カテゴリー: マンガ感想

『ダーリンは外国人』『キングゲイナー』

●小栗左多里『ダーリンは外国人』。言わずと知れたベストセラー。ベストセラー故の「いつでも読める感」が災いしてココまで買うのが遅れてしまった。オモロ〜い!この作者は初めてだけど、センス良いね〜!

ピックアップする話題が上手だし、絵のセンスも抜群。「なぜそうなるのか」をキチンと解説して、ただの「何となく笑える」ギャグ作りに逃げてないし。特にダーリンと自分の「笑いの沸点」を比較する回があって、別にそんな笑えるお話ではないんだけど、その理論的な組み立て方にちょっと驚いた。キチンとしてる〜。ダーリンは商売柄(NGO関係者で語学オタク)、異文化を言葉で説明するのがウマいんだけど、対して作者が「ソレを日本で置き換えるとこうなのではないか」と考えて説明する部分、さりげないけどこんなとこにも作者のセンスが表れてる気がする。

時に笑いながら、夫婦関係について改めて反省させられる(分かっちゃいるけど敢えて忘れている)事柄にいくつも気づかされる。オモロい雑学もてんこ盛り。コレは売れるワケです。2巻3巻も早速買おうと思います。

●中村嘉宏『オーバーマン キングゲイナー(4)』。絵柄がちょっとサッパリし過ぎで、もうちょっと油っこい部分が欲しい気もするんだけど、マンガ化としては非常に上手くいってると思う。いつも新刊を楽しみにしています。安彦サンよりも上行ってるんじゃねぇ? 安彦氏のガンダムORIGINは、大声の台詞が急に筆文字になっちゃうのがホントに古くさくてイヤ。『キングゲイナー』、富野氏のネーミングはホントに独特で印象深いんだけど、あまりに聞いた事無い単語なんで、TVの「音」で聞いただけじゃ理解できなかったのも多い。このマンガで初めて字面が分かったりした。

そうそう、同時に萩尾望都『マージナル(文庫版1〜3)』も読んでたんだけど、偶然どちらも「環境破壊が進んで人間の住みにくくなった未来の地球で作られたドームシティ」が舞台になってるコトに気がついて、なんか嬉しい。強引だけど。『マージナル』は、実は初読だったんだけど、なんだか途中からダラダラしてる印象だな〜。文庫1冊くらいでまとまってたら絶対オモロいと思うんだけど。

ダーリンは外国人—外国人の彼と結婚したら、どーなるの?ルポ。

小栗 左多里
メディアファクトリー (2002/12)
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【再読】浦沢直樹『MASTERキートン』

引越の絡みで、久しぶりに浦沢直樹『MASTERキートン』全巻を発掘。絶版騒ぎでおそらく中古書店からもそのうち姿を消すだろうと言われてたのは、ついこないだの話。いい機会なので未読の相方の為にもトイレの中にずら〜っと並べました。んで自分も再読中。

浦沢絡みのエントリを書く際にしつこいほど言ってきたけど、オレは最近の『20世紀少年』や『MONSTER』よりも、この『MASTERキートン』が大好き。で、読み直してみてもその評価は決して「過去の美化」ではなかったことを、確認しました。

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『おおきく振りかぶって』ひぐちアサ

1〜3巻読了。三上延氏のブログで見かけて買いました。ここ最近ではハチクロに次ぐ傑作でした。ちなみにハチクロ買ったきっかけも三上氏のサイトの感想だったです。

自分、野球は全く興味ありません。プロ野球チームの正式名称を言えるのは一つか二つだと思う。でもこのマンガはオモロいよ。オビだったかPOPだったかに「野球がまったくわからない人でも面白い!」みたいなコト書いてあったけど、ソレはちょっと大袈裟。ルールを知っておいたほうが、全然楽しめる。

とてつもなく気の小さい主人公が、高校野球のピッチャーとして大成するまでの成長物語、です(多分)。何故これほどまでにオモロいかを説明するのはこのマンガの場合ちょっと難しい。多分スポーツマンガの定石、試合のカタルシス(スラムダンクのアレ)をキチンと感じさせるから、だと思うんだけど…。呆れるくらいベーシック(だからこそ希有?)な友情ストーリーが丁寧に描かれていて、その基盤がちゃんと構成されているから、試合のカタルシスも一層盛り上がるんじゃないかと。グッとくるんですよ!!野球漫画自体そんなに読まないけど、何だか野球気分が盛り上がって、細野不二彦の名作『愛しのバットマン』をまた読みたくなってしまったです。

難点は絵。ちょっとヘタ。かなりくだけた少女漫画っぽくて好みも分かれそう。オレも最初ちょっとひいちゃったけど、1巻の最後にはもう気にならなくなった(その頃にはもう夢中)。でも3巻になって登場人物が増えたら…誰が誰だか分からないッス!!!

