カテゴリー: TV・映画感想

劇場版『きのう何たべた?』感想

劇場版『きのう何たべた?』をAmazonレンタルで。

監督・脚本はTV版と同じ
中江和仁(『大豆田とわ子と三人の元夫』)
&安達奈緒子(『おかえりモネ』)のタッグ。

多幸感溢れる、最高の映画化。大満足。ほんと好き。

TVドラマの映画版、いわゆる「○○ザ・ムービー」にありがちな「無理なスケールアップ」「必然性のない全編ロケ」がないのは勿論、「映画版用の」大きな事件を入れることもせず、原作のプロットをあちこちに入れたTV版の延長のよう。でいて、2時間ならでは見事なまとまりがある素晴らしい脚本。中江&安達タッグと原作の幸せな出会い。(を作ったプロデューサーの力)

全部良かったけど思い出せるだけ書いてみる。

●敢えて「映画版っぽい」ところを挙げると、シロさんが少しゲイオープンな感じになってる(時間軸の関係もあるのかもだけど)。そのおかげで全体の多幸感がいや増し。

●京都アヴァンと対になったセリフがいいなぁ〜と思っていたのだけど、あの二人で町を歩いている時の「ここを歩いている人達全員に…」ていうくだりはヤバかった。
そこまでのケンジが考えていること1つ1つがちゃんと積み重なりこっちにも伝わってきて「ケンジおまえって奴は…」となっている矢先にあのクライマックスだからもう…まさかこんなに泣かされるとは思わなかった。安達奈緒子脚本!

●シロさんのサングラスの似合わなさ笑。

●ここ最近はずっと毎日『おかえりモネ』にハマっている最中だったから、正直今この映画観るのってどうなん?と思わなくもなかった。でもいざ見て観るとモネのことは1ミリも思いださない別人ぷり。西島秀俊の、他で見たことのない笑顔とか貴重だけど、やっぱ内野聖陽。

●『おかえりモネ』を見直していて改めて実感したのは内野聖陽の底力というか、安定感だったんだよね…あの底の深い演技力。
今作もマジで凄い。泣き出すシーンは圧倒的だけど、その他細かいシーン挙げているとキリがない。よしながふみさんも絶対嬉しいと思うんだよ…。

●そういえば7/26にはよしながふみのインタビュー『仕事でも、仕事じゃなくても 〜漫画とよしながふみ』がでますね。楽しみ。

●もうルックとか全然好みじゃないのに、内野聖陽さん巡りしたくなるくらい良かった。『JIN』見直したい。

●チーム毎に文字色が変わるEDクレジットもなんか『きのう何たべた?』ぽい繊細さと気配りで良かったな〜

●西島秀俊は自分と同い歳らしい。あの実家に帰る帰らないとか、「傷付く」「しようがない」「しようがなくない」のくだりなど、同性カップル近辺の事情を描いているようで、実は誰にでもどこにでも当てはまること。何度も経験して、人を傷つけて、思い知らされていること。胸が痛い。西島演じるシロさんの誠実なやりとリに救われる。

●ほとんどセリフを交わさないスーパーの店員さん良かった。

TVドラマ版『きのう何たべた?』が好きな人にはすべからく観るべき!(とっくに観てるだろうけど)

映画『映画大好きポンポさん』感想

『映画大好きポンポさん』をAmazonプライムで。

原作漫画が大好き。
新潟で上映あったっけかな。いずれにしても逃してました。

原作が素晴らしいので映画化となるとどうしてもハードルが上がる。なのにとにかく評判が良くて、観たら納得でした。
アニメにする意味、動く意味、音が出る意味を持った演出。映画でないとできない演出。
その演出が原作の説得力をマシマシにしてて、これ以上ない映画化だと思う。

いやもう何か知らんけどあちこちで泣けてしまうのよ。ツボ突かれまくり。

ご覧の通りの絵柄やキャラクターだし、(表面上の)リアリティラインの面で受け付けない人はいるでしょう。問題ないよ〜て人は是非観てほしい。原作も!

