2024年末〜25年始の雪

2024年の12月は毎週のように「10年に1度の大寒波」「日本海側で大雪に注意」と警報鳴りまくりだったのに、ことごとく外れた。3週外れたと思う。こんなことは記憶に無い。

結果新潟市中央区ではほとんど年内の積雪無し。年が明けてから10〜20cmが1回程度。
今年もこのまま積雪なく終わるような気がする。

これまでの経験から、
「全国で」大雪が降る仕組みと
「新潟市で」大雪が降る仕組みとは
全然違っていて、だから予想があまりつかないように思う。

娘が初の共通テスト

長女が初の「共通テスト」。
1/18が本番で、本気になって勉強をはじめたのが年末休みから、かな。
年明けは少なくとも毎日相当やっていた(ようには見える)。

1日目の自己採点は散々だったそう。思えばこれまでの模試で「想定よりずっと良かった!」なんて覚えはまずないし、聞いてみたら本番でも「模試ではこれくらいだったけど、本番ではこれくらい上がらなければダメ」という目標で…。そりゃ皆最後頑張るんだから無理でしょうよ。ホントにかけている時間に対して成果がない長女は、勉強が、特にテスト勉強が向いていないと思う。

でもナーバスになって家族に当たり散らす、ということは皆無で、メンタルは通常通りで基本明るいし、周りを明るくしようと自然に気を配ってるのが良く分かる。時に当たり散らすのは他の3人。

推薦試験には落ち、恐らく一般でも志望校合格は難しい。さてこの後どうするのかな。なんにしても健やかに楽しく暮らしてって欲しい。

NHKドラマ『その街のこども』が期間限定公開!

2010年のNHKドラマ『その街のこども』が、NHKプラスで1/20昼まで期間限定公開されています。
あと2日半しかないので、見逃しなく!

【あらすじ】
2010年1月16日、新神戸駅で偶然知り合った勇治(森山未來)と美夏(佐藤江梨子)。ふたりには、誰にも言えず、抱え続けてきた震災の記憶があった…。震災15年目の朝を迎えるまでの一晩の神戸を舞台に“語れずにいた想い”が不器用にあふれだす。脚本は映画「ジョゼと虎と魚たち」の渡辺あや。神戸で学生時代を過ごした渡辺、子どものころに震災を体験した森山未來と佐藤江梨子が、リアルな感情で挑む。(NHK公式)

【スタッフ】
脚本:渡辺あや(カーネーション、ワンダーウォール、エルピス)
演出:井上剛(あまちゃん、クライマーズ・ハイ、64)
音楽:大友良英(あまちゃん、花束みたいな恋をした)
出演:森山未來、佐藤江梨子、津田寛治

【感想】
また忘れられないドラマになりそう。感情をがっつり揺さぶられた。最後の方はもう号泣。
なんなのこれ。ストーリーも出来事も殆どない。ただ2人で夜の神戸を歩き、想い出話を語るだけ。

撮影も演出も、ほぼドキュメンタリーのようなつくりで、これは2人の本当の話?かと勘違いしてしまう位。実際に主演2人の実体験もかなりセリフに反映されているらしい。

2人のどちらも感情移入するようなキャラクターじゃ全然無いので、最初の吸引力は正直弱い。
だけど、ドキュメンタリーだかドラマだか分からない感情のまま、2人の夜散歩に付き合っていって、最後の方には何故かもう、あちこちの人が皆愛おしくなる。

クライマックスで感じる、この表現できないうゎーて感情は、覚えがある!同じく渡辺あや脚本のNHK『ワンダーウォール』(NHK)だ。あのラストの「うゎー」って感じと、そっくりだ。(スタッフ全然違うのに…と思ったら撮影が同じ松宮拓という方だった)。
世の中、いかんともしがたい。でも我々は、そこでやっていくしかないんだ。その無情感と愛おしさの合い混じった気持ち。元気が出るのとは少し違うけど、生きていこうとちょっと思える。渡辺あやの脚本もすごいが、やっぱり演出だろう。

旅行先の電車で出会い、一晩歩いて話して、再会を約束し連絡先も交わさず別れる男女。そう、『ビフォア・サンライズ』みがある。全然あんなにロマンチックじゃないし、神戸案内にもなってないのだけど、でもあの感じ。途中思い出しちゃった。

このドラマは2010年制作。
2011年に『カーネーション』で脚本家の渡辺あやを知り、2013年の『あまちゃん』で井上監督や大友良英さんを知り、
『あまちゃん』制作の大きなきっかけになったのが『その街のこども』だとあちこちで読んでいた自分としては、ずっとずっと観たかった作品。(あまちゃんの座組の多くはこの番組からスライドされた筈)

何故かオンデマンドに入っていないし、NHKプラスの検索でも引っかからない。再編集した劇場版も翌年作られているが、それも配信で見つからない。劇場版は宇多丸さんのシネマハスラーで過去絶賛されていた。

ストーリーズにNHKプラスのリンクを入れたので、興味ある方はこの機会にぜひ!

