『国宝』をユナイテッド・シネマで。
監督:李相日(『69 sixty nine』『フラガール』)
カテゴリー: TV・映画感想
映画『プロジェクト・ヘイル・メアリー』が、いよいよ来年公開
人生史上最オモロ本・号泣本。
以前推しに推しまくってたアンディ・ウィアー『プロジェクト・ヘイル・メアリー』の、 フィル・ロード&クリス・ミラーによる実写映画の予告編が、ついに公開された。
しかし大変な問題が。
映画『キリエのうた』感想
『キリエのうた』をAmazonレンタルで。 監督・岩井俊二
『あんぱん』
水曜あんぱん。
昨日から衝撃の展開で号泣。
いつもの、いかにもなNHKスタジオ照明から、今日のキレキレの編集とカラーグレーディング!
なにより今期の朝ドラはちゃんと信頼できる、と思える脚本・演出でした。
あんぱん初投稿だけどちゃんと最初から全部観てます。
自分が朝ドラの観る・観ないを決めるのは、自分基準で「決定的にアウト」な脚本(セリフ)があるかないか、が一番大切な要素じゃないだろうか。
前番組では1週目に、農家と農協を巡る、圧倒的に・呆れるほど解像度の低い恥ずかしい描写があって、ああいうことが通る基準ってもうだめだな…て思ったのを覚えてる。
『あんぱん』ではそういうのがなかった。
毎朝楽しみに観ています。
映画『SING SING』感想
『SING SING(シンシン)』をユナイテッド・シネマで。
監督はグレッグ・クウェダー(長編初作品)
【あらすじ】
無実の罪で収監された男、ディヴァイン「G」は、刑務所内更生プログラムである「舞台演劇」のグループに所属し、収監者仲間たちと日々演劇に取り組むことで、わずかながらの生きる希望を見いだしていた。そんなある日、刑務所で一番の悪人として恐れられている男、通称ディヴァイン「アイ」ことクラレンス・マクリンが演劇グループに参加することに。そんな中で演劇グループは、次の公演に向けた新たな演目の準備に取り掛かるが……。(映画ドットコム)
【感想】
90%以上黒人のおっさんしか出てこない激シブ映画ながら、実に優しく心強く、生きてく希望を感じさせる大傑作!!
そう、みんなこうやって生きていけば楽になるんだよ。
最後も気持ちいい。気持ちいいだけではなく、刑務所や法制度について色々考えさせる。
※『SING SING』というタイトルだけど別にミュージカルではないです。舞台になっているシンシン刑務所の名前で、元は先住民族の方がつけたその土地の名の、当て字だとか。
ほぼ刑務所の中だけで物語が進む、まるで舞台劇のような、会話劇のような。
アメリカ刑務所映画には当たり前にあった暴力、イジメの話が、意図的にほとんど排除されている。
イジメがない…まずこれがとってもfor meだ。
そのことも影響しているのか、途中まではどうしても「この人たちの罪状は?」が気になっていたのだけど、そのうち自然に気にならなくなる。「「罪人」としてじゃなくて、自分達と同じようにフラットな目線でそれぞれの事情を聞くのが当たり前なんだ」と思ってる自分に気付く。
加えてこの黒人の多さ。アメリカの司法制度が大いなる階級差別と人種差別の上に立っていることは常に問題になっているし、だからこそ「どんな罪を負って」を前提にして語ってはいけないのだ、ということにもうっすら気付いていく。(それについてはパンフレットの冒頭にむちゃくちゃ秀逸な「言葉遣いの注意」が書かれている。日本の映画パンフレット文化バンザイ!)
演劇の効能については、ブレイディみかこさんの書籍で読んで、なんとか小学校中学校のカリキュラムに取り入れてもらいたいと思っていて、「いきなり本読み!」では自分もその恩恵にあずかろうとしていた気持ちも、ややある。
だから弱気な感情を出すことが「オス的に負け」となってしまう刑務所内において、「感情を出せる」という演劇の効能が、どれほど大切なことかも、とても良く分かる。
(男性性からの解放という意味では、これもある意味フェミニズムとも繋がるように思う)
「俺たちは人間に戻るために集まっている」
(演劇チームの一員のセリフより)
最後のクレジットで、「AS HIMSELF」と書かれた役者名がずらーっと並んでいることに、驚愕した。(事前情報無しで観に行った)
まさか主役の一人まで本人だなんて。観終わった後も信じられない位。
刑務所モノなのに、なんて優しい。
プロセスを大切に、という大切なメッセージが染み入る。
めちゃ好きな映画でした。「最高刑務所映画」も更新されたね。
以下ネタバレ感想と感想Podcastについてメモ。
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映画『動物界』感想
『動物界』をAmazonレンタルで。
監督はトマ・カイエ(初長編作)
【あらすじ】
近未来。人類は原因不明の突然変異によって、徐々に身体が動物と化していくパンデミックに見舞われていた。”新生物”はその凶暴性ゆえに施設で隔離されており、フランソワの妻ラナもそのひとりだった。しかしある日、移送中の事故によって、彼らは野に放たれる。フランソワは16歳の息子エミールとともにラナの行方を必死に探すが、次第にエミールの身体に変化が出始める…。人間と新生物の分断が激化するなかで、親子が下した最後の決断とはーー?(公式サイト)
【感想】
結構前に観ているのだけど、今しばらくは読書モードなので感想書けなかった。
「映画館で観てたら今年No.1確定!」
という位に大好きな映画!