映画好きって公言できるような人間ではとてもないけれど、映画を知ってて良かった。幸せだった。と思える作品です。
最後の締めのセリフが決まってるんだこれまた。

「自主朝ドラ」はじめました。『おかえりモネ』

先週から始めた「自主朝ドラ」おかえりモネ。

毎日のようにサントラ聴いてるのでいっそ、と思って始めたら、これが想像以上にメンタル的に良い。もっと早く始めれば良かった。

脚本の安達奈緒子さん本当にすごい。あーちゃんとした朝ドラってこうだったよね…毎日こんな気持ちだったよね…って相当久しぶりに思い出した。菅波先生だけは未だ「ツン」のサブキャラ的存在だけど。

でも1〜2週目のうちから、最後のクライマックスに繋がるプロットがバリバリに入っていて、見直す身としては全然序盤感がないのすごい。ひたすら細かく長くだらだら続くドラマではなく、巨大なひとつながりの物語というイメージ。

そして高木正勝氏の劇伴ね…。ほんと最高です。できるだけゆっくり見ていこう(難しいのだけど)。

『おちょやん』フィナーレ

この数週間のおちょやん、最高だったな。
毎日毎日、一瞬たりとも目が離せなかった。

超ハードな朝ドラのヒロイン。演じた女優さんは、途中で病気寸前て位にやられちゃうか、最後までノリノリで「終わらないで〜」って感じでこなしていく人か、半々くらいのように思うけど、杉咲花は後者だったよう。

ちよの啖呵が大好きだった。

このドラマの脚本、言うべき時に、言うべきことを、ちゃんと言っているから信頼できた。途中までどんなにイライラしても、最後そこだけしっかり押さえられていればいい。ちよのおかげで朝からスッキリできた。

杉咲は東京出身で、道頓堀弁をすべてドラマのために覚えたと聞き、驚愕。ほんとに役者ってすごいなぁ。

「子ちよ」の毎田暖乃(のの)ちゃん。最初の子供期が終わる時も本当に名残惜しかったけど、春子として再登場してからの変わりっぷりも、可愛くて可愛くて…。最終回の「もしも二人が別れていなかったら、大切な子達に逢えなかった」で抜かれる彼女。嗚咽…(ノД`)・゜・。

モデルになった人物達とは全然違うのだろうけど、不倫の子と親、新しく迎えた養子、いずれにも温かい目線と人生の見方を提示したこの1週間、見事なフィナーレでした。

今作は劇中劇がちゃんとドラマを盛り上げているのがすごかった。日本のTVドラマ、「劇中劇」とか「劇中作品」とか、ほぼそこでガッカリするから薄目で見ていなきゃいけないことが多いのだけど、おちょやんではちゃんとドラマと連動して盛り上げていて、笑わせ、泣かされた。

喜劇だよ?役者や演出陣にとってなんとハードルが高かったことだろうと思う。ドラマを成立させた上に、劇中劇で笑わせないといけないなんて。よくまぁこのクオリティでできたもんだ。

編集も好きだった。二人の会話を写す時に、カットバックせずに一人の表情を映し続けるのとか、カット尻がちゃんと意味を持って長いところとか。一瞬抜かれるセリフ無しの表情とか、その1インサートが、すごく印象深いの。

FOR座RESTやHello!BOOKSでお馴染みのチャンキーさん犬んこさんがOPをやったのも嬉しかったね!

山村千鳥一座とか高城百合子さんのあたりが全然合わなくて観れなかったけど、最後は本当に面白かった。ありがと〜!!

映画『燃ゆる女の肖像』感想

『燃ゆる女の肖像』(2019仏)
Amazonレンタル
監督:セリーヌ・シアマ

劇場鑑賞を逃したことがあまりに悔しくて、そのせいでこんなに遅れてしまった。もっと早く観ればよかった。静かに燃える恋愛映画の大傑作。素晴らしかったです。

【あらすじ】
18世紀、仏ブルターニュの孤島が舞台。望まぬ見合いを控えた貴族の娘と、そのお見合いの肖像画を依頼され島に訪れた女性画家。お互いは次第に惹かれあっていくが、肖像画の完成は同時に二人の別れも意味していた。

【感想】
情熱的な恋模様はあまりなく、静かで淡々とした描写が続く。画家マリアンヌが貴族の娘エロイーズを見つめる目線。それを見返すエロイーズの目線。目線がクライマックスという恋愛映画は大抵傑作じゃないかと思う。
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(以下ネタバレあります)
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映画『SMOKE』『サマーフィルムにのって』『mid90’s』『LUCK-KEY』感想

