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ずしんと残る。すごく珍しく妻と観たのだけど、終わった後問答無用で「いい映画だった…」と二人で呟く位。『3月のライオン』どころか、もっと地味な作品だということは、最初にお断りしておきます。だけどオススメ。将棋のルール知らないけど全然楽しめる。
わずか29歳で夭逝した天才棋士・村山聖の壮絶な晩年を、松山ケンイチが体型まで変えて挑んだ意欲作。『3月のライオン』の二階堂は彼がモデルだが、脇に弁当を持ってきてくれるじいはいないし、家がお金持ちでもない。「東の羽生、西の村山」と並び称された羽生名人を東出昌大が演じる。
東出昌大君の演技に圧倒された。
ごめんなさい。今まで侮っていました。彼の役者としての印象は、この一作で一気に覆された。東出君の出演作はこれまでも結構な数観てきているけど、今作がダントツのベストアクト。
「全身全霊をかけて羽生役に挑んだ」と言う松山ケンイチ・聖が映えるのは、相手役の東出・羽生名人の存在感があってこそだ。実物の羽生名人をそんなに知っている訳でもないくせに、この役はどこか「名人の神」が降臨しているかのようだった。文字通り神がかっていた。
直前に観た『3月のライオン(前編)』とどうしても比べてしまう。『ライオン』の将棋シーン、棋士達の名演技に圧倒されて素晴らしかったと書いたが、『聖の青春』を観た後に『ライオン』を思い出すと、やはりあちらは「『映画』として圧倒された」という感じ。
何を言ってるのかイマイチだろうけど、要はこれに比べると「ライオン」はやっぱり作り物の世界で、勿論それはそれで問題なくて楽しませてもらったのだけど、『聖の青春』は「映画を観ている」という体験以上の何かが感じられた、ということなのだ。勿論ノンフィクションをベースにしているということもあるのだろうけど、それだけじゃない何かが宿っていたようにも思う。
脇を固める役者達も良い仕事をしている。彼なくしては聖は存在しえなかっただろう師匠役のリリー・フランキー、ハマり役。聖の弟弟子役には『3月のライオン』で特殊メイクにより二階堂を演じた染谷将太が、(どちらかと言えば)「一般人の目線」で聖と向かい合う。
将棋出版社のデスクっぽい役をやっている筒井道隆!ヒゲでメガネの彼は、声でかろうじて分かるものの、俺の知る十数年前の筒井とは別人だった。良い意味で驚いた。
先輩棋士荒崎学(モデルは『3月のライオン』原作の挟み込みコラムでお馴染み先崎学)を演じる柄本時生もいい。吞み打ち買う古風でやんちゃな彼は初対面こそ反発しあったものの、聖の良き理解者であったようだ。彼の最後のカットには容赦なく心打たれた。
最小限に使われる劇伴も、とても良いかんじ。
以下ちょっとネタバレ
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