だからメモだけ残しておきたい。
●野生あこがれものというジャンルでは『ボーダー 二つの世界』を観た時を思い出す。
自分の中から沸き起こる得体の知れない自然回帰エネルギーを感じて、あっちの世界に行ってしまいそうになる。身を委ねるには少し怖いような、いいようのない魅力・快感。『ボーダー』を観た時は自分が自分でなくなるような感覚を味わったけど、これはどっちかというと親の目線もあって、もう少し客観的かな。
●親子もの(子離れもの)としても大傑作。Netflix『アドレセンス』は相当メンタル的にもキツい大傑作だったが、これは…なんというか人間の親子から、「生物の親として生まれた自分」を実感させられる。こういう気持ちを味わうのって本当に稀有で。
●子役の演技の良さもまた『アドレセンス』を思い出す。
●実在する動物と、そうでない境界の生物の造形が見事。
●Podcast「映画雑談」がこの作品を扱った回は、彼らのラジオの魅力、何故彼らを信用できるのかという要素が詰まった傑作回なので映画を観た人にはぜひ聴いて欲しい。
Netflix『アドレセンス』感想
話題沸騰中のNetflix『アドレセンス』全4話完走。
同級生の女の子を殺した容疑で、ある日いきなり逮捕される主人公・ジェイミー(13歳)とその家族を中心に、事件の真相を追う刑事や心理学者、学生たちの姿を描く群像劇。
各話50分程度の話が、なんとすべてワンカットで撮影されている。その特殊な撮影による緊張感が凄いのだけど、この事前情報が邪魔して、最初はもう
「これ、紅白歌合戦のけん玉のごっついヤバい奴やん!俳優のプレッシャー半端ないで!」
とか思って笑、気になってしょうがなかった。
舞台演劇は確かに、1時間2時間ぶっつづけに演技し続けるしね、て最初思うけど…違う違う。
演劇は、たとえミスったとしても舞台は続く。
ワンカットドラマは、ミスるとNGになって、関係者全員が、最初からやり直しになる。その責任をそれぞれ一人一人が背負ってることになる。
結局、各話10テイクくらい撮ってるそう(ひえ〜)。考えただけで苦しい。
部屋から部屋の移動、車での移動、空からのショット、小路を走って逃げる子供、すべてを1カメで追いかける。会話シーンではお互いを交互に写し、回り込む。まぁ凄い。凄すぎて最初はカメラワークが少し雑音になってしまうが、2話の頃にはもう気にならなくなってしまった。
こういったワンカット撮影の技術面の話は、確かにとんでもないし近年見たことのないレベルなんだけど…
実は『アドレセンス』の肝ではない。
今の13歳の子供と家族、学校をリアルに描き、説明セリフもナレーションも一切なしに、じわじわと、殺人事件の真相を明らかにしていく脚本・演出の巧さこそがこのドラマの核心だ。
明確な説明はない。だけど観ているコチラは、4話を重ね気付かざるをえない。この狂気を、切なさを。ワンカット撮影のまるで現場をそのまま覗き見ているような効果と相まって、すべての演技が、心に刺さる。
特に思春期の子を持つ親にとっては、恐ろしい悪夢、でもすぐ隣にある悪夢なのだ。しんどい。
救いなのは、ジェイミーの家族が、この辛い時期を乗り越えようとお互い歩み寄っている様子だ。これがなかったら自分的には相当キツかった。
以下ネタバレあります。
映画『ロボット・ドリームス』感想
『ロボット・ドリームス』をシネ・ウインドで。
監督:パブロ・ベルガー
【あらすじ】
マンハッタンに住むドッグは、孤独に疲れ果てていました。ある日、彼はロボットを自作し、仲間にしようと決意します。80年代のニューヨークのリズムにのせて、二人の友情は芽生え、やがて離れられない存在へと変わっていきます。
ある夏の夜、DOG は悲しみのあまり、ROBOT を浜辺に置き去りにせざるを得なくなります。 彼らはまた会うことになるのでしょうか?