絶不調な中、映画もあまり観る気にならず、面白くても感想書く意欲が湧かない。でもメモは残しておきたい。最近観た中で残しておきたいもの4つ。

『SMOKE』
(1995アメリカ・米独日合作)監督:ウェイン・ワン
会話劇を少しづつズームアップしていく画面に釘付け。観る度に視点が変わりそうだけど、初見はどこか正体不明の怖さを感じる脚本。

『サマーフィルムにのって』
(2021日本)監督:松本壮史
ななななんだこれは。ツッコミ処満載のプロットで、リアリティもなく、演技も達者という訳でもなく、普通なら白けそうなのに、白けない。その圧倒的なチカラにぐいぐい引っ張られて、何だか知らないけど時に泣かされる。訳わからん。脚本のメタ構造・対照構造が見事。観る人選びそうだけど一見の価値ありと思う。

『mid90’s』
(2018アメリカ)監督:ジョナ・ヒル
きゅんきゅん。ずっときゅん。出てくる子たちみんな好き。スケボーなんか乗ってなかったけど、自分の子供時代を思い出す。フィルム撮影というのも大きく影響しているんだろう。あの日の甘ずっぱさをリアルに思い出してきゅんきゅんしたいアラフィフ・アラフォーへ。

『LUCK-KEY』
(2016韓国)監督:イ・ゲビョク
大傑作『鍵泥棒のメソッド』の韓国リメイク。殺し屋ユ・ヘジンがイケメン設定ということが終始納得いかない他は、良くできててさくっと楽しめた。日本版の「老眼の広末涼子」が好きだったけど、韓国版のチョ・ユニも良い〜

映画『スタートアップ!』感想

『スタートアップ!』をAmazonプライムで。監督はチェ・ジョンヨル。

アマプラのトップ画面に現れたマブリー(マ・ドンソク)のピンクスウェット+おかっぱ姿に、これは無視する訳にはいかない…と見始めたものの、そのビジュアルとは随分違う印象の青春映画で、良い意味で裏切られた。

もちろんギャグベースだけど、なんというか、最近だと日本のドラマ『コントがはじまる』に近い良さだった。

マ・ドンソクはコメディ・リリーフでもちろん良いのだけど、主役は完全にパク・ジョンミン!!彼に惹き込まれっぱなしの2時間。韓国の菅田将暉だ!

彼の役どころは『コントがはじまる』で言えば菅田将暉と仲野太賀を足したようなアレで。惚れ惚れする演技。今まであまり観る機会がなかったのでこれから覚えておこう。

どうってことないシーンで何度もこみ上げてくるものがあって…。なんというか、ユートピア感……なのか。なんだろうな。その感じが『コント…』に似てる。

あらすじも見ずにサムネールの先入観のみで気楽に見始めるが良いと思う。のであらすじ省略。

韓ドラ・マイベスト3作品はこれだ!

Twitterでとある方と韓ドラベスト3が被ったので嬉しくて…のエントリ。

韓国ドラマはご存じの通り基本レベルが高いので、どれもこれもそれなりに楽しめる訳だけど、「これをずっと観たい」と思わせるまでの相性の良い作品ともなると、さすがに少ないなぁって最近感じてて。

単に自分のメンタルの問題?と思いながら、でも今に始まったことでもなく。そんな中でベストが被ると(あ、自分と好みが近い人、いるんだ)と思えて、嬉しくなりました。

韓国ドラマ、1〜3話程度観たっきりになっているのは10本以上あるし、10話近くまで観て止まっているのも数本あるかな。後者は今後もゆっくり見続けると思う。

ドラマの場合、リアリティラインの位置が自分にとってとても重要だってことも分かってきた。別にギャグものが嫌いとかじゃなくて、連ドラでずっと引き込まれるのは…という話。大好きなギャグ韓国映画も、たくさんあります。

さてそんな私が大好きな
韓国ドラマベスト3。

『シグナル』

『マイ・ディア・ミスター』

『秘密の森』

全部シリアス系。
観たその年の半分以上の期間、ずっと心を持って行かれていた。それ位強烈。同時に、思い出すだけでふっと温かい気持ちになるありがたい存在です。

3作ともNetflix・Amazonプライム両方で観ることができます(『秘密の森2』除く)。同じドラマが好きな人と呑みたいよう…。

 それぞれの感想は、当ブログ内検索からどうぞ

映画『子供はわかってあげない』感想

『子供はわかってあげない』をAmazonレンタルで。監督:沖田修一。原作は田島列島の大好きなコミック。

期待を裏切らなかった!すごく好き!

