朝ドラ『らんまん』最終週へ

いよいよフィナーレの『らんまん』。

最後まで来てまたドン下げか!という関東大震災(まぁ史実だからしゃあないのだけど)が起こりまた辛すぎる日々。

今週驚いたのがすえちゃんのこのセリフ。

目が見えなくなっても八犬伝を完成させた馬琴先生のことは、身分の違う特別な人だから出来たんだと思えた。でも図鑑を完成させようとする夫に対しては「万ちゃんを特別と思いたくない」「あなたは特別だから描けて当たり前って、そう思いたくないんです」というセリフ。

これってある意味、有名人をモデルにした朝ドラでは、メタな含みも感じるよな。て思って。
こんなセリフ、朝ドラで聞いたことないな。すごいなーと思った。

あと金曜のあさイチ、神木君の登場回。まぁ充実しまくっていました。最高。
この中で仲良しの志尊淳との役作りエピソードが色々紹介される中で

「万太郎がこのままでは嫌われ者になってしまう。なんとかそれは避けたい」

と、前後のセリフを工夫したり、竹雄のセリフ、それに対する万太郎のやりとりの声のトーンをコントロールしたり、恐らく相当な手入れと調整をしていることが感じられる話をしていた。

こういった名優(=名演出家でもある)たちの数多くの工夫によって、あの愛すべき万ちゃんが最後まで愛されるままでいられたんだな。

それができてない例って、今までの朝ドラで山ほど観てきたよね。愛したいけど、これでは愛せないよ、ってゆうディテールの杜撰さが、どこまで俺たちの思い入れ・没入を阻んできたことか。
愛されない主人公級のキャラ、いっぱいいたのですよ。これまで。
それを避けることができたらんまん、すごい。

あさイチは脚本家・長田育恵さんのコメントにもぐっときた。万太郎の「自分は競っている。人間の欲望と」ってゆうセリフ。明らかに戦争も指していて、今だからこそのすごいメッセージの強さを感じて、めちゃ印象に残っていた。ああこのドラマはちゃんとやる気なんだ、と。

このセリフなんと神木君のアイデア(本人覚えてなかったみたいだけど)。長田氏自身だけではあまりに強くて書けない言葉だったと。それを神木君が言ってくれたことでふっきれて、以降の脚本にも影響が大きかったそうだ。

裏側を垣間見れて楽しかった。

さて最終週だ。

映画『檸檬色の夢』限定配信

岩井俊二の過去作『檸檬色の夢』が、21木まで限定公開されているのを知ったのはインスタのタイムライン。お知りあいが美術関係を担当されていたらしい。岩井監督で主演が蒔田彩珠!

ええ!観たことない!うそ!と気付いたのが配信終了21日当日の23:45。作品は1時間以上とある。間に合わないじゃん…とドキドキしながら観始めたが…。0時でいきなり消えることはなく、最後までちゃんと観終わることができた。

岩井俊二監督『檸檬色の夢』は、今年の頭にLINE NEWS VISIONで全8話の縦型ドラマとして配信されていた。それを今回横型に再編集し、1本の映画にまとめた、ということらしい。
同監督の新作映画『キリエのうた』の公開記念企画。

今回の撮影にはあまり岩井俊二感は無かったが、脚本は往年のフジテレビ時代の岩井作品をちょっと思い起こさせるテイストで、相変わらず劇伴は最高オブ最高で、ちょっと最後じぃんと来るやつで、不思議テイスト入ってて。ああ見逃さずに良かった。でもこれきっと縦型の方が面白かったように思う。

なんでも岩井監督はLINEの主催する「LINE NEWS AWARDS 2021」で、翌年ニュースになりそうな人を表彰する“NEXT NEWS賞”に蒔田彩珠を選出し、その縁で今回の主演が実現したそうだ。21年というと『おかえりモネ』の年だね。

今年の冬とかもう完全に死んでてニュースも目に入らず見逃していたんだろうな。
岩井監督の近年の作品、ちょっと…というイメージだったけど、これで『キリエのうた』も観たくなった。『檸檬色の夢』の出演者も何人か出ているし『水は海に向かって流れる』観たばかりの広瀬すずだし。もういろいろ繋がってて。

あと今作のタイトルバックにもなってるドローイング、作中の蒔田彩珠演じる美大生の作品って設定なのだけどこれがどれもこれもメチャ素晴らしくて。誰の作品なんだろう。追っかけたいけど検索では見つからなかった。

映画『水は海に向かって流れる』感想

『水は海に向かって流れる』をAmazonプライムで。え?こんなに早く?
田島列島の大大大好きな原作を前田哲監督(『こんな夜更けにバナナかよ』)が実写映画化。

大好きだ!