(カンヌ公式サイトより)
【感想】
すべてが最高。最後は号泣。
とにかく見逃さない方が良い!
シネ・ウインドで4/18まで。
※最近ことあるごとに書いている「洋画で歌詞字幕が出ない問題」。今作は基本サイレントなのでしょうがない部分もあるかもだけど、自分は残念だった。EW&Fの『September』は鑑賞前に対訳を憶えていくと良いかも…。
映画『MICKEY 17』感想
『MICKEY 17』をユナイテッドシネマで。
監督:ポン・ジュノ(殺人の追憶、オクジャ、パラサイト)
【あらすじ】
主人公は、人生失敗だらけの男「ミッキー」 (ロバート・パティンソン)。一発逆転のため申し込んだのは、何度でも生まれ変われる “夢の仕事 ”
のはずが ……。
よく読まずにサインした契約書は、過酷な任務で命を落としては何度も生き返る、まさにどん底の “ 死にゲー” への入口だった!現代からひとつの進化も無く、労慟が搾取される近未来の社会。だが使い捨てワーカー・ミッキーの前にある日、 手違いで自分のコピーが同時に現れ、事態は一変。予想を超えたミッキーの反撃がはじまる!(公式サイト)
【ネタバレ無し感想】
面白かった〜!
ポンジュノ映画って自分は大抵、「心から愛せる映画」ではないのだけど好き。今作も同じ。めちゃ面白いブラックコメディーSFでした。
SFとして超一流。俳優達も美術デザインも設定も、すっげー良かったなぁ。
主人公は『tenet』の謎イケメン、ロバート・パティンソン(大好き)。彼の魅力だけで全部観れる!
相方となるナオミ・アッキー、もう一人の主役とも言える悪の親玉がマーク・ラファロ(大好き)とトニ・コレット。皆が見事に適役。フランス&ルーマニア国籍のアナマリア・ヴァルトロメイもエロい名脇役でお気に入り!
【以下ちょっとネタバレあり】
『リンダリンダリンダ オフィシャルブック』
『リンダリンダリンダ オフィシャルブック』(太田出版)
書庫整理をしていて久しぶりに出て来た。山下敦弘監督のロングインタビューを中心に、描かれなかったアナザーストーリー等。
冒頭にたっぷりページを割いた東野翠れんによるキメ過ぎてないスチルが良い〜!
没になったプロットと経緯を読んでいると、(多数の人が関わる映画は特に)ほんの、ちょっと!の運や出会いなんかの違いで、傑作とそれ以外が分かれてしまうんだなぁ…と実感できる。
ジブリ以外に3〜4回以上も観てる映画って滅多にないし、長女は多分それ以上観てる、大好きな映画。ペ・ドゥナと香椎由宇、周りの皆キャストが素晴らしい。映画ファンで見たい方いたら是非。かめかし文庫にて。
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ドラマ『妻、小学生になる』感想を改めて
平日。夕方から急に、すべてのやる気が失せた…
こんな時に見るべきエンタメは、いったい何だろう、と考え
Netflixで『妻、小学生になる』を一話から見始めた。二回目の鑑賞。
最後にどうなっているか分かっている上での再見は、ちょっとヤバい位に、1話から泣けてしまって、というか変な声が出てしまい絶対誰とも一緒に観れない状態で。そんなこんなで、2日間で全10話見直してしまった。
インスタ投稿では1話の感想しか残ってないけど、最後まで完璧に好きだった。2回目の鑑賞でその思いを新たにした。
【あらすじ】 10年前に愛する妻(石田ゆり子)を失い、生きる意味を失った夫(堤真一)とその娘(蒔田彩珠)。彼らが思わぬ形で妻と奇跡の再会をするところから物語は始まる。なんと妻は生まれ変わって、10歳の小学生の女の子マリカ(毎田暖乃)になっていた! 夫と娘はそんな妻の姿に戸惑いながらも、10年ぶりに彼女に尻を叩かれ叱咤激励される。この物語は、彼らのみならず、一家に関わる周りの人々が「生きること」に再び向き合おうとするちょっと変わったホームドラマである。
【感想】
あらためて、奇跡のようなドラマだと思った。ちょっと信じられない位に色々なものが巧く噛み合わさっていて。
最初にこのタイトルを見た時の、鼻白んだ第一印象を憶えている。
「よくある転生もの?妻との恋愛を小学生に変えてなんか胸キュン?みたいな?
あーーー。見なくていいかな。」
大好きな毎田暖乃主演にも関わらず、この勝手な思い込みのせいで、観るのがなんと遅れたことか。
だから、このドラマの数少ない、そして最大の弱点は「タイトル」じゃないだろうか。(ちなみに漫画原作なのでタイトルの変更はあり得ない)
観てよかった。出会えてよかった。自分にとって本当に大切なドラマになった。
【以下ネタバレあります】
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NHKアナザーストーリーズ 『「侍タイムスリッパー」超低予算時代劇はこうして誕生した』
NHKアナザーストーリーズ
『「侍タイムスリッパー」超低予算時代劇はこうして誕生した』
めちゃくちゃ良かった。
3/28(金)11:15〜12:00
NHK-BSで再放送!お見逃しなく!
