カテゴリー: マンガ感想

『映像研には手を出すな!』感想


今月2巻が出るので読み直したんだけど…。
もうこれね、大好きを通り超して、読んでて涙が出てくる位。こんな気持ち誰にも通じないと思うけどさ。嬉しいのですよ。今どきこんな話が読めるってことが。
冒頭、3人が出会ってから、浅草と水崎が最初に絵を合わせて金森が計画決めるまでのところとか。
浅草がアニメにのめり込むきっかけがコナンだったとか。
最後の部活予算委のやり取りとか、上映したあとの役員さかきの顔と対比して反省会と次回予定話してる3人の見開きカットとか。
とにかく、1巻は最初から最後までカ・ン・ペ・キ。涙が出るほどカンペキ。

しかも作者は24歳ですよ!こんなに未来に希望がもてるニュースがあるかっての。

ところで、欄外の人物のセリフを、パックマンみたいな(針が中に食い込んだ)吹き出しで表現するのって、このマンガで初めて見たんですけど。最近はフツーな技法なかしらね?

2巻すごく楽しみにしています。

映画『3月のライオン 前編』感想

『3月のライオン』をシネコンで鑑賞。
「泣いたり笑ったりのエンターテインメント超大作!」とかでは決してないけど、おっさん達と神木君の、匂い立つような濃厚な演技をじっくりと味わえる良作でした。
ちなみに俺は原作の大ファンです。同時代に生きてて良かったと思う。現代のマンガのの最高傑作の一つだと思ってます。

神木君がすごいことは、もうそろそろ分かったつもりでいたのだけど、まだまだ凄いことを思い知らされた。魅了された。目の演技がすごい。真っ暗なライティングで目だけ光るようなシーンがいくつもあるんだけど、目が大きいのも相まって迫力がすごい。

そして、佐々木蔵之介、加瀬亮、伊藤英明、奥野瑛太、甲本雅裕らが演じる棋士達。事前の予告を観ている時に誰もが思う「俳優の○○が演じているからどうこう」とかそゆこと、一切意識させない。くらいにそのまんま。特に佐々木蔵之介の目!目!島田名人そのまま。「佐々木蔵之介」という単語は観ている間には浮かんでこない。圧倒的。皆がもとから島田で、後藤で、宗谷だった。

将棋シーン。基本的に盤上の駒の動きをすべて映画に流せる訳はないから(そうだとしても分からない人が殆どだろう)、棋士2人のセリフのない演技のみで場面が進むことになる。男同士の、むさっ苦しくて鬱陶しい筈のシーンがとにかく凄い。圧倒的。

とはいえ基本的に大きな動きがない訳で、こんなシーンが後半1/3はあるから、「渋い」映画なのは間違いない。だからこそ、おっちゃんの色気(神木君も時に見せる)にアタられたい方は今すぐ劇場に足を運ぶべき。噛み締めると煮汁がじゅっと出る、厚揚げの煮物のような演技だ。

そんな映画だから、きっと大ウケはしないと思う。後編はまだ少し派手になりそうだけど、前編あってこそだからなぁ。それもあって、ぜひ、ぜひ興味ある人には前編から劇場で観て欲しい。これだけの作品を創った制作者には、少しでも報われてほしい。

将棋シーンの演出は、全て棋士がついて「何故ここでこう打つのか。こっちを打たずに今こう打つ意味」を役者にレクチャーしていたそう。劇中一瞬しか使われない試合のシーンも、初手から最終手までがすべて設定されていたらしい(『QJスペシャル 3月のライオンと羽海野チカの世界』より)。こういうバックがあってこそ俳優の力が存分に出せてるんだろうな。

二階堂も良かった。染谷将太が特殊メイクで太って演じている。つい数日前に実写版『寄生獣』を観たばかりで、映画も良かったけど主役の染谷君も見直していたところだった。だけどその染谷将太と、今作の二階堂とは全然結びつかない。それ位、必死で生きる二階堂を見事に演じていた。

だけど二階堂のプロットは、もうちょっと、ほんのちょっと工夫したり丁寧に演出して欲しかった。そしたら彼のあの言動の理由、零が心を許す理由ももっと浮き彫りになったのになぁ。

予告編で零が「将棋しかねえんだよお!」と叫ぶあのシーン、実はその前にまだセリフがあるんだけど、ああやって一部だけ抜き出すのは良くないよなーと思った。実際原作ファンのいくらかは、予告編のあのカットでちょっとひいちゃってる筈。その前のやり取り込みで聞けば、盛り上がりも含めビンビンに納得するシーンなのだけど。勿体ない。