俳優それぞれの演出が本当に丁寧。セリフのない目の演技とかを繊細に画面に映していて、俳優もそれに十二分に応えていて、すべてがナチュラルという、この手の漫画原作邦画ではあまりない(静かな)クオリティのように思う。

沖田修一監督による実写化『子供はわかってあげない』も独特な傑作だったけど、今作も田島列島のあの「間」をちゃんと再現しようとしていて、結果を残している。田島作品はギャグが特徴でそれも実写化の心配事だったけど、頻度は少なくてもちゃんと独特の笑いに繋げられていた。

広瀬すずが榊さんで良かった。直達君役の大西利空君と合わせ、年齢とルックが絶妙な頃合い。
榊さんが彼を恋愛対象として見られないことが良く分かる、でも絶妙な、境目のふわふわした年頃。
楓ちゃん役の當真あみさんも良かった〜この3人はベストキャスティングだと思う。

すぐにでも見返したくなる名シーンがいくつもあった。
榊さんのお盆投げ!
榊さんのドロップキック!

楓ちゃんの
「何を隠そうこの私。この私のことです。」「ご理解いただけたか!このハート泥棒」
はこの映画屈指の名シーン。

実際に見返しちゃってる。演技演出もそうだけど、編集のキレがめっちゃ良いんだよな。
榊さんと楓ちゃんの対決シーンもほんっとうに良かった!

漫画から実写になることで色々なことがリアルになってるんだけど、特にグサッと降りかかってくるのが、彼らの親世代への共感。特に直達君のお父さんの空回り具合とか、「せめて自分を良い人間と思いたい」とか、もうあーて感じで辛すぎる。

あと…忘れちゃいけないのが猫の名演技ね。
エンドクレジット見ると1匹だけみたいだけど、一瞬出てくる散歩中の柴犬も見事で、これは動物タレントコーディネイターの力量なんだろうな。
あと美術さんも(キッチンとか道具とか)スタイリストさんも(直達君のファッションだとか)良い仕事してました。

というかんじでこれは映画館で観たかった〜と思わせる、数少ない邦画体験でした。

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最後に苦言を少々。
ニゲミチ先生役の高良健吾だけはちょっと…うーん。もうちょっと合ってる人いたんじゃないかな。彼のこういう使われ方はもういいや、てゆうか彼が可哀想じゃね?
最後の終わり方。そっかー。「何を隠そうこの私です」があまりにも名シーンだったので、榊さんがそれっきりなのも寂しいし、ラストの笑い方もなんか納得いかない。それまで全てのシーンで納得してたのに、最後「え?」て感じ。原作がどうかは別として、映画の中の流れとしてすんなり納得できなかったなぁ。

朝ドラ『らんまん』フィニッシュに向け毎日クライマックス

9月に入ってからの『らんまん』は、毎日がクライマックスで、とても心が追いつかない。
フィニッシュに向けてこれでもかこれでもかと盛り上げていく。

このドラマの凄さって、ひとつひとつの細かい努力の積み重ねを、時には説明無しに、でもちゃーんと丁寧に描いていて。
だからあとで報われた時の説得力が半端ない。時にカタルシスになって、感動がどどっと押し寄せてくる…

そういう総決算を最終月で毎日やってくれてる。すごいサービスというか何と言うか。

モネ以来久しぶりに「朝ドラが楽しみな毎日」を実感できた今シーズンでした。辛い展開もめっちゃ多くて楽しいばかりじゃなかったけど、ほんといちいち説得力がすごいし、「学問の魅力」を圧倒的な細部の描写と設定で見せてくれました。学問に限らずだな。だからお仕事ドラマとしても最高。

次の朝ドラがどうなるのか分からないけど、ほんと寂しいよ…。
ええ、もう?てかんじ。
関係者の皆さん、ありがとうございました。

NHK夜ドラ『わたしの一番最悪なともだち』はじまる

個人的にずっと推してる『重版出来!』『おかえりモネ』の、あの!蒔田彩珠と、
『ベイビーわるきゅーれ』の超絶JK殺し屋こと髙石あかりのW主演だなんて…そんなん期待しちゃうでしょーよ。
tofubeatsの劇伴もいいかんじだ。今4話で全32話。

蒔田彩珠を初主演に据えてくれたプロデューサー様様、ありがとうございます!きっと後で自慢できる筈!