主人公美波に上白石萌歌
書道部のもじ君に細田佳央太
そのお兄ちゃんは千葉雄大
お母さんは斉藤由貴、二人目のお父さんが古舘寛治
前のお父さんに豊岡悦司

沖田演出が田島列島のあの作風にピタリと嵌まっていました。美波ともじくんの空気感があそこまで素敵な映像になるなんて。

上白石萌歌さん、これまでちゃんと観る機会があまりなかったけど(というか実写映画初主演らしい)見直しました。すごく良い演技だった。
あれだね、『いだてん』からのスイマー役です。部活女子高生らしいバリバリの日焼けで役作りしている。

もじ君も素晴らしい!
劇中アニメをちゃんと作ってるのもいい。
大好きな古舘寛治がまさに古舘寛治らしい良さを存分に出してるのも好きだー!
斉藤由貴は言わずもがなの名優。

そして豊岡悦司。
個人的には岩井俊二監督のせいでトヨエツのイメージは相当落ちてしまったのだけど笑、沖田監督の撮るトヨエツはイイよ。これは許せる。いい。

「青春映画の金字塔」みたいな言葉は全然似合わない、のほほーんとしたひと夏の高校生物語なんだけど、めちゃくちゃ愛おしい。これからもずっと記憶に残る素敵な映画だったと思う。『横道世之介』と同じように愛すだろう。

映画『アダム&アダム』感想


Twitterで @huucohuuco さんにレコメンドしてもらったNetflix映画『アダム&アダム』が最高だった。監督は『フリー・ガイ』のショーン・レヴィ。同じようにゆる〜く楽しめるSFです。

2022年、いじめられっ子で喘息持ちだけど負けん気の強いアダム12歳。ある夜、彼の家に未来の自分がやってくる。その目的は、自分の妻を巻き込んで起こった未来の問題を、事前に防ぐことだった。

冒頭でいきなり「タイムトラベルは可能である」という一文がどどーんと入る。分かりやすい。

冒頭から全編通してずっと名作SFのオマージュシーンばっかりで、ニヤニヤしっぱなし。その名作SFのオマージュである00年代の映画のオマージュもあったりして、ややこしい笑。その美味しいトコ、気持ち良いトコばかりをつまんだ感じが実に楽しい。

もちろんそんなこと全て知らなくても絶対楽しめると思う。こういう名作のスタンダードを、パロディを通してでも子の代孫の代まで引き継いで欲しいと思う。

そして泣ける。初見は娘達と一緒に観なくて良かった。「お父さん、この映画で号泣?マジ?」と思われるだろう。そのくらい「タイプリープの感動とはコレだ!」というツボを突いてるのよ。分かる人には分かる、アレやコレや。『アバウト・タイム』とかにも近いものがある。

まずもって最初にスペンサー・デイビス・グループ『GIMME SOME LOVIN’』で始まる映画が面白くない訳がない。そう、『SING!』!

全編に音楽の使い方が(もちろんそれだけじゃなく)『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』的なアレなんだけど、少しずっこけてるところが又この映画らしくて、いい。

あと最初の数十分は主人公アダム少年のことを「エリオット!」と呼んじゃう位の、俺ら世代にはツボなビジュアルがたくさん。でもそんなことは、この映画の本質では全然なくて。とにかくゆるくて、笑えて、泣けて、ずっと楽しめる痛快SFが観たい人は、今コレですよ。

主役(大人アダム)はライアン・レイノルズ、その父にマーク・ラファロ、妻にゾーイ・サルダナ、同僚にキャサリン・キーナー。MCU的なアレも感じてまたニヤリ。

自分はまさに今こんな脳天気SFを求めていたので、ドンピシャでした。 本当にありがたい!

