり後で悪役に変身するんだろうなーと思って観てたのに、あっさり→ネタバレ殺されちゃって、ええ?ってオモタ。

クロエの可愛さ、それだけで観る価値あります。といって納得してくれる人にだけ、オススメ。

☆☆★★★

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『スノーピアサー』『もらとりあむタマ子』『ばしゃ馬さんとビッグマウス』

すべてDVDで。『スノーピアサー』は、列車内外のディストピア描写が印象に残る位で全体に印象薄いわ〜。よく出来てるSFだとは思うし、シチュエーションも好物が多いのだけど、ほんと何も残らないな。主人公に何の魅力も感じることができなかったのも、大きいかも。
☆☆1/2★★

『もらとりあむタマ子』のほうがよほど「残る」映画だった。というか娘との関係が自分の未来を観ているようで、イヤ全体的には違うことばかりだけど、あちこちに「あーこれあるあるー」ってのがあって、ダブってしょうがなかった。最後は「ええここで〜?」ってかんじで終わるけど、でも全体通すとこれもアリなんだなと納得できる。また観たくなりそう。父親にとって娘ってのはとにかく可愛いものなんだよ。どんな駄目な状態であっても一緒にいれるのならそれはきっと幸せなんだろうなーとは思う。

アクセサリー教室で、父親の恋人になりそうな女性と二人になって、タマ子が父親の文句をさんざん言って、それを聞いてる女性のカットのとこ、なんかこみ上げてきて泣けてしまった。

しかし食事しながらのシーンとっても多い気がしたんだけど、これ撮影大変だったろうなぁ。絵が良かったです。お父さんはとても俳優とは思えない普通ぶりがすごい。坊主の中学生も良かった。良い映画でした。
☆☆☆★★

『ばしゃ馬さんとビッグマウス』
ばしゃ馬さん(麻生久美子)のほうはよくある話だけど設定がかなりリアルでそこそこ引き込まれる。彼女の書いた脚本を見た他人の評価を聞くだけで何となく「あ〜きっとあんな脚本なんだ」「あ〜そういう人か〜」って思わせちゃう。すごい。

だけどビッグマウスの方の男の子があまりにもひどくて、すみません最後まで観れませんでした。一時間は観れたかな。この後どんなどんでん返しがあって、この男の子が実はどんなにすごい子だったかって展開になったとしても、この序盤の表現だけでそんなのどうでも良くなる。この男の子がどんなに素敵に魅力的に変わったとしても、到底それを良しとすることは絶対にできないと決断させる序盤の展開。ただの馬鹿。本当に何の魅力も味もない、ただの馬鹿。いや、この後実力を発揮して、後からトータルで見たら最初のアレもまぁしょうがなねーなーってこともあるのかも知れないけど。実力発揮がどうとか以前に人として魅力ゼロ。関わりたくないどころか、こういう人のことを考えたり我慢することに自分の人生の数分を使うのが本当にもったいないと思った。だから観るのをやめました。麻生久美子のキャラ作りは結構好きだったよ。
☆????

『青天の霹靂』

映画館で。いろいろ惜しいところはあれど、愛しげな映画でした。劇団ひとり、初の監督作。

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柴咲コウが大好きです。だから観に行ったようなところもあります。イヤ、大泉洋も好きです。使われ方で残念な時も多かれど良い役者さんで、今回の映画は特に、というか今まで観た中では最高にすばらしい洋ちゃんだったかも。劇団ひとりもすばらしかった。大泉洋の年齢も、生まれた年も設定も近く、それだけでとっても親近感があります。

大好きな『異人たちとの夏』のように、主人公が過去にタイムスリップし自分の両親と会う物語。柴崎コウが美しき母親で、小さい頃息子を捨てて出て行ったと聞かされていたのに、実は出生にまつわる別の事情があって…。

タイムスリップして自分の母親に逢い、そうとは知らずに口説こうとする。的な話ってこれに限らず結構ありますね。実はずっとずっと母親が苦手な自分も、1970年当時にタイムスリップしたら、そこで自分の母親に逢ったら、あるいはそうなってしまうかも、とはこの映画を観て初めて思った。両親達の70年代の写真を見ているからね。たとえば今の妻を例に挙げるまでもなく、女性の20年前、30年前ってもう別人だったりする。そして自分は個人的に70年代の女性って大好きなの。ファッションとか見た目が。だから70年代の柴崎コウなんってたらもうね…たまんないですよ。

