カテゴリー: TV・映画感想

NHKドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』はじまる

NHK BSPドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』第一話。

えええ!なにこれ。ヤバい。大傑作の予感。
撮影・編集・演出・劇伴、めちゃくちゃかっこいい。これ映画じゃん?ていうルックの良さ。
俳優陣もなんだか皆、魅力MAX。

1話から観られて良かった〜!
岸田奈美さんの原作は未読だけど、noteは購入してかなり読んでるファンから観ても、岸田文のペーソスがにじみ出ているかんじ。いい。

演出誰だろう…と思ったら…大九 明子さん!
『勝手にふるえてろ』『私をくいとめて』の監督だ。

主役陣の他にも『舞妓さんちのまかないさん』以来の福地桃子がこれまた1話から魅力爆発。最高。

これからも楽しみだ〜!

朝ドラ『らんまん』東京編へ

東京編になってからどんどん好きになってる『らんまん』。

研究室のこの2人が本当に大好きなんだけど、今日(6/14)の、夢中になってる万さんの後ろでの会話、すごく良かったな。脚本の会話センスがいいのよ。そしてここに竹雄が参入!もう最強布陣。最高多幸感。朝ドラありがとう。なんなのこの可愛さ。

この後の、寿恵子(浜辺美波)とダンス先生とのやりとり、「愛に生きろ」…ベタ過ぎるほどベタなのに演技と演出で泣かせる。

今週ずっと良くって盛り上がっていって、この後どうなるんだろう。楽しみ。

『マイ・ディア・ミスター』再見

最近また『マイ・ディア・ミスター』を完走した人と話す機会があり、今見ている韓ドラもそこまでハマっていない事もあって、つい10話から見始めたら…あっという間に最終回まで突っ走ってしまった。これ連休中に再見予定で最初からにすれば良かった…

とにかく見どころが多くて、ぐっときたポイントを後で話そうと思っても色々忘れているんだよね。

なので今回はメモをとっておいた。
12話くらいから最後まで。2回目〜3回目なのでちょっと脇道の方なのかな。

●終電に間に合わそうと会社の皆で走っていくシーン

●父が昔言ってた。「なんてことない」と。今は誰も言ってくれない。
だから自分で自分に言い聞かせる。

●ドンフンが常務になり兄弟と母が抱き合って喜ぶシーン。
その後ジョンヒの店から帰るお母さんとドンフンの挨拶。

●ユニ「あの子は全力であなたを守っていたわ」

●ドンフン「感謝している。
情けない俺の人生を聞いても、味方してくれて。」

●1番温かかった言葉が「何か要るか?」だった。
おばさんに言ってた。

●ハルモニが亡くなった時のIUの演技

●最後の「ファイティン!」

家族・友人・幼馴染みとの絆。
そして、それ故の呪縛。

以前は「物語としては大好きだけど、自分にはこの呪縛は厳しい…」と思っていた。だけど今回また見直して、その呪縛の安心感をたっぷりと感じている自分も居て。

要するに、そんな簡単に良いも悪いも言えない話ってことなんだけど。描きたいことがまた分かったように思えました。

やっぱりキャラ全員について話したくなるよね…。

どうもここしばらく、このベスト3どころか完走できる作品にも巡り会えてなくて、だから次はスタッフから繋げて『ミセン』(ドラマ版・監督と脚本が同じ)に行こうと思う。

しかしキム・ウォンソク監督って作品少ないのね…そして検索しても4作品しか出てこないTVドラマの中の2つがマイベスト3だという…(もう1作は『シグナル』)。最近作の情報ご存じの方がいらっしゃったら、教えて欲しいっす。

映画『人生はビギナーズ』感想

『人生はビギナーズ』(2012)をAmazonレンタルで
監督はマイク・ミルズ(『20センチュリー・ウーマン』)。

なんで『カモンカモン』も観てないのにこれ…と自分でも思うけど、気分なんだよ気分!
ずっとプレイリストに入ったままだったこの作品、昨晩になって急に「これだ!」てなって。

まんまと良かったです。

【あらすじ】
38歳独身男性オリバー(ユアン・マクレガー)は、母の死後、75歳の父(クリストファー・プラマー)からゲイであること、これからはゲイとしての人生を謳歌することを宣言される。美術館長を務め仕事一筋の厳格だった父に、やがて若い恋人ができ、話し合う機会も増え、次第に父がどういう人生を送ってきたかを垣間見るようになる。そんな中パーティーで出会った女性(メラニー・ロラン)と、おっかなびっくり恋に落ちていくのだが、彼女も父とは複雑な関係を持っていたのだった。