はてなキーワード:おおきく振りかぶって

おおきく振りかぶって (1)

ひぐち アサ
講談社 (2004/03/23)
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愛しのバットマン 1 (1)

愛しのバットマン 1 (1)

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細野 不二彦
小学館 (1991/08)
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『SEX』上條淳士

最近ありがちな金もうけ的新装版だと思って無視してたんだけど、よく考えたら7巻もあったワケがないじゃんねぇ?今更オドロいててスミマセン。上條淳士『SEX』(3)〜(7)読了。

まずはホコリをかぶった上に日焼けしまくり変色しまくりの1、2巻をひっぱりだしてきて再読(くしゃみすること数知れず)。そうそう、ピアスを赤にするためだけの2色刷とか、当時ショックだったんだよなぁ。7巻最後の資料を見ると、連載開始が1988年年だってさ。ひえ〜!17年前!

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ハチクロ『オフィシャルファンブック』

ハチクロのオフィシャルファンブックがあまりにも良い出来なので、またまた気分が盛り上がって「竹本クンふっさふっさバナー」をつくっちゃいました(右下)。読んでて本当にシヤワセ気分になれる一冊。作品への愛情が誌面から溢れ出ています。マメな作者の心配りも隅々まで行き届いてます。

あまりに出来が良いので、この後の『CONTINUE別冊』の方が心配になる位。原作マンガのスキャンを再編集してまとめるこの(『ぱふ』とか『COMIC BOX』的な)やり方だと、もう『オフィシャルファンブック』の上には行けないと思いますよ。ハチクロファンのいろんな業界人やマンガ家へのインタビューだとか、「ハチクロ以後」みたいなカルチャー方面での特集を期待したい所です。

ハチミツとクローバー vol.0—Official fan book

羽海野 チカ
集英社 (2005/05/19)
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別冊コンティニュー(仮題)

太田出版 (2005/06/16)
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近日発売 予約可

『MASTERキートン』絶版

『MASTERキートン』が(一見)妙チキリンな理由で絶版だそうです。

スラドのスレ
人気マンガ「MASTERキートン」が絶版に至った理由。
週刊文春のMASTERキートン記事は果たして真実か

雁屋哲氏のコトはまぁ「ふぅ〜ん」程度だし、そもそも浦沢氏が「原作者も同じP数で名前表記する」ことを受け入れれば増刷できるんだよね?なんで今更?とか色々分からないことが多くていまいちピンときません。その話は置いといて。

以前『PLUTO』の感想で「浦沢直樹は原作モノの方がオモロい」と書いたのですが、上記の話(勝鹿北星は殆ど話を作っていない。実際は浦沢氏と編集・長崎氏が作っていた)によれば、あまり根拠のないグループ分けだったのかも知れません。

勿論『MASTERキートン』と『MONSTER』の間には1話完結と長編モノ、という大きな違いがあるのだけど、その形態の違いを除いても、オレにとってはかなり出来が違うのですよ。で、『MONSTER』と『20世紀少年』は同じ。「あ〜またか〜」的な。必要以上に長い映画みたい。ダラダラしすぎでせっかくの盛り上がり感も、すぐ薄れちゃう。もっと短く切ればオモロいと思うのになー。

そんなカンジで「浦沢氏の話作りは好きじゃない」と思っていたのでだけど、ソレって実は単に「浦沢氏の長編は好きじゃない」、だったのかも知れないってコト。

だから上記の記事も、浦沢氏じゃなくて、編集の長崎氏が主に話を考えてたって方がシックリ納得できるんだけど。オレ的には。さてどうなんでしょうねぇ。

泣きました。

泣きました。

その1
ぷらぷらすで知った上越新幹線とき325号殿ありがとうFLASH。今知ったとゆうそのタイミングも、やるせない。

その2
月刊コミックビーム6月号掲載『長い長いさんぽ(前編)』須藤真澄
ついにこの日が来ました…。去る1月にこの世を去った須藤先生の愛猫、ゆず。オレにとっては、もらわれてきた小猫の頃からその愛らしい姿をマンガで見続けている、まるで自分ちのネコのような存在だったのです。そのゆずが亡くなる様をマンガに書いたのが今作。

せつないです。

昔の『ゆず』に描かれてる彼のさまざまなエピソードを思い返すたびに、涙が出ます。

後編は6月10日発売、コミックビーム7月号に掲載されます。

『STAYリバース・双子座の女』西炯子

「STAY」シリーズ第3作。西炯子復活!!を叫びたくなる1冊。

同じSTAYシリーズでも「みちる&佐藤」の方は、ストーリーは面白いけどどうしてもキャラ的に今一歩のめり込めないトコロがあったのです。つか若すぎる!分かる!そんなコトもあった!だけど今は!