あと神木君をやたらと走らせるのも個人的に好きじゃない。セーシュン映画は主人公が走らなきゃ、みたいなウンザリを感じるのも一因。神木君は走り一つとってもその人物を入念に研究し「桐島」でも今作でも見事にキャラ通りの「走り方」を見せているんだけど。それはすごいんだけど。蛇足に思えたのは確か。動きがないから仕方ないのかな。『ハチクロ』も『3月のライオン』も、セーシュン物なんかじゃない。俺の中では徹底して「仕事マンガ」だ。

原作の楽しげで笑えるところは殆ど今回の映画には感じられない。およそシリアスで暗く、淡々としている。これは思い切った判断だと思うしどっぷり浸かるには良いのだろうけど、でももう少し、たとえ前編であっても、もう少しヨロコビが欲しかったかもな。

【後編の感想は>こちら

『ユリイカ臨時増刊号 東村アキコ』

ユリイカ東村アキコさん臨時増刊号。知っている書き手さんやインタビュー、トークを先に読了。めちゃくちゃ面白い。名言のオンパレードで、自分は本の気になる所、後で見返したいところのページの、下の端を折る癖があるのだけど、この本のインタビューや対談はほぼ全部のページが折られてしまって、役に立たない。「ええ!」て驚く所も、笑えるところも、泣けるところも沢山あって、とても全部覚えていない。

以下メモ。

『雪虎』の最初の取材で一泊二日の上越旅行に行く。その翌日の夜にはもうネームが60ページできていた。普通はプロットもできていないだろう。(各出版社の編集担当座談会で、お互いの「打ち合わせ」のことについて聞いた時のエピソード。基本的に長い打ち合わせがない)

ネームに迷いがない。なにか他のことを話していても仕事がめちゃくちゃ早い。その上直しにも柔軟に即対応する。

普通の漫画家であれば一度に指示できるアシスタントはせいぜい4〜5人。東村アキコは10人以上を扱い定時に仕事を終わらせる。原稿は決して送らせない。徹夜はありえない。素早く的確で気配りのある指示。とにかく褒めて育てる。まずい所を直す場合の言い方の気遣い。見事。

アシスタント達が姉御肌の彼女のことを描くエピソード、いちいち泣ける。ここだけの読みものとしても『ユリイカ』買う価値あり。

アキコさんはユートピアが好き。原風景は宮崎の高校時代。ヤンキーも、オタクっぽい子も、渋谷系のお洒落な子も、みんな共存して仲が良かった。それがすごく好きだった。ヤンキーがオタクを馬鹿にするようなこともなく「アイツんち、マンガがいっぱいあるらしいから借りに行こうぜ」くらいの感じで。

作者本人をして『「私はこの作品を描くために漫画家になったんだな」と思った』と語らせる『BARAKURA』、ソッコー注文しました。

WEBラジオ「身も蓋もナイト」聞かなきゃ。

「ファンにやって欲しいこと」と聞かれた答えも、彼女ならでは。

表紙のおばちゃん絵はアキコさんご本人によるもの。必見。

引用:(「オタク女子の初恋」「アラサー女の恋愛」など)大きなテーマにしか興味を示さない読者の数は想像以上に多くて…。特に地方にその傾向が強く、7:3くらいの割合だと実感しています。物語を二重構造にしないと、作品自体が残らなくなってしまっているのがマンガ業界の現状です。

しかし思うんだ。彼女の活躍見て西原理恵子さんが一番焦ってるんじゃないかと。西原さんは良く漫画中で○○がにくい〜!羨ましい〜!とネタで描くけど、彼女が開拓し切り開いたその道を、きらびやかなオープンカーに多くの業界人をぎゅうぎゅうに載せ「いやいやいや…」と謙遜しながら今まさに通らんとしているのが、東村アキコその人だとおれは思う。人生相談のキレの良さ(しかも好感度高い)とかもね〜。

アキコさんが『ぶ〜け』育ちで、中でも逢坂みえこさんが大好きというエピソードを聞くのがいつもすっごく嬉しくて。おれ大好きな作家さん(『永遠の野原』当時はナンバーワンだったかも)だけど、周りにファンがあまりいないから。『かくかくしかじか』で、まだ見ぬ東京の担当さんが、いちいちぶ〜けの登場キャラになって出てくるところは爆笑した。『ぶ〜け』は一冊通しての世界観が他にはない居心地の良さだった。掛け替えがないとはあのこと。

アキコさんの作品はごっちゃんとかくしかが頂点であまり熱心なファンとは言えなかったけど、ユリイカを参考に過去作も読んでみようと思いました。

『白暮のクロニクル(10)』『でぃす×こみ(2)』

ゆうきまさみの新刊二冊が同時発売!