1)監督周りのエピソード
2)低予算の中支えた太秦の職人たち
3)指南役の予定で撮影直前に亡くなった故・福本清三さん。
自主製作で作られたこの映画が、単館から口コミで全国へ公開が広がり、日本アカデミー賞作品賞受賞に至るサクセスストーリー。どこをとったって面白くない筈ないし、監督によるzineのようなパンフレットを買った人は既にこれを疑似体験してもいるのだけど、この番組も、進むにしたがってこれでもかと盛り上げていく見事な3部構成だった!全40分。
・あのラストシーン、真剣らしさを感じさせるための殺陣の指導に痺れた…
・代役で指南役になった峰さん、50年も一緒に福本さんを敬愛して殺陣をやってきた。彼を失い目標を失った彼が…。ああもう涙涙。
・真田広之の指名でSHOGUNにも呼ばれている衣装の古賀氏。コストを抑えるために新規製作を行わず有りものから流用するのだが、監督のワガママにもめげず「Googleのように(安田監督)」衣装を何度でも引っ張り出してくるその意地。
・主人公が最初に有名になるシーンの衣装は福本氏のもの。京都の皆は誰もが知っている有名な衣装らしい。あのシーンの海老反りとは。
・みんな好き過ぎる山口馬木也氏のコメントも、真摯に演技に向かうその姿も堪能!
オンデマンド入ってなかったら220円で単品購入も可。「侍タイムスリッパー」のファンで、あのパンフレットにしびれた方はぜひ!
ドラマ『晩餐ブルース』がいい
今期ドラマの投稿で、ひとつ抜けてた。
『晩餐ブルース』(テレ東)
【あらすじ】
人生や仕事に悩む20代男性3人。TVディレクター、料理人、離婚したての元同級生が、ふとしたきっかけで料理人の家で、一緒に晩ご飯を作り食べる「晩活」 をはじめることに。美味しい食事の時間を通じ、お互いの弱さに触れ合っていくようになる。
【感想】 TVerでしか観ることができず(後でNetflix配信も始まった)何話か見逃しています。その上での感想。
テレ東の30分ドラマ、『きのう何食べた?』『コタキ兄弟の四苦八苦』『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』他にもあったと思うけど、この30分しかない枠でさくっと観られる名作を作るのが、上手だよねぇ…。
主役は井之脇海演じるTV局のドラマ新人監督。この彼の仕事風景が、いかにも業界ものドラマにありがちな派手な感じじゃなくて、仕事内容も悩みも、とってもリアル。
たとえばシナリオのプロット会議、キャスティングの方法、ロケハン、「良い作品を作るために」休みなくやってくる事務仕事の煩雑さ。同僚とのちょっとしたセリフのやり取りを通じて、実際何が大変なのか、ちゃんとリアルな「仕事」として伝わってくる。
ありがちなTV業界ドラマって 「監督になった・なれなかった」 「スポンサーの○○とトラブった」 「役者の誰がおろされた」 とか、分かりやすくしようとして、こんなプロットばっかりになりがちだよね…。特に観ている自分達が馬鹿にされているような気さえする。
主人公でTV局勤務の彼は、真面目で人のことを気遣うこともできて、きっと仕事もできるタイプだろうに、日常の細かで膨大な業務とクリエイティブな現場ゆえの気苦労でどんどんすり減っていく。清潔そうな見かけと裏腹に部屋は相当な汚部屋。じわじわと観てるこっちにも迫ってくる。
料理人の彼も、離婚した彼も、そう。若いこの時期の生きづらさと痛みがとにかくリアルで、地についてて、まずそこに惹かれた。TV局の同僚の穂志もえか(SHOGUN受賞で有名になったあの人)はもう最高です。降参です。
3人の会話は、元同級生と言うには結構なぎこちなさだし、皆の演技が決して「巧い」とは言えないのだけど、そのあたり全部含め、自分には分からない世代のリアルさに見えなくもなくて。。
特筆すべきはOPとEDのカッコ良さ。OP曲レトロリロン『カテゴライズ』は今一番のヘビロテ。今期ドラマで一番かっこいいOP-EDだと思うのだけど、そもそもどちらも無いのが世界の主流よね(ホットスポットなどはどっちもなかった)。
別に主役3人の今後をこれから追っていこう、て気になる訳でもなく推しにもならなかったけど、とっても良いドラマ。次回で最終回!