映画『ハナ 奇跡の46日間』感想

『ハナ 奇跡の46日間』をNetflixで。
監督:ムン・ヒョンソン、2012年作品

1991年、千葉で開催された卓球の世界選手権で、南北朝鮮が史上初の統一チームで参加した実話を映画化。出演は、ハ・ジウォン、 ペ・ドゥナ他。

今読んでる伊東順子『韓国カルチャー 隣人の素顔と現在(集英社新書)』で、北朝鮮のトップ選手を大好きなペ・ドゥナが演じているというのを読んだのが観るきっかけだったけど、思わぬ傑作だった。後半は涙涙。

南北チームが結成されて日本で合宿する様子と、大会が終わるまでの短い期間を2時間で描いている。最初はちょっとそれどうなん、ていう展開も節々に見えながら、後半の試合展開は本当に胸アツ。

長い試合シーンを飽きず見せる撮影と編集が見事。今まで観たいくつかの卓球映画でも、こんなにリアリティを感じさせる作品はなかった。卓球やっている人が見たらどうか分からないけど、しらけないの、ホントに。で、やっぱり演技が…皆凄すぎる。脇役に至るまで選手達みな好きになる。
『恋愛体質』のチョン・ウヒがハ・ジウォンの妹役で少し出てるのも嬉しい。

最初から北男子リーダーにぞっこんなチェ・ユニョン演じる韓国女子選手。コメディリリーフなのかと思いきやクライマックスで初の試合シーンになると…これが急にめちゃくちゃカッコ良くて痺れたり、とか。試合シーン、素晴らしい。これは映画館で観たいな〜。

関係者皆が「きっとここだけ、今だけの『統一』なんだろう」と思いながら、でもどこか希望を捨てきれずその刹那に想いを向ける様がもう泣けて泣けて。昨今の情勢がイヤでも思い出されると一層、堪らなかった。

最後の方で「お姉さん」「お兄さん」て言うあの意味も、『韓国カルチャー』を読んでいたおかげで南北の違いが良く分かったりして、より胸に迫る。

この統一チームKOREAが実現できたのは、当時の国際卓球連盟会長だった荻村伊智朗が数10回北朝鮮と韓国に訪れ説得したおかげらしい。あと合宿は3箇所でやってて、その2箇所目は新潟県長岡だったそう。最後が会場の千葉。

映画の舞台はすべて日本だけど、全編通じて「日本」の描写はほぼ皆無。その方がスッキリして映画として正解だと思う。あと日本公開当時の宣伝ビジュアルも、まったく琴線に触れず笑ってしまった。(2枚目)

結論:ペ・ドゥナはやっぱり凄い。

『ドクターフー S3-10話(3-11)BLINK〜まばたきするな〜』感想


after6junctionのドクターフー特集でイラストレーターのQUESTION No.6さん(Whoが好き過ぎて渡英、ついに公式の仕事をゲットした人)がオススメしていた
season3-11(話数だと多分10)の「BLINK (邦題:まばたきするな)」が、
もう素晴らしく良かった。

Amazonプライムで観れます。ドクターフー観るのは、これで10話目くらい。

番外編的な構成で、シリーズをひっぱるドクターとコンパニオンの登場は非常に少ない。最初に観るドクターフーとしても良さそう。単発でこれだけ観るんでもオススメ。Wikiなどを読むとこの話がシリーズ最高と評する向きも多いらしい。

タイムスリップドラマのあのぞくぞく感を短い時間の中にぎゅっとさらっと詰め込んで、バディ感もオタ万歳感もドキドキスリラー感も味わえて。そして主役の若きキャリー・マリガンがとんでもなく可愛い。良かった!!脚本は後に『SHERLOCK』も手掛けるスティーヴン・モファット。



こないだZoomで「名作と言われる回から(つまみ食い的に)観るのもいいよ〜」と教えてもらったんで、そうか、シーズン気にしないでまず導入って手もあるか、と気付き次の名作回を探す所存。

メンタル最底辺で、年アタマから色々映画を(自宅で)観ているけどいつもどこか素で楽しめないような気持ちの中、ラブコメだったりドクターフーだったり『恋愛体質』で皆が肉食ってるところだったり、で
急に、その時だけいつもの気持ちで底から楽しめていることに気付く。
何に助けられるかって、ホント分からない。

ドラマ『ミステリと言う勿れ』はじまる

『ミステリと言う勿れ』TVドラマ版第一話。圧倒のクオリティ!