雪が降らない2025年1月連休

三連休の最終日、朝。

1週間後に共テというタイミングで世間に強烈なインフル禍が襲ってきたので、お籠もり生活の日々である。同じく受験生のご家庭の皆さま、春まで踏ん張りましょうね。

まぁコロナと違って終わりが見えているので気は楽だし、料理もろもろとか色々と楽しめた。相変わらずの首痛でお酒はほんのちょびっと。

内緒だがラ○ーの入り口で売ってる焼き芋はコスパがヤバいので、連休中わざわざ焼き上がり時刻に合わせ2回も遠くまで行ったのに、入手できず。これはもう平日限定で考えよう。

しかし雪がさっぱり降らない。思うに全国での大雪と新潟「市」が大雪になる理由って、いつも違ってる気がする。今年も大して降らないのかな。

家計の味方、ダイレックスの鶏肉各種で鍋やら参鶏湯やら常備菜やらつくった。本も配信映画もドラマも観た。『地獄が呼んでいる』S2はメンタルやられるのでネットであらすじだけ追った。この後ダイジェストで観ようかなと思う。こんなの初めて。どう決着付けるのかだけは見届けたい…割に結局何も分からないまま終わるみたいね。

『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』の岸田奈美 @kishidanami さん、お母さんがまたまた洒落にならん状況になってて、インスタから目が離せない。(最近はメインのnoteの他に、インスタの画像で文章をアップされるようになった)何とか無事で日常に戻れますように。

ところでこれを読んでる時の頭の中のビジュアルは河合優実さんと奈美さん、お母さんと坂井真紀さんがごっちゃになってる。それ位、ビジュアルだけじゃなく現実感があった。あのドラマは。最高だった。

映画『ポトフ 美食家と料理人』感想

『ポトフ 美食家と料理人』をAmazonレンタルで。
監督:トラン・アン・ユン。

【あらすじ】
19世紀末のフランス郊外で暮らす美食家のドダンと、彼のアイデアを実践し時に凌駕する腕を持った料理人のウージェニーは、結婚はしないながらもパートナーとして一緒に生活してた。ある日、屋敷の使用人が連れてきた親戚の少女ポーリーヌが天性の舌と感性を持っていることに気付き、2人で料理人に育て上げたいと考える。その矢先にウージェニーが病に倒れ…。

【感想】
ずっと写されているキッチン、光と影が見たことないくらいに超絶美しい。フェルメールみたい。
全編通して、ほぼ料理を作っているだけのストーリー。しかし最初から魅入られたままであっという間に終わった。ストーリーはシンプルだけど染み入ってくる。

湯気と音、手技の美しさ、食材の色気がダダ漏れ状態。料理も衣装も美術も完璧。
フランス料理はそもそも食べた経験が少ないし興味もなかったけど、さすが!と思わせる説得力だった。

ドダンの美食仲間たちの、他人との距離感、ウージェニーとの関係も、時代は感じさせつつ、それでも心地良い。

劇伴が無かったと後で知ったが、え?マジで?と疑った。始終流れていたような記憶がある。つまり料理のSEがみな音楽に感じられるような作りだったのだろうか。

主演2人はもちろん、天才美少女ポーリーヌの演技も見事。この3人の姿をもっと見ていたかった。ちなみにドダンとウージェニー役の2人はプライベートでもパートナーだそう。

悔しい…絶対に映画館で観たかった作品だなぁ。再上映あったら逃さないようにしないと。

※カンヌの監督賞受賞作だそうです。

恩田陸『spring』感想

恩田陸『spring』(筑摩書房)。
なぜか1ヶ月以上行方不明になっていて、えらいこと読むのが遅くなってしまい、やっと読了。
面白かった!

天才男性バレリーナ:春の少年期から青年期までを、
友人、幼馴染み、叔父、本人と、4つの目線=4つの章で描く。

同じ作者の『蜜蜂と遠雷』は、
「クラシックピアノの世界、しかもコンテストの内容を文章で伝える」
という信じられない難題を見事にクリヤし、読み終わってみると、むしろ文学だからこそ創られる意味があったのだ、と思い知らされるような傑作だった。

これをバレエの世界でまたもや!やってのけたのが、今作『Spring』。踊りの中で演者は何を想い何を見ているのか、観劇者はどこに連れて行かれるのか。体験したようで未体験のようで、やっぱり文学ってすごい…となってしまう。
(でも自分の中ではやっぱり『蜜蜂…』の方が上かな)

そして今作、なんと筆者が作中でバレエの新作を作り出している、つまり演出家やディレクターやコレオグラファーの役割まで果たしている、ということだ。これはもう文藝作家の域を超えていませんか?という…。

巻末のSPECIAL THANKS、
錚々たるバレリーナの面々が並ぶ中、一番上に書かれているのは、我が新潟市が誇る金森穣氏。noismの公演には欠かさず通っていたと恩田氏はインタビューに答えている。クラシックとコンテンポラリーダンス、ダンスの中でのコンテの位置など、勉強になりました…。

noismファンはもちろん、読んで損はしないと思う。

絶対絶対映像化は無理と思っていた(筆者もそう言ってた)『蜜蜂と遠雷』が、あんなに!見事に映画化されたんだから、きっと今作もいつの日か劇場で観る日が来るのだろうな。楽しみにしています。

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ところで何刷りまで続くか分からないけど、初版では一部が透明になったプラ製のしおりがついていて、そこを本文の気に入った文章・2〜3行の上に重ねて、写真を撮り、 #springわたしの推し文 というタグをつけて写真を投稿することで、他の読者がどこにぐっときたかが分かる、という素晴らしい販促企画が実施されてる。而してこのしおりも…無くしてます。悲しい。

でもこれ、大きなネタバレ無しに抜粋でその魅力が伝わる、めっちゃ良企画なので、これからメジャーになって欲しい!版権フリーでお願いします。

泥ノ田犬彦『君と宇宙を歩くために』感想

NHK『あたらしいテレビ』で吉田恵里香さんが推していた、泥ノ田犬彦『君と宇宙を歩くために』(アフタヌーンコミックス)既刊分読了。

【あらすじ】
勉強もバイトも何故かうまくいかない、どこか生きづらさを抱えているヤンキーの小林。そこに変わりモノで生真面目な転校生・宇野が現れる。彼も様々に生きづらさを抱えているが、メモ帳に対処法を書いて持ち歩いていた。彼のメソッドの凄さに気付き尊敬していく小林。2人は次第に仲良くなり、一緒に天文部へ入部することになる。

【感想】
すごく好き。この気持ち良さは『ヤンキー君と白杖ガール』に似ている。「誠実なヤンキーの魅力」か。いや、相手役となる転校生・宇野と白杖ガール・赤座ユキコとの共通点もあるような。この組合せ、今後もいけるんじゃね?