『白暮のクロニクル』は最終巻前のクライマックス。ゆうきまさみ史上最も?ハードな描写だと思うけど、最低限の安心感はキープ。地味〜に重ねてきた連続殺人犯の謎も殆ど明らかになり、ノリもいい。よくある、謎が謎を呼んで尻も拭かずに興味の持続だけで話を続けていくタイプのアレとは違いますよ。そう、ゆうき作品の大切なポイントとして「ちゃんと尻を拭く」「確実に風呂敷をたたむ」が挙げられると思う。そこの誠実さってすごく重視します自分は。

『でぃす×こみ』は未だ先が見えないけど、これも地味〜にマンガ家あるあるな制作のプロセスをおっかけていて、その細部の見せ方がすごく上手。ゆうき作品の最大の好きポイント「淡々とした日常を描写できる」スキルあってこそだと思う。一冊の中でこれぞ!という盛り上がりがないのも、それでいてちゃんと読ませるのもすごい。ゆうき作品のクライマックスは単行本数冊に一カ所だから。連載よりも単行本で読むのがお薦め。

いずれにしてもこの地味さと淡々とした展開、だけどじっくりと丁寧に進む物語の魅力は、どちらかといえば特殊な気がして、だからゆうき作品って知らない人にはとってもお薦めしずらい。マンガ部を発足させたらこのゆうき作品を紹介することにもチャレンジしてみようと思う。お奨めは『じゃじゃ馬グルーミン UP! >当ブログの感想』。あと『鉄腕バーディー>当ブログの感想』も素晴らしいよ。

  

池辺葵『雑草たちよ大志を抱け』

『プリンセスメゾン』作者が田舎の地味な女子高生を描いた新作。まだ年のはじめなのに、今年を代表する一冊になりそうな予感ビンビン。大好きです。

それとは別に思うのは、今作や『3月のライオン』のような話が、ちゃんと中高生に届いていて欲しいな、ということ。こういう物語を切実に欲している誰かに。救われるかもしれないひとたちに。自分はマンガがあれば大丈夫だったから。

  

『TRIBUTE TO OTOMO』

V.A.『TRIBUTE TO OTOMO』が届いた。大友克洋を尊敬する作家が寄せた、大友作品モチーフのイラスト集。31×25センチの大判で良い紙使って束感たっぷりだけど、掲載アーティストの殆どは知らないバンド・デシネ作家。もっと日本の作家さんが沢山載っているかと勘違いしていました。半分がイラスト、残り半分が作家のプロフィール紹介です。うーん。コレクターズアイテム…

士郎正宗があの頃から30年も経っているのに相変わらず欄外にウンチクと言い訳を書き連ねているのに笑っちゃって、同時にちょっと安心。ひと目で好きになったのがこの貞本義行さんのイラスト。この目が離れてる女の子、分かってるなぁ〜!!一気にあの頃の気分(てもリアルタイムじゃないけど)に戻ることができました。それだけでもありがとう。

岩本ナオ『町でうわさの…』『スケルトン イン ザ クローゼット』田中圭一『うつヌケ』

岩本ナオ『町でうわさの天狗の子』全12巻読了。
半分以上はダラダラふわふわな高校生の恋愛物語。それが後半になって一気にファンタジーアクション大作へ。しかもクライマックスにあのネタまであるとは。恐れ入りました。先に読み終えてた長女に「11、12巻が凄すぎる」と聞いていたんだけど、本当に泣ける展開だった。大満足のラスト。
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くらもちふさこ『花に染む』完結

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くらもちふさこ『花に染む(8)』10年の時を経て完結。高校の弓道部をメインにしたこのタイトルだけじゃなく『駅から5分』や短編も含めたさまざまなストーリーが同じ街を舞台に展開していくという、大掛かりな設定。

10年以上も経つと正直覚えていられないので後で全部読み直さないと全部が頭の中で繋がらない。しかしくらもちふさこさんも、吉田秋生さんも、あの歳になって中高生の心の機微をこれだけ繊細に書けるのは呆れる程だし、これが少女漫画家を追っかける醍醐味だとも思う。