ほぼ警察内から場所が動かず(超低予算)セリフばかりなのに、何だコレ凄すぎ。

菅田君発表時からきっと彼はやるぜと思ってたけど、期待以上だった。信じてたよ。池本、風呂光も最高。

惜しむらくは、エンケンさんに青砥をやって欲しかったな…『王様のレストラン』を観ている最中の自分にとっては、青砥さんは筒井君よりエンケンだった。今最新巻は青砥さんが主役なのだよ。

何と言うことでしょう晩ご飯がカレーの時にちょうど観ることができたのも最高。

菅田!菅田!これは2022年初っぱなから歴史を刻むドラマ登場だ。

観終わった後家族全員が皆久能口調になっているのも傑作の証しだな。

映画『ブルーバイユー』感想

『ブルーバイユー』をAmazonプライムで。
監督・脚本・主演はジャスティン・チョン

3歳の時に米国へ養子入りした韓国生まれのアントニオ。愛する妻と娘と一緒に幸せに暮らしていたが、警官とのトラブルで身柄を拘束され、その際に判明した30年前の書類の不備により、韓国へ強制送還の命令が下りる。70〜80年代にアメリカで養子入りした移民達には同じように強制送還される例が後を絶たないそうだ。
裁判で争うか韓国に行くかの選択を迫られるアントニオは、裁判費用を稼ぐために昔の仲間に相談し、それがきっかけで夫婦の仲にも亀裂が生じていく。

親子が引き離される予感にどうしても観るのを躊躇っていたけど、ベイビーブローカーの勢いでやっと観ることができた。
大傑作。最後のシーンのおかげで、ずっと愛する作品になると思う。

監督脚本もやっている主演のジャスティン・チョンの空気感が良かった。
家族を愛し真面目に働いているアントニオが、移民に対する不条理な仕組みのせいで、致し方なく裏の道に手を出し、その結果…。
という、まさにどうしようもなく、不条理で、でもきっと界隈では巷に溢れている物語を、こうやって至上のエンタメとして世に出してくれることに、感謝します。

この後に観た『マイスモールランド』にも、ベイビーブローカーにもすべて通じるところがあって。

不条理な世の中で生きる愛おしい彼ら彼女らの1人1人の物語を感じることで、ニュースで良く見る「大きな社会の問題点」ではなく、本当に、なんとかしないといけない身近で大切な問題だと感じることができるから。

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妻の歌う「ブルーバイユー」の歌詞が切ない。
クライマックスは、「ぶほっ」というイキオイで号泣した。
辛いイジメのシーンがあるけども、後である程度スッキリさせてくれるから、俺のようなイジメが苦手な人でも大丈夫。

エンドクレジットには、同じように強制送還された・される予定の実在の人物の写真が流れる。
ひと昔の話ではなく、本当に今でも続いている最近の話だということに驚いた。

映画『アメリカン・ユートピア』感想

2022年最初の1本は『アメリカン・ユートピア』。

Amazonレンタル。監督はスパイク・リー。

トーキングヘッズは殆ど聴いてこなかったし最後の1曲位しか知らなかったけど、しょっぱなから最後までノリノリで楽しめた。舞台のショウをそのままドキュメンタリーにしたような作品。

内容は聞いていたので「これは映画館で観たいな〜」と思いつつ逃していたことを悔やんでいたら…
いやいや。この作品は、お酒を吞んで踊りながら、好きなように声を上げてウチで観るのも良いよ!