朝ドラ『らんまん』底には底が…

先週末からの『らんまん』。

いったいどうなるんだ…と思っていたら底にはまだまだ底があって…という展開。

先週末の教授の決別宣言から
まぁーしんどい。

しんどいのだけど、すべての人物描写がとても丁寧なので、ドラマの作りに対するストレスは殆ど無くて。

嗚呼、人生ってしんどいよね。
てゆう、それだけだ。
しんどい。

そんなしんどい中でもぎゅっとくる場面がいくつもあって。
あまりにも毎日すごい展開だったので忘れガチなんだが。

記憶も新しい今日(金曜)で言えば、分家のあのおっさんのセリフ。腐造は酒蔵ならどこでも起こる、俺でも起こっていた。この人が言ってくれるからこそ、救われるよね…。
ヒョロのあの断り方と、最後のハグとか。
朝号泣。

そして…園子ちゃん、亡くなったんか。
小さい子供が亡くなる以上に辛いことはないと思うが、この時代は今よりもっと身近だったんだろう。

いやそれにしてもしんど過ぎる。
まさかこんなドラマだったとは。
だからこそ、この後もしっかり見届けたいわ。

映画『『C’MON C’MON(カモンカモン)』感想

Amazonレンタルで『C’MON C’MON』を。
監督はマイク・ミルズ(『人生はビギナーズ』『20センチュリー・ウーマン』)。A24製作。

NYでジャーナリストをしていたジョニー(ホアキン・フェニックス)は、妹ヴィヴ(ギャビー・ホフマン)から頼まれ、9歳の甥っ子ジェシー(ウッディ・ノーマン)を預かり、しばらく一緒に暮らすことになる。

すれ違うばかりの甥っ子や妹ヴィヴとのやり取りで最初は「これきついな〜」と思ってたけど、最終的には今年観たベストじゃないかってイキオイで、好きになった。

子供と大人の関係はもちろん、自分たちと親の関係、兄弟との関係、人間たるものの、すべての問題や悩みが作品に詰まっているように思う。
問題が解決される訳ではないけど、その温かい目線で少し救われた気分になる。包み込まれているような感じが、すごくいい。

あらゆるところが刺さってしょうがなかった。ホアキンが何度自分に重なったか。
大傑作です。


※『人生はビギナーズ』『20センチュリー・ウーマン』も大好き。

NHKドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』6〜8話

【6話】

神回2話からはとにかく淡々と進んでいるのだがこの熱の低さがただならぬというか。毎回どこかでやられている。

ついにストーリーは主人公が売れっ子作家になりシンクロをはじめて、この先どうなるんだろう。

そしてこの錦戸亮たるや。
主人公の河合優実たるや。
坂井真紀、美保純も素晴らしい。ダウン症当事者#岸本草太 もすごい。撮影エピソードがまたぐっとくる。

【8話】

もう嗚咽してまうわ…。しかも何度も、何度も。

大九明子演出の凄さに圧倒される、NHKBS『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』8話。

今回はお祖母ちゃんの過去と現在を巡るカットバックが本当に凄くて。何も語らずともあの昭和と今の家族の問題を浮き彫りにしていて。

そしてスキップとローファーばりの、マルチ(福地桃子)とのやりとり。


またしても神回。

撮影、美術、劇伴、すべてのクオリティが超絶や…

あと何回あるんだろう。そろそろ原作買おうかな。

映画『スパイダーマン・アクロス・ザ・スパイダーバース』感想

『スパイダーマン・アクロス・ザ・スパイダーバース』2D字幕版をユナイテッド・シネマで。

満足!観に来れて良かった。

そもそも自分はアメコミ映画(MCU、DC)と相性がそんなに良い訳でなく「満点で80点」といつも思っていた位。特に『スパイダーマン』は相性が合わなかったなぁ…

そんな自分でも『ガーディアンズ』シリーズと『スパイダーバース』は違っていた。年間ベストに入るような、特別な作品。
そして前作「スパイダーバース」はアニメの歴史を変えるような衝撃作だった。