(フードスタイリングは飯島奈美さん)
自主朝ドラ『虎に翼』2度目の最終回
自主朝ドラ『虎に翼』が、今朝最終回を迎えた。
※自主朝ドラとは…
現行放映の朝ドラがNot for meな場合に、過去の名作をオンデマンドで毎朝同じ時間に観ること。
これまでに『おかえりモネ』『あまちゃん』『ひよっこ(途中まで)』などを実施済み。 1日1話にしたいところだが、やめられずに2話3話続けて観てしまうことが多い。週イチ程度Threadsで感想を書いてきた。
最終週を含む数週間の
見どころ満載ぷりったらなかった。
それこそ初見時は、最後までどうなるか分からないので
「え?この間際にこんな難問ぶつけてくるの?」
「え?最終週にみさえ問題か!!」
など、ちゃんと終わるのかどうかハラハラしっぱなしで、その分ゆっくり楽しめていなかったようにも思う。これは再見したからこそ分かったこと。
2回目は、最後の終わり方も、そこまでの展開も分かっているので、落ち着いて、一つ一つのトピック(あっという間に過ぎ去る位テンポが速い)を、漏らさないように噛み締めて、楽しんでいた。
毎日感想を書きたいが、とてもじゃないけど追っつかない位、見どころ、名セリフ、名シーンのオンパレード。
特に最終週は「エンパワメントされる」とう言葉が、自然に頭の中に浮かんできた。この気持ちこそ、毎朝放映の特殊なこの枠にぴったりだよなぁ。
ここまでの朝ドラはなかった。
ちなみに自分の歴代TOP3は
カーネーション
あまちゃん
おかえりモネ
この中で『虎に翼』はちょっと別枠…。本当に特別で特殊。時代ものなのに現代の問題がそのまま盛り込まれていて、こんな作り方が可能だっていうことを1度知ってしまうと、この後の時代モノ新作をちゃんと楽しめるのかどうか、少し不安になる位。
何ならこの後また最初から始めても全然良いってくらい。
シナリオ本が未だに高価で入手できてないけど、いつか無理なく手に入るようになったら嬉しいなぁ。
「とらつばナイト」の第2弾やりたいね〜みたいな話も去年あったけど、何人か集まれば「ナイト」でも昼のお茶会とかでも良いし、考えますので。コメントやメッセージください〜
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NHKオンデマンドは月1000円。『虎に翼』を2000円=映画1本分で、2か月かけて観るだけでも充分に元はとれると思う…。その他にもオススメドラマがてんこもりです。別にNHKの回しものではないけど、ドラマ以外のドキュメンタリーもすごく面白いので、超お薦めのサブスク!NHKオンデマンド独自の契約でも、AmazonプライムやU-NEXTのチャンネル登録でも可能。
TVドラマ『東京サラダボウル』『御上先生』『秘密』『ホットスポット』
1シーズンに4本もドラマを追うことなんて最近あり得なかったので記録を残しておきたい。 他にも夜ドラとか気になるのはあったのだけど…これくらいが追っかける限界よね。
1)東京サラダボウル(NHK)
外人ゲスト俳優が毎回凄かった。奈緒の良さが全面に推せる素晴らしい脚本。松田龍平にこんなに泣かされたのは初めて。そもそものプロデューサーの製作動機が
「不可視化されてる在日外国人をちゃんとドラマに出すこと」
だったこともあって(パートナーも外国の方らしい)、脚本はもちろん、演出も画も素晴らしかったー。後半の三上博史出演がなかったら今年俺内ベストドラマをあっという間にかっさらっていっただろう。三上以外のキャスティングは全員150点。
2)御上先生(TBS)
丁寧な学園ドラマ+政治陰謀もの。学園ドラマの気持ち良さを思い出させてくれる。教育問題の要因を社会構造に繋げるのはこの世の中では当然のことだ。それをしっかりやってるだけでも気持ちいい。推しの蒔田彩珠も珍しく明るめの役柄で快演。窪塚洋介の息子が出ていることは長女に教わった。良い役だったよ。
3)秘密(カンテレ)
日本資本では絶対にまともな映像化は無理だと思っていた(現に映画は大失敗)清水玲子の大傑作ハードコア漫画を、その真髄を、ちゃんと脚本・映像化している。驚いた。すげえ、参った、すみませんでした。でも何度でも言うけど、清水玲子のSFに早く気付いた方がいいぞハリウッド&Netflix。
4)ホットスポット(日テレ)
説明不要。ヒットメーカー:バカリズム脚本による今期一番熱かった大・大人気ドラマ。ぜひ彼には朝ドラをやって欲しい。キャスト全員良すぎ。楽しかった〜。そして衣装ね!毎回の見どころだった。バカリズム、次のドラマも超期待。