歌詞を見ながら最後には色んな世界に連れていかれて、涙して。どんどん高揚感が高まっていく。

この作品ではまずあり得ないことだけど、訳詞字幕が入るって本当に重要。最近お金の関係で「なんでここで訳詞字幕入らないの!」てなる映画が本当に多いから、改めて思う。

新年にぴったりの1本だった。

映画『ドント・ルック・アップ』感想

2021年最後に観た映画はNetflixオリジナル『ドント・ルック・アップ』。
監督は『バイス』などのアダム・マッケイ。

地球を崩壊させる巨大彗星が半年後に衝突することを発見した二人の天文学者が、その危険性を大統領やマスコミに訴えるが…

アルマゲドン系SFかと思いきや、全編ギャグタッチな政治風刺ドラマ。出てくるキャストは「超」豪華。『バイス』のトーンを更に強烈にしたよう。

「笑える」筈の皮肉ギャグが、今やすべて現実に起こりうることなので、ギャグなのに笑えないという切ないことになってる。風刺の目線は体制側だけでなく、危険を訴える学者側にも対等に向けられている。

出てくるキャストは全員、皆どこか間抜けに見える。専門家が何を言おうが、自分達の信じる道以外は目を向けようとしない。逆も然り。これら全部、特に日本では今普通に起こりえることなので…やっぱり笑えない。苦笑い。

イライラが多いので自分的には総じて「大好き!」とはならないけど、絶対観ておくべき映画だと思います。お見事。とにかくテンポがいい。

キャストも使い方も本当に贅沢。ディカプリオ(最高)、ジェニファー・ローレンス、マーク・ライアンス(最高)、ケイト姉様、メリル・ストリープ、ジョナ・ヒルなどなどが、皆間抜け人間を演じている。

こんな映画を生み出せることが、とても豊かで羨ましい。あ、シャラメだけはちょっと違う。この映画のシャラメみたいな人も、周りには居て「分かるわ〜」ってなる。

2021年に観た映画ベスト

「2021年に観た映画・ドラマ」のベスト。全部の作品の感想は当ブログで投稿しています。

「▶」は劇場鑑賞
( )内は旧作の公開年(不確か)

今年劇場で観た映画は多分13本で、昨年に比べ相変わらず少ない。加えて今年は家で観た本数も30本で、例年の半分以下と激減。秋以降は一時期映像作品をまったく観る気になれず本にばかり没頭していた時期があった。

今年一番印象に残っているのは…やっぱり『DUNE』かなぁ。どうしてもSFには贔屓目だ。『ファーザー』は何度観ても良さそう。しかし思い返しても「これ激推し!」という作品はなかった。

反面ドラマは日韓充実していた。特に日本は大豆田やってた頃の凄さたるや。大豆田とコントが始まるは韓ドラに負けじと面白かったよ。地デジの意地を見ました。おかえりモネをやっていた期間、ずっと幸せだったなぁ。

すべて気持ちを持って行かれた感のある『マイ・ディア・ミスター』。これは『シグナル』と並ぶ自分内のドラマ生涯ベスト作。日本語サブタイトルもビジュアルも未見の人にはイマイチだと思うが、絶対にオススメ。
『秘密の森』にもハマりまくった。これで決定的にチャミスルが呑みたくなった。
韓ドラは途中まで観ているのが未だ4〜5本あります。

ということで、今年はもうちょっと劇場に行きたいなぁ。

映画『ラスト・クリスマス』感想

『ラスト・クリスマス』をNetflixで。2019年。

主役ケイト(エミリー・クラーク)のクソ女っぷりに最初は多少辟易してしまうけど(特に姉にやらかすアレ)実はこんな過去があって…と引き込まれ最後には分かりやすく号泣メーンです。舞台はロンドン。

相手役の大人気ヘンリー・ゴールディングとケイトの働くクリスマスショップのオーナーに配されたミシェル・ヨーは『クレイジー・リッチ』の親子でもあってファンとしては実に嬉しい。ケイトの母役エマ・トンプソンは今作の脚本家でもあるそう。

今まで観たエミリー・クラーク主演作はどれも彼女の顔芸を存分に活かしていると思うのだけど、ゲースロのデナはあの豊富な顔芸をあれだけ長い作品の中で1回たりとも見せていなかった訳で、逆にすげえなと思った。

もともとワムの同名曲がモチーフになって作られた映画だからジョージマイケルのあの曲やこの曲オンパレード。クリスマスにほっこりラブコメ観たい人ぜひ。

『おかえりモネ』終了。ありがとう。

この半年、朝のモネにどれだけ助けてもらったか。

見事な最終週。月曜から凄かった。

ドラマ全体の感想としては前に書いた内容と変わってないけど、付け加えるなら

●世代を継いでいく、次に繋いでいくそのやり方が見事だった

●「対話」の大切さを常に問うて実践していた

後者に関しては、最後の数週間とかはもう身につまされて少し辛い思いまでしちゃった人も多かったのではないか。いや俺なのですが。

「あなたの痛みは分からない。でも想像すること、寄り添うことはできる」

菅波先生にもりょーちんにも言わせているこの「想像と対話」は、世界を救うメソッドでもあるのだけど、一番身近な夫婦や家族や親しい友人との間でちゃんとできているだろうか。