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『PLUTO』のアトムに萌え〜

ATOM1.jpg浦沢直樹『PLUTO(2)』のアトム君があまりにカワいくてノックアウト。←コレですよ←クリックで拡大。

まぁソレはイイとして。前から思うんだけど浦沢直樹作品って原作モノ(原作者が別って意味)の方がぐっと魅力的だと思わん?『20世紀少年』『MONSTER』よりも、『MASTERキートン』『パイナップルアーミー』の方が断然好き。だけど前2作の方がめちゃくちゃ売れてるし周りのヒトにもウケてるからなぁ。
どうですかそのへん?

この『PLUTO』は原作モノと言っても「リメイク」だしちょっとケースが違いますが。でもこの2巻まではオモロかったなぁ。しかもオレ原作読んでないし。すっごいドキドキしながら読めちゃいます。続刊も楽しみだー。

さてこのアトム君の髪。フツーに見れば「子供の髪にありがちなちょっとしたハネ」が付いてるんだけど、読み進むにつれ、その「固定化されたハネ」具合が気になってきます。そう、丸太足も腹割れもない彼にとって、コレが唯一の、アトムたる証なんだものねぇ。
ATOM2.jpg

PLUTO (2) ビッグコミックス

浦沢 直樹
小学館 (2005/04/26)
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『愛がなくても喰ってゆけます。』よしながふみ

ひさびさに新刊読みました。彼女のやおい系マンガは、表紙だけで「ハード度」略して「ハー度」が計りかねる場合、ちょっと買いそびれていたりしたんで。

『エロティクスF』の連載をまとめた単行本。マンガを書いてる他は、四六時中食べ物のコトばかりを考えているとゆう作者の東京食べある記です。あの『西洋骨董洋菓子店』のシツコさで、食べた内容それぞれの材料や中身、もちろん見た目まで懇切丁寧にマンガに書き起こされています。しかもちょっと絡められたストーリーが上手。どこまでがノンフィクションか分からない微妙さもドキドキさせる。出てくるのはみんなイイオトコだし。

で、極め付けは、マンガで絶賛しているお店をキチンと地図&営業時間付きで紹介してるコト。コレはもう立派なグルメガイドです。ここまでちゃんとした(つまりマンガの方が充実した)「マンガ版グルメガイド」は、今まで見たコトないですな。

池袋の飲茶の店は、さっそく今週上京した時に行こうと決めました。

愛がなくても喰ってゆけます。

よしなが ふみ
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吾妻ひでお『失踪日記』

おそらく今年読んだ(読む)マンガ・ベスト5には入るんじゃないだろうか。夢中になって、あっとゆう間に読み終えました。

オレ的には「ロリータ漫画家」とゆう位の認識しかない同作家が、本職がイヤになり失踪して(妻子がいるのに!)ホームレスになったり、日雇い労働者になったり、連れ戻されたり、またマンガ界でガンバったり、でもアル中で死にかけ、病院で復活したりと、いちいちがシャレにならない日常記マンガ。シャレにならない内容ばかりだけど、そのドレもが常にシニカルな目線で描かれていて可笑しい。をかし悲しい。

読後感は花輪さんの刑務所モノに似てるけども、もっと悲しい。だってこっちは、明らかにダメ人間なんだもの。ダメ人間なのに、ソレを描く目線はキチンと客観的で、ソコがスゴいトコロ。

マンガ界の話では実名バンバンであの出版社はこうだった、あの作品は編集○○が作ったからオレのじゃない、あの作品はやる気ゼロだったと全部さらけ出し。

ホームレス時代の、盗んだ大根とゴミの使用済みサラダ油だけで暮らすトコロや、雪の中公園で寝てる描写は「スサマジイ」の一言。寒くて一週間ほとんど眠れないんだって。なんで生きてるんだ?と不思議に思えます。