とかそんな簡単なもんじゃなくて、両作品に共通しているのは徹底した当事者目線と取材の深さ、エピソードへの落とし込みの巧さ。「ちょっとこれ、おかしくない?」て所がない。ひっかかりがないんだよね。あと本当にイヤな人が出てこない。

ちなみに主役の2人、明らかに発達障害の傾向がある。ADHDやひょっとしたらLDも。ではなぜこういった名称が出てこないかと言うと、これも直接の明言ではないけど「舞台が平成だから」と作者が1巻あとがきにやんわりと書いていた。あの頃、世の中で「発達障害」とその詳細がどれだけ認知されてたかということだと思う。なるほど。

確かにこの10年で認知度は大きく変わったし、書籍やエンタメも多く世に出て来た。おかげで我が家もすごく助かった部分がある。
このマンガで救われる人もきっと多いだろう。

「このマンガがすごい!オトコ編1位」他いくつも賞をとっているのも嬉しい。多分もうドラマ化なんかも動いているんだろうけど、頼むよ…
色恋沙汰とか変なアレンジしないでね。ちゃんと、お願いしますよ。

『ヤンキー君と白杖ガール』のドラマ化は本当に、本当に素晴らしかった!主演は去年のドラマ女王だった杉咲花。

ちなみに『ヤンキー君…』のドラマが放映された2021年を過去記事で振り返ると…すごいなぁ。
大豆田とわ子、コントがはじまる、おかえりモネ、ヤンキー君(杉咲)、今ここにある危機とぼくの高感度、おちょやん(杉咲)、秘密の森…
当時もそう思ってたけど、あとから見ても改めて、とんでもない年だったんだ。

さて2025年、どんな年になるでしょうか。


我が家の漫画コーナー

倉本聰『破れ星、燃えた』感想

倉本聰『破れ星、燃えた』(幻冬舎)読了。
作者の自伝で脚本家として仕事を始める60年代から現代までを描く。
少年時代からその歳までは前作『破れ星、流れた』(未読)に。

営業的なアレで、帯には
「今でも、黒板五郎の幻影を見かけることがある。」
こんなコピーが出されているが、『北の国から』については後半少し割かれているだけ。

メインはなんといっても60年〜70年代の、脚本家としてめきめきと頭角を現す時代。
高倉健、北島三郎、笠智衆、石原裕次郎らといった錚々たる面々の素顔。TV局の名物P、芸能プロダクションの伝説的人物の描写。圧倒的。圧倒的過ぎて劇的過ぎて、好き嫌いはあるかも知れない。

自分は学生時代から倉本氏の書籍をぽつぽつ読み続けているので、北の国からの話はおよそ読んでいるし、他のエピソードについてはいくつかはきっと既読だったりするのかもしれない。だけど改めてこうやって一冊にまとめて読み直すのは感慨深い。あと倉本聰関連書籍はいつも北書店にあって、佐藤店長と彼の話をすることもあり、最近は北書店で買ってるかも。

倉本氏の運命を変えたNHKとの大げんか、その後のフジテレビとのやり取り、今も続く日曜劇場の当時の話、『海に眠るダイヤモンド』の記憶も新しい炭鉱閉山の話、どれもこれも面白く、読んだばかりの岡室美奈子『テレビドラマは時代を映す』と横糸が通る感じもあって…

テレビドラマの話が読みたい人、倉本聰のファンにはもちろんオススメ。

この2冊を読んでいると観たいドラマがいくつも出て来て、そのいくつかは配信で観られるのがなんとも嬉しい。が、あくまでフジ系を除いてだ。なんかFODのみ配信って文化の断絶じゃないかとさえ思う。

『君は海を見たか』とか『ライスカレー』とか、今見てぇーーーー!

映画『ソウルの春』感想

『ソウルの春』をAmazonプライムで。
監督:キム・ソンス

【あらすじ】
1979年に韓国で起きた「12・12粛軍クーデター」の経緯を初めて映画化。
役名は少し変えているが、殆どの出演者には実在のモデルがいる。

【感想】
昨年観ていたらベスト1にしていたと思う。
圧倒的なエンターテインメントにして、ラストには忘れられない悔しさを味わう。

このクーデターが成功し、その後10年以上も軍事独裁政権が続くという歴史を知りながら尚、こんなにハラハラさせられるなんて。

クーデター当日の両勢力の駆け引き、秒単位の情報戦のやり取りは言葉通り「息をするのを忘れる」すさまじい緊迫感。単なるアクション映画としてもトップクラスの面白さ。
(大好きな『クライマーズ・ハイ』のクライマックスを思い出す。ああゆうプロ対プロのやり取りが好きな人に全オススメ)

全斗煥に対抗する、実直で正義感の固まりのような首都警備司令官チャン・テワン(役名イ・テシン)を、『監視者たち』の最高悪役にしてトム・クルーズ似のチョン・ウソンが演じる。
映画のあらすじだけ読むとキツい内容に思ってしまうが、劇中の爽快カタルシスは彼が担当してくれるから大丈夫!