まずこのカミングアウトしたお父さん:クリストファー・プラマーがむちゃくちゃキュートでオシャレで最高過ぎる。お父さんの映画だよね…

恋愛にはまったく縁なく、恋愛メインのドラマ映画にはほとんど興味を持てない自分でも、なんだか恋したくなったよ!違うな、他人の恋のほにょほにょに浸りたくなったよ!恋愛映画としてもとっても魅力的だと思う。

お父さんがゲイのグループに入ってまさに人生の最期を謳歌するさまと、過去の両親の微妙な空気感が、交互にカットバックされ、彼の人生とは、を考えさせる。
またこの亡くなったお母さんもソーキュート。

主人公のとんでもなく繊細で気ぃ使いなオクテ中年をユアン・マクレガーが見事に演じている。この優しさには恐れ入る。皆こういう人と結婚した方がいいと思う。ただユアンは大変そうだ。

いやな人は誰も出てこない。だけど皆が少しずつあるいは大幅に食い違って、時に傷ついて、でもなんとか自分を少しずつ変化させて、ビギナーズから先に進もうとしている。自分の人生を生きるために。

とっても好きな映画です。

映画『秘密の森の、その向こう』感想

『秘密の森の、その向こう』をAmazonレンタルで。
監督はセリーヌ・シアマ(『燃ゆる女の肖像』など)。1時間12分。

【あらすじ】
おばあちゃんを失った8歳のネリーは、両親と共に森の中の実家を片付けに行く。そこはお母さんとお婆ちゃんの思い出が詰まった場所。お母さんが悲しみに堪えきれず出ていってしまう中、森の中で遊ぶネリーは、自分と同い歳で同じ顔、しかもお母さんの名前マリオンを名乗る少女と出会う。彼女の家に招かれるとそこは、実家とまったく同じ家だった…。

あらすじだけ見ると「すこし、ふしぎ」風なのかと思うが、そんなテイストやルックはほとんどないまま、静かに静かに物語は進んでいく。もう1つの実家のお母さん(若い頃のお婆ちゃん)は、自分の娘と同じ顔をしたネリーのことを全然不思議がらず普通に出迎える。

森の中で小屋を作り、料理を作り、親友のように遊ぶ、同じ顔をした二人を淡々と追うカメラ。

主役の女の子二人を(恐らく双子の)姉妹が演じていて、その感情をあまり表に出さない演技と、余白のある演出が、映画全体の雰囲気を独特のものにしていた。ただし眠い時には要注意。

尺が1時間少しと短く、物語は淡々と進んでいくので、このまま大きく感情が動かされないままに終わるのかな…
と思いきや。
最後やられました。余韻が素晴らしい。

「時を超える感動」が1番強い。自分内セオリー。

after6junction 『渡辺あや特集』

after6junction 『渡辺あや特集』by岡室美奈子(早稲田大学教授)。

よくぞやってくれました。というか、今まで1回もやってなかったのにびっくり。

朝ドラ『カーネーション』で一気に知られることになった脚本家・渡辺あやさんは、そもそも手掛けている作品自体がそんなに多くなくて、wikiで出てくる殆どの作品を自分は観ている。
(『その町の街のこども』は何故か配信をやっていなくて未見なのがなんとも悔しいのだけど)

元々雑貨店経営&主婦をやっていた女性が、岩井俊二のシナリオ応募コーナーで見初められ、『ジョゼと虎と魚たち』で脚本家デビュー。その後いくつかの映画を経て、初めての連続ドラマ脚本が『カーネーション』というのもすごい。

今回は尺の関係か話を絞ったのだと思うのだけど、渡辺あやさんはあちこちの取材で「プロデューサーとの相性を大事にして、プロデューサーの「人」を見て、その人がやりたいと思った企画を実現する」「その人が本当に自分の中から「描きたい」と思った題材かどうかが大事」というようなことを語っている。

自分が描きたい題材なんて特にないし、社会派という訳でもない。ただ製作者が心から描きたいと思った題材に共感できたら、それを一緒になってできるだけ実現する、というような話だったと思う。