続編である今作は、前作を更に上回るビジュアルと音楽。相当な満足度。

140分と長い中、途中少々中だるみ感があるものの、それは多分前半がものすごく詰め込み過ぎだからで、あの調子で全編いってたら、もう頭がパンクしちゃうだろう。若いひと達にはちょうど良いかも知れないけど。
最後もちょうどアガるところで「続く」となり、ケレン味とカタルシスを重要視する同シリーズだからこそこれはもう楽しみ過ぎるわ。

ビジュアルの情報量があまりに多すぎて、今回も字幕版より吹替の方が良さそう。自分はどうしても最初は原語が聴きたい〜ってなっちゃうのだけど、スパイダーバースシリーズは、字幕で全部を追っかけるのはとても無理。

始まった最初からエンディングの最後まで目が離せない、相変わらず近代アニメの最高峰。間違いないです。観に来て良かった。

※お気に入りのキャラはジェシカとホービー

※入場特典でもらえるカード、QRコードをスキャンすると、SNSシェア用の画像がずらーっと並んだページに行く。これはいい。今後のスタンダードになりそう。

NHKドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』2話が神回

NHK BSPドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』第2話。

これはヤバいドラマが始まった…と思ったら、2話にして神回。そんなドラマあるか?
(1話が神回だった『アンナチュラル』はあるが、アレはその後もずっと更に面白さが上がっていった)

お昼休みに見てたらご飯止まっちゃう位にボロ泣き。
主役の河合優実はもちろんなのだけど、坂井真紀の演技力がすさまじい。いやその演技をちゃんと切り取る演出と撮影もすごい。坂井真紀ってこんな役者だったんだ。福地桃子もそうだけど、役者の魅力をここまでもかと引き出す大九演出。

ただの会話だけでも目が離せない。

未見の人、周りの評価が高くて気になるって人、ぜひ2話は見逃さずに。NHKプラスは1週間だったっけか?

これから一体どうなるんだ。

NHKドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』はじまる

NHK BSPドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』第一話。

えええ!なにこれ。ヤバい。大傑作の予感。
撮影・編集・演出・劇伴、めちゃくちゃかっこいい。これ映画じゃん?ていうルックの良さ。
俳優陣もなんだか皆、魅力MAX。

1話から観られて良かった〜!
岸田奈美さんの原作は未読だけど、noteは購入してかなり読んでるファンから観ても、岸田文のペーソスがにじみ出ているかんじ。いい。

演出誰だろう…と思ったら…大九 明子さん!
『勝手にふるえてろ』『私をくいとめて』の監督だ。

主役陣の他にも『舞妓さんちのまかないさん』以来の福地桃子がこれまた1話から魅力爆発。最高。

これからも楽しみだ〜!

朝ドラ『らんまん』東京編へ

東京編になってからどんどん好きになってる『らんまん』。

研究室のこの2人が本当に大好きなんだけど、今日(6/14)の、夢中になってる万さんの後ろでの会話、すごく良かったな。脚本の会話センスがいいのよ。そしてここに竹雄が参入!もう最強布陣。最高多幸感。朝ドラありがとう。なんなのこの可愛さ。

この後の、寿恵子(浜辺美波)とダンス先生とのやりとり、「愛に生きろ」…ベタ過ぎるほどベタなのに演技と演出で泣かせる。

今週ずっと良くって盛り上がっていって、この後どうなるんだろう。楽しみ。

『マイ・ディア・ミスター』再見

最近また『マイ・ディア・ミスター』を完走した人と話す機会があり、今見ている韓ドラもそこまでハマっていない事もあって、つい10話から見始めたら…あっという間に最終回まで突っ走ってしまった。これ連休中に再見予定で最初からにすれば良かった…