このチョン・ウソンと悪役の権化のような全斗煥(役名チョン・ドゥグァン)を演じる名優ファン・ジョンミンのおかげで、ただでさえ見事な脚本・演出が超1級のアクションエンタメになってる。

「12・12クーデター」がその後2023年まで映画化されなかった理由として、首謀者の何人もがその後も韓国社会の重要な位置に居たからではないかと監督は語っている。彼は高3の時にこの事件を実体験し、翌日の新聞はじめその後の事件隠匿を肌で感じたことで映画化を決意したそうだ。

自分の年齢に当てはめてみると
「12・12」とその後の全斗煥による戒厳令〜光州事件(タクシー運転手)が起きた1979-80年、自分は10歳。
ヤマトやガンダムに夢中になっていた頃。

その後長く続いた軍事独裁政権が終わるきっかけとなる『1987、ある闘いの真実』の年に、高校2年生。
少女マンガオタク期。世は夕ニャンとおニャン子ととんねるずの時代。

「12・12」の罪を問われ全斗煥と盧泰愚が拘束・起訴され一応の解決を見る1995年に、自分は大学を卒業。
阪神大震災とオウム事件、Windows95、金融機関の財政破綻、バブルの完全崩壊。

自分が韓国で生まれ育っていたら。このあいだ起きたばかりの戒厳令の夜に、昨日の大統領拘束失敗に、何を思い、どう行動していたのだろうか。
 
このような作品が観られることが素直に嬉しくてありがたい。しかし観るのが遅すぎた。尻込みしてた。

傑作揃いの大人気韓国近代史シリーズ。この先もずっと語られる1作になるだろう。

我が家の正月


我が家の正月は、極力家事をやらないことにしてる。

奥さんが駅伝マニアということもあるのだが…。おせちや正月料理どころか、ご飯はほぼ作らない。各自で勝手に作って食べる。だからメニューはバラバラで、うどんやカップヌードルやレトルトカレーばっかりってこともある。

今年はご飯や餅のストックが多目にあって、年末に家の余り物を全部ぶち込んだ汁(結果的に雑煮っぽくなった)を大鍋一杯作ったので、ちょっとだけ正月ぽかった。今後これを我が家の雑煮としよう。(おにぎり用の冷凍焼き鮭を入れたのが新潟ぽい)

加えて今年は長女が受験のためずっと勉強オンリー。一層バラバラ。ちなみに自分は元旦に配信映画を3本観た。(劇場で今観たいのをやっていなかったのが残念)

『チャレンジャーズ』『ソウルの春』『プロジェクト・パワー』どれも面白くてお腹いっぱい。

2日のTBS『スロウトレイン』、ロケーションは勿論テーマ的にも海街diaryに近い作品。静かな中に野木さんらしいメッセージを感じられて良かった。しかし劇伴がちょっと好みじゃなかったな…。あとこの内容で単発ドラマだと土井監督が適任なのかしら、とか。(連ドラでこのコンビは素晴らしかった)

古舘さんとリリーフランキーのBarシーンはもはやユニバース。笑える。他にも今観てる『ライオンの隠れ家』とたまに世界がごっちゃになってしまい困った。多部ちゃんの韓国人の彼氏、裏切らなくて良かった。
何にせよ、オリジナル脚本でこれだけの作品を正月にぶつけてくれることの大切さ!ありがとうございます!

2日のお昼は毎年マクドナルドに行くことにしている。今日はベーコンレタスバーガーをチョイス。思ったよりお店は空いてた。明日はキムチチゲが食べたくなったので俺がつくる予定。

11月から続く寝違いのような首の痛みはずっと相変わらずで慢性化しつつあり、ここから来る頭痛はもう毎日のことで、いいかげん慣れてしまった。

こんな風に少しずつ不調が日常化して、重ね着のように増えていって…。そりゃ動作も口調もゆっくりになりますよ。元気かどうとかというより、怖くて早く動けないんだもん。また1歩、天国への階段を上りました。

お休みくらい毎日お酒が呑みたくても、頭痛のせいで遠慮がち。東西いろいろ通院して試したが、原因も治癒もさっぱりだ。共テ終わる頃までに、何かの運とかきっかけで直ってたりするといいなぁ。

NHK『あたらしいテレビ』感想

元旦恒例のNHK『あたらしいテレビ』。

NHK、民放、映画、配信、出版、ネット界隈に関わらずさまざまな業界人を集め2024年のコンテンツを1時間に渡って振り返る番組。

今年は吉田恵里香、山中瑤子監督が入っておお〜と思ったが、内容的には去年おととしのような、すげー!というとこまではいかなかったかな。でも面白いから興味ある方はプラスでやっている間にぜひ。

YouTube界隈の話はまったく知らない世界ばかりで、その人の肩書きや業界がどうのということでもなく、もう皆が知ってる共通の話題なんてあり得ないんだ、ということが改めて分かる番組だった。かろうじてテレビが少し繋ぎ止めている、という位で。

だから自分にとってアトロクがどんなに貴重なのかってことなんだよな…。

●NHK『舟を編む』の脚本家、蛭田直美さんが2025推しに選ばれていたのが嬉しかった。『海に眠るダイヤモンド』でエライザさんいいじゃん、とちょっとでも思った人には『舟を編む』絶対観て欲しいなぁ。2024ドラマのベスト。エライザさんが凄まじく、良いです。