つまり渡辺あやさんの来歴を語る時には、だれが企画をはじめて渡辺あやさんを口説き、製作したか。というプロデューサー話がセットで聴きたいんだよね…。

たとえば『ワンダーウォール』の企画を渡辺に持って行ったのは、当時まだ駆け出しだった(たしか)NHK京都のプロデューサーで、そのしつこい情熱にほだされて、当時多くの製作者が口説き落とそうとしてできなかった渡辺脚本を勝ち取った、みたいな話だったり。

『エルピス』の佐野亜裕美Pは脚本ができているのに実現できず、TBSを退社し、5年越しでカンテレで実現した(その間、やりたかったことを先に実現するために渡辺さんはNHKで『今ここにある危機とぼくの好感度について』を書いた)というなりゆきだったり。

一貫して彼女は「単純な二項対立を避ける」「その中でも個人は変わっていける」というとを描いていると岡室さんは語っていて、なるほどと思う。

最後、特にスッキリする訳ではない。巨悪を倒す訳でもない。ポイントはそこではない。だけど本当に感動してしまう。そんなドラマの特徴って、大好きな野木亜紀子さんとも通じるところだよな…。でもその一部分は、今の地デジで通すための作り方でもあるのかも。

もちろん、制限や縛りが名作を生むことは多々ある訳で、今の我が国メディアの、何1つお上には文句を言えない閉塞・窒息状態は、ある意味名作を生む土壌になっているのかも知れない。いやいや、全然良い状況ではないですよ。最悪なんですけど。

映画『線は、僕を描く』感想

『線は、僕を描く』をAmazonレンタルで。
監督:小泉徳宏(『ちはやふる』3部作など)
主演:横浜流星、清原果耶

(あらすじ)大学生の霜介(横浜)が水墨画の世界に目覚め、やがて自分の心の問題とも向き合っていく。

すごく良かった。『ちはやふる』3部作までに思い入れは及ばないけれど、主役2人の心の機微を深く静かに描く演出が好み。

三浦友和演じる大先生と、孫で水墨画の新進作家・清原果耶の関係を縦軸に、主人公・横浜流星と家族の悲劇・友人との関わりが横軸になって、物語が進んでいく。そのバランスがいい。

撮影の迫力と劇伴とのマッチング!「饒舌な劇伴」とはおよそ揶揄する時に使っているけど、今作では要所に絞られ、クライマックスを盛り上げている。
(しかしいきなり歌が流れるあの箇所には戸惑った。ちょっと勿体ない)

説明セリフや説明カットが殆ど無いのもいい。「ここであの思い出カットが入るかな…」と心配しても、まず入らない。思い切りがいい。

『ちはやふる』3部作からの既視感(アングル、照明、音楽)はあらゆる処にあって、それは題材が日本伝統のものだったりするからなおさらなんだろうけど、でも自分はその既視感はまったくマイナスにはならなかった。何度もぐっときてしまう。

横浜流星が素晴らしい(彼の他の作品を観たことは殆どない)。

今作のファーストシーンは、彼の顔のアップがずーっと続くだけ。
ただ何かを観て感動しているその表情。その後、観ていたものが何なのか分かるのだけど、この最初のシーンが、後でいくつものストーリーと噛み合い説得力を増していく。

江口洋介もいい。ハマってる。清原果耶の演技も文句無しに素晴らしかったけど、完全に個人的な問題で『モネ』を完走した後だとさすがにダブり感がある。まったく違う女優だったらもっと集中できたのかも…とは思った。

『ケイコ、目を澄ませて』に続く三浦友和師匠。すっかり重鎮だな。これも自分的には三浦友和感を100%拭いきれず10%くらい残っているのだけど、でも良かった。

富田靖子の初登場カットがまったくそれと分からない位上流階級おばちゃん感満点で驚いた。

そして何より、最後まで主人公2人に恋愛感情のカケラも発生しないのがいい。最高。これが出ちゃうと急に凡百。

そもそもの水墨画の魅力に気付かせてくれる内容でもあるし、『ちはやふる』じゃないけどこの映画きっかけで水墨画をやってみたいと思う若者も結構出てくるんじゃないか。水墨画の描写がとても効果的だった。なんでもコロナの延期もあって、横浜流星は計1年ほども練習して臨んだそうだ。