とにかく見どころが多くて、ぐっときたポイントを後で話そうと思っても色々忘れているんだよね。

なので今回はメモをとっておいた。
12話くらいから最後まで。2回目〜3回目なのでちょっと脇道の方なのかな。

●終電に間に合わそうと会社の皆で走っていくシーン

●父が昔言ってた。「なんてことない」と。今は誰も言ってくれない。
だから自分で自分に言い聞かせる。

●ドンフンが常務になり兄弟と母が抱き合って喜ぶシーン。
その後ジョンヒの店から帰るお母さんとドンフンの挨拶。

●ユニ「あの子は全力であなたを守っていたわ」

●ドンフン「感謝している。
情けない俺の人生を聞いても、味方してくれて。」

●1番温かかった言葉が「何か要るか?」だった。
おばさんに言ってた。

●ハルモニが亡くなった時のIUの演技

●最後の「ファイティン!」

家族・友人・幼馴染みとの絆。
そして、それ故の呪縛。

以前は「物語としては大好きだけど、自分にはこの呪縛は厳しい…」と思っていた。だけど今回また見直して、その呪縛の安心感をたっぷりと感じている自分も居て。

要するに、そんな簡単に良いも悪いも言えない話ってことなんだけど。描きたいことがまた分かったように思えました。

やっぱりキャラ全員について話したくなるよね…。

どうもここしばらく、このベスト3どころか完走できる作品にも巡り会えてなくて、だから次はスタッフから繋げて『ミセン』(ドラマ版・監督と脚本が同じ)に行こうと思う。

しかしキム・ウォンソク監督って作品少ないのね…そして検索しても4作品しか出てこないTVドラマの中の2つがマイベスト3だという…(もう1作は『シグナル』)。最近作の情報ご存じの方がいらっしゃったら、教えて欲しいっす。

映画『人生はビギナーズ』感想

『人生はビギナーズ』(2012)をAmazonレンタルで
監督はマイク・ミルズ(『20センチュリー・ウーマン』)。

なんで『カモンカモン』も観てないのにこれ…と自分でも思うけど、気分なんだよ気分!
ずっとプレイリストに入ったままだったこの作品、昨晩になって急に「これだ!」てなって。

まんまと良かったです。

【あらすじ】
38歳独身男性オリバー(ユアン・マクレガー)は、母の死後、75歳の父(クリストファー・プラマー)からゲイであること、これからはゲイとしての人生を謳歌することを宣言される。美術館長を務め仕事一筋の厳格だった父に、やがて若い恋人ができ、話し合う機会も増え、次第に父がどういう人生を送ってきたかを垣間見るようになる。そんな中パーティーで出会った女性(メラニー・ロラン)と、おっかなびっくり恋に落ちていくのだが、彼女も父とは複雑な関係を持っていたのだった。

まずこのカミングアウトしたお父さん:クリストファー・プラマーがむちゃくちゃキュートでオシャレで最高過ぎる。お父さんの映画だよね…

恋愛にはまったく縁なく、恋愛メインのドラマ映画にはほとんど興味を持てない自分でも、なんだか恋したくなったよ!違うな、他人の恋のほにょほにょに浸りたくなったよ!恋愛映画としてもとっても魅力的だと思う。

お父さんがゲイのグループに入ってまさに人生の最期を謳歌するさまと、過去の両親の微妙な空気感が、交互にカットバックされ、彼の人生とは、を考えさせる。
またこの亡くなったお母さんもソーキュート。

主人公のとんでもなく繊細で気ぃ使いなオクテ中年をユアン・マクレガーが見事に演じている。この優しさには恐れ入る。皆こういう人と結婚した方がいいと思う。ただユアンは大変そうだ。

いやな人は誰も出てこない。だけど皆が少しずつあるいは大幅に食い違って、時に傷ついて、でもなんとか自分を少しずつ変化させて、ビギナーズから先に進もうとしている。自分の人生を生きるために。

とっても好きな映画です。

映画『秘密の森の、その向こう』感想

『秘密の森の、その向こう』をAmazonレンタルで。
監督はセリーヌ・シアマ(『燃ゆる女の肖像』など)。1時間12分。

【あらすじ】
おばあちゃんを失った8歳のネリーは、両親と共に森の中の実家を片付けに行く。そこはお母さんとお婆ちゃんの思い出が詰まった場所。お母さんが悲しみに堪えきれず出ていってしまう中、森の中で遊ぶネリーは、自分と同い歳で同じ顔、しかもお母さんの名前マリオンを名乗る少女と出会う。彼女の家に招かれるとそこは、実家とまったく同じ家だった…。

あらすじだけ見ると「すこし、ふしぎ」風なのかと思うが、そんなテイストやルックはほとんどないまま、静かに静かに物語は進んでいく。もう1つの実家のお母さん(若い頃のお婆ちゃん)は、自分の娘と同じ顔をしたネリーのことを全然不思議がらず普通に出迎える。

森の中で小屋を作り、料理を作り、親友のように遊ぶ、同じ顔をした二人を淡々と追うカメラ。

主役の女の子二人を(恐らく双子の)姉妹が演じていて、その感情をあまり表に出さない演技と、余白のある演出が、映画全体の雰囲気を独特のものにしていた。ただし眠い時には要注意。