洋ちゃんとひとりがコンビを組んで舞台に立つところは普通に大笑いしちゃうし、洋ちゃんの本気マジック(カット割り無しのガチ)もすごいし、美術は気合い入ってて全然安っぽさもないし、演出も冒頭の現代シーンがちょっとわざとらしい他は、いい。気にならない。舞台の後の居酒屋シーンはうらやましくてしょうがない。タイムスリップしてからは、シヤワセ感満載の映画です。

【以下ネタバレ感想】

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『モンスターズ・ユニバーシティ』

DVDで2回目の鑑賞。ネタバレ感想です。

そもそも『モンスターズ』シリーズを観た順番が

10年位前の『モンスターズ・インク』
  ↓↓
2013年末の『モンスターズ・ユニバーシティ』
年間中年始で『モンスターズ・インク』×2回
今回『モンスターズ・ユニバーシティ』

というかんじで、つまり一回目に本作を観た時は『インク』の内容をぜんぜん覚えていなかった。で、『インク』を観返したらそのあまりの完璧な面白さにハマり、イキオイあまって再度『ユニバーシティ』に戻ってきたわけ。やっぱり『インク』の内容を知っていると、全然気持ちが違う。

だけど全体の構成は『インク』の方が断然好き。『ユニバーシティ』は、そもそも多くの割合を占める「こわがらせコンテスト」の意義自体が正直ビミョーでやっぱりちょっとたるむ。勿論shiroの嫌いないじめシーンもあって、別に気分悪くなるようなもんじゃないけど、これも正直中だるみ感。全体を通して「学内ヒエラルキー」がドラマの根底にあるのだけど、正直面倒くさくて、後で明らかな逆転のカタルシスがそれ程ある訳でもない。

『ユニバーシティ』のオレ的見どころは、改めてラストシーンからエンディングだと思った(ゴメンナサイ)。大学を退学させられた2人が、まずは郵便整理係で会社に就職。まったく望んでいない職場だけどクサらずに楽しんでトップを目指す。その後もいくつかのセクションを経験するんだけど、どの場にいても2人のベストを尽くし楽しんでいる様子が写真とナレーションで語られる。最後に、怖がらせやの試験に受かり、あの職場に最初に入るところで、『インク』につづく。

この気持ち良さたるや!

かかっているビッグバンド・JAZZのBGMも最高。一回目に観た直後にソッコー調べて買ったけど、この曲サントラに入っていませんよ(!)。要注意です。
MarchFourth Marching Bandの「Rise Up」というアルバムに入っている「Gospel」という曲です。

あと『インク』の直後に観ると、この10年のさすがのCG進化がよく分かります。天と地ほどに違う。『ユニバーシティ』のバスとかもう実写。マイクの皮膚はもうなんかリアルに生き物だし。だけど、『インク』の感想にも書いたけど、そういった技術的な面はストーリーの善し悪しにはイッコも関係ないのな!
サリーとマイク、このキャラクターの魅力って、ひょっとしてピクサー1かも知んない。今後も続編出るんだろうか。だとしたら楽しみです。

★★★☆☆

『モンスターズ・インク』を2回観る

9日間というながーい年末年始休暇の間、家族そろって『モンスターズ・インク』を観たのが2回。しかも一回返して、また観たくなったので再度借りてきた。きっかけは『モンスターズ・ユニバーシティ』のレンタル開始だ。娘達はモンスターズシリーズはこれが初体験。ちょうど時間の流れ的には『インク』がこの後なので次に観たら…。面白過ぎてドはまり。上映時間の間一度もダレない。見事な構成。2回観ても少しも飽きるところがなかった。CG的には『ユニバーシティ』の15年ほど前だから全然初期のクオリティなんだけど、そんなん全然関係ねぇぜ!をまさに体で表した、文句なしの傑作。

爆笑問題の田中、いい仕事し過ぎ。吹替版超オススメです。

★★★★☆

いじめは見ていて面白くないよ。

TBS・東京ポッド許可局の「ごちそうさん論」を聴く。ようはごちそうさん面白いぜ!って内容。
ごちそうさん、今までぽちぽち観てきて(週イチくらい?車のTVで)、どこかではまるきっかけないかなーと思ってたんだけど。ダメ。もうあの姑さんのいじめがダメ。許可局でも「最近の視聴者は甘やかされている。あのくらいのいじめは耐えて観なきゃ」的なことを言っていたけど、ダメ。あのいじめシーンで毎回断念。

分かりやすいので例え話で良く使うんだけど、『渡る世間は鬼ばかり』とかの嫁いびりを楽しく観れる気持ちが全然理解できない。なんでテレビの中でまで、放っといても世の中に溢れているイヤなことやイヤな人のイヤさと向き合わなければならない?それに対抗できていない人の無念さを眺めていなければならない?そんなパワーは少しでも現実世界の為に残しておきたいです。是非に。
耐性を付けるっていう意味は、あるかもね。でもそれは自分にとって「訓練」であって、決して「楽しいテレビ鑑賞」ではありません。