80年代に読んでた別マでくらもちさんは正直好きではなかった。紡木たくやいくえみ綾の全盛期で、絵柄のイケてなさもあったと思うけど、何よりその描かれていることの「普遍性」が、自分が別マに求めていたものと違っていたんだろうなぁ。その後の『天然コケッコー』でまずガツンとやられ、それ以降のくらもち作品はすべて大ファンだ。『夜叉』で一回離れてしまった吉田秋生さんに、『ラヴァーズ・キス』や今ナンバーワンとも言える大傑作『海街diary』で再び虜になってしまった経緯と似ている。くらもちさん、次回作にも大期待です。

岩本ナオ『金の国 水の国』『町でうわさの天狗の子』

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先日の映画部忘年会で一推しされてた一冊。すげえ。今年出会ったコミックではNo.1かも。見事なエンターテインメントです。戦争や統治とか難しいテーマについて巧みに織り込まれたファンタジーなのに、もう最後逃げ恥かよ!て位に甘いシーンもあって。この人の過去作全部買おうと決心した。以前から『町でうわさの天狗の子』を色んな人に勧められていたのに!今まで忘れていたことをホントに後悔したよ!年末休みの楽しみが増えたな〜。
(後日「このマンガがすごい!」オンナ編第一位を獲得してました)

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後日、岩本ナオ『町でうわさの天狗の子』全12巻読了。
半分以上はダラダラふわふわな高校生の恋愛物語。それが後半になって一気にファンタジーアクション大作へ。しかもクライマックスにあのネタまであるとは。恐れ入りました。先に読み終えてた長女に「11、12巻が凄すぎる」と聞いていたんだけど、本当に泣ける展開だった。大満足のラスト。

マンガの善し悪しに画の「上手さ」は関係ないという良いテキストにもなると思う。この作家さんはアクションの描き方も決して上手ではない。だけど、見せゴマのレイアウトと外連味溢れるネーム運びがとても「上手い」。クライマックスの大感動はこうして練り込まれた構成で生まれてくるのだと思う。

次は『雨無村役場産業課兼観光係』を読み始めた。地方の公務員が主役というこれも面白い設定だけど、ちょっと食い足りなかったなぁ。

MARUU『うさぎのまんが』

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獸木野生『パーム』オフ会でお会いしたことのある、MARUUさんのコミック新刊『うさぎのまんが』をやっと入手。半分はタイとインドネシアへの旅エッセイ、あと半分が猫エッセイとその他。私のあたり(このニュアンス)のヒトには皆オススメしたい。普段思っていて他にはあまり話せないような気持ちも沢山詰まっていて、同意を声高に叫ぶのではなくゆっくりと頷きながらお茶を呑む。決してプラスの感情ばかりではない1冊ですけど、充実した時間を過ごせました。きっと時折読み直したくなるんだろうな。

冒頭まえがきの

「私は今
望んでいた
しあわせの中に
いる」

という台詞はパーム読者的にもぐっとクる所。
(吉本ばななさんの巻末コラムで知ったのだけど)大変な思いもされてきた作者だからこそ、皆が健康で笑っていられる「奇跡みたいな瞬間」の大切さが伝わってくる。そしてこれを「実感」することこそがワタクシの人生のポリシーなのです。

最後まで(読み逃していたらすみませんが)男なのか女なのか分からないままだった、旅のパートナー「かおちゃん」の存在がイイ。コズフィッシュさんのデザインと造本もイイ。真ん中に色紙ページが入ってて、中身とのマッチングが素晴らしい。

吉田秋生『櫻の園』藤田貴美『ご主人様に甘いりんごのお菓子』再読

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久しぶりに吉田秋生『櫻の園』再読。『吉祥天女』や『河よりも長くゆるやかに』と合わせ高校時代本当に好きだった作品。時代感というか「恋愛観」の違いが気になって、最初は正直「あれ?」という感じだったのだけど中盤からその違和感も消えた。思うに吉田さんは男性の描写はものすごくリアルなくせに(最初は男性作家さんだと思ってた位)、女性の描写って時にファンタジー、というかお花畑なところがあって、そこがぐっと来たりするんだけども、こんな風に後から読むと気になる時もあるんだろうな。前半のヤる・ヤらないの話が終わり演劇部の部長の話になった辺りからはあの頃と同じ気持ちに戻っていた。やっぱり傑作や。