尺が1時間少しと短く、物語は淡々と進んでいくので、このまま大きく感情が動かされないままに終わるのかな…
と思いきや。
最後やられました。余韻が素晴らしい。

「時を超える感動」が1番強い。自分内セオリー。

after6junction 『渡辺あや特集』

after6junction 『渡辺あや特集』by岡室美奈子(早稲田大学教授)。

よくぞやってくれました。というか、今まで1回もやってなかったのにびっくり。

朝ドラ『カーネーション』で一気に知られることになった脚本家・渡辺あやさんは、そもそも手掛けている作品自体がそんなに多くなくて、wikiで出てくる殆どの作品を自分は観ている。
(『その町の街のこども』は何故か配信をやっていなくて未見なのがなんとも悔しいのだけど)

元々雑貨店経営&主婦をやっていた女性が、岩井俊二のシナリオ応募コーナーで見初められ、『ジョゼと虎と魚たち』で脚本家デビュー。その後いくつかの映画を経て、初めての連続ドラマ脚本が『カーネーション』というのもすごい。

今回は尺の関係か話を絞ったのだと思うのだけど、渡辺あやさんはあちこちの取材で「プロデューサーとの相性を大事にして、プロデューサーの「人」を見て、その人がやりたいと思った企画を実現する」「その人が本当に自分の中から「描きたい」と思った題材かどうかが大事」というようなことを語っている。

自分が描きたい題材なんて特にないし、社会派という訳でもない。ただ製作者が心から描きたいと思った題材に共感できたら、それを一緒になってできるだけ実現する、というような話だったと思う。

つまり渡辺あやさんの来歴を語る時には、だれが企画をはじめて渡辺あやさんを口説き、製作したか。というプロデューサー話がセットで聴きたいんだよね…。

たとえば『ワンダーウォール』の企画を渡辺に持って行ったのは、当時まだ駆け出しだった(たしか)NHK京都のプロデューサーで、そのしつこい情熱にほだされて、当時多くの製作者が口説き落とそうとしてできなかった渡辺脚本を勝ち取った、みたいな話だったり。

『エルピス』の佐野亜裕美Pは脚本ができているのに実現できず、TBSを退社し、5年越しでカンテレで実現した(その間、やりたかったことを先に実現するために渡辺さんはNHKで『今ここにある危機とぼくの好感度について』を書いた)というなりゆきだったり。

一貫して彼女は「単純な二項対立を避ける」「その中でも個人は変わっていける」というとを描いていると岡室さんは語っていて、なるほどと思う。

最後、特にスッキリする訳ではない。巨悪を倒す訳でもない。ポイントはそこではない。だけど本当に感動してしまう。そんなドラマの特徴って、大好きな野木亜紀子さんとも通じるところだよな…。でもその一部分は、今の地デジで通すための作り方でもあるのかも。

もちろん、制限や縛りが名作を生むことは多々ある訳で、今の我が国メディアの、何1つお上には文句を言えない閉塞・窒息状態は、ある意味名作を生む土壌になっているのかも知れない。いやいや、全然良い状況ではないですよ。最悪なんですけど。

映画『線は、僕を描く』感想

『線は、僕を描く』をAmazonレンタルで。
監督:小泉徳宏(『ちはやふる』3部作など)
主演:横浜流星、清原果耶

(あらすじ)大学生の霜介(横浜)が水墨画の世界に目覚め、やがて自分の心の問題とも向き合っていく。

すごく良かった。『ちはやふる』3部作までに思い入れは及ばないけれど、主役2人の心の機微を深く静かに描く演出が好み。

三浦友和演じる大先生と、孫で水墨画の新進作家・清原果耶の関係を縦軸に、主人公・横浜流星と家族の悲劇・友人との関わりが横軸になって、物語が進んでいく。そのバランスがいい。

撮影の迫力と劇伴とのマッチング!「饒舌な劇伴」とはおよそ揶揄する時に使っているけど、今作では要所に絞られ、クライマックスを盛り上げている。
(しかしいきなり歌が流れるあの箇所には戸惑った。ちょっと勿体ない)

説明セリフや説明カットが殆ど無いのもいい。「ここであの思い出カットが入るかな…」と心配しても、まず入らない。思い切りがいい。

『ちはやふる』3部作からの既視感(アングル、照明、音楽)はあらゆる処にあって、それは題材が日本伝統のものだったりするからなおさらなんだろうけど、でも自分はその既視感はまったくマイナスにはならなかった。何度もぐっときてしまう。

