『ハドソン川の奇跡』


シネコンで2D字幕。

一言でいって最高だ。
そしてトムの中のトムだ。最高トム。

2009年に実際に起きた、NYハドソン川へのUSエアウェイズ航空機不時着水事故をモデルにした映画。

「不時着水」というのは地面の不時着に比べ、極端に難しいらしい。なぜなら左右の翼のどちらかが少しでも先に着水してしまうと、そこを支点に高速の状態で機体が回転して激突してしまうからだ(町山智浩さんのたまむすび解説より)。よって完全に水平な状態での進入が必須となる。実際に劇中の航空管制官の一人は、機長がハドソン川を選んだ時点で完全に全員死亡だと絶望していた位(これもホントの話)。

生還の可能性が高い近くの空港に向かわず、それだけ難しいハドソン川着水を選んだ機長の判断は、果たして正しかったのか?ということが事故後に検証される。仮に間違っていたら、今はアメリカ一の英雄の機長も、一気に年金無し退職の道に追い込まれる。

このNTSB(国家運輸安全委員会)の検証を巡る一種法廷劇的な流れで話が進んでいく。果たして判断は正しかったのか。容赦ない追求と、コンピュータで発覚した機長に不利なデータ。そうして、為に溜め込んだあとのクライマックス。大・大迫力の回想シーンを含め最高のカタルシス。思わず膝や机を叩いてしまう程に気持ちいい。気持ち良さを求めている人は絶対観れ!!

とはいえイーストウッドですよ。全体にクールで淡々。決して派手じゃない。必要なことだけが、気持ち良く最小限に進められていく。為すべきことを的確に為すひとびと。これがいい。そして鑑賞後に実際の事件のことを調べてみると…結構な細部に至るまで映画の通りであったことを知るのでした。嗚呼。

余談だけど実際の機長も副機長もこの俳優二人に結構似てる。そして機長は「奇跡」「英雄」と呼ばれるのをいつも嫌っていたそうだ。何故なら奇跡は滅多に起こらないことだから。そうじゃなく、為すべき事を皆が為した結果だったということ。ちなみに映画の原題は機長の名前『Sully』である。

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1999年のWEB日記時代から始めた個人サイト。ブログ移行にあたって過去記事も抜粋してアーカイブしています。
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