自分とまったく同じ気持ちの人も身の回りに結構いて、上記のようなことをよく話すんだけど、出てくる話の1つが「どこを面白がっているんだろう」ということ。いじめる方、いじめられる方、誰(どっち)に感情移入しているんだろう。とか。仕返しの時のカタルシスは確かに面白いだろうけど、仕返しを観たいがためだけにずっと耐えてるのかなぁ。そんなことはないはず。きっと気分の悪いのもいやーな感じもすべて含めて「テレビ体験」「映画体験」として消化できる、面白い体験にできる能力を、「観れる」人たちは持っているんだろう。

ごめんなさい。こんなことを書いてはいけなかった。と胆に命じていた筈なのに。面白く観れている人の方が世間では大半。こんなこと書いたって読んだ人のほとんどにとっては至極至極当たり前のこと。はぁ?というか、disられたかのように感じるだけだよな。

恐らく30を過ぎた頃から、30半ばになったらもう完全に、映画とかテレビに対して「怖いもの観たさ」とか全然なくなってしまった。エログロはまだしも、残酷系は全般にダメ。拷問、殺人とか。また特に子どもが絡んだり死んだりするものは絶対に観れない。「観れない」ってなに?と「観れる」人は思うでしょうけど、感情移入しすぎて「映画体験」から外れて自分の気持ちがガタ落ちしちゃうってこと。終って「ああ良い映画体験だった〜」なんて思えない。たとえ最後がハッピーエンドだろうが何だろうが。機会あるごとにそのシーンだけが甦り、具合が悪くなる。なんのためにお金を払って映画を観たのか分からない。

ええ、この条件で言うと世の中の話題の映画の半分以上観れないんじゃないかと思います。その通り。それで全然結構。だから何度も書いているけどタマフルの宇多丸さんとは全然趣味が合わない(彼の生涯ベスト『アポカリプト』はそういう意味では最悪だった)。レビュアーとして面白く聴いています。園しおんさんの残酷系もいっこも観る気にならない。

ああすっきりしました。このサイトのテレビ・映画レビューもこんなような特殊な感情ベースの上で書いていますので。アシカラズよろチンピク。

  

『ゼロ・グラビティ』

公開初日、映画館で3D吹替。地元では巨大なスクリーンだけど、お客さんは全部で4人だった(レイト)。ネタバレ殆どありません。
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スペースシャトルの船外作業中に、衛星爆発事故によるデブリ(宇宙ゴミ)の嵐に巻き込まれ宇宙に放り出された主人公の女性博士が、さてどうやって帰るかという話。全編通して息詰まる無重力(ゼロ・グラビティ)の宇宙空間でのあれやこれやなんだけど、覚悟して観に行ったせいもあってか、思ったほど苦しくはなかった。ストーリーと言える程のストーリーもないけれど、91分という短めの上映時間をあっという間に駆けていく(確か劇中で流れる時間とほぼ同じだって誰かが言ってた)。
特にEVAや放浪の最中で宇宙船やステーションのまわりをぐるぐる回っていくカメラ、映像のリアリティは本当にすごい!の一言。久し振りに圧倒的な映像体験です。映画館で観るべき。宇宙遊泳できるよ!

↓これをはじめ予告編は既に観た人用に。行くつもりマンマンな人は観ない方がショック大きくて良いよ。行くかどうか迷ってる人は観るべし。

投げ出され映画だと聞いて想像していたよりはずっとずっとテンポも良く、しかもその中で無情の放浪時間を巧みに挟込むことで緩急もたっぷりあって、しかもクライマックスはちょっとぐっとクる感じで。とても気持ち良く観れました。オススメです!

ここで苦言。といっても3D吹替というフォーマットに対して。
3D吹替、正直オススメしません。そもそも3Dは吹替しかないって選択肢にはいつも呆れてしまうんだけど。この映画は登場人物も極端に少なくて、おそらく劇中7割位は「すーはすーはー」の息遣いです。つまりセリフ回しよりもリアルな情感が大切な演技。これはどーしたって吹替にはそぐいません。あと大好きなジョージ・クルーニーの生声が聞けないことにイライラしてしょうがなかった。あとねー、翻訳も少しおかしいとこあったなぁ。これきっと元だと○○じゃね?的な。セリフがめちゃくちゃ少ないもんだから、余計気になりますよ。