この映画、入りはどうだったんだろう…残念ながら自分の知る限りでは然程話題にはなってなかったようだけど。#アトロク で宇多丸さんがかなり褒めていて気になっての鑑賞でした。

NHK単発ドラマ『ももさんと7人のパパゲーノ』

今日家でお昼ご飯食べながら観たNHK『ももさんと7人のパパゲーノ』。オンデマンドで。
サムネールが気になって観ただけで、前情報はゼロ。

最近あまり感じたことのない不思議な後味。最後はちょっとすっきりする60分ドラマ。撮影も音楽も編集も抜群にセンスがいい。古舘寛治のナレーションも素晴らしい。伊藤沙莉主演。

何なのだろうこれ…と思って検索してみたら、

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NHK福祉番組ハートネットTVが運営するサイト「自殺と向き合う」に寄せられた声と、投稿してくれた人たちへの5年半の取材を元に制作しました。

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とあった。

「パパゲーノ」とは「死にたい気持ちを抱えながらも“死ぬ”以外の選択をしている人」を現す言葉で、その人達の話を聴くことで自殺願望が収まるようなケースを、オペラ『魔笛』の登場人物になぞらえて呼んでいるそうだ。

NHKには「わたしはパパゲーノ」なる別サイトもある。自殺対策プロジェクトのようで、その内容やアプローチの仕方に、自分はかなり救いを感じた。誰だって他人事じゃない。いざとなったら読むべきところがある。その時にちゃんと、必要としている人の、目に入りますように。

自主朝ドラ 『ひよっこ』

現在、#自主朝ドラ は『ひよっこ』乙女寮のあたり。
脚本は岡田惠和。

昨年末に『#あまちゃん』を観終わって、そのあまりの完璧さに驚き、将来に渡ってこれ以上の朝ドラはまず生まれないだろうという実感をあらたにした。作品の完成度以外にも、世の中のタイミングという要素があって、これは如何ともしがたい。終わった後しばらくは、とても他の朝ドラを観る気にはならなかった。

次に観ると決めていたのが『ひよっこ』。
見始めてまず、お父さんが行方不明になるのが2週目だということに驚いた。え、すぐじゃん。この不穏感は以後シリーズ通して全体のバックに流れ続けるが、それを忘れさせるドラマの明るさとポジティブさに救われ、忘れた頃にお父さんのシリアス話が挿入される。このバランスがいい。

松本穂香を初めて認識したのもこのドラマだし、大好き小島藤子との出会いも乙女寮。そして今やエンタメ界を席巻する伊藤沙莉を見出したのもひよっこじゃなかっただろうか。

でもこの幸せな乙女寮も、あっという間に最後を迎えることを知ってるので。できるだけゆっくり観ようと思う。

この乙女寮編が終わりを告げた時は随分ロス気分だったのだけど、ひよっこはこの後も楽しみが沢山あるんだよな!(自分のブログを観て思いだした)そうだ!

朝ドラは日々の俺メンタルに、思っているよりずっと影響を与えているんじゃないかと思う。

新潟で『童夢』実写映画パイロット版上映決定!

大友克洋による『童夢』実写映画!の7分の未公開パイロットフィルムが上映される。
新潟国際アニメーション映画祭で。

大友自身の監督作ということでそこはかとない地雷感ありつつも笑とにかく観る機会が得られたことが何より嬉しい。楽しみにしています。(残席僅か。もうないかも)

童夢、今韓国でリメイクしてくれたらハマるだろうな。

幻魔大戦も久しぶりに観たい。誰もが大友のキャラクターデザインと『光の天使』は覚えている筈。でもそれより何より、金田伊功の関わったアニメが今劇場で観られるというのが自分的にはエポックだ。

同映画祭では、恐らく新潟市では初めて?(未確認)の『ゴティックメード』が、監督と奥さんのトーク付で上映される。ディスクも配信も無く劇場でしか観られない作品なので、こちらも本当に嬉しい。身の周りでは永野護FSSのファンは2人しかいないのだけど、その2人とも無事上映に行けそうで、その後はFSS呑み会をやるというお楽しみ付き。