●フジテレビの田中良樹D(『新しいカギ』など)が言ってた「テレビは5〜6年前にあせって上の層(年輩)ばかりを狙っていた時期があって、今はそこからリカバっている最中」的なこと言っててへぇー。

●高石あかりちゃんの2024レコメンドのラインナップがなんか良かった。XGいいよね…

●インティマシーコーディネーターについての高嶋政伸コラムを挙げたドラマ批評家の方がいて、かなりの時間を割いてICについて当事者が説明していた。確かにそうで、こういうNHKの番組で挙げてもらったのは絶対良かったのだけど、あのコラムはあれであまりにもメンタル面をすべてICに?という誤解も生みそうで、IC入れればOKって話でもないというまた次のステップの話があって、とかあるよね。あとふてほどのあの回の酷さに言及はなく…当たり前か。そう言えばふてほどを挙げている人はいなかったな。

●吉田恵里香さんの推しマンガ『君と宇宙をあるくために』買うぞ。

2024年に見た映画ベスト

2024年に観た映画&ドラマのベスト。

過去の年間ベスト記事は▼
歴代年間ベスト映画の記事

2024年に観た映画は50本、うち劇場鑑賞は9本。
多くはないがまぁそこそこという数。コロナ前は劇場鑑賞がだいたい20本以上あったらしい。今年は特に娘達の送迎が入って、ナイト上映に行きにくくなったのが大きな理由だろう。

映画は、この1本!という今年を代表するものは思い当たらないけど、傑作はやっぱり何本もあった。そもそも「観ていない話題作が多い」ことが結構気になっていて、それらを観ていたらまた結果はかなり変わるのかも。

劇場体験のナンバーワンは『侍タイムスリッパ–』。劇場で観る意味のある特別な作品で、これを逃さなかったのが今年一番を自分を褒めてやりたい案件。
たった1館上映で始まった自主制作映画が、評判が評判を呼びどんどん全国に広がっていったサクセスストーリーはカメ止めを思い出す。いやあの時以上の痛快さ。ZINEのようなパンフも素晴らしい。日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞の3冠、主演男優賞も本当に嬉しい。おめでとうございます!

『DUNE2』はいつものSFびいきは勿論だけど、やっぱりIMAXが新潟にできたことが大きい。
『帰れない山』は原作も素晴らしかった。自分の幼少期の思い出や出自に関わるような「しっくり感」というか生理的な相性が妙に良かった作品。

感想アップが間に合わなかったのは『夜明けのすべて』『ホールドオーバーズ』。どちらもめちゃくちゃ好きな映画。こんなに優しい(それぞれ意味は違うが)映画が2本もあった2024年は素晴らしいと思える。

ドラマはまー傑作揃い!『虎に翼』『舟を編む』『アンメット』が同じ年に!

ここに入ってない作品含め全体を通してNHKが強い印象。

待望の野木亜紀子新作『海に眠るダイヤモンド』はこれまでの作品とは舞台が大きく変わった大作で、まだ消化しきれないくらい。『JIN』や『この世界の片隅に』もそうだけど、(東芝)日曜劇場が今でも地デジドラマにおける役割をしっかりと果たしていることがありがたいし誇らしい。

今晩は年末恒例のお楽しみ、映画部忘年会。良き映画もそうだけど、これはアカンかった…というSNSにはあまり載せられない話ができるのも楽しみ。

多分鑑賞記録でもメモし忘れているのが何作かはあるんだろうな。気付いたら直します。

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今年、インスタのハッシュタグのフォローができなくなった仕様変更のタイミングで、ハッシュタグごとに過去記事を全部チェックできるアプリ「4K Stogram」が使えなくなった。これを使って過去記事をまとめたりnoteに移行していたりしたのが、今後はできなくなる。同機能の代替アプリが見つかる確率は低い。今後インスタの過去記事は検索もチェックも引用もできない、アーカイブとすら呼べないデータの堆積、になってしまいそう。インスタとのおつき合いも今後どうなるのか。

年末恒例の映画部呑み会(2024末)

恒例の映画部忘年会。

今年はぱっとした1本が無かったな〜、というのは共通意見だった。
『侍タイムスリッパー』を劇場で観られた喜びを存分に話せて、すごくスッキリ。

こんな会をいつまでも続けていられることが、私の望みです。

話したこと、覚えてる限りメモ。

●侍タイムスリッパーを劇場で観れたことの喜び。賞取れてよかったね

●PERFECT DAYSについてのアレコレも話せて盛り上がってすっきり

●インターステラーIMAXを逃したのがマジで悔しい

●旧作を劇場で観ることの新鮮味、IMAXが出来て嬉しい。ノーラン作品をIMAXでどんどんリバイバルして欲しい

●去年のTARとか前のTENETとか、なんかめっちゃ話したくなる作品が今年はなかった。オッペンハイマーは、ちょっと違うね…

●わたくしどもは。の話。つなぎが気になる映画は初めてだった

●ラストマイル、間違いなく面白い作品なんだけど、映画か?映画であるべきか?というのが皆共通してた

●藤井監督、やっぱ合わない…

●落下の解剖学は犬と子供がめっちゃ良かった

●ブルーピリオドは始終泣いてる位に良かった。

●フュリオサは勿論良かったけど、なんか凄く話したくなる、って作品じゃなかったかな。

●ドラマは傑作が多かった!直近では全員が『海に眠るダイヤモンド』を観ていたのが嬉しい。あと皆NHKオンデマンドに入ったらいいのに。

■他のひとが観てなかった中でオススメ
『ザ・メニュー』◀アニャ!
『シビル・ウォー』◀赤メガネの話をしたかった!
『モキシー』◀Netflixオリジナルの学園もの。zineの話でもある
『セーヌ川の水面の下に』◀バカサメ映画を観たい時に
『雪山の絆』◀原作とセットでおすすめ
『夜明けのすべて』◀優しい社会とはこれだ

■おつまみはお馴染み菜の花キッチンさんのオードブル。今回は「揚げ春雨のタカキビソース」が衝撃でした!