映画『憐れみの三章』感想
『憐れみの三章』をAmazonレンタルで。
監督:ヨルゴス・ランティモス(『ロブスター』『女王陛下のお気に入り』)
主演:エマ・ストーン/ジェシー・プレモンス/ウィレム・デフォー
【あらすじ】
選択肢を奪われながらも自分の人生を取り戻そうと奮闘する男、海難事故から生還したものの別人のようになってしまった妻に恐怖心を抱く警察官、卓越した教祖になることが定められた特別な人物を必死で探す女が繰り広げる3つの奇想天外な物語を、不穏さを漂わせながらもユーモラスに描き出す。
「哀れなるものたち」にも出演したウィレム・デフォーやマーガレット・クアリーのほか、「パワー・オブ・ザ・ドッグ」のジェシー・プレモンス、「ザ・ホエール」のホン・チャウ、「女王陛下のお気に入り」のジョー・アルウィンが共演。3つの物語の中で同じキャストがそれぞれ異なる役柄を演じる。 (映画ドットコム)
【感想】
正直さっぱりストーリーの意味は分からない。全然分からない。え?なんで?の答えは劇中ではやってこない。三章の繋がりも良く分からない。
なのに、最後まで飽きずにきっちりと楽しめる。楽しむ…?いや間違いなく映画として楽しんでる。
こういうのを観ちゃうと、脚本至上主義の自分の信念が多いに揺らぐわ。
引き寄せられる魅力は『ツイン・ピークス』の新シリーズを観てる時の気持ちにも似ていた。あれはリンチ的お楽しみが想像できたりしたけど、こっちはもっと五里霧中。なにこれ?でも観ちゃう。
自分が観たランティモス作品の中でも断トツに、ワケワカ。でも面白い。
こういう時は他の人の感想を聴くのが楽しみなのだけど、Podcast『映画雑談』はさすがの面白さでした。良かった!
結論「監督はこの映画で「選挙に行け」と言ってる!」って笑。
なにそれ?と思った人は聴いて欲しい。
セットでオススメです。
●完全にジェシー・プレモンス案件!!!
エマ・ストーンも良かったけど、全部彼が持って行った感じ。あとウィレム・デフォー。スタイリングもめっちゃいい。エマ・ストーンの狂気演技がこの2人の中ではぜんぜん普通。馴染んでる感じ。
●自分の中では今作で完全にジェシー・プレモンスは(デイモンそっくりさんではなく)めちゃ推し役者になった。
彼の顔演技が存分に、堪能できる。それだけとっても劇場で観たかった…。
●そもそも『哀れなるものたち』を観ずにこっちを先にって、どうなんと思うが、あまりに秀逸過ぎるポスタービジュアル故に、なんだろうと思う。凄い。
映画『ラストマイル』と子供への甘えについて
沖映社による、映画『ラストマイル』にまつわる話。とってもとっても満足です。あちこちで溜飲下げまくり。めちゃくちゃ良かったので『ラストマイル』観た人、野木亜紀子ファンの人、オススメします。
なんかこう、映画としては絶賛でき…ないもやっとした理由がいくつも、解像度高く解説されていて納得!
同時に、やっぱり人によって許せないジャンルって全然違うんだなぁ、って。改めて思う。
たとえばここで語られる「爆弾の規模が違い過ぎてありえない」話って、言われるとあーそうだなーって思うけど、映画観てる時は1つもひっかからなかった。正直「へぇ〜」って印象。
あとこの映画での爆弾の仕込み方って、正直全然分かってなかった。代行出荷を云々ってやつ。これもそもそも穴がある設定らしいのだけど、ひっかかるより前に理解できてなかったので笑。これもへぇ〜だったな。
このかんじ、俺がMIU404や、こないだ見た『ウィキッド』に対しての話をして、聞いてる人の気持ちなんだろうなーって。
自分の場合は、沖映社のような解像度高いひっかかりと言うよりも、「ここでそんなこと言うか?」「この流れでそんなこと思う?」「プロとしてこの場でそれはないでしょう」的な話ばかりで、これ共有できる人って多分少ないし、共有できるかどうかをちゃんとアタリをつけてから話すべき。
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…なのに。先日長女と一緒に『ウィキッド』を観た帰りに、相当持論をぶちまけて、「これがちょっとどうなん」「これありえんでしょ」を、大してアタリもつけずに話してしまって、大失敗。