#新潟国際アニメーション映画祭、ありがたいっす。

映画『BLUE GIANT』感想

映画『BLUE GIANT』をTジョイ万代8番スクリーンで。
監督:立川譲。
自分は原作のファンで今も読み続けている。

これは先に知っておいた方が良い気がするので書くけど、映画の舞台は日本編。

アニメ技術の問題とか、日常シーンの細かい演出で、言いたいことはモロモロあれど、ライブシーンの迫力ですべて蹴散らされた。凄すぎる。

これはもう映画じゃなくて、体験したことのない映画館JAZZライブだ。最後は涙。

「映画じゃなくて、体験したことのない試合観戦」だったのはスラムダンクだったけど、そういう意味では似てる。
ライブ時のトリップ体験みたいなのをビジュアル化してて、これは発明。

しかしスラムダンク以降、アニメ技術への基準が上がりすぎて困っちゃう。あれ見ちゃうと。
今作もライブシーンのみモーションキャプチャーCG使ってるんだけど、そこだけヌルッとしてて違和感。だけど何回も書くけど、そんなん関係ねぇ。

LPを模したパンフには、上原ひろみさんの作曲へのこだわりが書かれていた。

あんなに長いライブシーンをいくつも入れて、それで飽きないどころかどんどんアガっていくのってめちゃくちゃ難しいと思う。原作を読み直すと(何しろ最初に読んだのはもう6、7年前だ)曲の名前もちゃんと映画でリンクしているのが分かる。漫画で読んだあの曲を、上原さんがすごい精度で作曲したらしい。

この映画のクライマックスになっている、あのショッキングなシーンは、北書店が未だあそこにあった時期に隣のプライムで辛いカレーを食べながら読んでた。163週前らしい。読後しばし呆然となってたのを覚えている。

その衝撃事件を見事に回収してくれる、オリジナル展開がこの映画にはあって。リアルタイムで読んでた人は、読み返してから観るのもいいかも。賛否あるかもだけど、自分は号泣でした。

劇場で大音量で聴くジャズの洪水とビジュアル。
なんか楽風舎の感動も思い出した。
「劇場で観なきゃいけない度」はここ数年で間違いなく1番。音の良いTジョイの、小さな8番という箱も最適。見逃さないで本当に良かった。

いやもう、よくぞやってくれました。という映画化だった。実写じゃなく(演奏の嘘が気にならない)アニメで良かった。あざーす!

『私の解放日誌』のzine『私たちの“解放日誌”』読了

Netflix『私の解放日誌』のfan-zineである『私たちの“解放日誌”』をやっと入手。何故かずっと通販できないものだと思い込んでた。タバブックスWEBサイトより。

読み始めたばかりだけど、まず冒頭の

「(中略)完走後の謎の爽やかさに圧倒されまして(笑)。自分が思ったことより、人がどう感じたかがすごく気になってたんです。」

「あまりにも言葉で語るのが難しいのに、語りたくてしょうがなくなる。「誰か!私と感想を語り合ってください!」と街中でプラカードでも掲げたいような気持ちになっていたので今回お話できて本当に嬉しいです」

これ、去年8月に『私の解放日誌』を完走した後、いてもたっても居られなくて、インスタDMで声をかけまくって急遽開催したZoom呑み会の、あの時の心境そのままですね。

その節は参加していただいた皆さん、ありがとうございました。本当に楽しかった…

zineとは言えそれなりのボリュームもあって、でもきっと読むのはあっという間なんだろうなぁ。
楽しみです。

※タバブックスでせっかく通販するならと思い、最近買い逃していた『仕事文脈』を3冊まとめ買いできたのも良かった!

映画『NOPE』感想

『NOPE』をAmazonレンタルで。
監督はジョーダン・ピール。

怖いのがかなーり苦手なせいで、ジョーダン・ピールの監督作はどれも観れていない。

でもこれは怖くなかった。面白い!!!