『ぷらすと』がもたらしたもの

朝COBO活。7時のOPENあたりには誰一人いなかった。

今年の映画ベストをまとめはじめている。感想を書いていないものも何作品かあるけど、ちょっと年内にアップは無理そう。『ホールドーバーズ』良かったなぁ。Podcast『映画雑談』のホールドオーバーズ回は、虎に翼評も結構入ってて俺得だった。

北書店で先日買った別冊文藝『クリストファー・ノーラン』。
添野知生さんが『インターステラー』について書いていた。元々弟のジョナサンがスピルバーグに当て書きした脚本で、それにクリストファーが何を足したか。それは何故か。自分の娘のことがかなり関係しているみたい。ジョナサンの妻リサ・ジョイが女性目線で『ウエストワールド』などの傑作をものしている中、勿論分かっててあえて男性目線でSFを描き続けていること、その対比だとか。ほんとそうね。

『ぷらすと』で知って、松崎健夫さんと共にファンになったSF映画評論家の添野さん(岸政彦さん似)、近年は体調不良でYouTube番組にも出られていないので心配なんだけど、どこを見ても近況が分からない。どうか復活されますように。

『ぷらすと』が俺にもたらした影響も、終了した影響も、とっても大きい。もう何年も前のことなのに、未だにショックだ。
今終わられると恐らく立ち直れないくらいダメージを喰らうのは間違いなく『after6junction』で、終わらないように願掛けでステッカーをデザインしている。出来たら車の後部ウィンドウに貼ります。見たことないアトロクステッカーの貼ってあるVOLVO v50を見かけたら、それはワタクシ。

映画『ホールドオーバーズ』素晴らしかった。

『ホールドオーバーズ』をAmazonプライムで。
監督:アレクサンダー・ペイン(『ダウンサイズ』)

【あらすじ】
1970年代のマサチューセッツ州にある全寮制の寄宿学校。生真面目で皮肉屋で学生や同僚からも嫌われている教師ポールは、クリスマス休暇に家に帰れない学生たちの監督役を務めることに。そんなポールと、母親が再婚したために休暇の間も寄宿舎に居残ることになった学生アンガス、寄宿舎の食堂の料理長として学生たちの面倒を見る一方で、自分の息子をベトナム戦争で亡くしたメアリーという、それぞれ立場も異なり、一見すると共通点のない3人が、2週間のクリスマス休暇を疑似家族のように過ごすことになる。
(映画ドットコム)

【感想】

これぞ人間賛歌。クリスマスには特にぴったり。映画であたたかい気持ちになりたい人いたら是非。70年代のファッションやカルチャーも良き!

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みはじめて数十分のころ、やばい。これはNot for meなのでは…と思う位に、主演の3人誰もが好きになれなかった。

主演の頑固なポール先生(体臭・偏見の持ち主)、不機嫌な料理長のメアリー、お坊ちゃまでがきんちょのアンガス。

このさっぱり魅力を感じられない3人が一緒に過ごす、気まずくて暗い冬の光景を、延々見せられるのかと。しかし。

観終わる頃には、3人のことが大好きになっている、どころか「この映画サイコーじゃね?」に変わっている。

この落差。

断っておくけど、別に途中ですごい事件が起こる訳でもない。場所は変わったり、他の人物が絡んだりはしてくるけど。

何が起こるかと言えば、静かに、ゆっくりと、3人がどういう人なのかが分かっていく。それだけ。

何故頑固なのか、体臭の理由は、何故クリスマスに急に寄宿舎に残ることになったのか。どうして不機嫌なのか。すべて、背景を知ることで、その人の人生の片鱗を知っただけで、印象が変わっていく。劇中のお互いの理解も深まる。

そう、人は「知る」ことだけで全然違うんだよなぁ。という今さらのことを思い知らされる。早とちりせず、第一印象で決めつけない大切さを自分に言い聞かせた。

もちろんエンタメの世界はそれだけでは不十分。ただ背景を知るエピソードをゆっくり織り込んでいくだけで「素晴らしい作品」になることはない。入念な脚本と、セリフで説明しない演出、滲み出る演技力、その他諸々がすべて合致するという奇跡があってこそ、こんな傑作が生まれうるんだ。

前の映画会でも話していた「駄作になったかも知れない分岐点」のこと。当作はそんなプロットばかりだ。よくこんなに良い作品になったものだと思う。

主人公3人はどれもめちゃくちゃ素晴らしい俳優だと思うのだが、学生のアンガスはなんと、ロケ地になった学校の演劇部の生徒がオーディションで選ばれたそうだ。まだ素人。信じられない。全然信じられない。

ずっと忘れられない、大切な作品になりました。

『映像研には手を出すな!』9巻。すごい。

大童澄瞳『映像研には手を出すな!』最新9巻。

なんつの。このネタで、このパワーダウンの無さ。いやー楽しい。最高です。

映像研の1巻が出た時は本当に衝撃で、「これだけ自分達(60〜70年代生)の好みを知り尽くしているのだから間違いなく同年代、若くても40年代だろう。なんて遅咲き。でもめっちゃウェルカム。出てきてくれてありがとう!!(編集さんありがとう!)」というような感想を書いていたことを思い出す。