横浜流星が素晴らしい(彼の他の作品を観たことは殆どない)。

今作のファーストシーンは、彼の顔のアップがずーっと続くだけ。
ただ何かを観て感動しているその表情。その後、観ていたものが何なのか分かるのだけど、この最初のシーンが、後でいくつものストーリーと噛み合い説得力を増していく。

江口洋介もいい。ハマってる。清原果耶の演技も文句無しに素晴らしかったけど、完全に個人的な問題で『モネ』を完走した後だとさすがにダブり感がある。まったく違う女優だったらもっと集中できたのかも…とは思った。

『ケイコ、目を澄ませて』に続く三浦友和師匠。すっかり重鎮だな。これも自分的には三浦友和感を100%拭いきれず10%くらい残っているのだけど、でも良かった。

富田靖子の初登場カットがまったくそれと分からない位上流階級おばちゃん感満点で驚いた。

そして何より、最後まで主人公2人に恋愛感情のカケラも発生しないのがいい。最高。これが出ちゃうと急に凡百。

そもそもの水墨画の魅力に気付かせてくれる内容でもあるし、『ちはやふる』じゃないけどこの映画きっかけで水墨画をやってみたいと思う若者も結構出てくるんじゃないか。水墨画の描写がとても効果的だった。なんでもコロナの延期もあって、横浜流星は計1年ほども練習して臨んだそうだ。

この映画、入りはどうだったんだろう…残念ながら自分の知る限りでは然程話題にはなってなかったようだけど。#アトロク で宇多丸さんがかなり褒めていて気になっての鑑賞でした。

NHK単発ドラマ『ももさんと7人のパパゲーノ』

今日家でお昼ご飯食べながら観たNHK『ももさんと7人のパパゲーノ』。オンデマンドで。
サムネールが気になって観ただけで、前情報はゼロ。

最近あまり感じたことのない不思議な後味。最後はちょっとすっきりする60分ドラマ。撮影も音楽も編集も抜群にセンスがいい。古舘寛治のナレーションも素晴らしい。伊藤沙莉主演。

何なのだろうこれ…と思って検索してみたら、

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NHK福祉番組ハートネットTVが運営するサイト「自殺と向き合う」に寄せられた声と、投稿してくれた人たちへの5年半の取材を元に制作しました。

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とあった。

「パパゲーノ」とは「死にたい気持ちを抱えながらも“死ぬ”以外の選択をしている人」を現す言葉で、その人達の話を聴くことで自殺願望が収まるようなケースを、オペラ『魔笛』の登場人物になぞらえて呼んでいるそうだ。

NHKには「わたしはパパゲーノ」なる別サイトもある。自殺対策プロジェクトのようで、その内容やアプローチの仕方に、自分はかなり救いを感じた。誰だって他人事じゃない。いざとなったら読むべきところがある。その時にちゃんと、必要としている人の、目に入りますように。

TBS『たまむすび』終わる

この2年ほど、コロナ禍に入って1年経ったくらいから、メンタルの急激低下のせいなのか、それまでずっと好きだったのに、急に見なくなった(聴かなくなった)番組がいくつかある。

TBSラジオ『たまむすび』もその1つだった。
なんなのだろう。普段の生活で心からリラックスする時間が殆どなくなったから、なんだろうか。

1年以上ご無沙汰している『たまむすび』が終わってしまうと聞いて、すごくショックで、すごく寂しくなると同時に、「最後だけ聴いて寂しいとか言ってるんじゃねー」的な、自分に対する罰的な何か、も生まれて。

終了告知があった後も、だから聴きたいのに聴けない、なんかそんな時期が続き、そして遂に最終週になってしまった。

最終週、ガマンできずに聴いたよ。

8年以上も聴いてた番組だから、あっという間にあの頃の気持ちに戻ったよ。

思い出したけど『ストリーム』『キラ☆キラ』『たまむすび』と、いったい何年TBSリスナーやってるんだ。

木曜の赤江さん最終日、最後の「答辞」は、仕事の買い物をしながら聴いてたら泣けて泣けてしょうがなくて、レジにも行けないほどだった。

考えてみたら
こんな風にキー局番組の最終回の瞬間を、地方でリアルタイムで聴けること自体、ラジコプレミアムが無い時代には叶わなかったことで、それも元を辿れば2011年の311からだったな。大震災がもたらした数少ない恩恵。