予告編とはちょっと違うイメージ。S.キング映画っぽい楽しみ方だったかも。
ディテール、衣裳、美術、撮影、とても好み。

「良いお兄さんが出てくるのは、大抵良い映画だ」
という持論がまた裏付けられた。

映画『金の国 水の国』感想

『金の国 水の国』をユナイテッド・シネマで。
監督:渡邉こと乃/原作は大好きな岩本ナオ。

十二分に、とは言わないまでも原作の凄さをちゃんと映像化できていたと思います。とても良く出来ていた。

最近観たアニメが『THE FIRST SLAM DUNK』と『ONI』位なので、アニメ技術に対する期待が凄く高い状態だったから、正直あちこち気になったりしつつ、でも改めてマッドハウスさすがだと思ったり。

ここを押さえなきゃ、というポイントはちゃんと押さえられていたと思うし、一般ウケを狙ってラブストーリーを妙に前に押し出すこともせず、2国の外交というテーマでちゃんと芯が通されていて、だから観ていてとても気持ちが良かった。サーラとナランバヤルがどういう人なのか、あまりズレずに描かれていたと思う。

気になったところは…

●上映終了後に監督と主役2人の声優の対談みたいのが流れる(最近のアニメだとこういうの良くあるの?)。
映画の余韻を壊すだけで特に嬉しい情報もなく、観ないで出てきてしまって大丈夫だよ〜!(会場暗いから厳しいかも知れんけど)
何故こんなの流すのか、分からない。「今」じゃないよね?

●サーラの声、もっとおっとりしてた方が良かったなぁ。最後には慣れるかと思ったけど…。悪い意味でキレイ過ぎるかんじ。

●劇伴があまりに饒舌過ぎる。邦画の良くないところ。

●ポイントは押さえられているんだけど、そのポイントを繋ぐラインのディテールが結構端折られていて、多少え?え?というところがあって。いやこれはどうすればというより尺を延ばさない限り凄く難しいと思う。結果的には原作未読の人がきっと気にならないレベルになっている。しかし原作ファンとしては、いくら脳内補完しても多少大味に感じられた。

とても良くできたアニメ化だと思います。

NHK特番「私の『大奥』語り」感想

2/5にやっていたらしいNHK特番「私の『大奥』語り」をオンデマンドで観た。

冨永愛 、風間俊介 、森下佳子 、大森望が、主に『大奥』原作の好きなところを語りまくるという内容で、原作の終わり方まで言及している。

脚本の森下佳子さんって、俺の大大大好きな
『JIN』TBSドラマ版
『だから私は推しました』
なんかをやってる人なんだね。こないだのZoomで教えてもらった。

『JIN』いったい何回観たことか…(ガタ子さん風に)

森下さんが元々からの原作ファンで、どういうところがグッとくるかを話していて、もちろん脚本家さんだけで良いドラマが約束される訳ではないけど、でも1つ安心できたというか。これまでのドラマ10『大奥』に感じる原作愛の理由を、ちょっと垣間見れた気がした。

原作『大奥』が終わった時に、これは本当にとんでもないものを作りおったぞよしながさん、と思ったんだけど、その時点ではあくまで個人的な世界での話で…

なんというかよしながふみ作品に限らず好きな少女漫画のいくつかは、いつまで経っても「自分達だけが分かるもの」みたいな思い込みが、無意識下にあるよな。

でもこの大傑作は、いよいよ本当に世界を席巻しちゃうのかなって、番組を観て初めてちょっと思った次第。

Netflixドラマ『舞妓さんちのまかないさん』感想

『舞妓さんちのまかないさん』は、前回ポストの直後に完走。

7話で泣いて、8話(ゾンビ回)で爆笑して、最終9話でじーんとして…。この後半の畳みかけがマジ凄かった。

数日後にはまた1話から見直して、もう2週目完走目前。

いやほんと、辛くてもこれ観てる時だけは、異次元に浸っていられるんだよね。ユートピア。

きっと30年前に作ったとしてもその多くは変わっていないような舞台なのだけど、今ならではの細部のこだわりがテンコ盛り。そしてコロナ下の今見るべき共同体の姿ではないかと是枝監督が話してた。

Netflixの資金と川村Pのプロデュース力が集めた最高のスタッフ・演者達による、これまで日本では見たことのないような超豪華な「日本ドラマ」。ほんと見たことない精度と画作り。神は細部に宿る。

もう言いたいことだらけだけど、俳優に関しては前回書いたので、自分的には「種田陽平の美術!」
舞台となる舞妓たちの住む屋形のリアルさ!生活感!あれだけ見ていたい位。これがロケじゃなくてセットだってことを後で知って驚愕。