大童澄瞳さんが90年代生まれだって聞いた時はまず信じなかったし、なんか間違って検索しちゃったんだろうなって思った位だもの。嘘でしょって。この若さでこの内容?
まじかよ…。てなったんだよね。

あれからもう7年くらいか。まさかアニメ制作の現代を憂うこの作品がアニメになったり実写になったりするなんて想像しようもなかった。
そんなこと関係なく原作が面白つづけるのが最高です。生きてく糧のひとつ。

岡室美奈子『テレビドラマは時代を映す』

岡室美奈子『テレビドラマは時代を映す』(ハヤカワ新書)読了。

著者は早稲田大学教授、テレビドラマ論/現代演劇論が専門。60年代頃から現代までをいくつかに区切り、それぞれの時代のテレビドラマが、どのように世相を盛り込んできたかを描く、毎日新聞連載のコラムを新書化。

1コマが2P程度と短く読みやすい。またドラマに限らず時にバラエティ、ノンフィクション、紅白などの音楽番組までも取り上げていて、ドラマを語るというよりも「テレビを通じてその時々を語っていく時事エッセイ」の気分。

大まかな時代背景もそうだが、忘れかけていた個々の事件やムーブメントについてドラマを通して思い出すことができるのが楽しい。残念ながら『虎に翼』の直前までなのだが、かの作品が描いたジェンダーギャップやマイノリティ差別の歴史、見え方の変化についても本書で追いかけることができる。
(出版後に岡室さんはあちこちのラジオでとらつばを激推ししてた。入れられなかったのは残念だったでしょうね…)

現代で自分などが追いかける野木亜紀子、渡辺あや、坂元裕二、安達奈緒子などなどの作家は勿論、自分が産まれたころからの作家論・プロデューサー論をざざーっと読めるのもすごい。この後読んだ倉本聰の自伝もちょうど60年代から現代までのテレビが舞台になっており、御大が一方的にテレビドラマ界の衰退を嘆くのと一緒に読めたのは笑ラッキーだった。あと『海に眠るダイヤモンド』が終わったばかりだけど、本書でも倉本の著作でも、炭鉱の事故や閉山という事実が世間的にどれだけ大きなニュースだったかが、見て取れる。あと東芝日曜劇場(現『日曜劇場』)の偉大さとか。こういう風に立体的に繋がるの、嬉しい。

ラジオでいつもお聞きしている岡室先生の著作をやっと読みました。これからも楽しみにしてます!

映画『ブルーピリオド』は「こうなっちゃったらOUT」の道を一つも踏み外さなかった傑作

『ブルーピリオド』実写映画版をAmazonレンタルで。
監督は萩原健太郎(『サヨナラまでの30分』)
原作は連載開始当時からのファン。

【あらすじ】
高校生の矢口八虎は成績優秀で周囲からの人望も厚いが、空気を読んで生きる毎日に物足りなさを感じていた。苦手な美術の授業で「私の好きな風景」という課題を出された彼は、悩んだ末に、一番好きな「明け方の青い渋谷」を描いてみる。絵を通じて初めて本当の自分をさらけ出せたような気がした八虎は、美術に興味を抱くようになり、またたく間にのめりこんでいく。そして、国内最難関の美術大学への受験を決意するが……。(映画.com)

【感想】
大傑作の実写化だと思います。
原作は大好きだけど、その魅力を実写化によって更に引き出していると思う。同じ座組で続編を作ってほしい。
ほとんどケチのつけようがない位。
原作好きで躊躇しているところあったけど、原作未読の @9falcon9 が良かったと言ってたおかげで、遅まきながら観ることができた。ありがとう〜!

キャストの素晴らしさ

眞栄田郷敦を使ったのがまず大勝利。正解のない、自分自身の中に奥深く潜りこむことだけで腕を磨いていく世界。その深みを、暗部を、彼の目つきや身体の動きからしみじみと感じる。すごい説得力。(メインキャストは相当絵の特訓したらしいし、エキストラは皆美大生か予備校生)ちゃんと「暗い」映画になってる。

最近あまりにひっぱりだこでやや「またか…」感のある薬師丸ひろ子。本作では冒頭からその説得力で泣かせる。一瞬で美大受験の世界に入り込めたのは、彼女の力がでかい。

主人公が絵画にのめりこむきっかけになる森先輩(桜田ひより)さんの、間のかんじ。あーこういう人いそう。見事。

一番実写化が難しいと思ってて(実写化を怪しんでいた要因でもある)主人公の幼馴染みで女装の男子、ユカちゃん(高橋文哉)も見事にハマってた。これは、連載当時から時間が経って、高校で女装の男子という存在に、当時ほど違和感がなくなったこともあるかもね。そういう感覚の移り変わりって早い。よくもまぁこんな演技ができたもんだ。
世田介くん(板垣李光人)も原作そのまんま。

新潟地元パイセンのあの有名な美術家さんも先生役で一瞬出ます笑

「本物」を使う凄み

原作マンガでは、実際に美大生や生徒や作家が描いた絵画を作中人物の作品として使っていて、だから説得力があったのだけど、これが実写化になって更に凄みを増しているのが凄い。こうゆう「作中作品」のリアリティってめちゃくちゃ大事で、ここで「薄目で観ないと耐えられん!」て作品は山ほどある訳で。
(原作ファンだと「あの絵じゃん…泣」ってなるよ。同じ作家にもう一度描いてもらったそうです)

