カテゴリー: TV・映画感想

アトロク『NHKドキュメント72時間』特集


予告から楽しみにしていて…やっぱりの神回でした。
まず、制作者が決めている3つのルールというのがあって、これが初めて知る内容で、なるほど〜ってなった。

取り上げられる回はほとんど観ていて、分かる〜!それ〜!の連発だったし、観ていない回がめちゃくちゃ気になる。

●埼玉の盆栽の町の回(バレリーナの暗殺者の町って話に爆笑)
●小石川の植物園の回

この2つはすぐに観たい。

↑これはBRUTUS「NHKのつくりかた」号に2P掲載されていた、とある回の取材ドキュメント再掲。ドキュメントのドキュメント。スタッフの葛藤も語られていてファンは必読です。

今度自分の『72時間』ベストを選ぼう!と思った。72時間トーク会もやりたいなぁ…

※Podcastはあと2回分あって放課後Podcastも必聴

『スーパーマーマン』(J.ガン版)感想

『スーパーマン』を字幕IMAXで。
監督:ジェームス・ガン(ザ・ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーシリーズ)

【あらすじ】あの名作をガン監督が現代を舞台にしてリファイン。

【感想】
アトロクの力の入った特集を聴き、大期待で行ったのものの…いささかnot for meでした。
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『あんぱん』

水曜あんぱん。
昨日から衝撃の展開で号泣。

いつもの、いかにもなNHKスタジオ照明から、今日のキレキレの編集とカラーグレーディング!

なにより今期の朝ドラはちゃんと信頼できる、と思える脚本・演出でした。

あんぱん初投稿だけどちゃんと最初から全部観てます。

自分が朝ドラの観る・観ないを決めるのは、自分基準で「決定的にアウト」な脚本(セリフ)があるかないか、が一番大切な要素じゃないだろうか。

前番組(おむすび)では1週目に、農家と農協を巡る、圧倒的に・呆れるほど解像度の低い、恥ずかしい描写があって、ああいうことが通る基準ってもうだめだな…て思ったのを覚えてる。

『あんぱん』ではそういうのがなかった。
毎朝楽しみに観ています。

映画『SING SING』感想

『SING SING(シンシン)』をユナイテッド・シネマで。
監督はグレッグ・クウェダー(長編初作品)

【あらすじ】
無実の罪で収監された男、ディヴァイン「G」は、刑務所内更生プログラムである「舞台演劇」のグループに所属し、収監者仲間たちと日々演劇に取り組むことで、わずかながらの生きる希望を見いだしていた。そんなある日、刑務所で一番の悪人として恐れられている男、通称ディヴァイン「アイ」ことクラレンス・マクリンが演劇グループに参加することに。そんな中で演劇グループは、次の公演に向けた新たな演目の準備に取り掛かるが……。(映画ドットコム)

【感想】
90%以上黒人のおっさんしか出てこない激シブ映画ながら、実に優しく心強く、生きてく希望を感じさせる大傑作!!
そう、みんなこうやって生きていけば楽になるんだよ。

最後も気持ちいい。気持ちいいだけではなく、刑務所や法制度について色々考えさせる。

※『SING SING』というタイトルだけど別にミュージカルではないです。舞台になっているシンシン刑務所の名前で、元は先住民族の方がつけたその土地の名の、当て字だとか。

ほぼ刑務所の中だけで物語が進む、まるで舞台劇のような、会話劇のような。
アメリカ刑務所映画には当たり前にあった暴力、イジメの話が、意図的にほとんど排除されている。
イジメがない…まずこれがとってもfor meだ。

そのことも影響しているのか、途中まではどうしても「この人たちの罪状は?」が気になっていたのだけど、そのうち自然に気にならなくなる。「「罪人」としてじゃなくて、自分達と同じようにフラットな目線でそれぞれの事情を聞くのが当たり前なんだ」と思ってる自分に気付く。


加えてこの黒人の多さ。アメリカの司法制度が大いなる階級差別と人種差別の上に立っていることは常に問題になっているし、だからこそ「どんな罪を負って」を前提にして語ってはいけないのだ、ということにもうっすら気付いていく。(それについてはパンフレットの冒頭にむちゃくちゃ秀逸な「言葉遣いの注意」が書かれている。日本の映画パンフレット文化バンザイ!)