資金がなくても面白い映画は作れるだろうけど、やっぱりお金だよ。そのために、世界に通じるものを作るために、皆頑張ってる。頑張れ。応援しています。

最近の仕事BGMはもっぱら今作のサントラです。

Netflixオリジナルアニメ『ONI』感想

Netflixオリジナルアニメ『ONI』
監督・原案:堤大介
全4話一気完走。

今の世でトトロになり得るアニメ探すとしたら、これだろうな。
小さい子と観るのにもおすすめ。でも一緒に観ててボロ泣きしてしまい、ちょっと参った。

内容を知らずに観た方がいい。
2話最後まで観ると「ええー」てなる。

ぬいぐるみのキャラクターのような可愛い「神」たちの物語が、今の自分たちの問題をあぶり出す。ベタベタな話だけど、ベタベタな話を説得力を持たせてつくることが、どれだけ難しいことか。

神の世界の自然や建物のアートワークが超絶美しい!原型にあるのは日本の民話世界で、そのリファインセンスに痺れる。
特になりどんの家と学校!ジオラマ欲しい。かっぱのぬいぐるみも、欲しー!!

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制作はピクサーでアートディレクターを務めていた堤大介とロバート・コンドウが2014に立ち上げたスタジオ:トンコハウス。SCバークレーとその後金沢市にも設立し日米の二拠点体制。

堤さんは俺も買ってたあの『スケッチ・トラベル』(一冊のスケッチブックに71人の著名なアーティストが一枚ずつ絵を描き、手渡しで世界中を巡る)の発案者らしい。設立者2人が手掛けていたのは『トイ・ストーリー3』『レミーのおいしいレストラン』『モンスターズ・ユニバーシティ』などなど。大好きな作品ばかりだ。

『ONI』を観終わり色々知ったばかりなので、これからアトロクの特集やインタビュー聴いたりどっぷり世界に浸ろうと思います。立川の展示も行きたい…なぁ。

映画『ケイコ 目を澄ませて』感想

『ケイコ 目を澄ませて』をユナイテッドシネマ新潟で。
監督・脚本:三宅唱(『きみの鳥はうたえる』)

ろう者の女性プロボクサーの自伝本を原案に、岸井ゆきのが主役を熱演。
それほど大きな事件は起きないが、劇伴もなくセリフも少ない中で常に画面と音に集中させられる稀有な体験だった。

映画は皆そうと言われればそうかも知れないが、「人生」の映画だと感じた。人はどう思い、誰と出会い、どう影響されていくのか。その様子をつぶさに、でも説明することなく16mmのフィルムに焼き付けた美しい作品。

2/2までの上映延期が決まったので、気になる人は劇場を逃さない方がいいと思う。

以下内容にも触れています。

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Netflixドラマ『舞妓さんちのまかないさん』感想

Netflixオリジナルドラマ『舞妓さんちのまかないさん』
5話まで鑑賞(全9話)。
原作は未読。

総合演出:是枝裕和
企画:川村元気
監督・脚本・演出・編集:津野愛(分福)、奥山大史、佐藤快磨他
脚本:砂田麻美(分福)他
音楽:菅野よう子

待ち構えていたシリーズがいよいよ配信開始。是枝監督率いる分福所属の人達がかなり関わっているよう。(以前の『マイスモールランド』の監督も分福所属)

期待以上のクオリティだった。

通しての空気感がすごくいい。大きな事件もきっと起こらない静かなドラマだけど、やめられない。そしてずっと観ていたい。大好きな是枝監督の『海街diary』、あれもずっとやっていて欲しいやつだった。似ている。

(海街は姉妹だけのお花畑ユートピア感があまりに非現実的で、しらけちゃうって女性がいたけど、だから今作もそんな印象を持つ人がいるのかも?)

菅野よう子の劇伴が海街と最初すごく似ていて、海街のサントラを未だに聴いてる自分は「あれ?使い回し…?」と一瞬思ったほど笑

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第一話。

今まで見たことのないような豪華キャストのつるべ打ちと、「ドラマ」枠を遙かに超えたルックの凄さに圧倒されて、すぐには満喫できない。落ち着かない。キャラ新登場のたびに「ええ!」「この人!」「この人まで!まじか!」と好きな人が次々に登場して、驚いてばかり。