石膏デッサンが並んで実力の違いが分かるところなんかも凄いし、武蔵美や藝大その他がおかしな変名を使わずにすべてそのまま描かれているのって、入り込む要素としてめちゃくちゃ大事だと思う。

美術もすばらしいし、衣装や部屋や小道具のルック、こういうところで「ひっかからない」つまり「気にならない」ことが傑作の条件だし、それって実は奇跡みたいなことだと思う。

映像の美しさと劇伴

カメラアングルが、この映画の主題に合わせ全体に絵画的。グレーディング美しい!自分はもう「原作無しのオリジナル映画」として今作を観ることはできないんだけど、普通にすごいクオリティの邦画じゃね?と思う。

劇伴。YOSASOBIの『群青』使わないの?って予告時点で思ったけど、観ると全然納得。この映画は、もっと重い。

原作の良さがそのまま出てる

男女色恋沙汰がないこと/進行のために悪者を安易に出してこない/など、原作の良さがちゃんとそのまま維持されている。
(映画向けにちょっと色恋を…なんてことしたらもうOUT。そんな失敗例も山ほどある)

苦言

少しテンポがゆっくりなので、これは映画館向きの映画だと思う。

幼馴染みユカちゃんとの関係や、彼の苦悩については、もう少し掘り下げられても…と思う。原作ファンは脳内補完であまり問題はないのだけど。

これから

原作者は今作を受験マンガに留まらず、藝大マンガ、その後のプロの世界も描いていくつもりらしい。本連載は今、藝大生活からプロの片鱗が見えているところ。
繰り返すが、同じ座組で藝大編・プロ編が観られたら自分は本当に嬉しいです。

友人とのやり取りとか、お母さんをスケッチするシーンとか、名シーンが山ほどありました。

正直冒頭から、クオリティの高さが嬉しくてずっと涙ぐんでいたし、何なら半分位涙ぐんで観ていたような気もする。おれはちょっと極端。

山ほどあった「こうなっちゃったらOUT」の道を一つも踏み外さす、実写ならではの魅力を加えた、原作への深い理解と愛情を感じる、とっても良い作品でした。原作者もきっと嬉しいんじゃないかな。

『クィア・アイ』のありがたみ

今は『クィア・アイ』が存在するのが当たり前になった世界線なのだけど…。

この番組がどれだけ衝撃で、どれだけ助けてもらったかを思い出しました。メンバー1人が入れ替わって(なんと!)season9が始まったこと。入れ替わってむしろ盛り上がってる、という話が「もちよりRadio」で語られていました。おお!楽しみ!

クィア・アイを観はじめた時、間違いなく世界が変わったことを覚えています。あの頃は「いつも心にファヴ5を!」って言ってたよね。

最近元気がない、辛いっていうあなた。未体験だったらぜひ。ドラマが「○○に効く」なんて、人によりあまりに違うので普通は言えないけど、『クィア・アイ』は言えるんじゃないかな。

人を褒めることの力強さ、人の本来の魅力を見つけ指摘してあげることの大切さを思います。

あと我が家では、家族全員が盛り上がって観ることのできる、稀有なバラエティ番組だな。

「パーム・ナイト」から10年。

なにかで急に気が滅入ってしまっていたのだけど、ぽんっと久しぶりの友人からLINEが入り、「ちょうど10年前の今日、あの日だったよ」と教えてくれた。

池袋での「パーム・ナイト」。

獸木野生・旧伸たまき氏により40年以上続いているコミックを熱く語ろう、という回。同年に初めて開催された新書館の公式イベントで知り合った数人で主催したのだった。この年の出会いは本当になんというか一生の宝物だ。

獸木野生『パーム』オフ会「パーム・ナイト」開催しました

その後も3月のライオンの映画を一緒に見る会をやったり。

『3月のライオン』映画をぶっ通しで観る「ライオン・ナイト」を開催


上京した時に呑んだのも本当楽しかった。いろいろ思い出してなんか人生救われた感。

その後、今年坂口恭平さんを呼んでくれて一緒にイベントのアレコレをやってた彼女が2階のtetoteさんの企画展ついでに赤ちゃんと寄ってくれて、共通の知り合いのことや、自分の投稿きっかけに『虎に翼』を観はじめてた話とかしてくれたりして。嬉しいなぁ。そっかー。坂口さんのトークは6月だったんだ!と思ったり。

自分は「あっという間に時が過ぎる」感じが滅多になくて、いつも毎年「今年の1月のことは遥か昔のようだ」と思ってしまう。6月の坂口恭平さんも2年前くらいに思える。パーム・ナイト、まだ10年前なのか。記憶力のないせいでこんな感じなのかしら。

人に会うことで自分はなんとかやっていける。ほんとは毎日でも呑みに行きたいけど笑、娘の受験やら家庭の事情でそうもいかない。せめてお茶しに寄ってってください。

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自分の書いた昔のPALM関係の記事を読み直していた。獸木野生氏はこう書いている。

さて、人間同士がきちんと礼を交わして別れることは意外にまれです。特に作家には決まった退職年齢もなく、読者に改まって感謝を述べる機会もそうありません。

わたしは長い物語を書いているので、話が終わるときには、ずっと読んでくれた人にきちんとお礼を言いたいものだと常々思ってきました。そして今その時が来たようです。

会いたい人、御礼を言いたい人は、明日にでも会えない人になるかも知れない。会いたい人には今会っておくべきだ。自分に言い聞かせるために。

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