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当たり前だけど、赤江さんが単に天然すっとぼけキャラだけじゃない人ってことは、このトラブル続きの11年をずっと伴走してきたリスナーだったら、皆知っていると思う。

『たまむすび』は自分にとって、こんな赤江珠緒という大好きな女性との出会い…だけじゃなくて
博多大吉とピエール瀧という、理想の大人像、尊敬すべき先輩に出会えた番組だった。

絶対に自分にはなれない理想像だけど、少し先を行く人生の先輩男性像として、ああこんな人がいるなら男として生きていく意味もあるのかな〜と思わせてくれる二人だった。(だから、瀧さんの降板と、復帰しないことへの思いも、聴かなくなった後押しだったかも)

最終週の水曜日。大吉さんのラスト。
特に大きなプレゼントも、気負いも無いように話す大吉さんが語った、ポッドキャスト新番組への、その思いの丈にクラクラした。

(博多大吉さん)
自分はたまむすびで大きな自信をもらった。この自信のおかげで仕事が回り出し、タレントとして大化けすることができた。

今NHKの「朝の顔」になれているのも「たまむすび」なくしてはありえない。
自分を大きく羽ばたかせてくれた番組だ。自慢の番組だ。

そんな風に自分を大きくしてくれた赤江さんは、だから自分にとって最高のラジオパートナーだ。

番組をやめるやめないの決心にしても、辞める気持ちが殆どではなくて、51対49でやめるような、そんな様子に見えた。赤江さんは、辞めたくて辞める訳じゃない。

だから自分は「10年後にまた「たまむすび」やるって決めて、辞めたらどうですか?」と提案した。そしたらリスナーも、周りのスタッフも皆同じ気持ちだった。

この先赤江さんは絶対にたまむすびが恋しくなる時がくるだろう。
10年先に番組を用意することは、今の仕組み上できることではない。皆、望んではいるけれど、そのやり方が分からないだけだ。

だったら、自分がその受け皿を用意しておこう。赤江さんがいつでも帰ってこれるように。
赤江さんだけじゃなく、元「たまむすび」のパートナー達も出演してもらい、この「たまむすび」が育ててきたものを自分が繋いでいく。
赤江さんが帰って来たくなった時に、いつでもその場があるように。

そのために自分は腹を括って、ポッドキャストを始めます。

かなり意訳しているけども、こんな話だった。そして赤江さんには、いつ来ても無制限に番組に出ることができる無期限PASSを渡したのだった。

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このエピソード自体が、『たまむすび』がどんだけ凄い番組だったかってことを、物語ってると思う。

瀧さんもちょっと位出てくれよな!とは誰もが思ったはずだけど笑

本当に赤江さん、凄かった。
こんな幸せなエンディングを迎えられるパーソナリティー。なかなかいないですよ。
なんというか、おめでとうございます。ありがとうございます。大好きでした。
またその声をお聴きできる日を、楽しみに。


自主朝ドラ 『ひよっこ』

現在、#自主朝ドラ は『ひよっこ』乙女寮のあたり。
脚本は岡田惠和。

昨年末に『#あまちゃん』を観終わって、そのあまりの完璧さに驚き、将来に渡ってこれ以上の朝ドラはまず生まれないだろうという実感をあらたにした。作品の完成度以外にも、世の中のタイミングという要素があって、これは如何ともしがたい。終わった後しばらくは、とても他の朝ドラを観る気にはならなかった。

次に観ると決めていたのが『ひよっこ』。
見始めてまず、お父さんが行方不明になるのが2週目だということに驚いた。え、すぐじゃん。この不穏感は以後シリーズ通して全体のバックに流れ続けるが、それを忘れさせるドラマの明るさとポジティブさに救われ、忘れた頃にお父さんのシリアス話が挿入される。このバランスがいい。

松本穂香を初めて認識したのもこのドラマだし、大好き小島藤子との出会いも乙女寮。そして今やエンタメ界を席巻する伊藤沙莉を見出したのもひよっこじゃなかっただろうか。

でもこの幸せな乙女寮も、あっという間に最後を迎えることを知ってるので。できるだけゆっくり観ようと思う。

この乙女寮編が終わりを告げた時は随分ロス気分だったのだけど、ひよっこはこの後も楽しみが沢山あるんだよな!(自分のブログを観て思いだした)そうだ!

朝ドラは日々の俺メンタルに、思っているよりずっと影響を与えているんじゃないかと思う。

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