ずっとこう言えることが最初の理想だったのに、今でもそう思っているのに、できていないことがなんと多いだろう。

『おかえりモネ』を見ながら、身の周りの人に「ごめんなさい。ゴメンね」を心の中で呟いていた最後の数週間だった。特に菅波先生は、その「世界を救うメソッド」を自ら体現している人で、制作者側の意図を大きく反映しているモデルだったのだろう。それを坂口が見事に、あまりにも見事に演じてみせて俺等は皆虜になってしまったのだ。

他にも親チームのベテラン演技の凄さとか(両親はもちろん浅野忠信の凄まじさ!)とか、コロナ禍に繋がる「もとに戻ることだけが、いいことだとは思えねえんだよ」てゆうメッセージとか、「最終回の「そんなに簡単じゃねぇだろ」とか、もう枚挙に暇がない脚本の素晴らしさ。

震災の後を描く朝ドラとして、安達奈緒子さんと演出陣がやり遂げたことに、ただただ拍手と感謝。
ありがとうございました!

こんな朝ドラが作れるんだ。また歴史が1つ積み重なった感。

映画『DUNE / 砂の惑星』感想

『DUNE / 砂の惑星』をユナイテッド・シネマで初日鑑賞。ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督。
だい・まん・ぞく。2.5時間の間ずっと異世界旅行。

圧倒的な映画体験。『メッセージ』『ブレードランナー2049』の衝撃がアップデートされた。

シャラメとレベッカ・ファーガソンをキャスティングした人を神と崇めたい。
この2人を大画面で2時間半も堪能できる幸せたるや。ルックスは勿論、とてつもない演技力あってこそだよなぁ。


あとハルコンネン男爵、色んな意味で最高。特に天井ひっつき。


菅波先生(坂口健太郎)はアゴのラインがすばらしいし唯一無二、と思っていたのだけど、これを世界レベルにしたのがシャラメだな。

映像はもとより、音、音、音、音のスゴさ。

ヨハン・ヨハンソンみも少しありながら、最後にはちょっと笑っちゃう位しつこく畳みかけてくるハンス・ジマーの劇伴。いい。好きだよ。

そして「ええーここで−」というところでブツっと終わる。早く!早く!続きを撮ってくれ〜〜!!!

後から敢えて言えば、だけど。ストーリー的には大きな起伏もないし進行はゆったりだし、正直SFファン以外にオススメできる作品ではないかも。

ナウシカにいかに影響与えたか良く分かる。今作にはナウシカからの逆輸入か?と思っちゃうようなシーンもチラホラ。

砂漠の砂の動きがCGじゃないと知って驚愕。砂漠の下に大きな「プラットフォーム」を仕込み、その下に「振動エンジン」を設置、さらにその下に大きな木製の羽根をつけることで思うような砂の動きを表現できた、とある(パンフより)。読んだだけではさっぱり分からないスケールの大きさだ。メイキング漁り楽しみ

出てくる大きな船などはほとんど縦長だし、もともとIMAX用(1.43:1)に設計された映画だということは聞いてるけども(つまり上下がかなりカットされてる)そんなこと言われても新潟県民にはどうしようもない。せめてユナイテッドの大きめスクリーン(1番は燃えよ剣にとられた…)か、音響の良い万代で観た方がいいと思う。

1年に1回このレベルのSFが観られれば、その年は上々だったぜ!と言える。
そういう作品。最高。

ABOUT

1999年のWEB日記時代から始めた個人サイト。ブログ移行にあたって過去記事も抜粋してアーカイブしています。
(HTMLサイト→SereneBachブログ→WORDPRESSブログと転移)

好きな漫画(2014年版)はこの記事の最後に。

最近は(インスタ)でアップしているTV・映画感想の投稿を、半年に1回くらい一気に転載しています。