3D鑑賞歴は、映画館で6〜7本くらいかな?イオンシネマのRealなんとか方式。これまでも正直「3Dで良かった〜」なんて思ったことはほぼ無かったけど、今回は何故だろう。特に残念な印象。イヤ、素材としては絶対に3D向きだし、これを3Dで観ずしてどうする、という御意見も良く分かります。問題は、あの「ペラペラ感」。それに尽きる。Unknown冒頭で、宇宙から見た大きな地球をずっと写していて、向こうからすこーしづつシャトルが近付いてくるんだけど、もうそれがね。何ての、あれですよ、世界初のSF映画『月世界旅行』でロケットがひゅーーって近付いてくる、あれみたい。紙切れに棒をつけて動かしてるかんじ。まー全編通して浮き上がる素材全部が「紙製」に見える。「デブリに当たって顔の真ん中に穴が空いた同僚←ネタバレ」なんてホント、まんま紙芝居みたいで笑っちゃった。3Dって普通すぐに慣れちゃって3Dってこと忘れる(そしてメガネの痛さで気付く)ものだったけど、この映画ではそのペラペラ感がずっと気になってしょうがなかった。2Dだったらこんなこと気にせず没頭できるのになぁ。でも他の3D方式だと変わるのかもね。

   ああーもう2D字幕が観たいよ!(しかし上映は1日1回夕方のみ。3D吹替は5回もやってるのに!どうなってんの!)
2D字幕を勝手にオススメします!

★★★★☆(←3D字幕のマイナス分は含まれません)

  

やっと夏本番(TED、黄金を抱いて飛べ、007スカイフォール)

お盆休みに入る数日前からやっと暑さがやってきた。ぎりぎり10(土)に初めての(そして恐らく最後の)海遊びが出来たので、まぁ良かろう。

お盆休み二日目の今日は朝から少し涼しかったので、2人で庭の草刈りをした。子供たちは一人ずつそれぞれの実家に預けている。夜中から『007 スカイフォール』『アバター(400円で購入)』を観ている。実家がどちらも近いおかげでこんな時間を持てる。ありがたい。最近同じように実家預けのおかげで『TED』や『黄金を抱いて飛べ』を観れた。すべてレンタルDVD。

『TED』★★☆☆☆
結構観る前のハードルが高すぎたかも。もともとコメディには辛いので。というか自分にとっては丁度あまり語ることのないレベル。

『黄金を抱いて飛べ』★★★☆☆
すごく良く出来た映画だと思う。本当に。だけど今の自分はまったく求めていなかった。ネタバレ→妻子を車でさっさと轢いて復讐とか、ひたすらに気分悪くなるし。普通にバイオレンス映画好きな人にはとってもお奨めだと思う。気分悪いけど良かったですよ。

『007 スカイフォール』★★★☆☆
これも観る前のハードル高すぎたかなぁ。OPからしばらくはもう恰好良すぎて大満点なんだけど、全体通して期待のアクションシーンが少なかった印象。

  

富野由悠季監督、あまちゃん褒める。

人以外あまり褒めてるの聞いたことないので新鮮。

富野新作Gレコの正式?タイトルは「Gのレコンギスタ」」より抜粋。

富野:お話だけじゃなくて、テーマ曲も、なるほどツボにはまった時はこれかよー、作り手はコワいところにくるよねー、って見事にハマってるっていう意味で、要するに、ものをつくる・作品を作るって時に一番憧れるところに今あるのが、あまちゃん。

富野:観てない人にもうちょっとお話しなくちゃいけないのは「単純に視聴者に対して元気を与えているから、朝の連ドラとして」だけではないんです。これは宮藤官九郎さんの作劇論が優れているのもあります。どういう事かと言うと、言ってしまえば360度の視点を一つの劇に集中させている作り方をしている。

富野:逆にNHKこいつら、図に乗ってるんじゃないかこいつらと思っているのは(会場笑)、ある方法があります。たった3秒1cutの為に、エキストラ20人動員してバチッ。違う場所でロケセット組んで撮るなよ! ってぐらい贅沢な撮り方をしてるんだけれども、その2、3秒の別cutの入り方含めて巧妙なんです。ってことはどういうことかと言うと、一つの目線での物語論じゃなくて、何人もの人の目線がありながら、なおかつあまちゃんの話をドーンとやってるというつくりは、かなり見事ですね。

富野:「こう来るかぁー」って意味での作りの巧妙さ。二、三重の作りこみというのが、そりゃあ見てて気持ちが良い。だから何故あれが正味12分半に入るんだろうか、というのが時々寒気がするぐらい。