演劇の効能については、ブレイディみかこさんの書籍で読んで、なんとか小学校中学校のカリキュラムに取り入れてもらいたいと思っていて、「いきなり本読み!」では自分もその恩恵にあずかろうとしていた気持ちも、ややある。

だから弱気な感情を出すことが「オス的に負け」となってしまう刑務所内において、「感情を出せる」という演劇の効能が、どれほど大切なことかも、とても良く分かる。
(男性性からの解放という意味では、これもある意味フェミニズムとも繋がるように思う)

「俺たちは人間に戻るために集まっている」
(演劇チームの一員のセリフより)

最後のクレジットで、「AS HIMSELF」と書かれた役者名がずらーっと並んでいることに、驚愕した。(事前情報無しで観に行った)
まさか主役の一人まで本人だなんて。観終わった後も信じられない位。

刑務所モノなのに、なんて優しい。
プロセスを大切に、という大切なメッセージが染み入る。
めちゃ好きな映画でした。「最高刑務所映画」も更新されたね。

以下ネタバレ感想と感想Podcastについてメモ。

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映画『動物界』感想

『動物界』をAmazonレンタルで。
監督はトマ・カイエ(初長編作)

【あらすじ】
近未来。人類は原因不明の突然変異によって、徐々に身体が動物と化していくパンデミックに見舞われていた。”新生物”はその凶暴性ゆえに施設で隔離されており、フランソワの妻ラナもそのひとりだった。しかしある日、移送中の事故によって、彼らは野に放たれる。フランソワは16歳の息子エミールとともにラナの行方を必死に探すが、次第にエミールの身体に変化が出始める…。人間と新生物の分断が激化するなかで、親子が下した最後の決断とはーー?(公式サイト)

【感想】
結構前に観ているのだけど、今しばらくは読書モードなので感想書けなかった。

「映画館で観てたら今年No.1確定!」
という位に大好きな映画!

だからメモだけ残しておきたい。

●野生あこがれものというジャンルでは『ボーダー 二つの世界』を観た時を思い出す。

映画『ボーダー 二つの世界』感想

自分の中から沸き起こる得体の知れない自然回帰エネルギーを感じて、あっちの世界に行ってしまいそうになる。身を委ねるには少し怖いような、いいようのない魅力・快感。『ボーダー』を観た時は自分が自分でなくなるような感覚を味わったけど、これはどっちかというと親の目線もあって、もう少し客観的かな。

●親子もの(子離れもの)としても大傑作。Netflix『アドレセンス』は相当メンタル的にもキツい大傑作だったが、これは…なんというか人間の親子から、「生物の親として生まれた自分」を実感させられる。こういう気持ちを味わうのって本当に稀有で。

●子役の演技の良さもまた『アドレセンス』を思い出す。

Netflix『アドレセンス』感想

●実在する動物と、そうでない境界の生物の造形が見事。

●Podcast「映画雑談」がこの作品を扱った回は、彼らのラジオの魅力、何故彼らを信用できるのかという要素が詰まった傑作回なので映画を観た人にはぜひ聴いて欲しい。

Netflix『アドレセンス』感想

話題沸騰中のNetflix『アドレセンス』全4話完走。

同級生の女の子を殺した容疑で、ある日いきなり逮捕される主人公・ジェイミー(13歳)とその家族を中心に、事件の真相を追う刑事や心理学者、学生たちの姿を描く群像劇。


各話50分程度の話が、なんとすべてワンカットで撮影されている。その特殊な撮影による緊張感が凄いのだけど、この事前情報が邪魔して、最初はもう
「これ、紅白歌合戦のけん玉のごっついヤバい奴やん!俳優のプレッシャー半端ないで!」
とか思って笑、気になってしょうがなかった。

舞台演劇は確かに、1時間2時間ぶっつづけに演技し続けるしね、て最初思うけど…違う違う。
演劇は、たとえミスったとしても舞台は続く。

ワンカットドラマは、ミスるとNGになって、関係者全員が、最初からやり直しになる。その責任をそれぞれ一人一人が背負ってることになる。

結局、各話10テイクくらい撮ってるそう(ひえ〜)。考えただけで苦しい。

部屋から部屋の移動、車での移動、空からのショット、小路を走って逃げる子供、すべてを1カメで追いかける。会話シーンではお互いを交互に写し、回り込む。まぁ凄い。凄すぎて最初はカメラワークが少し雑音になってしまうが、2話の頃にはもう気にならなくなってしまった。

こういったワンカット撮影の技術面の話は、確かにとんでもないし近年見たことのないレベルなんだけど…
実は『アドレセンス』の肝ではない。

今の13歳の子供と家族、学校をリアルに描き、説明セリフもナレーションも一切なしに、じわじわと、殺人事件の真相を明らかにしていく脚本・演出の巧さこそがこのドラマの核心だ。

明確な説明はない。だけど観ているコチラは、4話を重ね気付かざるをえない。この狂気を、切なさを。ワンカット撮影のまるで現場をそのまま覗き見ているような効果と相まって、すべての演技が、心に刺さる。

特に思春期の子を持つ親にとっては、恐ろしい悪夢、でもすぐ隣にある悪夢なのだ。しんどい。

救いなのは、ジェイミーの家族が、この辛い時期を乗り越えようとお互い歩み寄っている様子だ。これがなかったら自分的には相当キツかった。

以下ネタバレあります。

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1999年のWEB日記時代から始めた個人サイト。ブログ移行にあたって過去記事も抜粋してアーカイブしています。
(HTMLサイト→SereneBachブログ→WORDPRESSブログと転移)

好きな漫画(2014年版)はこの記事の最後に。

最近は(インスタ)でアップしているTV・映画感想の投稿を、半年に1回くらい一気に転載しています。

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