失踪時の「逃げ出し」ぶりもそうだし、日雇い労働時の人間関係でも見え隠れするのが、彼のクリエイターとしてのプライドとか強情さ、なんだけど、そこらへんの「モノを作る事たるやこんなにツラいのだ」的悩みをあんまり表にグチグチ出しすぎてないのも、気持ち良く読める原因じゃないのかな。押し付けがましくないってゆうか。

カバーの裏に載ってる「隠しインタビュー」より

–失踪するときって、奥さんに断ったりされたんですか?
(吾妻)いや、黙って出ていった(笑)。すごく怒られましたね。似たような人相の死体が出たとかで、心配したって。最初の失踪では「タバコ買ってくる」って出ていって、二回目の時は…なんかフラっと出ていって、それっきりだったような気がするな。

失踪日記

失踪日記

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吾妻 ひでお
イースト・プレス (2005/03)
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サイバラNHK連ドラ題字

mixi日記と連動させてみました。でも例えば過去ログ移行でこのブログに書き込んだ時(つまり過去の日付で更新?した時)に果たしてmixiに報告されるのか、とか良く分からないコトが多いので、その出方次第では元に戻します。

サイバラのNHK連ドラ題字は
ちらしの裏に書かれたモノだった

最近のサイバラのノシ上がりブリにはホント嬉しくなって、昔の『人生1年生』とかひっぱり出して「サイバラ大ブレイクへの道」なんてのを読み返したりしてます。版権ビジネスを狙ってカワイげなキャラを作り小学館に売り込みに行くとゆう誌上企画とかね。全然ダメなんだけど。

なんつーか、「絶対ブレイクしないだろうとゆう暗黙の了解の元に、『ブレイクするぞ〜』というネタをやってたヒトが、実際にブレイクしちゃった」のを、今リアルタイムで見ているワケ。ソレが何とも言えず「をかし」なのですよ。

まさか自分の子でココまで売れるとは、思わなんだろうよ。

西原理恵子の人生一年生 (2号)

西原 理恵子
小学館 (2003/04)
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↑持ち込み企画は「1号」だけど、ボッタクリ本です。そのかわり「2号」はボリューム・質・バラエティ感共に文句の付けようのない出来。

ゆずが天国へ

須藤真澄さんちの「ゆず」ちゃんが亡くなりました。オレみたいな熱烈なファンでなくとも須藤さんの読者であればまるで自分の猫のように愛おしく思っていたことでしょう。それこそ、もらわれた小猫の頃からずーーっっと、彼女のマンガによってその成長を追っかけてきたのです。安らかに、須藤さんを見守っていてね。

↓オレ的NO.1ネコマンガです。特に「外ネコ」飼いしてたウチなんかは、ホントにその気持ちが良くわかります。「家ネコ」的飼い方には未だに違和感があるんです。理屈はわかるんだけど。

ゆず

ゆず

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須藤 真澄
秋田書店 (2000/11)
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紫堂恭子『王国の鍵(6)』/内藤泰弘『トライガン マキシマム(11)』他

最近読んだマンガ。
●島本和彦『吼えろペン(13)』★★★★☆/ひとまず完。島本氏らしく力の入りまくった終り方。名言多し
● 中村嘉宏『オーバーマン キングゲイナー(3)』★★★☆☆/ビデオじゃ意味の分からなかった部分が理解できて助かってます。一層好きになった。
●紫堂恭子『王国の鍵(6)』 ★★★★★/最終巻。世界設定からストーリー構成から、もう何もかも見事です。最後であるこの巻も、『癒しの葉』のラストのような未消化感はありません。どちらもものすごく考えられたラストだと思うのですが…。コレは最初から最後まで隙無しのシリーズとなりました。ちょっと上手さが鼻につくぐらいの(笑)。うーん、自分的に『辺境警備』の次がこの作品だろうか。お疲れさまでした。
● 内藤泰弘『トライガン マキシマム(10)(11)』★★★☆☆/『ドラゴンボール』化しちゃってウンザリだったココ何巻かの展開に、一応ケリがつく。久しぶりに良い巻だった。
●福島聡『機動旅団八福神(1)』 ★★★☆☆/今後の期待大!
●TONO『カルバニア物語(9)』今読んでるトコ。