再読したのは、最近とあるBLをオススメされ読んで、自分は「恋愛が中心の物語は、ジャンルを問わず読まない」と思っていたんだけど、果たして本当にそうなのか、と疑問に思ったから。この大好きな『櫻の園』は(ヘテロも同性もあれど)普通に「恋愛が中心の物語」だろうに、何故?そんなことを再確認してみようと思って。で、なんとなく分かったのは「恋愛を『目的にしている』人」の物語に興味がないんだな、ということだった。何をしていようが否応なく割り込んでくる避けがたい感情、そういうものを描いた話は好きだけど、そこを目的にしている人達のお話には、興味が湧かない。ま、どーでもいいことなんですけど。

並んでいる藤田貴美の短編集『ご主人様に甘いりんごのお菓子(1)』。これ、分かってくれる人にはすぐ分かるんだけど(というかこないだTwitterでフォローしている人がこのこと書いててめちゃ嬉しくなった)、最後に女学校の社交ダンス部(演劇部だと思ってたら違った)を舞台にしためっちゃ好きな短編があるんですよ。ホント恋愛の話でしかない。だけどすべてのコマが愛おしい。櫻の園とルックは全然違うけど、櫻の園を読んだ後に読みたくなる作品です。改めて読むと足の描写がすごくて、作者もあとがきで「作ってても描いてても楽しかったですね。特に足」と呟いてた。藤田貴美の描く顔や身体のラインがすごく好き。と話がとめどなくなるのでこの辺で。

『度胸星』山田芳裕

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【あらすじ】
NASAによる火星遠征隊からの交信が途絶え、救出隊を編成するために全世界でクルーの募集が始まる。トラック運転手である主人公・三河度胸は壮絶な試験を切り抜け選抜への道を進んでいく。一方火星で1人生き残ったスチュアートは理解できない物体と壮絶な戦いを繰り広げる。

同郷・新潟出身で同じ中学の2年先輩・山田芳裕の打ち切り未完にして最高傑作。ちなみにその3年上には会田誠もいる。残念ながら自分は講談社による復刊から知ったが、もうこれで4〜5回目の再読。

火星で1人残された宇宙飛行士が地球との通信手段を確立するために過去の探査機跡をローバーで回ったり、救出に先立って無人貨物を先に送ったりと、『オデッセイ』との共通点は驚くほど多いが、こちらの連載は平成12年、つまり14年前にはじまっている。非常にアクの強い絵柄のせいで内容まで誇張されていると思われがちだが、選抜試験の内容なども実際はかなり現実に忠実。
(どこかで『宇宙兄弟』を描いた小山宙哉もこの作品へのリスペクトを表明していると読んだが、担当の名物編集者・佐渡島庸平氏のブログによれば、宇宙兄弟でJAXAの取材をすればするほど今作に似てしまう問題が懸念され、その対策として『度胸星』は編集者だけが読むようにして小山氏には敢えて読まないようにしてもらったとある。)

「くそ」真面目な主人公・度胸のキャラクターと彼を取り巻く個性豊かな候補生達が、試験を通じやがて団結を高め個々の能力を遺憾なく発揮していく過程が物語の縦軸なら、横軸は火星に取り残された飛行士スチュワートが対峙する未確認物体テセラックの「見たことのない異様さ」。コミックだからこその表現、とも言っちゃいがちだけど、この異様さは、山田以前は小説でしか表現できなかった領域なのではと思う。テセラックは超ひも理論に基づく高次元の存在なのだが、それをこれだけ説得力あるビジュアルとしてアウトプットできたのは、山田芳裕の「異様な」画力あってこそ。コミックだから、ではないのだ。

未完が実に悔やまれるが、山田氏は続編を描く意思はまったくないようだ。Wikiによれば当時の反応も薄かったそうで、今考えてもこの内容はヤンサンというよりだんぜん講談社向き。再版も講談社からというね。山田氏はこの後講談社で自身最長の連載『へうげもの』をはじめることになる。

宇宙モノの傑作として挙がることが本当に少なくて、自分はことあるごとにプッシュしている本作。『宇宙兄弟』ファンは勿論、『11人いる!』や『プラネテス』『インターステラー』が好きな人にも是非オススメしたい。ちなみに奥さんからは「なんでこんなに続きが気になる作品を(未完なのに)オススメしたの!」と激怒されました。
#readinglist_dsm