これはつい最近味わったばかりの気持ち…
是枝監督の『ベイビー・ブローカー』を観た時のあれだ。

好きなキャストをざっと挙げただけでも…

森七菜
蒔田彩珠
松岡茉優
橋本愛
常盤貴子
福地桃子
前田航基
井浦新
森崎ウィン
リリーフランキー
尾美としのり
古舘寛治
白石加代子

もちろんただ配されてるなんて訳じゃ全然なくて、それぞれの魅力を十分に演出されているから…(やっぱ是枝演出は好き)お話自体にはちょっとあざとさを感じるところもありながら、キャストが出揃ったあたりからは、少しずつ落ちついて見られるようになって、その頃には夢中。みな「京都のひと〜」てなってる。

青森から舞妓になるため出て来たキヨとすみれ。仲の良い幼馴染みの関係が、舞妓になる人:食べさせる人、になって続いていく様が最初のキュンポイント。

その次は何と言っても橋本愛と松岡茉優の競演!
常に芸妓のトップを走り続ける橋本愛演じる百子(ももこ)。所作から舞から佇まいから喋りから、説得力が半端ない。

出戻り芸妓:吉乃を演じる松岡茉優。芸妓としての技量は百子に及ばないものの、屋形の中でのムードメーカーとなり如才なく立ち回るだけでなく、そのコミュ力で廻りの人の関係を穏やかに収めてしまうなんか人生の達人ぽいひと。

この2人の、ライバルだけどお互い認め合っている様子が二つ目のキュンポイント。

常盤貴子に惚れてる井浦、その後輩の森崎ウィンは橋本愛に惚れていて…。福地桃子やモネの坊さんこと前田航基君の脇ヂカラも強力。百子と主演の片割れ:すみれとの師弟関係など、幾重にも縦糸が走っている。
あと自分は常盤貴子大好きなので…。今作の常盤貴子もすごくいい。
飯島奈美さんのフードスタイリングは言わずもがな。

観終わるのが寂しいなぁ。
映画『海街diary』好きな人は必見。

映画『マイスモールランド』感想

『マイスモールランド』をAmazonレンタルで。
監督は川和田恵真(分福)、主演は嵐莉菜。いずれもマルチルーツを持つ混血の2人。嵐の実際の家族が、劇中でも家族を演じている。

「埼玉に住む17歳のクルド人サーリャ。
すこし前までは同世代の日本人と変わらない、ごく普通の高校生活を送っていた。
あるきっかけで在留資格を失い、当たり前の生活が奪われてしまう。
彼女が、日本に居たいと望むことは“罪”なのだろうか――?(公式サイト)」

エンドクレジットを観る頃には感情が抑えられず霞んで良く見えなかった。
感動、というより心が震えるという感じ。

でもあの大切な一文は見逃していない。表立っては名前を出せないが、多くを協力していただいたクルド人の皆へ、という謝意。映画制作前の在日クルド人への取材は2年にも渡ったそうだ。

何故今作を当事者配役やドキュメンタリーにしなかったかと言えば、実際にお上の機嫌を損ね当事者に被害が及ぶ可能性があったからだそうで…。

我が国の人権意識のレベルや人権侵害の程度をこれ以上なく分かりやすく提示してくれる作品だけど、
勿論それだけではなくて、リアルな脚本と静かで適切な演出、撮影:四宮秀俊(『佐々木、インマイマイン』や『ドライブ・マイ・カー』等)による確かな画作り(グレーディングは共同製作のフランスにスタッフが赴いて一緒に行っているそう)、キャスティングの見事さ、主役のリアルな演技…

ロットバルトバロンのED曲がまた素晴らしく良くて、これは昨年リアルタイムで観ていたら年間ベストになっていたかもなぁ。

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主役の嵐莉菜の繊細な演技が素晴らしかった。今後も大期待。

コンビニでの、おばあちゃんとのやりとリ
「お人形さんみたいね」「日本語お上手ね」「いつか帰るんでしょ?」
自分達の「ガイジン」意識を一瞬で、これでもかと見せつける名シーン。

この作品は、ぜひ地上波で放送して欲しい。

※クレジット見て池脇千鶴が出ていたことにびっくり。言われても気付かない位。さすがだわ…

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1999年のWEB日記時代から始めた個人サイト。ブログ移行にあたって過去記事も抜粋してアーカイブしています。
(HTMLサイト→SereneBachブログ→WORDPRESSブログと転移)

好きな漫画(2014年版)はこの記事の最後に。

最近は(インスタ)でアップしているTV・映画感想の投稿を、半年に1回くらい一気に転載しています。