『鉄腕バーディー』ゆうきまさみ

ゆうきまさみ『鉄腕バーディー(1)〜(7)』(小学館YSコミックス)。
ずっと昔、まだ学生の頃同じタイトルのマンガを読んだ憶えがあるのに、何故か最新刊が出てる。しかも「リメイク」とかの説明も皆無。「???」と思いながらネットで調べたら、やはり、以前中途半端で終わってた作品を作り直したモノだそうだ。何でだか知らないがリメイクだって事は、あまりおおっぴらには謳わない方針らしい。記憶の中の『鉄腕バーディー』は、決して面白かったと言えるモノではなかった。

しかし。作り直した方のコイツはオモロかった。夢中になってしまった。宇宙からテロリストを追ってやってきた巨乳刑事が、どこにでもいる男子高校生のカラダに乗り移ってしまうという、オタク向けとしてはもう3万回くらい同じような話が作られてるんじゃないか、もう設定だけならオイラ聞いただけでウンザリですよとゆうようなお話のはず、なのに。

そもそもの最初の設定が何だかその場しのぎ的で子供じみてるのに、そのテケトーに広げた(ように思える)フロシキを、一つ一つ実に丁寧に綺麗にたたんでいる。デザインから世界設定からストーリーから、かな〜り隙がないですよコレは。こおゆう話にありがちな世界観のインフレもうま〜いカンジで抑えつつその先のストーリーへと興味を繋ぐ。これスゴい。職人芸。

少し前に読んだ『じゃじゃ馬グルーミン★UP!』の「競馬」といい、今回の「SF美少女取り憑きモノ」といい、自分的にはもう絶対にありえない位に読まないジャンルなのだ。ソレをこんなに夢中にさせちゃうゆうきまさみ。スゴいよ。地味にスゴい。あんましゆうきまさみブームになっちゃってブックオフで『パトレイバー』豪華本をまとめ買いしちゃった。やっぱしコレもオモロい。

そうそう、昔現役で『少年サンデー』を買ってた頃のゆうきまさみの印象が、今と結構違うのは何でかなぁって思ったら、勿論歳のせいもあるけど、やっぱりゆうきまさみのマンガって、単行本でまとめて読まないとイマイチその良さが分からないんじゃないかって思った。ストーリーの流れがかなり長期に渡って地味〜に組まれてるんだよね。

週刊誌っぽくない。『パトレイバー』もスゴいね。こんなの週刊で読んでたら(読んでる方の)テンション続かないよ。『究極超人あ〜る』は『サンデー』で読んでた頃の印象がサイアクだったんで買ってないけど、単行本で読み直したらまた違うのかね。

とにかく丁寧なんだ。脇役も全然脇役じゃない。実際にちゃんと「ソコにいるヒト」のリアル感が伝わってくるセリフ。一回出てくるだけの工事現場のおっちゃんが、ちょっとだけ喋るそのセリフが「普通」なのだ。主人公達もリアルだ。決して(「マンガ的」に)あせらない。それぞれのペースで本当に生活を続けているように感じられる。絵が嫌いじゃなければ、フツーにマンガ好きだったら、SF好きだったら、オススメします『鉄腕バーディー』。

鉄腕バーディー 8 (8)

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ゆうき まさみ
小学館 (2005/03/04)
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岩明均『ヒストリエ』

岩明均『ヒストリエ(1)(2)』(講談社モーニングコミックス)。キターー!!!前に読んだ『ヘウレーカ』は最期がちょいとガッカリだったけど、今作は途中にして既に傑作の気配。彼はアッサリとした絵柄と内容の残酷さとのアンバランス感が大きな魅力なんだけど、この描写力は中世の世界観とトテモ合っている気がする。

つまり、人間は現代と一緒なんだけど、ある部分の残酷さだけは全然違う昔の時代を、その人達を、例えばタイムマシンを通して現代から垣間見れたとしたら、その時感じるアンバランスさ、に似てる気がするんだよね。実際にタイムスリップしてその時代の人と交流してみたら、性格はそんなに変わらないし心は通じ合ったりするんだけど、ヒトを殺すことが普通に平気だとか。そんな不条理感が彼のマンガの雰囲気と実にウマくマッチしていると思うのだ。続刊が楽しみー!

ヒストリエ 1 (1)

ヒストリエ 1 (1)

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岩明 均
講談社 (2004/10/22)
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ABOUT

1999年のWEB日記時代から始めた個人サイト。ブログ移行にあたって過去記事も抜粋してアーカイブしています。
(HTMLサイト→SereneBachブログ→WORDPRESSブログと転移)

好きな漫画(2014年版)はこの記事の最後に。

最近は(インスタ)でアップしているTV・映画感想の投稿を、半年に1回くらい一気に転載しています。