重版出来!、TO-Y 30th Anniv.Edition

『重版出来!』

やっぱりちゃんとしてる。取材を自分モノにしている。息が通ってる。今回はなんと校閲マン。出てくる人があれ〜と思ったらモデルはやっぱりかもめbooksの方だそうな。

引き続き応援プッシュします。

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同時代のヨロコビ/銀の匙(10)他

『銀の匙(10)』再読。最後、家の酪農業が倒産して、野球を諦め学校を辞めていった(8巻。超名巻!)駒場と、主人公達の交わるところとかほんとすげえ。イヤもう全部すごいんだけど。

『海街diary』『3月のライオン』『銀の匙』
これだけとんでもない漫画が同時期に連載しててリアルタイムで読めることの幸せ感ったらないな。しかも3冊ともめっちゃ売れてるという。日本すげえよ!

ーーーーーーーーーーー
そうそう、『銀の匙』のアニメもかなり出来が良くて、長女と観るのも楽しい。原作忠実系で、おれが全然忘れてるのに彼女が先読みして見事当たったりするのとか、新鮮ですよ。(ノイタミナ枠・hulu)

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獸木野生『パーム』オフ会「パーム・ナイト」開催しました

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30年前に始まり、今も雑誌『Wings』で連載が続く大長編クロニクル漫画、獸木野生著『パーム』シリーズ。この作品を愛してやまない人が集まり、愛を語りたおす夜「パーム・ナイト」を、去る12月12日に池袋で開催しました。満足、大満足の一夜でした。そのレポートです。ずいぶんと時間が経っていて細かい所は書けるほど覚えていなかったりしますので(すみません)どちらかというと「このような体裁で会が行われました」というハードの面で見ていただけると良いかも知れません。
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「パーム・ナイト」参加申込フォーム

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お申し込みの方全員に、24時間以内に返信メールをお送りしています。
万が一届いていないという方も、問題なく受付は終了しておりますので、BBSの詳細をご覧になって会場にお越しください。(お申し込みいただいた方は全員参加いただけます
特に携帯メールの方は、こちらからの返信メールが弾かれてしまう場合があります。申し訳ございません。

【申込終了しました】
「パーム・ナイト」への参加申込は、11/20で一旦締め切らせていただきましたが、その後会場を絞るにあたって参加人数に余裕ができたため、3〜4人の追加申込を受け付けております。下記フォームよりお申込ください。

定員近くに達しましたので、申込を終了させていただきます。「これまで見逃していて、どうしても!」という方はご一報ください

こちらは、2014年12月12日(金)19時頃から開催される「パーム・ナイト」の参加申込ページです。

「パーム・ナイト」ご案内ページ

参加ご希望の方は、以下のフォームに必要事項をお書きの上、お申込ください。

お申込後、万が一、こちらから2日以内に確認の返信がない場合は、
恐れ入りますが下記のBBSにその旨書き込みをお願いします。
PALM LOVER’s BBS

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装丁

森Kさんは装丁デザイナーについてちょっと考え直した方が…。中身の良さが全然表に出てないとゆうか…ぶっちゃけ買いにくいす…

 
 

島本×岡田対談DVD『アオイホノオ』の真相

間違いなく、今年一番笑わせられた映像作品です。島本和彦×岡田斗司夫対談DVD『アオイホノオの真相』。
もーあちこち書き起こしたい名台詞がバシバシ出てきますが、今は余裕ないので。とにかくメモ。
島本和彦の、漫画もそうだけど人間的にファンだという人(おれ北海道のラジオも聴いてた)は、絶対に買うべき。損はしない。『アオイホノオ』の裏話は勿論だけど、岡田氏が要所要所で入れてくるGAINAX裏話もこれまたツボで…トン子さん、実在するんだってね。当時島本氏がトン子さんの似顔絵を描いていて、漫画家にあたってその似顔絵を作ったんだって。というかアオイホノオ全体が、島本氏的にはかなり忠実に書かれているようです。対談の中で大学時代の男女話をする時や、GAINAX連中への対抗心を思い出す時の、島本先生のストレートさが、いいんだよなぁ。好きなんだよなぁ。時に対談の進行まで危うくうする、その人間が、にじみ出てる。彼がモテたのは、だからすごく納得できます。

ちなみにこのDVDはドラマ化の話が出る前の対談なので、その辺は出てきません。是非ドラマ終了後にまたやって欲しい。

購入先:岡田斗司夫公式ネットショップ『【DVD】島本和彦×岡田斗司夫対談Vol.1 アオイホノオの真相』

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