これさぁ…。多分友人だったらこんなことしないと思うんだよね。事前にもっと慎重に、この話をしたら傷つけないか、感情を害さないか、を測ってから話す筈(足りずに傷つけてしまっている人も絶対いると思うけど。ごめんなさい)。
家族だから、あと最悪なのが自分の子供だからって、甘えて、我慢をしなかった。
いやもう観てる間からめちゃめちゃ溜まってたの。なんなら不快で納得できない展開がすごく多くて。
※多分に自分の不理解故のことなのでそれこそこの件は省きます。
その「話したい」欲求を、我慢できなかった。醜悪です。反省しています。
という謝罪を、未だちゃんと話せていない。いくら考えても伝えなきゃゼロ。
沖映社や映画雑談の人たちのような、ちゃんと伝えられる気持ちや経験や技量を持った人達、しかも自分の過ちをちゃんと反省して次に活かせる人達を尊敬するし、こうやってさまざまな話が聴けてマジ嬉しい。自分ごとにできる。
映画『トワイライト・ウォリアーズ』感想
この映画については @ninnymoa が激推ししていたので前から知ってたのだけど、新潟の上映はTジョイの真っ昼間だけで「ああこれは劇場逃すパターンだな…」と思い、まずは『九龍城探訪』を買って九龍城熱をなんとかしよう、と思った。
九龍城と聞いただけで身体の奥が熱くなってくる…あの手の廃墟のような入り組んだ建物に、無条件にヤられちゃう人、いるよね?自分はそう。#士郎正宗 のマンガもまさに九龍城好きの流れだな。
『九龍城探訪 魔窟で暮らす人々 – City of Darkness』(イースト・プレス 2004)
九龍城のリアルな写真集としても勿論のこと、そこに住むさまざまな職種の人達に普段の生活のことを詳しく聞き語りしていて、これが本当に面白い。まさに『九龍城の生活史(by岸政彦)』といった趣。高価な本だが文章量も相当で、充分に元がとれる。
この面白本を中盤まで読んだ頃に、急に映画を観に行けるチャンスがやってきて、観てきましたよ『トワイライト・ウォリアーズ』。(2月13日頃の話。だけどまだTジョイ新潟万代では上映中)
自分は1970年生まれ、ジャッキー・チェンの香港映画が子ども時代にめちゃくちゃオンタイム。とは言えあの手の格闘ものにそんなに心動くタイプではなかったので、それなりに「観てはいる」位の関わり。
そんな自分でも、ちょっとあの頃の気持ちを思いだした。なんというか、あの時代の空気というか。前向きしかないあの気持ち?
間違いなく今でしかできないクオリティの映画だけど、昔に作られたかのようなポジティブな気持ちを追体験した、と言えばいいのか。
内容はギャングのシマ争い&カタキ討ち、対決して勝つ!みたいなストーリーで、少年マンガそのままの喧嘩ンシーンの連発。しかも九龍城そのままに見える素晴らしいセットを上手に使った、めちゃハイクオリティなアクション。
そのシマ争いもカタキ討ちも、ちゃんと脚本が練られていてツッコミ処が全然無い。王道の内容を王道のままちゃんと丁寧に隙無く作られている、とんでもないレベルのエンターテインメント。
登場人物のキャラ立ちも凄くて、まー魅力的。中でも自分は強いおじいさん達が好きで、龍兄とサモハンはフィギュアが欲しい位だ。最初から最後まで最高だった。
実際の画像が流れるエンディングには泣いてしまうし、『九龍城探訪』には取り壊し近くの様子も書かれてるしで、劇中の物語とは別に、心の中にある「いずれなくなるこの場所」という哀愁がもう、ずっと切ないのですよ。
ただし。
自分は…カンフーが嫌いな訳じゃないけど、この映画、刃物を持って戦うシーンが多くて。そのキャシャンキャシャンてゆう音が、もう痛そ過ぎて苦手でした。生理的に無理なの。なので後半の刃物アクションシーンが相当厳しかった。
ギャング映画とかノワールとか、少年マンガに心がめちゃくちゃ躍るタイプにめちゃオススメです。『九龍城探訪』も、読み終わったら #かめかし文庫 入りする予定。
Podcast「沖映社」の『フェンス』回が素晴らしい
以前書いた野木亜紀子脚本の2023ドラマ『フェンス』が最高だったという話だけど。
その後 @ruth_blackett_ と『フェンス』の話をしていて、教えてもらったのがこの「沖映社 | 沖縄と映画と社会と」というPodcast。沖縄出身の二人が映画と社会問題について語る番組らしい。
『フェンス』の回をまず聴いて、その解像度の高さと、沖縄関係者ならではの裏話が沢山聞けて、何よりドラマの分析力にとっても溜飲が下がって、ああこれはまた愛聴すべきラジオが増えた!と飛び跳ねて喜んでる。ありがとう!