塩澤:今回、能年さんの魅力って大きいかなと。
富野:それに関してはスタッフに対して敬意を表します。よくあの人を、あの子を使う気になったなと。ホントに舌を巻きます。

富野 このくらい好きな場合ってのは絶対に影響されます。イヤでも影響されます。
宇野:「ガンダム・ダイバー」とか(会場笑・殴りにいく富野)?
富野:そういうことではなくて! 例えばね、「リアリズムとフィクションの間での女性性ってのはどういうものなのかなぁー、アキちゃんだったらこうなんだけども、僕はやっぱり、ほんとはどっかでユイちゃんも好きだからこういう風に作ろうかな」とか。
塩澤:ガンダム48とか出てくるわけですか?
富野:うるせぇよ(会場笑)!
宇野:∀とか最下位なんですよね。
(へこむ富野)

  

あまちゃん第91回:ユイvsアキ

北三陸に帰省中のアキ(能年玲奈)は、ユイ(橋本愛)に呼び出される。かつて、地元アイドルとしてステージに立った思い出の海女カフェで、二人は本音をぶつけ合う。ユイはアイドルを目指し、上京を夢見ていたが、父・功(平泉成)の病と母・よしえ(八木亜希子)の失踪により北三陸に留まらざるを得なくなり、すっかり投げやりになっていた。アキに冷たい言葉をぶつけるユイ。アキはこれまで秘めてきた思いを伝えるが…。

NHKオンデマンドのあらすじより)

すごい回だ。
あまちゃん史上かつてないシリアス回。何がって、海女カフェにアキを呼びだしといて罵倒の限りをつくすユイ。ここでのアキとユイのやり取りがすごい。何段階も、これでもか、これでもかとやりつくす2人。そう、ユイちゃんの初登場シーンから実は見ている我々は気付いていた。ユイのこういう性格を。特に豹変した訳でもない。この状況(上京直前に父が倒れ、その次には母が失踪)に置かれたら、まぁこの子ならこうなっちゃうわな。言ってみれば至極真っ当な展開。

だけど、その至極真っ当な「ぐれちゃった」気持ちを、僅か4〜5分のやりとりでさくっと浮き彫りにして、しかも最後にはやっぱり素のユイちゃんの正直なところがすっと見える終わり方、にまで持ってくる脚本の素晴らしさ!

最後にアキ母・春子に泣いてすがりつくユイ。この「どーしたん?ダイジョブダイジョブ」のかんじ、娘持ちの親にはたまらんよね。
やっぱり、キョンキョンのママは最高ということ!

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しかもこのアキ×ユイのやり取りの合間には、カットバックでユイのお父さんのバーシーンが入る。ここでお父さん、実は奥さんの失踪に既に気付いていたことを、実に軽やかに気持ちよく、誰も傷つけることなく上手にさらっと告白しちゃう。瞬間のBGMの入りもいいし、役者・平泉成さんの実力も相まってこれまたぐっとくるシーンとなっている。他にもバーのいつもの面々がユイのことで悩むシーンとか、副駅長吉田の「(ユイは自分達にとって何なのだと問われ)んだ!アイドルに決まってるっぺ!」とキッパリ言うシーンとか。キョンキョンがアキのベッドに行ってお茶目に寂しかったってイチャイチャするとことか(こうゆうの分かる分かる!でもこういう状況でさくっとやれるのが良き母なのだ!)もう細々と名シーンが。くう。

 

さて、これを書いている段階ではまだ92回を見終えたところで、実は92回ではアキのドラマ登場シーンがカットされるというショックな出来事が重なり、アキはまったく救われないママ次回へ「つづく」となっている。

あまちゃん史上かつてない重重展開。さてどうなる次回!

アキ「だけどオラだって、オラだって必死に踏ん張って這い上がろうとしてるんだ。気楽な身分だなんて言われたくねぇ!」

ユイ「ふっ(笑)40位の繰り上げ当選のくせに自慢しないで!」

アキ「自慢じゃねぇ!それがオラの現実だ!

アキ「ダサいなんてそんなの……自分が一番分かってるよ。

アキ「どんだけ不幸か知らねえが、ここで過ごした想い出まで否定されたら、オラぁやってらんねぇ!!!(叫ぶ)」

カフェを走って出て行くアキ。

  

ABOUT

1999年のWEB日記時代から始めた個人サイト。ブログ移行にあたって過去記事も抜粋してアーカイブしています。
(HTMLサイト→SereneBachブログ→WORDPRESSブログと転移)

好きな漫画(2014年版)はこの記事の最後に。

最近は(インスタ)でアップしているTV・映画感想の投稿を、半年に1回くらい一気に転載しています。

過去の投稿