『フェンス』における100人近くという沖縄キャストの、巧みな使い方だったり(全然知らない話ばかり)。知り合いに聞いて知った、野木ドラマにおける事前取材の量と丁寧さなどの話が、特に印象に残る。
そして、前回書いていないことを思いだした。
このドラマは沖縄の基地問題、性暴力問題、人種差別問題ほかいろんな社会問題が遡上に載ってて、でも第1に面白いエンタメで、そのバランスがとてつもなく見事なんだけど。
主人公の松岡茉優と、青木崇高演じる元カレの警察官が昔の馴れ初めを話すところ。
その時に「(彼女が)お願いしなければ避妊をしなかったこと」や、その後のやりとりで、日常のセックスにおける男女の認識の差がまず表現される。
そしてその毎日の(無意識で、根深い)ジェンダーギャップこそが、ついては「性暴力」問題の解決の難しさに繋がっていることを(あくまでさりげなく)浮き彫りにするところ。日常の意識の延長線上に、犯罪の問題が潜んでいる、と見ている我々に痛感させるところ。
ここの脚本に、いたく感心したのだった。
ということが抜けていたので、書いておきます。
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良いラジオ番組を教えてもらうというのは他の何にも増してありがたいことなの。何でかというと他エンタメのように1回きりだったり全10話だったりじゃなくて、何年もの間、生活に寄り添ってもらえるから。
(逆に、同じ彼女に教えてもらった「読めば助かるのに…」は最高のマンガ評論番組で本当に一時期メンタルの拠り所だったのだが、配信停止になってその衝撃・ショックたるや凄まじいものがあった)
映画・ドラマで言うとあとは @imoueeeee の投稿で知った『映画雑談』、自分で検索して知った『エンタメ晩酌』位が、めっちゃ趣味のあうPodcast。何故「合う」のかは今試したけども言語化しにくい。でももしオススメのものがあったら教えて欲しい。
『フェンス』について色々書いたけど、決して社会問題ゴリゴリの堅苦しい暗い番組ではありません。野木亜紀子ドラマですよ?期待は裏切らないと思うので、気になる方は是非。
『妻、小学生になる。』1話が既にすごい
Netflixで配信中のTBSドラマ『妻、小学生になる。(2022)』1話が凄かったのでメモしておきたい。
【あらすじ】
心から愛してやまない妻(石田ゆり子)を、不慮の交通事故で亡くす夫(堤真一)。
娘(蒔田彩珠)と二人、抜け殻のように10年を過ごしていたある日、自分は亡くなった妻だと言う小4の女の子・万理華(毎田暖乃)が家を訪れる。あまり邪険にも扱えない二人に対し、万理華はまるで当たり前のように話し始めた。
【感想】
ドラマの1話だけなのに、まるで映画1本のような満足感。
(だから未だ2話も観ていない)
こんな荒唐無稽でリアリティがなくて、いっくらでもアレな作品になり得るような、難しい設定なのに。
すみませんもう1話からちょっとビックリするほどに泣いてしまった。
脚本・演出、そして何より、俳優のチカラ!
何度も書くけど、いくらでもコケそうな話をこれまでの傑作にしているのは奇跡。ちょっとタイムリープものの感動にも似ている。
万理華役の毎田暖乃がマジで!神がかってる。石田ゆり子にしか見えない。
もう以前から私イチ推しの俳優。
おちょやん→あなたのブツが、ここに→虎に翼などなど、出てくる度に感心させられてきた。よくある「ギフテッド」=天才の子を演じる子役俳優って、なんて大変なんだろうと思ってきたけど、このドラマの難しさも、似たトコあるよなぁ。やーすごいよ。
堤真一:プロデューサーのインタビューで
「かつて堤さんが主演された映画『クライマーズ・ハイ』がすごく好きで」オファーした、と書かれていてまぁ嬉しい。
蒔田彩珠:彼女も私イチ推し。『重版出来!』からかな。『おかえりモネ』はじめ、ちょっと書き切れない。今は『御上先生』で活躍中。
堤の会社の上司・森田望智:彼女もいくつもあるけど『おかえりモネ』『作りたい女と食べたい女』が良かったなぁ。もちろん虎に翼は最高!
毎田暖乃のお母さん・吉田羊:1話では出ただけ。
これだけ好きな俳優ばかり出ていて、(当時評判もめっちゃ良くて)何故!今の今まで観ていなかったのか!バカバカバカ。
ひとえにタイトルのせいなんだよな…。なんというか、分かりますかね?
でもこればっかりは原作モノらしいので仕方ない。
脚本は『凪のお暇』『サヨナラまでの30分』『水は海に向かって流れる』の大島里美。
プロデューサーは『凪のお暇』『重版出来!』『JIN(第2期)』の中井芳彦
※当アカウントで過去の作例を表記する場合、自分が観たものだけを書いています。
1話があまりに良くて、すぐに2話を見なくても満足しちゃってる。こんな体験はあまり覚えがない。また続きが楽しみなドラマが増えた!
※関係記事を検索しようとするとネタバレにあたりまくるのがちょっと辛い。我慢しないと。